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Food

世界の鶏肉生産量ランキング

世界で生産される1/3の穀物は家畜の飼料

「鶏肉」は「豚肉」「牛肉」タブーとする宗教でも食べる事が可能な肉で、世界中で消費されています。飼料には「トウモロコシ」などの「穀物」が利用され、世界中で栽培されている1/3の穀物が家畜用として栽培されています。

世界ではどの国でどのくらい鶏肉を生産しているのでしょうか?

世界の鶏肉
生産量ランキング

世界の鶏肉の生産量
世界一位 中国
世界二位 米国
世界三位 ブラジル

世界の家禽 生産量ランキング
Poultry - Production

生産量
(トン)
(t)
2021年
世界合計137,979,965.2
1中国
(China)
24,617,629.08
2米国
(U.S.A)
23,222,928.46
3ブラジル
(Brazil)
15,215,995.46
4ロシア
(Russia)
4,617,338
5インドネシア
(Indonesia)
3,888,544
6インド
(India)
3,714,155.79
7メキシコ
(Mexico)
3,686,867.6
8ポーランド
(Poland)
2,522,582.16
9日本
(Japan)
2,435,973.95
10アルゼンチン
(Argentina)
2,339,102.91
11エジプト
(Egypt)
2,321,901.66
12テュルキエ
(Turkiye)
2,301,804.9
13イギリス
(U.K)
1,995,355.97
14イラン
(Iran)
1,993,619.88
15南アフリカ共和国
(South Africa)
1,922,404.12
16タイ
(Thailand)
1,844,910.49
17パキスタン
(Pakistan)
1,814,155.33
18ペルー
(Peru)
1,751,607.81
19ベトナム
(Vietnam)
1,702,914.19
20コロンビア
(Colombia)
1,694,334.86
21マレーシア
(Malaysia)
1,625,452.5
22フランス
(France)
1,616,313
23スペイン
(Spain)
1,561,250
24ドイツ
(Germany)
1,545,746.81
25カナダ
(Canada)
1,502,169.75
26ウクライナ
(Ukraine)
1,373,500
27イタリア
(Italy)
1,369,213.88
28フィリピン
(Philippines)
1,367,571.74
29オーストラリア
(Australia)
1,327,173.43
30韓国
(Korea)
1,009,977.87
31サウジアラビア
(Saudi Arabia)
910,446.03
32オランダ
(Netherlands)
869,380
33台湾
(Taiwan)
780,782
34チリ
(Chile)
751,903.69
35ミャンマー
(Myanmar)
682,542.1
36モロッコ
(Morocco)
640,000
37イスラエル
(Israel)
632,482.03
38ハンガリー
(Hungary)
545,713.47
39ボリビア
(Bolivia)
508,125.02
40ベラルーシ
(Belarus)
506,700
41ルーマニア
(Romania)
451,850
42ベネズエラ
(Venezuela)
441,910.33
43エクアドル
(Ecuador)
439,797.4
44グアテマラ
(Guatemala)
361,187.14
45ポルトガル
(Portugal)
358,750
46ドミニカ共和国
(Dominican Republic)
346,883.14
47バングラデシュ
(Bangladesh)
276,659.84
48カザフスタン
(Kazakhstan)
272,603.73
49アルジェリア
(Algeria)
258,161.03
50ナイジェリア
(Nigeria)
241,188.1
51チュニジア
(Tunisia)
239,000.28
52ギリシャ
(Greece)
238,630
53スリランカ
(Sri Lanka)
230,643.36
54パナマ
(Panama)
229,832.55
出典: ©United Nations Food and Agricultural Organization
データを元にfumib.netがリストを作成

各国の鶏肉生産量
情報

出典: ©United Nations Food and Agriculture Organization
2021年のデータを元にFumib.netがグラフを作成

日本の家禽のはじまり
弥生時代に「水田稲作農耕」が中国から伝わり、同時に家畜の飼育も盛んになりました。弥生時代の遺跡からは「ニワトリ」を飼育していた痕跡が発見されていますが、日本全体で飼育されていたかは分かっておらず、限定的に飼育されていた可能性があります。

飛鳥時代に伝わった仏教が広まり、675年には天武天皇が「食肉禁止令」が発布されました。「牛」「馬」「犬」「鶏」「猿」の肉が禁止され、江戸後期~明治時代まで1000年以上一般的に肉が消費される事はありませんでした。

肉食が一般的に普及するとニワトリを飼育する人が増加し、明治時代には「焼き鳥屋」なども登場しています。

世界で一番消費されているのは「豚肉」
現在、世界一消費されている肉は「豚肉」ですが、豚肉をタブーとする「イスラム教」の増加、肉の価格の高騰化により価格の安い「鶏肉」を購入する人の増加など様々な要因により、今後、鶏肉が世界一消費される肉になると思われます。

