世界の主食「小麦」
「小麦」は「パン」の原料となる重要な穀物であり、世界の「主食」の一つです。小麦の栽培が難しい地域では「大麦」「ライ麦」などが生産され、同じくパンの原料に利用されています。
日本の小麦は、アメリカ・カナダ・オーストラリア産であり、ヨーロッパで生産されている小麦はほどんど日本で流通していません。世界情勢の悪化により、ヨーロッパの小麦不足が懸念されています。
世界ではどの国がどれくらい小麦を生産しているのでしょうか?
世界の小麦
生産量 ランキング
世界の小麦消費量
世界一位 中国
世界二位 インド
世界三位 ロシア
世界の小麦生産量ランキング
Wheat
Production (tonnes/year)
| エリア | 生産量 (t) 2022年 |
|---|---|
| 世界 | 808,441,568.18 |
| 中国 | 137,720,000.00 |
| インド | 107,742,070.00 |
| ロシア | 104,233,944.00 |
| アメリカ合衆国 | 44,902,320.00 |
| オーストラリア | 36,237,477.23 |
| フランス | 34,632,380.00 |
| カナダ | 34,334,787.00 |
| パキスタン | 26,208,672.00 |
| ドイツ | 22,587,300.00 |
| アルゼンチン | 22,150,287.00 |
| ウクライナ | 20,729,240.00 |
| テュルキエ | 19,750,000.00 |
| カザフスタン | 16,404,491.25 |
| イギリス | 15,540,000.00 |
| ポーランド | 13,195,120.00 |
| ブラジル | 10,343,182.00 |
| イラン | 10,000,000.00 |
| エジプト | 9,700,000.00 |
| ルーマニア | 8,684,240.00 |
| エチオピア | 7,000,000.00 |
| イタリア | 6,609,520.00 |
| スペイン | 6,508,800.00 |
| ブルガリア | 6,447,770.00 |
| ウズベキスタン | 6,270,058.70 |
| チェコ | 5,188,690.00 |
| リトアニア | 4,482,760.00 |
| ハンガリー | 4,354,710.00 |
| デンマーク | 4,165,400.00 |
| アフガニスタン | 3,810,000.00 |
| メキシコ | 3,578,244.40 |
| スウェーデン | 3,228,700.00 |
| セルビア | 3,109,827.00 |
| アルジェリア | 3,000,000.00 |
| イラク | 2,764,692.00 |
| モロッコ | 2,707,652.17 |
| ラトビア | 2,539,400.00 |
| ベラルーシ | 2,350,000.00 |
| ネパール | 2,144,568.00 |
| 南アフリカ | 2,088,590.00 |
| スロバキア | 2,048,150.00 |
| ベルギー | 1,851,870.00 |
| オーストリア | 1,712,530.00 |
| アゼルバイジャン | 1,690,831.60 |
| シリア | 1,551,605.00 |
| ウルグアイ | 1,283,100.00 |
| ギリシャ | 1,203,260.00 |
| オランダ | 1,162,860.00 |
| チュニジア | 1,135,000.00 |
| チリ | 1,106,926.47 |
| トルクメニスタン | 1,100,000.00 |
| バングラデシュ | 1,085,834.00 |
| 日本 | 993,500.00 |
| クロアチア | 971,470.00 |
| フィンランド | 864,180.00 |
| モルドバ | 855,000.00 |
| エストニア | 854,120.00 |
| タジキスタン | 840,000.00 |
| サウジアラビア | 800,000.00 |
| パラグアイ | 744,950.00 |
| アイルランド | 701,240.00 |
| キルギス | 592,507.00 |
| スイス | 487,145.00 |
| スーダン | 476,000.00 |
| ニュージーランド | 402,557.00 |
| モンゴル | 401,903.45 |
| ノルウェー | 384,000.00 |
| ボリビア | 310,729.65 |
| ボスニア・ヘルツェゴビナ | 281,414.00 |
| ケニア | 270,700.00 |
