アスパラガスの生産は中国が多い
アスパラガスはヨーロッパを中心に人気がある野菜ですが、世界で生産されるアスパラガスの80%以上が中国で生産されており、世界中に輸出しています。
アスパラガスはどの国がどれくらい生産しているのでしょうか?
世界のアスパラガス
生産量 ランキング
世界のアスパラガスの生産量
世界一位 中国
世界二位 ペルー
世界三位 メキシコ
世界のアスパラガス 生産量ランキング
Asparagus
Production (tonnes/year)
生産量 (t) 2022年 |
|
---|---|
世界 | 8,824,150.02 |
中国 | 7,683,763.03 |
ペルー | 377,246.00 |
メキシコ | 304,822.56 |
ドイツ | 110,300.00 |
イタリア | 51,550.00 |
スペイン | 44,960.00 |
フランス | 26,250.00 |
日本 | 25,934.88 |
タイ | 24,497.83 |
米国 | 24,285.00 |
ポーランド | 23,800.00 |
イラン | 22,020.08 |
オランダ | 15,550.00 |
チリ | 11,085.60 |
アルゼンチン | 10,605.18 |
カナダ | 9,938.00 |
ギリシャ | 8,850.00 |
オーストラリア | 8,492.74 |
ケニア | 8,127.82 |
ハンガリー | 5,050.00 |
ベルギー | 4,690.00 |
イギリス | 4,257.76 |
クロアチア | 3,410.00 |
台湾 | 3,004.70 |
エクアドル | 2,580.00 |
チュニジア | 1,414.00 |
ニュージーランド | 1,342.00 |
スイス | 1,125.86 |
北マケドニア | 735.00 |
フィリピン | 710.59 |
スロベニア | 608.88 |
コロンビア | 330.00 |
デンマーク | 328.00 |
スロバキア | 310.00 |
スウェーデン | 310.00 |
ジンバブエ | 300.00 |
南アフリカ | 296.00 |
チュニジア | 267.20 |
コスタリカ | 257.20 |
ブータン | 136.11 |
ポルトガル | 115.65 |
イスラエル | 100.00 |
ルクセンブルク | 72.00 |
フィンランド | 70.00 |
モロッコ | 30.00 |
ブルガリア | 10.00 |
コモロス | 0.00 |
エストニア | 0.00 |
ヨルダン | 0.00 |
ルーマニア | 0.00 |
セネガル | 0.00 |
ザンビア | 0.00 |
各国のアスパラガス
情報

アスパラガスの重さ・エネルギー
アスパラガスのエネルギーは1本約4カロリーです。
アスパラガスに含まれる栄養素
アスパラガスにはルチン・サポニン・セレニウムなどの栄養素が非常に多く含まれています。
●ルチン : 血管を丈夫にする・動脈硬化を防ぐ
●サポニン : 免疫力アップ
●セレ二ウム : 甲状腺機能や健康維持の栄養素
●アスパラギン酸 : 疲労回復・利尿作用・腎臓や肝臓の機能回復の効果があるとされる
アスパラガスのを食べた後におしっこが臭くなる
アスパラガスの成分が体内の消化酵素により分解され、その時に形成される物質が臭いの原因とされています。人によりこの臭いを感じる人と感じない人が存在しますが、原因は詳しくわかっていません。
原産は南ヨーロッパ
古代ギリシャ・古代ローマ時代には栽培されていたとされています。原産は地中海周辺、南ヨーロッパ・ロシア南部・ウクライナなどといわれていますが、ロシアやウクライナはアスパラガスを消費するようになったのは近年です。
中国
アスパラガス 情報
中国のアスパラガス
中国語でアスパラガスは「芦笋(ルースン)」です。
中国の新しい野菜