多くの先進国で鶏肉の消費量が他の肉より多く、日本では2017年に鶏肉の消費が豚肉を抜いています。

「世界の牛肉消費量ランキング」の記事はこちらになります。よろしかったらご覧ください。


「世界の魚消費量ランキング」の記事はこちらになります。よろしかったらご覧ください。


中国鶏肉
生産量 情報

中国の鶏肉
中国語で鶏肉は「鸡肉(ジーロー)」です。

古代の中国の鶏肉
古来から中国で伝統的に鶏肉が消費されていたわけではなく、「特別な機会に食べられる高級品」として扱われていました。現在は食生活の欧米化により、2021年に一人当たり年間約13キロの鶏肉が消費されています。

生産の質の向上
国内の生活の質が著しく向上しています。衛生面や飼育環境の改善が求められており、今後、国内のニワトリの質は更に向上すると思われます。

中国の鶏肉生産地
主に東部の「山東省(さんとうしょう)」「上海市」、北東部の「遼寧省(りょうねいしょう)」「吉林省(きつりんしょう)」「天津市(てんしんし)」「黒龍江省(こくりゅうこうしょう)」「河北省(かほくしょう)」などで多く生産されており、山東省で生産される鶏肉が国内生産量の過半数を占めています。

中国で一番人気がある肉

中国で一番人気のある肉は「豚肉」です。「豚肉」「魚」「鶏肉」「牛肉」の順で人気があり、牛肉の消費量は非常に少なく(全体の4%程度)なります。

米国鶏肉
生産量 情報

アメリカの養鶏のはじまり
アメリカで養鶏が開始されたのは1800年代です。「ニューイングランド(現在のメイン州・ニューハンプシャー州・バーモンド州・マサチューセッツ州・ロードアイランド州・コネチカット州)」に導入され、次第に規模か拡大します。

ニワトリの数を増加させるために「卵」は商用化されていませんでしたが需要が増え、卵の販売もおこなわれました。

卵は常温で保存が可能
日本は卵の賞味期限を2週間と設定していますが、卵は常温で50日程度の保存が可能とされています。温度変化や卵のヒビなどから「サルモネラ菌」の発生や増殖する可能性がありますが、管理された卵は常温で保管する事ができます。

「ビタミンDの発見」により養鶏が24時間可能
20世紀に「ビタミンD」が発見され、1年中施設の中でニワトリの育成する事が可能になります。

通常ビタミンDは「紫外線」を浴びる事により生成され、ビタミンDは「カルシウム」を吸収に必要な成分です。ビタミンDを与えられないニワトリはカルシウム不足に陥り、骨を形成する事が困難になり、卵が「軟卵:柔らかい卵」になります。

ビタミンDの発見により、日光が不足する冬の間でも安定して生産する事が可能です。

近年ではストレスを与えない飼育方法が主流になっている
近年、ニワトリをケージの中で飼育するのではなく、ある程度のスペースで自由に飼育する方法がとられています。日本はケージの中で飼育する事がほとんどであり、安定した「卵」を効率的に生産する方法ですが、生き物として「ストレス」がかかる生き方であり、主に先進国などで問題視されています。

アメリカで一番人気がある肉

アメリカは「牛肉」が一番多く消費されている印象がありますが、一番消費されている肉は「鶏肉」です。値段の安さやコレステロールの低さなどから鶏肉が好まれる傾向があります。

ブラジル鶏肉
生産量 情報

ブラジルの鶏肉
ブラジルで利用されるポルトガル語で鶏肉は「frango(フラーゴ)」です。

ブラジルの鶏肉生産地
南東部の「パラナ州」の鶏肉の生産量が多く、国内で生産される鶏肉の30%がパラナ州で生産されています。次に生産量が多いのは南東部の「サンタカタリーナ州」です。

ブラジルは養鶏に適した土地
ブラジルは「亜熱帯気候」に属しており、ニワトリの育成に適した環境を有しています。ブラジルの鶏舎の密度はヨーロッパより10%以上広く、「ストレスのかかりにくい環境」で飼育されています。

