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次世代のエネルギー!世界のバイオ燃料 生産量ランキング

バイオ燃料はどうやって生産されるの?

世界では「気候変動」の影響と思われる災害が増加しており、「温暖化」を抑止する様々な話し合いが行われています。その中でも一番問題視されているのが「化石燃料」の使用で、「持続可能な燃料」の使用が求められています。

バイオ燃料とは?
バイオ燃料とは「バイオマス(化石燃料ではなく動植物から生産される資源)」から生産される燃料で、最終的には燃焼などにより「二酸化炭素」を排出しますが、化石燃料を利用するより環境に優しい燃料です。

fumib.netが作成
イラスト出典: いらすとや

原料には「サトウキビ」「大豆」なども含まれ、原料をアルコール発酵させ「バイオエタノール」として利用する事が可能です。バイオエタノールは通常の燃料として利用する事が可能で、主に車両の燃料として利用する事が多く、多くの国ではバイオ燃料と化石燃料を組み合わてた混合燃料が利用されています。

世界ではバイオ燃料をどのくらい生産しているのでしょうか?

世界のバイオ燃料
生産量ランキング

世界のバイオ燃料生産量
世界一位 米国
世界二位 ブラジル
世界三位 インドネシア

世界のバイオ燃料 生産量ランキング
Production of biofuels

生産量
(テラワット)
TWh
2020年
使用量
(テラワット)
TWh
2020年
世界全体1,677128,677.77
(463.24EJ)
1米国
(U.S.A)
60219,913.88
(71.69EJ)
2ブラジル
(Brazil)
3951,763.88
(6.35EJ)
3インドネシア
(Indonesia)
1262,102.77
(7.57EJ)
4ドイツ
(Germany)
652,547.22
(9.17EJ)
5中国
(China)
6334,075.00
(122.67EJ)
6タイ
(Thailand)
441,336.11
(4.81EJ)
7フランス
(France)
431,202.77
(4.33EJ)
8オランダ
(Netherlands)
37836.11
(3.01EJ)
9スペイン
(Spain)
32958.33
(3.45EJ)
10アルゼンチン
(Argentina)
27733.33
(2.64EJ)
11カナダ
(Canada)
212,447.22
(8.81EJ)
12インド
(India)
207,975.00
(28.71EJ)
13ポーランド
(Poland)
191,036.11
(3.73EJ)
14イタリア
(Italy)
161,327.77
(4.78EJ)
15コロンビア
(Colombia)
12366.66
(1.32EJ)
16韓国
(Korea)
122,769.44
(9.97EJ)
17イギリス
(U.K)
121,441.66
(5.19EJ)
18ベルギー
(Belgium)
8458.33
(1.65EJ)
19オーストリア
(Austria)
71,386.11
(4.99EJ)
20フィンランド
(Finland)
7152.77
(0.55EJ)
21スウェーデン
(Sweden)
7183.33
(0.66EJ)
22ポルトガル
(Portugal)
6180.55
(0.65EJ)
23オーストラリア
(Australia)
3244.44
(0.88EJ)
24メキシコ
(Mexico)
少量1,605.55
(5.78EJ)
日本
(Japan)
4,116.66
(14.82EJ)

各国のバイオ燃料
生産量 情報

テラワットとは?
1TW(テラワット) = 10,000,00,000kW(キロワット)
 
1リットルの燃料から約3.07kWh (キロワット)発電する事が可能です。1TWhの発電には3,070,000,000リットルの燃料が必要になる計算になります。

天文学的な数字ですが「二酸化炭素の削減は2050年までにゼロ」にするという目標が掲げられており、化石燃料の利用を停止・持続可能なエネルギーへ転換する必要があります。

二酸化炭素の排出量をゼロにできるのか?
極めて難しいと思います。発展途上国の人口増加も爆発的に増加しており、都市化・食料生産・農地開拓など二酸化炭素の排出量を増加させる問題が山積みです。

バイオ燃料って環境に良いの?
バイオ燃料は生産時に多くの二酸化炭素を発生させます。「化石燃料」の利用により増える二酸化炭素の量が+100とした場合、バイオ燃料の利用によって増える二酸化炭素の量は+40ぐらいと考えるのが良いかもしれません。

バイオマスとして利用した植物の焼却、植物の生産に新たな農地開発・森林伐採などがおこなわれた場合、逆に二酸化炭素を増加させてしまう恐れもあり、計画的に利用する必要があります。

バイオ燃料って結構使われている?
世界中で利用されており、ガソリン・軽油に混合されているケースが多くなっています。詳しくは下記の「各国のバイオ燃料の生産量」に記載しました。

