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世界の1人あたりCO2排出量ランキングと課題

1人あたりのCO2排出量
先進国と発展途上国で大きな差

二酸化炭素(CO2)の排出量は地球温暖化の主要な原因の一つとして注目されています。特に、1人あたりの排出量は各国の経済活動や生活習慣を反映しており、これを理解することは、より持続可能な社会を実現するための重要なステップです。

世界では一人あたりどの国がどれくらいCO2を排出しているのでしょうか?

先進国と発展途上国のCO2排出の違い
1人あたりのCO2排出量は国によって大きく異なります。例えば、先進国ではエネルギー消費が多いため高い傾向にあります。アメリカやカナダなどでは、1人あたりの排出量が20トンを超えることもあり、一方で、開発途上国ではこれが1トン未満の国も多いです。この差は、エネルギー資源の利用方法や産業構造、気候政策の違いに起因しています。

日本は1人あたりどのくらいCO2を排出する?
日本では、1人あたりのCO2排出量は約8~9トン程度とされています。これは世界平均よりも高いですが、先進国の中では中程度です。しかし、再生可能エネルギーの普及が進んでいない点や、都市部での交通機関利用率が低いことが課題とされています。日本特有の産業構造や輸入エネルギーへの依存度の高さが影響を及ぼしています。

今後、発展途上国のCO2排出量は爆増する
多くの国では、経済成長とともにCO2排出量が増加します。発展途上国は都市化、産業が増加しており、それに伴いCO2の排出量も増加します。

脱炭素が進む国もある
一部の先進国では「脱炭素化」が進み、場合によっては発展途上国の中でも経済成長と排出量削減を両立する例があります。この動きは「デカップリング」と呼ばれ、注目されています。