現在150ヶ国以上の国々に生産した鶏肉を輸出しています。

ブラジルの養鶏の環境対策

国内は温暖な気候を有しており、養鶏場の暖房の使用がヨーロッパに比べ少なく、養鶏により排出される二酸化炭素の量はヨーロッパの半分です。

ブラジルで一番人気がある肉

ブラジルは「鶏肉」が一番多く消費されており、「牛肉」に比べ鶏肉の消費量は約1.5倍多くなります。

ブラジルは「肉」を多く消費する国であり、肉の消費量は日本の3倍になります。

ロシア鶏肉
生産量 情報

ロシアの鶏肉
ロシア語で鶏肉は「курица(クーリーツァ)」です。

ロシアの鶏肉生産地
ロシア全土で鶏肉が生産されています。食肉加工産業は大都市に多く、西部の「モスクワ州」「サンクトペテルブルグ州」に多く存在します。

ロシアの鶏肉消費
国内で消費される肉の量が非常に多く、世界平均の約2倍の肉を消費しています。ロシアは「ソーセージ」などの「加工肉」も非常に有名であり、国内に多くの加工所が存在します。

鶏肉の輸出も多い
鶏肉の輸出にも力を注いでいます。輸出量は増加しており、今後、更に国内生産量が増加すると思われます。

ロシアで一番人気がある肉

「鶏肉」が一番人気があります。二番目に「豚肉」が多く、「牛肉」が三番目に多く消費されます。

加工肉が多く、スーパーで様々なソーセージやサラミを購入する事が可能です。「保存食文化」があり、日持ちする食品を蓄えている家庭が多い傾向があります。

インドネシアの鶏肉
生産量 情報

インドネシアの鶏肉生産量
2021年にインドネシアは3,888,544トンの鶏肉を生産しています。世界で生産される鶏肉の2.81%がインドネシアで生産されています。

インドネシア語で鶏肉は「ayam(アーヤーム)」です。

インドネシアの鶏肉生産地
インドネシア全土で養鶏がおこなわれていますが、とくに生産量が多いのはジャワ島西部の「西ジャワ州」、ジャワ島中部の「中央ジャワ州」、ジャワ島東部の「東ジャワ州」、ジャワ島西部の「バンテン州」、スマトラ島北部の「北スマトラ州」、スマトラ島南部の「南スマトラ州」、スマトラ島北東部の「リアウ州」、スマトラ島南部の「ランプン州」などが多くなります。

イスラム教を主体とする国
インドネシアは「イスラム教」を主体とする国であり、豚肉の消費が少なくなります。

イスラム教の食肉加工は厳格なルールが存在し、ルールが厳守され加工された食品だけが「ハラール食品:イスラム教徒が口にできる食品」として販売されています。食品のパッケージにはハラール食であるマークが明記されています。

国内にはイスラム教徒ではない人も多く存在するため、豚肉の加工もおこなわれますが、販売される場所は地下など、一目に付きにくい場所でおこなわれる事が多くなります。

インドネシアで一番人気がある肉

「鶏肉」です。「牛肉」の消費も増加していますが、牛肉の消費は鶏肉の1/4程度です。

インド鶏肉
生産量 情報

インドの鶏肉
インドで利用されるヒンディー語で鶏肉は「मुर्गा(ムルガー)」です。

インド人は肉を食べない?
インドは宗教上肉を食べない「菜食主義者」が多く、主に肉の消費は菜食主義者が少ないインド北部です。インドは北部と南部で食生活が大きく異なり、北部は「パン」、南部は「米」が主食の家庭が多くなります。

熱波による影響
気候変動の影響と思われる熱波が多発しており、家畜産業に甚大な被害が出ています。一部の地域では平均気温が5度以上も上昇し、養鶏の産卵率の減少・乳牛の搾乳量が減るなど大きな問題に繋がっています。

インドの鶏肉生産地
南東部の「アンドラ プラデーシュ州」、北西部の「ラージャスターン州」、南西部の「カルナータカ州」、南部の「タミルナードゥ州」、中西部の「マハーラーシュトラ州」、北西部の「グジャラート州」、中部の「マディヤプラデーシュ州」などで多くの鶏肉生産がおこなわれています。

インドで一番人気がある肉

インドは「魚」「牛肉」「羊肉」「鶏肉」の順に消費量が大きくなります。

国内の「ヒンドゥー教」は牛肉が避けられる傾向があり、「バラモン教」は全ての肉を避ける傾向があります。菜食主義者でも「卵」を食べる人や、「鶏肉」を食べる人が存在し、地域によって違いがあります。また、イスラム教徒も多く、「ハラール食(豚肉などイスラム教で禁止されている以外の食べ物)」だけを消費する人も多く存在します。