バイオ燃料の原料って何?
非常に多くの作物や廃棄物からバイオ燃料を生産する事が可能ですが、「大豆」「サトウキビ」が一般的に有名です。

「世界の大豆の生産量ランキング」の記事はこちらになります。よろしかったらご覧ください。


「世界のサトウキビの生産量ランキング」の記事はこちらになります。よろしかったらご覧ください。


米国
バイオ燃料
生産量 情報

米国のバイオ燃料
アメリカのバイオ燃料は主に「大豆」から生産されており、世界をリードする「バイオ燃料の開発国」の一つです。主に南部のテキサス州・西部のカリフォルニア州・中北東部のアイオワ州・中東部のミズーリ州などでバイオ燃料が生産量されていますが、施設投資に莫大な資金が必要になるため、生産者は限られています。

大豆からとれる油はどれくらい?
大豆1キログラムあたり10~12%の「大豆油」が抽出可能です。1リットルの油を生産するには約7~9キログラムの大豆が必要になります。

大豆の価格がバイオ燃料の価格に影響を及ぼす
アメリカのバイオ燃料の原料は「大豆」が多く、国内で非常に多くの大豆生産がおこなわれています。大豆の価格の高騰はバイオ燃料の高騰化に繋がり、国内ではさらに大豆の生産量を増加させています。

大豆の利用価値
「バイオエタノールの原料」「家畜の飼料」「人間の食料」など様々な物に利用されています。最近では「大豆ミート」などの「植物性の肉」の人気が上昇しており、生産量は今後さらに増加すると思われます。

ブラジル
バイオ燃料
生産量 情報

ブラジルの「サトウキビ」
ブラジルで生産される「サトウキビ」は生産過程で発生する「温室効果ガス」の発生量が少ないとされ、非常に効率の良いバイオ燃料の原料の一つといわれています。

生産過程で発生する「温室効果ガス」
バイオ燃料は生産過程で多くの「化石燃料」が利用されます。ブラジルで生産される「トウモロコシ」「大豆」などから多くのバイオ燃料が生産されていますが、生産過程で排出される「温室効果ガス(二酸化炭素など)」が多く、国内では温室効果ガスの排出量を減らす工夫や研究が日々おこなわれています。

バイオ燃料の増産のリスク
バイオマスの増産のために森林を切り開き、さらにバイオ燃料の生産する事は「温室効果ガス」の増加させるリスクがあります。

バイオ燃料の需要増加
航空業界・運送業では「バイオエタノール」の利用が増加しており、日本を含め、自国でバイオ燃料の生産が難しい国はブラジルなどに生産を委託しています。

インドネシア
バイオ燃料
生産量 情報

インドネシアのサトウキビ生産
インドネシアは年間を通して非常に温かい気候を有しており、国内で多くの「サトウキビ」「パーム油」が生産されています。国内ではバイオ燃料の使用が法律で義務化されており、2005年からはガソリンやディーゼル車の燃料に対し5~10%、2011年からは10~15%、2016年からは15%から20%のバイオエタノールを通常の燃料と混合させています。

また、企業などにもバイオ燃料の導入が義務化されており、一定の割合のバイオ燃料を使用する必要があります。

ディーゼル車にバイオ燃料を入れても大丈夫なの?
「サラダ油」「灯油」などでも走行する事が可能ですが、日本では「脱税」になり、10年以下の懲役や1000万円以下の罰金を科される可能性があります。

また、添加剤や潤滑成分が入っておらず、エンジンの故障に繋がります。

ドイツ
バイオ燃料
生産量 情報

EUのバイオ燃料
ヨーロッパでは2008年にEU議会による「再生可能資源のエネルギー利用促進に関する指令」により、EU加盟国は輸送用燃料に対し、10%以上のバイオ燃料の利用が義務化されています。

2022年にはアップデートがおこなわれ、「再生利用可能なエネルギーの普及目標を2030年までに45%に引き上げる」「ピーク時の電力需要を5%下げる」など様々な指令改正がおこなわれています。

バイオ燃料に関しては「森林」などから直接伐採されたバイオマス(一次バイオマス)の利用を廃止(段階的に)するなど環境に優しい制度へと変更がおこなわれています。

国民への負担増
ヨーロッパでは化石燃料の価格が高騰化しており、大きなインフレ(物価上昇)をひきおこしています。燃料の高騰化により間接的に様々な物の価格が上昇しており、国民の不満が爆発・抗議活動などが活発化してきています。

中国
バイオ燃料
生産量 情報

化石燃料の使用が多い中国
中国は「石炭」「石油」「天然ガス」など化石燃料が非常に多く使用されており、「温室効果ガス」を多く排出しています。二酸化炭素の排出問題を解決するには「二酸化炭素の排出量の多い国の協力」が不可欠になります。

中国の様々な取り組み
中国は様々な気候変動対策に対する様々な取り組みをおこなっており、バイオ燃料の開発・なども積極的におこなわれています。2016年には「30億リットルのエタノール燃料」「11.4億リットルのバイオディーゼル」を生産しています。2020年には「127億リットルのエタノール」「23億リットルのバイオディーゼル」を生産する目標を掲げていています。