| ザンビア | 234,924.63 |
| アルバニア | 233,145.00 |
| 北マケドニア | 224,632.00 |
| ペルー | 211,430.08 |
| ジンバブエ | 200,000.00 |
| ジョージア | 156,800.00 |
| スロベニア | 150,750.00 |
| アルメニア | 138,612.80 |
| リビア | 130,000.00 |
| ナイジェリア | 110,000.00 |
| イスラエル | 104,500.00 |
| レバノン | 100,000.00 |
| ミャンマー | 100,000.00 |
| イエメン | 100,000.00 |
| ルクセンブルク | 85,890.00 |
| タンザニア | 75,000.00 |
| 朝鮮民主主義 人民共和国 | 69,538.05 |
| ポルトガル | 61,920.00 |
| マリ | 33,542.00 |
| キプロス | 33,010.00 |
| パレスチナ | 32,811.40 |
| 大韓民国 | 30,798.64 |
| ヨルダン | 30,000.00 |
| エリトリア | 25,000.00 |
| ウガンダ | 25,000.00 |
| ナミビア | 24,696.00 |
| モザンビーク | 16,000.00 |
| ルワンダ | 13,877.29 |
| コロンビア | 12,930.00 |
| ブルンジ | 9,197.14 |
| コンゴ民主共和国 | 9,000.00 |
| エクアドル | 7,431.00 |
| 台湾 | 6,000.00 |
| レソト | 5,704.00 |
| ニジェール | 5,476.21 |
| モーリタニア | 5,000.00 |
| オマーン | 3,547.00 |
| アンゴラ | 2,943.08 |
| モンテネグロ | 2,248.22 |
| マダガスカル | 2,000.00 |
| タイ | 1,321.18 |
| ホンジュラス | 1,274.29 |
| チャド | 1,205.00 |
| ソマリア | 1,056.84 |
| マラウイ | 1,000.00 |
| ボツワナ | 947.41 |
| ブータン | 769.78 |
| エスワティニ | 693.73 |
| ベネズエラ | 621.29 |
| カメルーン | 602.84 |
| グアテマラ | 254.10 |
| カタール | 148.80 |
| クウェート | 37.47 |
| ニューカレドニア | 5.00 |
| マルタ | 0.00 |
| 南スーダン | 0.00 |
| アラブ首長国連邦 | 0.00 |
各国
小麦 情報

小麦のエネルギー
小麦のエネルギーは白米よりも多く、100gあたり約350カロリーです。
小麦の原産地
小麦の原産は「ユーラシア大陸のコーカサス地方」から「メソポタミア地方」が原産地とされています。小麦の栽培は約1万5000年前に始まったとされ、中東の「ヨルダン」では約1万4400年前のパンの化石が発見されています。
「世界の小麦消費量ランキング」の記事はこちらになります。よろしかったらご覧ください。
「ライ麦の生産量ランキング」の記事はこちらになります。よろしかったらご覧ください。
中国
小麦 情報
中国の小麦
小麦は中国語で「小麦(シャオマイ)」です。
中国の小麦生産地
2016年の農林水産省のデータによると、主な中国の小麦の生産地は中東部の「河南省」で約3,466万トン、東部の「山東省」で2,345万トン、北東部の「河北省」で1,433万トン、北東部の「安徽省」で1,386万トン、東部の「江蘇省」で1,120万トン、西部の「新疆地区」で723万トン、中部の「侠西省」で445万トン、その他の地区で約2,000万トン生産されています。
小麦は食用以外に「でん粉:植物から抽出したでんぷんの粉」などをを食用・工業用などに生産します。中国の小麦生産技術の向上により生産量は増加していますが、小麦の作付け面積はあまり増加していません。
中国のパンの食べ方
中国の食事は基本的に「温かい食物を食べる文化」があり、パンも温かい状態で食べる事が好まれます。これは温かい状態が「一番良い状態」とされ、冷めた状態は「古い食べ物」と判断される事があるからです。そのため「蒸しパン」などが好まれますが、近年は外国資本のベーカリーが増加し、国内の食文化も変化しています。
インド
小麦 情報
インドの小麦
小麦はインドで利用されるヒンディー語で「गेहूं(ゲーフン)」です。
インド北部はパン食
