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世界の小麦消費量ランキング

小麦は「パン」の原料になる穀物です。パンを「主食」として消費する国は非常に多く、ヨーロッパや中東などで多く消費される穀物です。

小麦はどの国がどれくらい消費しているのでしょうか?

世界の小麦
消費量


世界の小麦の消費量
世界一位 アゼルバイジャン
世界二位 チュニジア
世界三位 トルクメニスタン


世界の小麦消費量ランキング
Wheat - Consumption (kg/capita/year)

年間
消費量
(キロ)
(kg)
2020年
1日
消費量
(食パン)
(枚)
2020年
アゼルバイジャン
(Azerbaijan)
204.3011.19
チュニジア
(Tunisia)
199.7910.94
トルクメニスタン
(Turkmenistan)
186.2310.20
アルジェリア
(Algeria)
175.509.61
モロッコ
(Morocco)
173.729.51
ウズベキスタン
(Uzbekistan)
171.469.39
テュルキエ
(Turkiye)
167.639.18
ジョージア
(Georgia)
165.799.08
シリア
(Syria)
161.818.86
アフガニスタン
(Afghanistan)
160.778.80
イラン
(Iran)
157.148.61
タジキスタン
(Tajikistan)
154.328.45
エジプト
(Egypt)
147.948.10
イラク
(Iraq)
144.127.89
リビア
(Libya)
141.087.73
イタリア
(Italy)
135.847.44
ロシア
(Russia)
131.397.19
ルーマニア
(Romania)
129.037.07
マルタ
(Malta)
128.17.01
ボスニア
ヘルツェゴビナ
(Bosnia and
Herzegovina)
126.316.92
アルバニア
(Albania)
126.106.90
アルメニア
(Armenia)
125.826.89
モンテネグロ
(Montenegro)
123.186.74
キルギス
(Kyrgyzstan)
122.76.72
イエメン
(Yemen)
121.296.64
チリ
(Chile)
120.186.58
アルゼンチン
(Argentina)
120.086.57
セルビア
(Serbia)
118.106.47
モーリタニア
(Mauritania)
116.296.37
フランス
(France)
116.106.36
リトアニア
(Lithuania)
113.546.22
レバノン
(Lebanon)
113.106.19
ジブチ
(Djibouti)
112.946.18
キプロス
(Cyprus)
112.246.15
ルクセンブルク
(Luxembourg)
108.245.93
パキスタン
(Pakistan)
108.215.92
モーリシャス
(Mauritius)
107.775.90
イスラエル
(Israel)
107.345.88
スロベニア
(Slovenia)
107.015.86
クロアチア
(Croatia)
104.715.73
アラブ首長国連邦
(AUE)
104.715.73
ハンガリー
(Hungary)
104.005.69
クウェート
(Kuwait)
103.175.65
イギリス
(U.K)
102.675.62
ギリシャ
(Greece)
102.355.60
モルドバ
(Moldova)
101.605.56
ポーランド
(Poland)
101.275.54
カザフスタン
(Kazakhstan)
101.235.54
ウクライナ
(Ukraine)
101.085.53
ノルウェー
(Norway)
101.035.53
サウジアラビア
(Saudi Arabia)
99.175.43
モンゴル
(Mongolia)
98.445.39
ウルグアイ
(Uruguay)
98.195.38
スペイン
(Spain)
97.915.36
世界平均66.693.65
日本
(Japan)
43.512.38
出典: United Nations Food and Agricultural Organization (FAO) 2020年から作成
https://www.fao.org/faostat/en/#data/
©FAO


各国の小麦 消費量


小麦粉の使用量

小麦粉のおおよその使用量は以下になります。

食パン1斤 - 約270g
食パン1枚 - 約50g

うどん1玉200g - 約70g


小麦の連作障害

小麦・大麦は土壌の栄養を吸収するため、土壌のバランスを崩します。毎年小麦や大麦を栽培すると、小麦や大麦に病気にかかりやすい状態になったり、生産量が減少します。

連作障害を避けるには「連作障害に強い品種に切り替え」や、土壌のバランスを改善するために「違う作物の作付け」が行われます。

小麦を非常に多く生産するロシアでは小麦と共に「ルピナス」を植え、土壌のバランスを整えるなどの農業がおこなわれています。この方法は「除草剤」「肥料」を利用しない新しい農業で、小麦の生産量も1.3倍に増加するなどメリットも大きくなっています。


