オリーブはヨーロッパの「漬物」
「オリーブ」は「オリーブオイル」の原料であり、オリーブの実はヨーロッパでは日常的に消費される「漬物」のような存在です。暖かい気候で育つ植物あり、栽培に水が少なくてすみます。
世界ではどの国がどのくらいオリーブを生産しているのでしょうか?
世界のオリーブ
生産量 ランキング
世界のオリーブ 生産量
世界一位 スペイン
世界二位 イタリア
世界三位 テュルキエ
オリーブ 生産量ランキング
Olives - Production (tonnes/year)
国 | 生産量 (トン) (t) 2021年 | |
世界合計 | 23,054,310.6 | |
1 | スペイン (Spain) ![]() | 8,256,550 |
2 | イタリア (Italy) ![]() | 2,270,630 |
3 | テュルキエ (Turkiye) ![]() | 1,738,680 |
4 | モロッコ (Morocco) ![]() | 1,590,504 |
5 | ポルトガル (Portugal) ![]() | 1,375,750 |
6 | エジプト (Egypt) ![]() | 976,062.76 |
7 | アルジェリア (Algeria) ![]() | 704,619 |
8 | チュニジア (Tunisia) ![]() | 700,000 |
9 | シリア (Syria) ![]() | 566,042.94 |
10 | サウジアラビア (Saudi Arabia) ![]() | 382,105 |
11 | アルジェリア (Algeria) ![]() | 341,036.76 |
12 | リビア (Libya) ![]() | 173,259.8 |
13 | ヨルダン (Jordan) ![]() | 172,061.32 |
14 | ペルー (Peru) ![]() | 147,010.92 |
15 | レバノン (Lebanon) ![]() | 144,327.18 |
16 | チリ (Chile) ![]() | 130,360.26 |
17 | オーストラリア (Australia) ![]() | 115,961.79 |
18 | イラン (Iran) ![]() | 1150,06.85 |
19 | アルバニア (Albania) ![]() | 110,164.5 |
20 | 米国 (U.S.A) ![]() | 91,630 |
21 | イスラエル (Israel) ![]() | 70,000 |
22 | パレスチナ (Palestine) ![]() | 67,551 |
23 | イラク (Iraq) ![]() | 33,314 |
24 | メキシコ (Mexico) ![]() | 32,322.74 |
25 | フランス (France) ![]() | 27,560 |
26 | クロアチア (Croatia) ![]() | 23,870 |
27 | キプロス (Cyprus) ![]() | 16,950 |
28 | ウルグアイ (Uruguay) ![]() | 16,714 |
29 | 北マケドニア (North Macedonia) ![]() | 11,966.36 |
30 | エルサルバドル (El Salvador) ![]() | 11,228 |
31 | アフガニスタン (Afghanistan) ![]() | 7,650.7 |
32 | ブラジル (Brazil) ![]() | 3,417 |
33 | 台湾 (Taiwan) ![]() | 2,628.1 |
34 | アゼルバイジャン (Azerbaijan) ![]() | 1,510.5 |
35 | スロベニア (Slovenia) ![]() | 920 |
36 | ボスニア ヘルツェゴビナ (Bosnia and Herzegovina) ![]() | 839 |
37 | クウェート (Kuwait) ![]() | 641.16 |
38 | モンテネグロ (Montenegro) ![]() | 325.02 |
39 | ウズベキスタン (Uzbekistan) ![]() | 119.95 |
40 | マルタ (Malta) ![]() | 20 |
世界のオリーブ
情報

オリーブの重さ・エネルギー
オリーブは一粒約4gであり、カロリーは約5キロカロリーになります。オイルや塩漬けにされている事が多く、カロリーが高くなります。
オリーブオイルは100gあたり約850~900Kcalであり、他のオイルと比べ「カロリー」「糖質」はあまりかわりませんが、腸内環境を整える「オレイン酸」が含まれています。
オリーブオイルの選び方
オリーブオイルは「エキストラバージンオイル」と呼ばれる「早摘み」のオリーブオイルが人気があります。オリーブは熟すと実が黒くなり、柔らかく味もマイルドになります。熟したオリーブから搾油したオリーブオイルは風味が強くなり、「調理油」としては向かない場合があります。
早摘みしたオリーブから搾油されるオリーブオイルは風味が弱く、調理油として向いています。一般的にエキストラバージンオイルは調理オイルとして利用され、普通のオリーブオイルはサラダなどに利用されます。