世界の
一人あたりのCO2排出量
ランキング

輸送による二酸化炭素
世界一位 パラオ
世界二位 カタール
世界三位 クウェート

1人あたりの二酸化炭素排出量
トン(t)
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国名1人あたり
CO2排出量
2022年
パラオ75.1648
カタール38.0755
クウェート25.7959
バーレーン25.7806
アラブ首長国連邦23.1751
ブルネイ20.8812
ジブラルタル20.3253
オマーン20.0269
ニューカレドニア19.9164
トリニダード
トバゴ
19.0833
サウジアラビア16.6967
オーストラリア15.1133
カナダ14.9483
米国14.5640
ロシア13.2354
カザフスタン12.5229
韓国12.2987
ルクセンブルク11.6165
トルクメニスタン10.8670
チェコ9.5150
シンガポール9.4801
アイスランド9.3148
リビア9.2102
セイシェル9.1351
中国8.9702
ポーランド8.7436
日本8.6525
グリーンランド8.2226
マレーシア8.1776
エストニア8.0424
ドイツ8.0383
イラン7.7517
ブルガリア7.7498
ノルウェー7.7483
ベルギー7.7372
オランダ7.6077
アイルランド7.3697
オーストリア6.7657
南アフリカ6.7615
ボスニア
ヘルツェゴビナ
6.7501
フィンランド6.7178
スロベニア6.6037
モンゴル6.5017
スロバキア共和国6.4865
イスラエル6.4631
ニュージーランド6.3259
ベラルーシ6.2214
キプロス5.9611
トルキエ5.6631
イタリア5.4792
ギリシャ5.4452
スペイン5.3238
スリナム5.3217
英国5.0244
バミューダ4.9925
デンマーク4.9396
ハンガリー4.9042
チリ4.7368
ガイアナ4.7037
世界4.6885
リトアニア4.6841
フランス4.6387
アラブ世界4.5606
北マケドニア4.5512
ケイマン諸島4.4712
クロアチア4.4675
香港4.4158
イラク4.3563
レバノン4.3292
アルバ4.2754
モルディブ4.1641
スイス4.1142
ルーマニア4.0578
アルゼンチン3.9805
ポルトガル3.9657
アルジェリア3.9436
タイ3.9394
プエルトリコ3.9181
メキシコ3.8256
ウズベキスタン3.7150
アゼルバイジャン3.6611
スウェーデン3.6093
ラトビア3.5679
バハマ3.5275
ウクライナ3.4879
ベネズエラ3.4247
モルドバ3.4078
モーリシャス3.3915
ベトナム3.3396
ジョージア3.2361
マカオ3.2329
マルタ3.2298
フランス領ポリネシア3.1236
ボツワナ3.1227
赤道ギニア3.0174
アンティグア
バーブーダ
2.9617
チュニジア2.9067
ラオス2.6729
パナマ2.5822
エクアドル2.5614
インドネシア2.5126
ウルグアイ2.4955
エジプト2.3963
バルバドス2.3939
ガボン2.3092
アルメニア2.2753
キューバ2.2093
ブータン2.1885
ブラジル2.1679
ジャマイカ2.1515
セントクリストファー
ネイビース
2.1382
ヨルダン2.0892
ドミニカ共和国2.0890
韓国2.0869
イギリス領
ヴァージン諸島
2.0668
モロッコ1.9393
インド1.9003
フィジー1.8208
ペルー1.8094
ボリビア1.7964
カーボベルデ1.7112
コロンビア1.7055
ナミビア1.6703
コスタリカ1.6616
アルバニア1.6151
サモア1.5982
トンガ1.5619
キルギス共和国1.4772
パラグアイ1.4648
セントルシア1.4167
フィリピン1.3446
シリア1.2763
エルサルバドル1.2582
コンゴ共和国1.2454
グアテマラ1.1574
エスワティニ1.1225
タジキスタン1.0601
カンボジア1.0508
ホンジュラス1.0172
グレナダ0.9766
モーリタニア0.9737
ドミニカ0.9459
パキスタン0.8452
スリランカ0.8357
ニカラグア0.8253
セントビンセント
グレナディーン諸島
0.7966
ガーナ0.7305
ベナン0.7204
セネガル0.6973
サントメ・プリンシペ0.6944
ミャンマー0.6902
ジブチ0.6790
バヌアツ0.6675
ベリーズ0.6647
バングラデシュ0.6372
ジンバブエ0.6264
アンゴラ0.5672
キリバス0.5639
ナイジェリア0.5617
スーダン0.5232
ネパール0.5188
コートジボワール0.5146
パプアニューギニア0.4650
ザンビア0.4631
ソロモン諸島0.4392
東ティモール0.4269
コモロ0.4098
ケニア0.3985
イエメン共和国0.3639
カメルーン0.3611
レソト0.3378
リベリア0.3060
モザンビーク0.3042
マリ0.2977
ハイチ0.2967
マラウイ0.2758
トーゴ0.2755
ギニア0.2743
タンザニア0.2592
ブルキナファソ0.2567
ガンビア0.2261
エリトリア0.2184
エチオピア0.1711
ギニアビサウ0.1663
ウガンダ0.1596
アフガニスタン0.1380
シエラレオネ0.1278
チャド0.1191
ルワンダ0.1181
マダガスカル0.1077
ニジェール0.1005
ブルンジ0.0717
ソマリア0.0535
中央アフリカ共和国0.0495
フェロー諸島0.0396
コンゴ民主共和国0.0359
アメリカ領サモア0.0023
ヴァージン諸島 (米国)0.0019
グアム0.0017
ミクロネシア連邦0.0000
マーシャル諸島0.0000
ナウル0.0000
ツバル0.0000
南スーダン-
リヒテンシュタイン-
モンテネグロ-
モナコ-
マン島-
セルビア-
サンマリノ-
コソボ-
キュラソー-
アンドラ-

[1]

各国の輸送による
二酸化炭素排出量
タップ or クリックで数値が表示されます

[1]
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*サイズをスマホ用に最適化しています
*表示されるまでに少し時間がかかる場合があります

各国
1人あたりの二酸化炭素排出量
情報

先進国と発展途上国の違い
世界各国で一人あたりのCO2排出量は大きく異なります。例えば、産業が発展した国では排出量が高く、発展途上国では比較的低い傾向があります。これはエネルギー源の種類や経済活動の規模が主な要因です。米国や中国などは世界全体の排出量の大部分を占めており、一人あたりでも高い値を示します。日本も先進国として高い水準にありますが、エネルギー効率化が進んでいる点が特徴的です。

日本の一人あたりのCO2排出量
日本では一人あたり約8~10トンのCO2を排出しています。これは、輸送、住宅エネルギー、食生活といった分野が主要な要因となっています。例えば、家庭での電力使用や自動車のガソリン消費が直接的に影響します。

家庭や個人の行動が与える影響
家庭でのエネルギー使用や廃棄物の処理は、一人あたりのCO2排出量に大きな影響を与えます。特に暖房や冷房の効率的な使用、エコ家電の導入は削減に寄与します。日常生活での選択が環境全体に波及するため、意識的な行動が求められます。

削減には金がかかる
CO2の削減には「環境に優しい機器」を導入する必要があります。先進国は環境問題に対応した機器の利用が増えていますが、これらを利用できるのは一部の国々の人々であり、発展途上国や貧困層が多い国には余裕がありません。