「世界のルピナス生産量ランキング」はこちらになります。よろしかったらご覧ください。


「世界の大麦生産量ランキング」の記事はこちらになります。よろしかったらご覧ください。


アゼルバイジャン
小麦 消費量


アゼルバイジャンの小麦消費量

アゼルバイジャン語で小麦は「buğda(ブーダ)」です。一人当たり1日一枚50gの食パンを10~12枚消費している計算になります。


コロナ禍で高騰する小麦価格

アゼルバイジャンでは小麦の価格が30%以上 上昇しています。これは「Covid-19」による影響で輸入している「ロシア産の小麦」の価格が上昇している事が原因で、政府は上昇する小麦価格に対し補助金を出しましたが、値段の高騰に歯止めがかかりません。


賄えない小麦生産

2020年にアゼルバイジャンは181万トンの小麦を生産しましたが質が悪い小麦が多く、生産された小麦の多くが「家畜の飼料用」として利用されています。生産された小麦の約54.3万トン(全体の30%)が食用として利用されましたが、食用として必用な小麦の量は180万トンになります。

アゼルバイジャンは家畜用・食用小麦を合わせると年間約400万トンの小麦が消費されています。


アゼルバイジャンのパン

「タンドール」と呼ばれる石窯型のオーブンでパンが焼かれます。「fatir(ファティール)」「 fasali(ファサリ)」「 yukha(ユカ)」「yukha(ヤイマ)」「kata (カタ)」など国内には様々な種類のパンが存在します。

チュニジア
小麦 消費量


チュニジアの小麦消費量

チュニジアで利用されているアラビア語で小麦は「قمح(コム)」です。一人当たり1日一枚50gの食パンを10~12枚消費している計算になります。


チュニジアは世界一のパン消費国

中東・北アフリカ大陸・イラン・トルコなど「イスラム教」を主体とする多くの国々は「タンドール:石窯のオーブン」で焼いたパンを主食にしています。

チュニジアも「パン」を主食にしている国の一つで、2019年の小麦粉消費量は世界一でした。


小麦が足りない!!!!

チュニジアは小麦を毎年100万トン~150万トン生産しています。しかし、国内の小麦生産ではチュニジア国内の需要を満たす事が難しく、「ウクライナ」「ロシア」から非常に多くの小麦を輸入しています。

国際情勢の悪化により、国内で小麦不足が発生しており、パンが購入しにくい状態が続いています。


小麦不足から暴動へ発展

2010年に発生した「ロシア」で発生した「干ばつ」により、ロシアの小麦の生産量・輸出量が激減しました。

輸入量の減少により「小麦不足」が発生したチュニジアでは暴動に発展し、この暴動はイスラム教を主体とする国々へ飛び火しました。

のちに「アラブの春」と呼ばれ、エジプトではムスリム同胞団の「ムハンマド・ムルシー」が大統領に選出されるなど小麦騒動から政権をひっくり返してしまう「バタフライエフェクト」になりました。


チュニジアのパン

「Rougag(ルーガグ)」はチュニジアを代表する自家製のパンで、小麦・塩・水・植物油を加えたパンです。「クレープ」ような形で、好みの香辛料やソースをつけて食べます。

トルクメニスタン
小麦 消費量


トルクメニスタンの小麦消費量

トルクメニスタンで利用されているトルクメン語で小麦は「bugdaý(ブーダイ)」です。一人当たり1日一枚50gの食パンを9~11枚消費している計算になります。


トルクメニスタンはどこ?

トルクメニスタンは中央アジアに位置する国で、「アフガニスタン」「イラン」「カザフスタン」「ウズベキスタン」と国境を接しています。イスラム教を主体としています。


トルクメニスタンの小麦

トルクメニスタンは年間100万トン~150万トンほどの小麦を生産しています。国内の食料自給率は非常に低く、食料の多くは国外からの輸入されています。


トルクメニスタンの農業改革

トルクメニスタンでは「綿花」を非常に多く生産しています。綿花の栽培は大量の「水」が必要な植物ですが、トルクメニスタンは水資源が乏しい国です。綿花の生産は国内の貴重な水資源を吸い上げる事になり、水資源を無駄にできないトルクメニスタンでは非常に大きな問題になっています。

隣国の「カザフスタン」は綿花の栽培に利用した「アラル海」の水が枯渇するなど、綿花の栽培には非常に多くの水が必要になります。

トルクメニスタンでは現在も非常に多くの人が綿花の生産に従事しています。トルクメニスタン政府は旧ソビエト連邦時から続く綿花生産に終止符を打ち、国内の食料自給率を上げる対策などが協議されています。