インドは「北部」「南部」で食文化が大きく異なり、インド北部は「小麦」を利用したパン食が好まれ、南部は「米」をよく消費します。これはその土地の生産物が大きく異なる事が要因であり、小麦はインド北部の乾燥した土地で生産されています。北部は乾燥した土地ですが、「灌漑:人工的に水を引き込む農業であり、井戸水などが利用される事が多い」農業により安定した小麦生産がおこなわれています。
インド南部の米食
インド南部は厳格なヒンドゥー教徒が多く、「菜食主義者」が非常に多く存在します。食事も「米」が中心になり、米の栽培は主に雨が多い南部で行われています。
宗教によりもっと厳格なベジタリアン
「仏教」と同時期に現れた「ジャイナ教」はインドで多く信仰されており、厳格なルールが多く存在します。ジャイナ教は生物の殺生が完全な「タブー」であり、虫の殺生も禁止されています。土の中で育った「イモ類」は引き抜く際に虫を殺生してしまう可能性があるため、イモを食べる事がありません。肉・魚などは勿論、火を使う料理(虫が飛び込んでしまう可能性があるため)も避けられる傾向が強く、厳格な宗教です。
ロシア
小麦 情報
ロシアの小麦
小麦はロシア語で「Пшеница(プシニィーツァ)」です。
ロシアの小麦生産
ロシアは寒冷な土地を多く有しており、寒さに強い「ライ麦」「大麦」などを多く栽培していますが、小麦も非常に多く生産されています。
寒波・コロナウイルスの関係で小麦の生産量が減少すると予想され、国内の小麦の安定した供給を確保するために小麦の関税率の引き上げをおこなっています。
悪化するロシアとウクライナの関係により、ロシアの生産物を輸入禁止している国が多く、小麦も対象になっています。
ロシアでパンは「豊かさの象徴」
ロシアはパンを「豊かさの象徴」としており、「神からの贈り物」と考えています。パンを捨てる事を嫌い、固くなったパンが棚の中に長い間保存されていたりします。
小麦の生産量減は世界を狂わす
ロシア・ウクライナで生産される小麦の多くが中東や北アフリカに輸出しています。天候不順などにより小麦の生産量が大きく減少する年は輸出国の小麦の価格の上昇や小麦不足に繋がり、住民が暴動を起こすケースが多々あります。
米国
小麦 情報
米国の小麦
小麦は英語で「Wheat(ウィート)」です。
アメリカの小麦生産地
日本はアメリカから非常に多くの小麦を輸入しており、アメリカ産の小麦輸入量は約半数(約49.8% 2016年~2020年)になります。日本は小麦をアメリカ・カナダ・オーストラリアから輸入しており、とくにアメリカとカナダ産の小麦を多く輸入しています。
アメリカの小麦は主にアメリカ中部から北部の生産量が多く、北部の「ノースダコタ州」、中部の「カンザス州」「オクラホマ州」、北西部の「ワシントン州」で生産されています。とくに「カンザス州」の小麦の生産量が多く、大多数の小麦がカンザス州で生産されています。
フランス
小麦 情報
フランスの小麦
小麦はフランス語で「blé(ブレ)」です。
フランスの小麦生産
フランスの農地面積は約2,870万ヘクタール(1ヘクタールは100 x 100m)であり、フランス国土の約半分が農地です。そのうちの1/3で穀物の生産をしています。53~54%の農家が小麦生産をしており、フランスで生産されている主要な穀物になります。
主な生産地はフランス中部から北部に広がる「パリ盆地」、北部の「ノール=パ・ド・カレー地域圏」、中部の「サントル=ヴァル・ド・ロワール地域圏」、西部の「ポワトゥー=シャラント地域圏」、東部の「ブルゴーニュ=フランシュ=コンテ地域圏」などで多くの小麦を生産しています。
近年の気候変動の影響により、生産量が減少する可能性があります。
小麦消費量が多い
ヨーロッパの中でも小麦の消費量が非常に多く、一人あたりの小麦消費量は年間約120kgを超えます。
ウクライナ
小麦 情報
ウクライナの小麦
小麦はウクライナ語で「пшениці(プシェ二ィーツィイ)」です。
ウクライナの小麦生産量
主に「キーウ州」、北部の「チェルニーヒウ州」、中部の「チェルカースィ州」「キロヴォフラード州」、中西部の「ヴィーンヌィツャ州」「フメリニツキー州」、西部の「テルノーピリ州」、北西部の「ヴォルィーニ州」「リウネ州」、西部の「リヴィウ州」、南西部の「オデッサ州」、南部の「ヘルソン州」、南部の「ムィコラーイウ州」、北東部の「スームィ州」「ハルキウ州」、中東部の「ポルタヴァ州」などで多くの小麦が生産されています。州により気候が異なり、種まきの時期が若干異なります。
ウクライナの小麦に輸出依存している国は多い
中東や北アフリカの国々はウクライナから非常に多くの小麦を輸入しており、ウクライナの小麦輸出量の減少は輸入国の深刻な食料不足に繋がります。
アフリカの多くの国が
ウクライナ・ロシアから小麦を輸入
アフリカの25ヶ国はウクライナ・ロシアから小麦を輸入しています。
戦時中だが小麦生産は多い
2022年、ロシアによるウクライナ侵略が開始され、小麦の生産量は減少しましたが、生産は継続されており、輸出も継続しています。