今後、発展途上国の一人あたりの排出量が上昇します。CO2の問題は世界全体で話し合う必要があり、足並みを揃える必要があります。

パラオ
1人あたりの二酸化炭素排出量
情報

なぜパラオは一人あたりのCO2排出量が多い?
パラオの総人口は約2万人と非常に少ないため、少数の人々の生活や経済活動による排出量が、計算上大きく反映されます。そのため、総排出量が小さくても、人口が少ないことで「一人あたり」の数字が相対的に大きくなります。

輸入依存の国
パラオは島国であり、国内で生産できるものは限られています。多くの物資やエネルギーを輸入に依存しています。特に、発電のための化石燃料(ディーゼルなど)の輸入が多く、それがCO2排出量を押し上げています。

観光業がの影響
パラオ経済の主要産業である観光業は、多くの航空便や船舶を必要とします。これらの交通手段がCO2排出の大きな要因です。また、観光客が滞在中に消費するエネルギーや水資源の影響も考慮されます。

再生可能エネルギーの利用が遅れている
パラオは再生可能エネルギーへの移行が他国と比べて遅れており、依然として化石燃料に大きく依存しています。

カタール
1人あたりの二酸化炭素排出量
情報

化石燃料産出国
カタールは、石油と天然ガスの豊富な埋蔵量を持つ国であり、これらのエネルギー源を大量に消費しています。特に、冷房(エアコン)の使用が多いため、エネルギー消費が急増し、その結果、二酸化炭素排出量が高くなっています。

経済活動のエネルギー依存
カタールの経済は主に石油・天然ガスの採掘と輸出に依存しており、この産業は多くのエネルギーを消費します。石油やガスの生産、処理、輸送がCO2排出を引き起こしています。

人口密度と都市化
カタールの都市部では急速な発展が進んでおり、高い人口密度に伴い、建物やインフラのエネルギー需要が増加しています。これも排出量を増加させる要因の一つです。

砂漠が多い化石燃料の産出国は1人あたりのCO2排出量が多くなります。自国から産出される化石燃料を利用したエネルギーの利用が多く、砂漠で人間が快適に生活するには冷房などをフル活用する必要があります。

カタールの今後の課題
持続可能なエネルギー
カタールは、再生可能エネルギーの導入に向けた努力をしていますが、まだ石油・天然ガス依存が強く、持続可能なエネルギーに移行するためには時間がかかります。

効率的なエネルギー使用
エネルギーの効率的な使用を促進するための技術的な進歩が必要です。例えば、冷暖房の効率を改善するための革新的な技術や、省エネの建物設計が求められます。

国際的な環境規制の強化
カタールは国際的な気候変動対策に参加しており、二酸化炭素排出の削減目標を達成するためには、より積極的な政策変更が必要です。

教育と意識の向上
市民や企業に対して環境への配慮を促す教育や啓発活動を行い、個々の行動から排出削減を目指す必要があります。

カタールは今後、二酸化炭素排出量を削減するために、エネルギー転換、技術革新、国際的な協力を強化することが求められています。

クウェート
1人あたりの二酸化炭素排出量
情報

クウェートは化石燃料産出国
クウェートは豊富な石油資源を有しており、エネルギー供給の大部分が石油と天然ガスに依存しています。このため、エネルギー消費に伴うCO2排出量が非常に高くなっています。

エネルギーの非効率的な利用
クウェートではエネルギー価格が政府の補助金によって低く抑えられており、それが浪費を助長しています。冷暖房や輸送のエネルギー効率が低いことが問題となっています。

都市化とライフスタイル
クウェートの都市化率は非常に高く、大型の住宅、エネルギーを大量に消費する家電、そして自家用車に頼る交通手段が普及しています。

オイルマネーで建てられた都市のインフラは凄まじく、出稼ぎ労働者が多い国です。

エネルギー政策の転換
補助金政策を見直し、エネルギー価格を市場価格に近づけることで、エネルギー浪費を抑制することが必要です。

再生可能エネルギーへの投資
太陽光や風力エネルギーなどの再生可能エネルギーへの投資を強化し、エネルギーミックスを多様化する必要があります。

省エネ技術の導入と普及
高効率なエアコンやLED照明、スマートグリッドの導入を促進することで、エネルギー消費量を削減できます。

交通インフラの改善
公共交通機関の整備や電気自動車(EV)の普及を推進することで、輸送部門からの排出量を削減することが可能です。

国民意識の向上
環境教育や啓発活動を通じて、持続可能なライフスタイルを広める必要があります。

国際協力と規制の強化
パリ協定などの国際的な枠組みに基づき、排出量削減目標を設定し、達成に向けた具体的な政策を実施することが求められます。

バーレーン
1人あたりの二酸化炭素排出量
情報

バーレーンは化石燃料産出国
バーレーンは、一人当たりのCO2排出量が世界的に高い国の一つです。自国で産出される化石燃料を利用した産業が多く、エネルギー供給は天然ガス・石油に依存しています。