オリーブの食べ方マナー
英国式ロイヤルマナーではオリーブを食べる際にフォークは使いません。手づかみでオリーブを口に入れ、種を出す際に口元が隠れるように手で覆います。
スペイン
オリーブ 情報
スペインのオリーブ
オリーブはスペイン語で「Aceituna(アセイトゥーナ)」です。
300種以上のオリーブ
オリーブの原産は「アナトリア半島(テュルキエ)」と言われています。6000年前に隣国のイラン・シリア・パレスチナなどに広まり、その後、ローマ帝国を築いた「ローマ人」が地中海全体に広めたとされています。ローマ帝国の支配下に置かれていたスペインにもオリーブが伝わり、現在ではスペインで約300種類のオリーブが栽培されています。
世界で販売されるオリーブオイルの半数が「スペイン産」
スペインはオリーブの様々な加工品を生産していますが、とくにオリーブオイルの生産が多く、生産したオリーブオイルを世界中に輸出しています。
世界で販売されているオリーブオイルの約半数がスペイン産であり、世界中で購入する事が可能です。
ギリシャ
オリーブ 情報
ギリシャのオリーブ
オリーブはギリシャ語で「zeytin(ゼイトゥン)」です。
ギリシャのオリーブの歴史
アナトリア半島で栽培が開始されたオリーブは少しずつ拡大し、約3200年前にギリシャに伝わり栽培がはじまりました。オリーブはギリシャ神話やキリスト教の聖書にも登場し、聖なる木とされています。
テーブルオリーブ
オリーブは「油」に加工される事が多くなりますが、ヨーロッパではオリーブの「塩漬け」にして食べる事が多く、非常に人気のある食材です。このようなオリーブは「テーブルオリーブ(業界用語)」と呼ばれ、日本の「漬物」に近い消費のされ方をします。テーブルオリーブは古代から消費されており、ギリシャでも食卓に欠かせない食材の一つです。
賞品として
ギリシャで始まったスポーツの祭典「オリンピック」は古代ギリシャでおこなわれていた「オリンピア」をモデルにしたもので、1896年から始まりました。
「アテナイ(アテネの古名)」では多くの祭りがおこなわれ、「アテナ女神」を称える祭り「パナテナイア祭」では賞品としてオリーブの木・オリーブオイルなどが賞品として贈られています。パナテナイア祭の最初の勝者は5トンのオリーブが贈られたとされ、オリーブは非常に価値のある物だったと思われます。
イタリア
オリーブ 情報
イタリアのオリーブ
オリーブはイタリア語で「Oliva(オリーバ)」です。
イタリアのオリーブの歴史
イタリアにオリーブが伝わったのは紀元前800年前後とされています。ギリシャで生産されていたオリーブはイタリア南部の「シチリア島」に伝わり、ギリシャが衰退と共にローマ帝国が拡大し、オリーブ生産がイタリアに定着しました。
非常に質の高いイタリアのオリーブオイル
イタリアはスペインよりオリーブの生産数が少なくなりますが、スペイン同様に非常に質の高いオリーブが生産されています。国内に存在するオリーブは600種類を超えるとされ、オリーブオイルの搾油所もスペインの3倍近く存在します。東欧でもイタリア産のオリーブは価格帯が高く、「高級品」という印象があります。
収獲は早め
イタリア中部の「トスカーナ地方」ではオリーブの収穫が9月から始まります。トスカーナ地方は寒冷であり、寒さや霜に弱いオリーブを早めに収穫する傾向があります。
南部と収穫時期が異なるため、国内で様々な味の異なるオリーブ・オリーブオイルを楽しむ事が可能です。
テュルキエ(旧トルコ)
オリーブ 情報
テュルキエのオリーブ
オリーブはテュルキエ語で「zeytin(ゼイトゥン)」です。
オリーブ原産の地
オリーブは「アナトリア半島」が原産が原産とされ、アナトリア半島には多くのオリーブが自生していたとされます。現在もテュルキエには多くのオリーブ農家が存在し、約9000万本のオリーブの木が国内で栽培されており、質の高いオリーブオイルが生産されています。
テュルキエ西部イズミル県の「チェシュメ」「ウルラ」などが歴史的なオリーブ生産の地とされています。
テュルキエ料理に多用されるオリーブ
オリーブ・オリーブオイルはテュルキエ料理には欠かせません。テュルキエは「パン」多く消費する国であり、石窯で焼かれた平らなパン「Aish(アエーシ)」は主食の一つです。アエーシは「フムス」という「ひよこ豆」「ニンニク」を細かくし、オリーブオイルと合わせたペーストと食べる事が多く、他の料理にもオリーブオイルが多様されます。
モロッコ
オリーブ 情報
モロッコのオリーブ
オリーブはモロッコで利用されるアラビア語で「زيتون(ゼイトゥーン)」です。
モロッコの主なオリーブ生産地
モロッコ中部の「マラケシュ」、太平洋に面したモロッコ最大の都市「カサブランカ」、北部の「メクネス」「フェズ」で多くのオリーブが生産されています。マラケシュは「テーブルオリーブ」の生産が盛んで、他の都市は主にオリーブオイルを生産しています。
ハーブも有名
モロッコは「ミント」などのハーブの生産が有名であり、ハーブやオリーブを利用した「石鹸」などの加工品が多く生産されています。ミントは食用として利用される事が多く、ミントを利用した「ミントティー」の消費が非常に多くなっています。
ポルトガル
オリーブ 情報
ポルトガルのオリーブ