タイ
バイオ燃料
生産量 情報

タイのバイオ燃料生産
タイでは非常に多くの「化石燃料」を海外から輸入しています。国内では安定したエネルギーを供給するために国内で生産している「サトウキビ」「キャッサバ」などからバイオ燃料の生産をおこなっており、生産量は年々増加しています。

持続可能なエネルギー
タイは「持続可能なエネルギー」の生産に力を入れており、水力・風力・太陽光を利用した発電以外にもバイオマス・バイオガス・廃棄物などから多くのエネルギー生産がおこなわれています。

バイオ燃料の生産は外国から輸入される化石燃料利用を減らすと同時に外貨の節約・国内エネルギー価格の一定化などにも繋がり、今後もさらに生産量が増加すると思われます。

フランス
バイオ燃料
生産量 情報

フランスで利用が増加する「E85」
「E85」とはバイオエタノールが85%配合された燃料で、ヨーロッパでは普及が進んでいます。E85は普通に販売されている燃料よりも安い価格で提供されており、E85の利用が増加しています。

軽油の価格が高い
ヨーロッパでは「エンジンの丈夫さ」から軽油車が好まれる傾向がありましたが、近年では軽油の価格は一般的なガソリンより高く設定されており、軽油車(一般車)を購入する人が減少しています。

「電気自動車」の普及も加速しており、北欧などでは急激に電気自動車の数が増加しています。

オランダ
バイオ燃料
生産量 情報

バイオエタノールの燃料
ヨーロッパでは「砂糖」の原料として「甜菜(てんさい)」が多く利用されています。甜菜はバイオエタノールの原料としても利用されており、多くの国で生産されています。その他には「トウモロコシ」「ライ麦」「小麦」などからバイオエタノールが生産されていますが、食用として輸出される事が多く、世界情勢の悪化などにより原料が高騰化しています。

バイオ燃料の普及
飛行機などがら排出される「温室効果ガス」の排出量は非常に多く、世界中で「飛行機」「船」などの燃料がバイオ燃料に切り替えられています。

スペイン
バイオ燃料
生産量 情報

農業大国スペイン
スペインは温暖な気候を有しており、国内で様々な作物が生産されています。とくに「ワイン」の生産量は非常に多く、国内で生産されたワインが世界中に輸出されています。

注目される「廃棄物」
「ブドウの残留物」「オレンジの皮」など通常「廃棄」として扱われる物が「副産物」として有効活用されるケースが増加しており、国内で利用されるバイオ燃料の数パーセントがこれらの廃棄物によって生産されています。

アルゼンチン
バイオ燃料
生産量 情報

生産減少するバイオ燃料
アルゼンチンのバイオ燃料生産は、Covid-19の流行による経済活動の制限・国内の景気後退の長期化・燃料需要の減少・政策変更などにより「バイオエタノール」の生産量が減少しています。

大豆にかけられた高い関税
アルゼンチンも非常に多くの「大豆」が生産されており、主に家畜の飼料・バイオ燃料の原料として利用されています。2017年に米国は自国の大豆生産者の保護のため、アルゼンチンのバイオディーゼルに高い関税をかけています。米国への輸出が減少したアルゼンチンではヨーロッパへ向けて輸出がおこなわれています。

日本
バイオ燃料
生産量 情報

日本の二酸化炭素問題
日本も非常に多くの「化石燃料」を利用しており、「温室効果ガス」を排出しています。

日本は2015年12月に行なわれた「パリ協定」で、「二酸化炭素を2030年度までに26%削減」(2013年比較)させる目標を採択しています。二酸化炭素削減に向け、「バイオ燃料をブラジルなどから輸入」するなどの対策がとられています。

日本のバイオ燃料は効率が悪い
日本は国土が狭く、バイオ燃料の原料となる「小麦」「ライ麦」「トウモロコシ」「大豆」「サトウキビ」は主に国外から「輸入」されています。

原料を日本へ輸入、日本で「バイオ燃料の生産」する事は非常に効率が悪く、国内でバイオ燃料が非常に普及しにくい状態が続いています。

化石燃料の利用
2011年に発生した「東日本大震災」以降「原子力」の利用が著しく低下しており、「石油」「石炭」「天然ガス」などの化石燃料の利用が増加しています。

まとめ

EV車が流行しているが・・・
バッテリーを利用した「EV車」が支流になってきていますが、電力は「化石燃料」を利用した発電が主におこなわれており、「環境に良い」とは言えません。また、リチウムイオンバッテリーの爆発事故が増加しており、利用を控える人が増加しています。

化石燃料の利用がメイン
「再生量可能なエネルギー」の生産が増加していますが、現在も大部分が化石燃料を利用した発電になっています。

今回は以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

参考

BP p.l.c. "Statistical Review of World Energy" (English) 2020年. © 1996-2024 BP p.l.c. 2021年10月24日閲覧。
BP p.l.c.の利用規則はこちら (English) です。


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