中国は近年、アスパラガスの生産規模を爆発的に拡大させており、世界最大のアスパラガス生産国です。
栽培は1970年代から
中国のアスパラガス生産は1970年代から開始され、アスパラガスを食べる習慣がなかった中国では主に海外向けの「ホワイトアスパラガス」を生産し、「缶詰加工」をおこない海外へ輸出していました。
国内で大人気野菜に
現在は中国で非常に人気のある野菜に変貌し、生産されたアスパラガスの85%以上が国内で消費されています。アスパラガス人気は国内の生産量だけではまかなえず、アスパラガスの生産量が減少する季節に収獲シーズンが異なる南半球のオーストラリア・ペルーなどからアスパラガスを輸入しています。
温室栽培で長く収穫
アスパラガスを長く収穫できるように中国の南部では「ハウス栽培」をおこなっています。ハウス栽培により年3回の収穫が可能になり、収獲が減少する時期はアスパラガスを輸入しています。
ペルー
アスパラガス 情報
ペルーのアスパラガス
ペルーで利用されるスペイン語でアスパラガスは「espárragos(エスパーラゴス)」です。
ペルーの新しい野菜
ヨーロッパに輸入されるアスパラガスはペルー産が多く、生産時期が異なるため冬でもスーパーで販売されてます。ペルーではアスパラガスの輸出に力を注いでおり、メキシコに次ぐアスパラガスの輸出国になっています。
アスパラガス農家へ変更
ペルーは過去にコカインの原料になるコカの木の栽培が盛んにおこなわれていました。アメリカはペルーからのコカイン流入を防ぐために1990年代初頭からペルーのアスパラガス農家に助成金を支給しており、助成金をもとに多くの農家がアスパラガスを生産を開始しました。
多くの農家がアスパラガスの生産へ移行し、ペルー国内のコカの木の栽培は大幅に減少しています。
整備された植物の検疫
野菜や果物を輸出するには「検疫」が必要になります。ペルーでは2000年代から検疫の整備に力を注いでおり、生鮮果実や野菜の輸出がスムーズにおこなわれています。
なんでスムーズなの?
輸出国の検疫機関へ対し、輸出解禁要請や植物の検疫が素早く、植物検疫証明書の発行がスピ―ディにおこなえる体制が整えられています。
メキシコ
アスパラガス 情報
メキシコのアスパラガス
メキシコで利用されるスペイン語でアスパラガスは「espárragos(エスパーラゴス)」です。
アスパラガスの輸出大国
メキシコはアスパラガスの輸出大国で、世界中にメキシコ産のアスパラガスが輸出されています。
メキシコのアスパラガス生産地
主に北西部のソノラ州・北西部の半島に位置するバハ・カリフォルニアバハ(北部)・カリフォルニア・スル州(南部)・中央部のグアナフアト州でアスパラガスが生産がおこなわれています。アスパラガスは品種により栽培環境が大きく異なるため、メキシコでは1年中アスパラガスを収穫する事が可能になっています。
ソノラ州は農薬を使わないアスパラガス生産にも力を注いでいます。
ドイツ
アスパラガス 情報
ドイツのアスパラガス
ドイツ語でアスパラガスは「Spargel(シュパーゲル)」です。
ヨーロッパのアスパラ大国
ドイツは「ホワイトアスパラガス」が国民食になっており、6月になると販売が開始されます。
厳格に決められたアスパラガスの販売日
ドイツでアスパラガスの販売がスタートするのは6月24日の「聖ヨハネの日」と決まっています。
ヨーロッパの各国では聖ヨハネの日に関連した「夏至祭」がおこなわれますが、夏至祭はキリスト教が普及する前から存在しており、ラトビア・リトアニアは「太陽神サウレ」に対し、豊穣や健康を祝う祭りになっています。(ラトビア・リトアニアはキリスト教を主体とする国で、太陽神サウレは多神教)
キリスト教の登場により脚色されていますが、ヨーロッパの多くの国々では夏至の日にキリスト教とは別の「太陽の神」に対し祭りをおこないます。
ドイツは国民の50~60%がキリスト教です。
修道院で禁止されたアスパラガス
アスパラガスはルネサンス期から性欲を高める野菜として有名になり、多くのカトリック修道院で食べる事が禁止されました。アスパラスに含まれる「ルチン」は血流を改善する効果があります。