トルクメニスタンのパン

「Chorek(チョレク)」と呼ばれる「タンドール」で焼かれたパンが日常的に消費されます。

アルジェリア
小麦 消費量


アルジェリアの小麦消費量

アルジェリアで利用されているアラビア語で小麦は「قمح(コム)」です。一人当たり1日一枚50gの食パンを9~11枚消費している計算になります。


アルジェリアも多くの小麦を輸入している

アルジェリアは国内で小麦を生産していますが、国内の生産量では需要量をまかなう事ができず、大半を海外からの輸入しています。

アルジェリアでは悪化する世界情勢により小麦の輸入量の減少しており、国内では「小麦不足」が続いています。慢性的な小麦不足によりパンが購入できず、パン屋に長時間並ぶ人も多くなっています。


国土の90%が砂漠

アルジェリアの国土の90%が「砂漠」に覆われています。地下水の利用により小麦・大麦・オーツ麦を栽培しています。


アルジェリアのパン

「Kesra(ケスラ)」といわれる「セモリナ(ひきわり小麦)」を原料としたパンが日常的に消費されます。クレープを厚くしたような見た目をしており、タンドーリで焼かれる他にフライパンを利用して作られる事もあります。

モロッコ
小麦 消費量


モロッコの小麦消費量

モロッコで利用されているアラビア語で小麦は「قمح(コム)」です。一人当たり1日一枚50gの食パンを9~11枚消費している計算になります。


フランス・ロシア・ウクライナから小麦を輸入

モロッコでは小麦の多くを「フランス」「ロシア」「ウクライナ」から輸入しています。半数がフランスから輸入になりますが、ウクライナやロシアからも非常に多くの小麦を輸入しています。

世界中で小麦の量が不足しており、モロッコ国内でも大幅に小麦の価格が上昇しています。


大きく変動する小麦生産量

モロッコでは小麦の生産量が2020年に256万トン、2019年に402万トン、2018年に732万トン、2017年に709万トン、2016年に273万トンと、大きく変動しています。小麦の栽培は天候に大きく左右され、近年気候変動の問題などにより更に栽培が難しくなっています。


モロッコのパン

「Khobz(ホブズ)」という小麦粉・塩・砂糖・油にイースト菌を混ぜオーブンで焼いたパンが日常的に消費されます。

ウズベキスタン
小麦 消費量


ウズベキスタンの小麦消費量

ウズベキスタン
で利用されているウズベク語で小麦は「bug'doy(ブードイ)」です。一人当たり1日一枚50gの食パンを9~11枚消費している計算になります。


小麦の輸入量増

ウズベキスタンは年間600万トン~700万トンの小麦を生産しています。

ウズベキスタンでは国内で小麦を生産していますが国内の需要量を満たすことができず、海外から輸入しています。天候不順などにより国内の生産量が減少する事も多く、輸入量が大きく変化します。


ロシアの土地を利用したいウズベキスタン

ウズベキスタン政府は不足している国内の穀物生産を補うため、「ロシアの土地を100万ヘクタールを借りる」事が国内で話し合われています。


なぜ自国で生産しないの?

新たな農地開拓には大きな資金が必要になります。「既に農地として開拓された土地」を利用して農業を行った場合、コストを大幅に削減して作物を生産する事が可能になります。

これは日本でも同じ事で、新たに農地開拓を行うより「耕作放棄地」や「遊休農地」を利用して農業を開始した方がコストを削減する事が可能です。


ウズベキスタンのパン

「Obi non(オビノン)」は小麦粉・塩・水・砂糖・バターなどにイースト菌を加えたパンです。全体的に熱が通りやすいように平型パンの真ん中を凹ませます。

テュルキエ
小麦 消費量


テュルキエの小麦消費量

テュルキエ語で小麦は「buğday(ブーダイ)」です。一人当たり1日一枚50gの食パンを9~11枚消費している計算になります。



テュルキエは農業大国

テュルキエは温暖な気候を有しており、国内で様々な作物が生産されています。2020年に小麦は2,050万トン生産おり、世界10位の生産量になります。


干ばつの発生

テュルキエでは「気候変動」による深刻な干ばつが発生しており、小麦粉の生産量が大きく減少する事があります。近年、自然災害は増加しており、農業に甚大な影響を及ぼしています。


小麦輸入の70%がロシアから

テュルキエは輸入してる小麦の70%がロシア、15%がウクライナから輸入しています。トルコ政府は「小麦の輸入量が減少しても問題ない」としていますが、自国でも小麦を原料としたパスタなどを輸出しており、物価が高騰化してます。


テュルキエのパン

「Simit(シミット):ドーナツ型のパン」「Yufka(ユフカ):クレープのような薄い生地のパン」「Lavas(ラバス):クレープのようなパンで生地は厚め」「Durum(ドゥルム):イースト菌を加えたパン」など国内には様々なパンが存在します。