2060年までにカーボンニュートラル
バーレーン政府は、自国で排出される多くのCO2問題に対し、2060年までにカーボンニュートラルを達成する目標を掲げています。

●「Carbon Capture, Utilisation and Storage:CCUS(CO2回収・貯留)」
CO2を大気中から回収し、再利用または安全に貯留する技術の研究と導入を進めています。

●省エネルギーの推進
ネルギー効率の向上を図り、無駄なエネルギー消費を削減する施策を展開しています。

●再生可能エネルギーの導入
太陽光や風力などのクリーンエネルギーの利用拡大を目指しています。

日本に比べ、太陽光パネルの利用は控えめです。ヨーロッパでも普及が進んできており、石油産出国での利用も増加すると思われます。

バーレーン国際空港では、施設のカーボンニュートラル化や使い捨てプラスチックの廃止、太陽光パネルの設置など、サステナビリティに向けた取り組みが進められています。

これらの目標を達成するには、技術的・経済的な課題が存在します。エネルギー供給の多様化や産業構造の転換、そして国民の意識改革など、多方面での努力が求められています。

バーレーンのCO₂排出削減に向けた取り組みは、同様の課題を抱える他国にとっても参考となるでしょう。持続可能な未来に向けて、国際的な協力と技術革新が不可欠です。

アラブ首長国連邦
1人あたりの二酸化炭素排出量
情報

アラブ首長国連邦は石油産出国
UAEは石油と天然ガスの主要な生産国であり、それが経済の中心を占めています。化石燃料の採掘、輸出、消費が多いことからCO2排出量が高くなっています。

急速な都市化と産業化
ドバイやアブダビを中心に、急速な都市開発とインフラ整備が進んでおり、それに伴うエネルギー需要が大幅に増加しています。

オイルマネーだけじゃない?金融都市
ドバイやアブダビは金融都市です。

●ドバイ国際金融センター(DIFC)
世界的に有名な金融特区で、多くの国際的な銀行、投資会社、保険会社が拠点を置いています。税制面や法規制面で優遇措置があり、グローバルな金融活動が盛んです。

●アブダビ・グローバル・マーケット(ADGM)
DIFCと並ぶ主要な金融特区で、国際基準に基づいた規制環境を提供しています。

ファースト・アブダビ・バンク(FAB)やアブダビ・インベストメント・オーソリティ(ADIA)など、大規模な金融機関が存在します。アラブ首長国連邦は金融業が盛んであり、例え、化石燃料が尽きたとしても生き残れる国です。

アラブ首長国連邦の今後の課題:
持続可能なエネルギーへの切り替え
太陽光発電や風力発電など、再生可能エネルギーの導入を強化することが急務です。実際、UAEは「マスダールシティ」のような再生可能エネルギー都市プロジェクトを進めていますが、さらなる拡大が必要です。

マスダールシティとは?
マスダールシティ(Masdar City)は、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ近郊に建設された持続可能な都市のモデルプロジェクトです。このプロジェクトは、環境への影響を最小限に抑え、再生可能エネルギーとエコフレンドリーな技術を活用して設計されています。

カーボンニュートラルに向けて「太陽光発電やその他の再生可能エネルギーを使用」「リサイクルで廃棄物を減らす」「化石燃料を利用した車両を制限し、公共交通機関やEVの利用」「再生可能エネルギーやサスティナブルの開発」などがおこなわれています。

計画の完成は2030年です。2006年に発表され、完成予定であった2016年の計画の進捗度は5%未満です。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の本部があり、世界自然保護基金 (WWF)などから支持されています。

エネルギー効率の向上
建築物のエネルギー効率向上や、産業プロセスの省エネルギー化を推進することで、排出量を削減できます。

公共交通の拡充と電気自動車の普及

電気自動車の導入や、メトロやバスなど公共交通機関の利用促進が課題となっています。

国民意識の向上
持続可能なライフスタイルを促進するための教育やキャンペーンを通じて、個人レベルでの行動変容を促すことが重要です。

国際的協力
脱炭素化の取り組みを進めるために、他国との技術協力や国際的な枠組みへの積極的な参加が求められます。

参考

1. WORLD BANK GROUP. "Carbon dioxide (CO2) emissions excluding LULUCF per capita (t CO2e/capita)" (English) 2025年. © 2025 The World Bank Group. 2025年01月02日閲覧。
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