オリーブはポルトガル語で「Oliva(オリーバ)」です。
オリーブの輸出国
ポルトガルはオリーブ生産が有名な国で、国内で非常に多くのオリーブが生産されています。国内で生産されたオリーブはオリーブオイルなどに加工され、世界中にポルトガルのオリーブオイルが輸出されています。
ポルトガル最大のオリーブ生産地「アレンテホ」
「Alentejo(アレンテホ)」はポルトガルの南部の都市で、国内で生産されるオリーブの3/4がアレンテホで生産されています。ポルトガル北東部の「Trás os Montes(トランスモンテス)」でもオリーブが栽培されており、アレンテホとは収穫時期が異なります。
エジプト
オリーブ 情報
エジプトのオリーブ
オリーブはエジプトで利用されるアラビア語で「زيتون(ゼイトゥーン)」です。
増産予定のオリーブ
エジプトを含む北アフリカの地域ではオリーブ生産に力を注いでおり、オリーブの生産面積を拡大させています。エジプトでは2022年までに1億本のオリーブの植林が計画されており、将来的に生産量が増加すると思われます。
エジプトはオリーブオイルの生産量が少ない
エジプトはオリーブオイルの生産量が少なく、輸出は限定的になります。
オリーブは少ない水で栽培する事が可能な植物であり、雨の少ないエジプトでも栽培に適した作物です。エジプトは農業大国ですが水資源は限定的であり、ナイル川の水や地下水を利用した「灌漑農業」がおこなわれています。
世界では気候変動の影響と思われる水不足が多発しており、天候不順が少ないアフリカの農業に注目が集まっています。
アルジェリア
オリーブ 情報
アルジェリアのオリーブ
オリーブはアルジェリアで利用されるアラビア語で「زيتون(ゼイトゥーン)」です。
オリーブオイルの輸入が少ない
アルジェリアで非常に多くのオリーブを生産していますが、国内で生産されるオリーブオイルの99%が国内で消費されるため、海外への輸出は限定的になります。
アルジェリアではオリーブの植林プロジェクトが進められており、2024年までに40万ヘクタールの土地にオリーブを植林する予定になっています。この面積は現在植えられているオリーブの約2倍であり、将来的に大きく生産量が増加する可能性があります。
気候変動の影響
アルジェリアは気候変動の影響と思われる「雨量の減少」などが発生しており、雨量の減少はオリーブの生産量の減少などに繋がります。
チュニジア
オリーブ 情報
チュニジアのオリーブ
オリーブはチュニジアで利用されるアラビア語で「زيتون(ゼイトゥーン)」です。
チュニジアのオリーブの歴史
チュニジアのオリーブ生産は紀元前800年前後です。フェニキア人(ギリシャ人)によりチュニジアに運ばれ、栽培されるようになりました。北アフリカの多くの国々ではオリーブを生産しています。
古代から様々な用途で利用されていた
オリーブオイルは古代から「マッサージオイル」としても利用されています。筋肉の疲労低減や女性の肌の引き締めなどに効果があり、現在も利用されています。
シリア
オリーブ 情報
シリアのオリーブ
オリーブはシリアで利用されるアラビア語で「زيتون(ゼイトゥーン)」です。
シリアのオリーブ生産
シリアのオリーブ生産は天水農業が一般的におこなわれており、北部の「アレッポ」、北西部「イドリブ」、北西部「ラタキア」、西部の「タルトゥース」など降水量がある西部でおこなわれています。
オリーブ生産はシリアを支える重要な産業の一つで、非常に多くの人がオリーブ生産に従事しています。
深刻な水不足
シリアは深刻な水不足が発生しています。雨の少ないシリアでは水を灌漑農業などで地下水を利用しておこなっており、近年地下水の減少が深刻な問題になっています。
サウジアラビア
オリーブ 情報
サウジアラビアのオリーブ
オリーブはサウジアラビアで利用されるアラビア語で「زيتون(ゼイトゥーン)」です。
オリーブの生産で力をつけるサウジアラビア
サウジアラビアは国土の1/3が砂漠で覆われており、農業が非常に難しい国ですが、水の利用が少なくてすむ植物の栽培が積極的におこなわれています。オリーブの生産は持続可能な農業の一環として積極的に投資がおこなれ、国内で非常に多くのオリーブを生産、オリーブオイルなどにも多く加工されています。
投資先を模索
砂漠の国々は石油に頼らない経済をつくるため、様々な投資がおこなわれています。
まとめ
生産はヨーロッパや北アフリカで多い
オリーブは古来から生産されていますが、生産は温暖な地域に限られており、寒冷な地域では栽培されていません。近年になり、オリーブの実の漬物が日本や寒い地域などでも消費されるようになり、生産量が増加しています。また、水が少ない地域でも生産が可能であり、アフリカの国々で生産量が増加する可能性があります。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考
FAO, FAOSTAT. "Crops and livestock products - Olives, Production (t)" (English) 1961-2021年. ©FAO 2024. 2022年08月29日閲覧。
FAOの利用規則はこちら (English) です。
サムネイル:Pixabay
ライセンスに関してはこちら (English) をご覧ください。