オーストラリア
小麦 情報
オーストラリアの小麦生産地
主に西部の「西オーストラリア州」、南東部の「ニューサウスウェールズ州」「南オーストラリア州」、南部の「ビクトリア州」、北東部の「クイーンズランド州」で多くの小麦が生産されています。
小麦の輸出量が多い
オーストラリアで生産される小麦の多くが海外へ輸出しており、輸出先は日本を含めたアジア圏が多くなります。
パキスタン
小麦 情報
パキスタンの小麦
小麦はパキスタンで利用されるウルドゥ語で「گندم(ギンダム)」です。
パキスタンの小麦生産地
主に東部の「パンジャーブ州」、南東部の「シンド州」で多くの小麦生産がおこなわれています。これらの州で生産される小麦でパキスタン国内の需要量をまかなう事が可能ですが、気候変動と思われる天候不順などが続いており、小麦の生産量が減少しています。
気温の上昇
パキスタンの小麦栽培は25度~30度が適温とされています。2022年の3月の気温は30度~35度と高温が続いており、「麦の穂が大きくならない」などの問題が発生し、収穫量が減少しています。
不足する小麦
2022年に国内の小麦が300万トン程不足しており、海外から輸入しています。
カナダ
小麦 情報
減少するカナダの小麦生産
カナダは「小麦」「大麦」「オーツ麦」など「穀物」の生産量が減少しています。バイオ燃料などに転用が可能な「トウモロコシ」「大豆」の生産量が増加しており、今後も更に生産量が増加すると思われます。
カナダの小麦生産地
主に西部の「ブリティッシュ コロンビア州」、東部の「オンタリオ州」「ケベック州」「プリンス・エドワード島」「ノバスコシア州」などで小麦生産がおこなわれています。寒冷な土地のため、主にアメリカとの国境沿いで小麦生産がおこなわれています。
ドイツ
小麦 情報
ドイツの小麦
小麦はドイツ語で「Weizen(ウァイツェン)」です。
ドイツの小麦生産地
主に南東部の「バイエルン州」、北西部の「ニーダーザクセン州」で非常に多くの小麦を生産しています。ドイツの小麦輸入量は5%以下であり、国内で消費されるほとんどの小麦が国内で生産されています。
小麦はあるがトウモロコシが無い
ドイツはウクライナから家畜の飼料用の「トウモロコシ」を輸入しており、輸入量の減少と共に間接的に「肉」の価格が上昇しています。
豊かな「パン文化」
ドイツはヨーロッパの東西の文化が混ざり合う食文化を有しており、小麦で作られたパン以外にライ麦などを利用した「黒パン」も非常に多く販売されています。
テュルキエ
小麦 情報
テュルキエ(旧トルコ)の小麦
小麦はテュルキエ語で「buğday(ブーダイ)」です。
テュルキエの小麦生産地
主に中南西部の「コンヤ県」、南東部の「シャンルウルファ県」、首都が存在する「アンカラ県」、南東部の「ディヤルバクル県」、中部の「ヨズガト県」m中東部の「スィヴァス県」、北西部の「テキルダー県」、中北部の「チョルム県」、中南部の「カイセリ県」、南東部の「マルディン県」などで小麦生産がおこなわれています。
国内需給が賄えない
国内の小麦は需給量を超えた消費量があり、不足分を海外から輸入しています。
小麦の輸入先は主に「ロシア」「ウクライナ」「カナダ」であり、輸入量の約65%がロシアからになります。ロシアはテュルキエにとって経済上欠かせない関係に位置しており、今後もある程度良好な関係が継続すると思われます。
小麦消費量が非常に多い
世界有数の小麦消費国であり、一人あたりの年間小麦消費量は160kgを超えています。
日本
小麦 情報
日本の小麦の輸入先
2016年~2020年にかけて日本の国産小麦が82万トン、アメリカ産小麦が約243万トン、カナダ産小麦が163万トン、オーストラリア産小麦が82万トン流通しています。
まとめ
日本食の多くに利用される小麦
「アメリカ」「カナダ」「オーストラリア」で生産された小麦は銘柄により、国産小麦同様に「食パン」「ラーメン」「うどん」「菓子」などの原料として利用されています。
国内にヨーロッパ産の小麦はほどんど流通していませんが、ヨーロッパの小麦供給が不安定化しており、多くの国々がアメリカ、カナダ、オーストラリアなどからの輸入を考えています。
北米需要が上昇し、間接的に日本の小麦の価格が上昇する可能性があると思われます。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考
FAO, FAOSTAT. "Crops and livestock products - Wheat, Production (t)" (English) 1961-2022年. ©FAO 2024. 2021年08月23日閲覧。
FAOの利用規則はこちら (English) です。
サムネイル:Pixabay
ライセンスに関してはこちら (English) をご覧ください。