メキシコの鶏肉
生産量 情報

メキシコの鶏肉
メキシコで利用されるスペイン語で鶏肉は「pollo(ポーロ)」です。

メキシコの鶏肉生産地
東部の「ベラクルス州」、中部の「アグアスカリエンテス州」、中部の「ケレタロ州」、北部の「コアウイラ州」、中北部の「ドゥランゴ州」、南西部の「ハリスコ州」、中南西部の「プエブラ州」、南部の「チアパス州」、中部の「グアナフアト州」、南東部の「ユカタン州」、北西部の「シナロア州」、中部の「メヒコ州」、北部の「ヌエボ・レオン州」、中北西部の「サン・ルイス・ポトシ州」、中部の「モレロス州」、中西部の「イダルゴ州」、東部の「ナヤリット州」などで鶏肉が生産されており、とくに生産が多いのは南西部のハリスコ州です。

メキシコで一番人気がある肉

メキシコで一番人気のある肉は「鶏肉」です。鶏肉に次ぎ「豚肉」「牛肉」の消費量が多くなります。

ポーランドの鶏肉
生産量 情報

ポーランドの鶏肉生産量
2021年にポーランドは2,522,582.16トンの鶏肉を生産しています。世界で生産される鶏肉の1.82%がポーランドで生産されています。

ポーランド語で鶏肉は「kurczak(クルツァク)」です。

ポーランドの鶏肉生産地
北中部の「ヴァルミア・マズルィ県」、北部の「ポモージェ県」などで多くの鶏肉が生産されています。

ポーランドで一番人気がある肉

豚肉です。日常的に多くの料理に利用され、ソーセージなども多く加工されます。

日本鶏肉
生産量 情報

日本の養鶏のはじまり
江戸時代に西洋文化が流入し、肉食の流行、卵などが江戸で販売されるようになります。

明治になると廃藩置県で藩を失った一部の武士が養鶏を開始するなど、大規模に養鶏がおこなわれるようになります。品種改良などがおこなわれ、現在までに質の高い鶏や卵が生産されています。

日本の鶏肉生産地
多くの地域で養鶏がおこなわれていますが、とくに生産量が多いのは「宮崎県」「鹿児島県」「岩手県」です。

九州で畜産が多い理由
九州は本州より暖かい気候を有しており、本州の畜産に比べ暖房費などの経費も抑えられる傾向があります。

日本で一番人気がある肉

過去に「豚肉」「鶏肉」「牛肉」の順で消費多くなっていましたが、2017年から鶏肉の消費が増加しており、現在では鶏肉が一番消費されています。

近年は「大豆ミート」など植物を利用した肉の人気が上昇しており、生産量・消費量共に増加しています。

アルゼンチン鶏肉
生産量 情報

アルゼンチンの鶏肉
アルゼンチンで利用されるスペイン語で鶏肉は「pollo(ポーロ)」です。

アルゼンチンの鶏肉生産地
主に北東部の「エントレリオス州」、東部の「ブエノス・アイレス州」、北中部の「コルドバ州」、北中東部の「サンタフェ州」、中南部の「リオネグロ州」で多くの養鶏がおこなわれています。

とくに北東部エントレリオス州、東部のブエノス・アイレス州の生産量が多く、国内で生産される鶏肉の80%以上がこれらの州で生産されています。

アルゼンチンで一番人気がある肉

「牛肉」の消費量が一番多くなります。アルゼンチンは肉全体の消費量が多く、一人当たりの肉の消費量が世界一多い国です。

イランの鶏肉
生産量 情報

イランの鶏肉
イランで利用されるペルシャ語で鶏肉は「مرغ(モーロフ)」です。

イランの鶏肉生産地
北部の「テヘラン州」「アルボルズ州」、北西部の「ハマダーン州」、北東部の「ラザヴィー・ホラーサーン州」、中部の「エスファハーン州」、中北部の「ゴム州」、北西部の「東アーザルバーイジャーン州」、西部の「ロレスターン州」、北西部の「ザンジャーン州」、南西部の「フーゼスターン州」などで多くの家畜が飼育されています。

イランはイスラム教を主体とする国
イランはイスラム教を主体とする国であり、豚肉の消費は限定的です。国内で豚肉を取り扱う店はほぼありませんが、国内にキリスト教徒も存在します。

イランで一番人気がある肉

「鶏肉」が一番多く消費されます。また、「羊肉」「牛肉」の消費量も多く、国内に羊肉を提供するレストランなどが多く存在します。

まとめ

穀物価格の上昇
世界情勢の悪化により、穀物の価格が高騰しています。穀物の高騰化は穀物を飼料とする家畜の価格を上昇させ、家庭の負担を増加させます。穀物の1/3は家畜により消費されており、将来的に訪れる「食料難」に備え、人類は「肉食」を減らす必要があるのかもしれません。

今回は以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

サムネイル: 「Pixabay」から商用利用可能な写真を加工・利用しています。

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