停電でGDP下落も・・・
世界では「雷」以外にも都市の電気需要を超えてしまい、月に何度も「停電」が発生する国が多く存在します。停電の発生により工場の操業が一時停止、生産が不可能になり国のGDPが4%程度低下する国も存在します。世界では年間どの国がどのくらいの頻度で停電するのでしょうか?
世界の停電
発生回数
世界停電発生回数
世界一位 パキスタン
世界二位 バングラデシュ
世界三位 パプアニューギニア
世界で停電が起きる回数
Power outages in firms in a typical month
国 | 企業が月に 停電する回数 (回) | |
1 | パキスタン (Pakistan) | 75.20 2013年 |
2 | バングラデシュ (Bangladesh) | 64.50 2013年 |
3 | パプアニューギニア (Papua New Guinea) | 41.90 2015年 |
4 | イラク (Iraq) | 40.90 2011年 |
5 | イエメン (Yemen) | 38.80 2013年 |
6 | ナイジェリア (Nigeria) | 32.80 2014年 |
7 | 中央アフリカ (Central African Republic) | 29.00 2011年 |
8 | ベナン (Benin) | 28.00 2016年 |
9 | ニジェール (Niger) | 22.00 2017年 |
10 | ガンビア (Gambia) | 21.10 2018年 |
11 | ブルンジ (Burundi) | 16.60 2014年 |
12 | パレスチナ (Palestine) | 16.20 2019年 |
13 | インド (India) | 13.80 2014年 |
14 | ザンビア (Zambia) , | 13.30 2019年 |
15 | コンゴ共和国 (Republic of the Congo) | 12.30 2013年 |
16 | アフガニスタン (Afghanistan) | 11.50 2014年 |
17 | ミャンマー (Myanmar) | 11.00 2016年 |
18 | ブルキナファソ (Burkina Faso) | 9.80 2009年 |
19 | シエラレオネ (Sierra Leone) | 9.10 2017年 |
20 | タンザニア (Tanzania) | 8.90 2013年 |
21 | ガイアナ (Guyana) | 8.50 2010年 |
22 | ガーナ (Ghana) | 8.40 2013年 |
23 | エチオピア (Ethiopia) | 8.20 2015年 |
24 | 南アフリカ共和国 (South Africa) | 7.70 |
25 | カメルーン (Cameroon) Population: 25,876,400 | 7.60 2016年 |
26 | ドミニカ共和国 (Dominican Republic) | 7.40 2016年 |
27 | マラウイ (Malawi) | 6.70 2014年 |
28 | マダガスカル (Madagascar) | 6.70 2013年 |
29 | ウガンダ (Uganda) | 6.30 2013年 |
30 | セネガル (Senegal) | 6.00 2014年 |
31 | モーリタニア (Mauritania) | 5.30 2014年 |
32 | ギニアビサウ (Guinea-Bissau) | 5.20 2006年 |
33 | ソロモン諸島 (Solomon Islands) | 4.90 2015年 |
34 | ミクロネシア連邦 (Micronesia) | 4.80 2009年 |
35 | アンゴラ (Angola) | 4.70 2010年 |
36 | ガボン (Gabon) | 4.60 2009年 |
37 | サモア (Samoa) | 4.60 2009年 |
38 | ギニア (Guinea) | 4.50 2016年 |
39 | リベリア (Liberia) | 4.50 2017年 |
40 | チャド (Chad) | 4.50 2018年 |
41 | ジンバブエ (Zimbabwe) | 4.50 2016年 |
42 | マリ (Mali) | 4.20 2016年 |
43 | セントクリストファー ネイビース (Saint Kitts and Nevis) | 4.20 2010年 |
44 | ボツワナ (Botswana) | 4.10 2010年 |