ジョージア
小麦 消費量


ジョージアの小麦消費量

ジョージア語で小麦は「ხორბალი(ホリバリ)」です。一人当たり1日一枚50gの食パンを8~10枚消費している計算になります。



豊かな食文化を有する国ジョージア

ジョージアは温暖な気候を有しており、国内で様々な野菜や果物が生産されています。非常に豊かな食文化を有する国で、他国に影響を与えている料理が多く存在します。


ジョージアのパン

「ハチャプリ」はユニークなパンで、イーストを加えて焼いたパンの真ん中を凹ませ、チーズや生卵を乗せます。食べる直前にチーズと卵をまぜ、ちぎったパンをデップして食べます。ハチャプリを提供する店は東欧に多く、非常に多くの人が好む料理の一つです。

シリア
小麦 消費量


シリアの小麦消費量

シリアで利用されているアラビア語で小麦は「قمح(コム)」です。一人当たり1日一枚50gの食パンを8~10枚消費している計算になります。



シリアのパン

シリアではタンドリーで焼いた「ピタパン」が日常的に消費されます。ピタパンは「ギリシャ」の言葉であり、アラビア語では「Khubz(ホブズ)」になります。様々な形状のホブズが存在し、名称が異なる事があります。


パンを雑に扱っていはいけない

イスラム教を主体とする国はパンを神聖な食べ物として扱う国が多く、捨てる事が禁じられています。

アフガニスタン
小麦 消費量


アフガニスタンの小麦消費量

アフガニスタンで利用されているパシュトー語で小麦は「غنم(ガナム)」です。一人当たり1日一枚50gの食パンを8~10枚消費している計算になります。



アフガニスタンで続く干ばつ

アフガニスタンでも「気候変動の影響」と思われる「干ばつ」が続いており、多くの農家が職を失っています。アフガニスタン国内で食糧難に陥っている家庭は95%と非常に多く、深刻な問題になっています。


インドから小麦の提供

2022年にインドは「人道支援」の一貫としてアフガニスタンに「質の高い小麦」を提供しています。2022年に合計で5万トンの小麦輸出がアフガニスタンへ約束されており、アフガニスタンで深刻化する食糧不足をサポートしています。

アフガニスタンはインドの支援を受ける前に「パキスタンから小麦の提供」を受けましたが、提供された小麦の質が悪くパキスタンを非難しています。


アフガニスタンのパン

「ナン」が非常に有名です。「アフガンナン」とも呼ばれ、国内外で多く消費されています。

イラン
小麦 消費量


イランの小麦消費量

イランで利用されているペルシャ語で小麦は「گندم(ガンドゥン)」です。一人当たり1日一枚50gの食パンを8~10枚消費している計算になります。



イランでも発生した大規模な干ばつ

イランは水不足による大規模な「干ばつ」が続いており、小麦の生産量が大きく減少しています。イラン国内で安定した小麦を提供するには2021年~2022年の間に800万トン以上の小麦を海外から輸入する必要があり、国内で慢性的な小麦不足が続いています。


「地下資源」を有する国

イランはロシアに次ぐ「天然ガス」の地下資源の産出国です。ヨーロッパではロシアで生産される天然ガスの利用を控える国が多く、天然ガスを保有するイランやノルウェーに注目が集まっています。


イランのパン

「Barbari(バルバリー)」はイランで多く消費される「ナン」で「ゴマ」がトッピングされています。イランでは「チーズ」と共に提供される事が多く、国民的なパンとして多く消費されます。

エジプト
小麦 消費量


エジプトの小麦消費量

エジプトで利用されているアラビア語で小麦は「قمح(コム)」です。一人当たり1日一枚50gの食パンを8~10枚消費している計算になります。



エジプトで高騰する小麦の価格

エジプトは世界情勢の悪化により小麦の価格が上昇しています。エジプトでは小麦の価格の上昇を抑えるために「小麦価格の上限を設定」し、国内のパン屋に「価格上限に伴う補助金」が支払われています。


エジプトの貧困

エジプトは国内に住む約3000万人が貧困層です。人口の70%が政府の食料補助金プログラムを利用しており、エジプト政府から援助を受けています。


エジプトのパン

「アエーシ」といわれる「タンドール」で焼かれたパンが日常的に消費されます。食前にアエーシと「フムス」という「ヒヨコマメ」と「ニンニク」などの香辛料をすり潰したペーストを乗せて食べます。

まとめ

 
日本の小麦の輸入先はカナダ・アメリカ・オーストラリアです。日本ではヨーロッパ産の小麦を輸入していませんが、世界で小麦の需要が増加しており、間接的に日本の小麦の価格が大幅に上昇しています。

高騰する小麦のかわりに「米粉」に注目が集まっています。米粉は米を原料としていて、日本でも安定した生産が可能です。


今回は以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


サムネイル: 「Pixabay」から商用利用可能な写真を加工・利用しています。

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