45 | スリランカ (Sri Lanka) | 4.10 2011年 |
46 | ケニア (Kenya) | 3.80 2018年 |
47 | コソボ (Kosovo) | 3.80 2019年 |
48 | エスワティニ (Eswatini) | 3.70 2016年 |
49 | コートジボワール (Ivory Coast) | 3.50 2016年 |
50 | スーダン (Sudan) | 3.40 2014年 |
51 | カーボベルデ (Cape Verde) | 3.20 2009年 |
52 | アルジェリア (Armenia) | 3.20 2007年 |
データを元にfumib.netがリストを作成
各国
停電 情報
長時間にわたる停電の発生
日本では「雷」などの「自然災害」による停電が頻繁に発生しますが、電気需要が電気供給量を超え停電が発生する事はほとんどありません。しかし、世界では都市の電力需要を超えた電力の使用により停電が発生する国が多く存在します。
パキスタン
停電 情報
パキスタンの停電発生回数
2013年にパキスタンでは月間75.20回程度の停電が発生しています。
パキスタンの電力不足
パキスタンは慢性的な電力不足のため、停電が頻繁に発生しています。
病院など重要な施設では停電時のバックアップ電源を常備している病院が多くなっています。バックアップ電源によりパキスタン南部「カラチ市」の主要病院では48時間~72時間の稼働が可能になっています。
ピーク時の電力不足
2013年のパキスタン電力供給能力は16,000メガワットで、ピーク時の電力需要は21,000メガワット以上とされています。電力不足による計画停電がおこなわれ、工場などの操業が一時的に停止する事が多くなっています。
パキスタンのエネルギー
パキスタンで利用されているエネルギー供給の多くが「天然ガス」「石油」です。パキスタン政府は2016年4月にパリ協定に署名し、2030年までに温室効果ガス排出量を2014-2015年度比から最大20%削減することを約束しています。
近年、パキスタンでは気候変動による洪水・干ばつ・熱波などが多発しており、1998年~2018年の間で最も気候変動の影響を受けた国の一つと言われています。
バングラデシュ
停電 情報
バングラデシュの停電発生回数
2013年にバングラデシュは月に64.50回程度の停電が発生しています。
バングラデシュの電力不足
バングラデシュは慢性的な電力不足が発生しており、国内で頻繁に停電が発生しています。
身近な乗り物にも影響
電力不足により、首都の「ダッカ」では電気三輪車が禁止されており、自転車やトゥクトュク(三輪タクシー)などに「ガス(LPG)」を燃料とした三輪車が利用されています。
バングラデシュのエネルギー
バングラデシュで利用されるエネルギーは天然ガス・石炭・原油などの化石燃料を利用して電力がつくられています。
原子力発電所の計画
パキスタンでは「原子力発電所」が建設中です。2025年に原子力による電力供給が行われる予定ですが、需給量は石炭や石油に比べ少なく、2025年以降も多くの化石燃料が使用される予定になっています。
パプアニューギニア
停電 情報
パプアニューギニアの停電発生回数
2015年にパプアニューギニアは月間41.90回程度の停電が発生しています。
パプアニューギニアの電力不足
パプアニューギニアは、国全体の電力を一つの電力会社が賄っています。災害などにより発電所のトラブルが多発しており、頻繁に停電が発生しています。停電による国内で運営されている工場の操業が一時的に停止・家庭への影響・予告なしに発生する停電など住民の不満も多く、非常に大きな問題になっています。
代替えエネルギー
慢性的な電力不足により、パプアニューギニアでは代替エネルギーとして太陽光パネルなどが地元企業を通して販売されています。アフリカなどでも太陽光パネルを利用した充電がメジャー化してきており、太陽光で発電したバッテリーの貸し出しなどがおこなわれている国が多く存在します。
イラク
停電 情報
イラクの停電発生回数
2011年にイラクは月間40.90回程度の停電が発生しています。
危険な熱波
イラクは気候変動と思われる熱波などが多発しており、国内の最高気温は最大52度を観測しています。酷暑の中の作業は非常に危険で、労働時間の短縮する処置などが国や企業によりおこなわれています。
熱波による影響
イラクでは非常に高い気温により「配線などが溶解する」などの問題が発生していています。政府は猛暑から人々を守るために緊急に「祝日」を設けるなど対策がおこなわれ、市民は服を濡らし日陰のコンクリートに寝そべるなど、暑さを乗り切るために様々な工夫をしています。
イラクの電力不足
電力需給の不足・災害などによる停電が国内で頻繁に発生するため、市民は「自家発電」などをおこない電力の供給をおこなっています。しかし、発電に必要な「燃料」の不足・価格の高騰などにより「発電機が利用できない」などの問題が発生しています。
停電による抗議
停電が多い南部の「バスラ」では、人々が抗議のために街頭や油田近辺に集まり、「タイヤなどを燃やす」などの過激な行動がおこなわれ、幹線道路が封鎖されるなど大きな問題に繋がっています。
イエメン
停電 情報
イエメンの停電発生回数
2013年にイエメンでは月間38.80回程度の停電が発生しています。
燃料不足
イエメンは発電所で利用する燃料の枯渇などが発生しており、頻繁に停電が発生しています。停電を防ぐために隣国の【サウジアラビア】から燃料を供給してもらうなどの対策をとっていますが、慢性的な電力不足が発生しています。
車のバッテリーなどが電力に利用される
不足している電力を補うために「車のバッテリー」を家庭の電力として利用する事などが日常茶飯事になっています。一部の家庭では一日に電気を1時間~2時間程度しか利用できず、冷蔵庫などやエアコンが使えない家庭が多く存在してます。
ナイジェリア
停電 情報
ナイジェリアの停電発生回数
2014年にナイジェリアでは月間32.80回程度の停電が発生しています。
人口増加が著しいナイジェリア
ナイジェリアでは人口が著しく増加しています。2000万人を超える「ラゴス」でも変電所のトラブルなどにより10日間を超える停電などが発生しています。停電地域には病院など非常に重要な施設なども多く含まれおり、非常に大きな問題になっています。
変電所のアップグレード
停電が多発する地域では停電を防ぐために変電所のパネルの交換などがおこなわれています。
中央アフリカ
停電 情報
中央アフリカの停電発生回数
2011年に中央アフリカでは月間29.00回程度の停電が発生しています。
中央アフリカで多発する災害
中央アフリカでは洪水などの自然災害が多発しています。中央アフリカは基本的に雨量の少ない国ですが、南部は熱帯雨林気候が広がり、8月になると雨が降ります。南部の「バンギ」では川の氾濫などにより停電が発生する事が多く、近年では気候変動などの影響により洪水の発生回数が上昇しています。
ベナン
停電 情報
ベナンの停電発生回数
2016年に中央アフリカでは月間28.00回程度の停電が発生しています。
ベナンの電力事情
ベナンは西アフリカに位置しており、貧困層が非常に多く存在する国の一つです。電気などのインフラ設備が整っていない地域も多く存在しており、とくに農村地域などが多くなっています。ベナンの消費電力は世界平均と比べても1/4程度で、非常に電力の消費が少ない国のひとつですが停電が頻繁に多発しており、問題になっています。
ニジェール
停電 情報
ニジェールの停電発生回数
2017年にニジェールでは月間22.00回程度の停電が発生しています。
ニジェールの電力事情
ニジェールで電気を利用できる人は国内に住む1/3程度の人で、主に都市部になります。国内で生産される電力も非常に少なく、他国から多くのエネルギーを輸入しています。発電所は老朽化による多くのトラブルを抱えており、国内で頻繁に停電が発生しています。
近年ニジェールで利用される電力
二ジェールの農村部では多くの電力を必要としない家庭が多く、太陽光などにより充電された電池の貸し出しなどが一般化している地域が増加しています。このような送電線の地域でおこなわれる発電を「オフグリット発電」といい、近年注目を集めています。
ガンビア
停電 情報
ガンビアの停電発生回数
2018年にガンビアでは月間21.10回程度の停電が発生しています。
多発する停電
ガンビアでは頻繁に停電が発生しており、ホテルや病院などの施設が停電中に非常用のディーゼル発電機を利用して電気を供給する事が多くなっています。
まとめ
利用が停止している原子利欲発電所
日本では福島の原子力発電所の事故などによる問題により、多くの原子力発電所の稼働が停止しています。現在運営されている「火力発電」だけでは夏場の電力需要に供給が追い付かなくなる恐れがあり、原子力発電の再稼働が検討されています。
日本でも太陽光などの再生可能なエネルギーによる発電がおこなわれていますが、国内の電力需要を賄う事は現時点では不可能です。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
サムネイル: 「Pixabay」から商用利用可能な写真を加工・利用しています。