アスパラガスの歴史
地中海周辺を原産とするアスパラガスは16世紀からドイツへ輸入されています。当時は貴族の贅沢品として扱われていました。
スペイン
アスパラガス 情報
スペインのアスパラガス生産量
スペイン語でアスパラガスは「espárragos(エスパーラゴス)」です。
スペインのアスパラガスの歴史
スペイン北西部のカタルーニャ州にアスパラガスが自生しており、古くから「利尿作用の薬」として利用されていました。中世にアスパラガスの人気は上記の理由などから低迷していましたが、18世紀から再び消費されるようになり、20世紀になりスペインで栽培が始まりました。
カルターニャ州で栽培されるアスパラガス
カルターニャ州の「Gavà(ガヴァ)」はアスパラガスの生産に適した「ミネラル(無機物)」が豊富な土壌を有しています。カヴァでは主にホワイトアスパラガスを生産しています。
ホワイトアスパラガスの生産方法
ホワイトアスパラガスは成長段階で防光シートにより「光合成」を抑制します。
アスパラガスは光が無くても成長する事が可能な植物で、苦みを抑えた非常に甘いアスパラガスに成長します。
イタリア
アスパラガス 情報
イタリアのアスパラガス
イタリア語でアスパラガスは「asparago(アスパラゴ)」です。
イタリアのアスパラガス生産
イタリアはグリーンアスパラガスの生産が多く、国内で生産される85%がグリーンアスパラガスになります。グリーンアスパラガスの収穫は2月~5月中旬まで続き、ホワイトアスパラガスの収穫は4月~6月になります。
先端が紫色のアスパラガス
北部の「ロンバルディーア州メッツァーゴ市」で栽培されているアスパラガスは先端が紫色になる少し変わったアスパラガスです。このアスパラガスはホワイトアスパラガスとして栽培され、土壌に鉄分が含まれているため先端が紫色に変色します。
紫色のアスパラガスは日本でも販売されており、成長する段階で紫色 → 緑色に変色します。珍しいので高値で販売されていますが、味は特にかわりません。
米国
アスパラガス 情報
減少するアスパラガス生産
アスパラガスは生産に時間を要し、人件費や生産コストが非常に高額になります。また、収穫が手作業でおこなわれるため非常に重労働になります。メキシコ・ペルー・チリなどから価格が低く良質なアスパラガスの輸入量が増加しており、国内の生産量は減少しています。
アメリカのアスパラガス生産
主にアメリカ北東部ミシガン州・北東部ニュージャージー州・西部カリフォルニア州・北西部ワシントンで生産されています。
日本
アスパラガス 情報
日本のアスパラガスの歴史
日本のアスパラガスの歴史は古く、江戸時代に観賞用としてオランダから伝わりました。
栽培が開始されたのは北海道で、「北海道の寒さに耐えられる野菜」としてアスパラガスの栽培が大正時代に開始されました。生産が増加したアスパラガスは缶詰などに加工され、日本全国に販売されるようになり、現在は全国で栽培されています。
日本の主なアスパラガス生産地
2020年の主なアスパラガスの生産地は北海道・秋田県・山形県・福島県・栃木県・長野県・佐賀県・福岡県・熊本県・長崎県など非常に多くの都道府県で生産されています。
フランス
アスパラガス 情報
フランスのアスパラガス
フランス語でアスパラガスは「asperges(アルぺルジ)」です。
ベルサイユ宮殿のアスパラガス
アスパラガスは17世紀のフランス王「ルイ14世」の好物で、ベルサイユ宮殿でアスパラガスの生産を担当していた庭師兼弁護士の「Jean-Baptiste de La Quintinie(ジャン・クインティー二)」に騎士の称号を与えています。
ジャンはベルサイユ宮殿で提供される野菜全般を担当しており、5年の歳月をかけてベルサイユ宮殿の野菜畑を完成させています。ルイ14世はジャンがつくる「アスパラガス」「ネギ」をとくに好みました。
イラン
アスパラガス 情報
イランのアスパラガス
イランで利用されているペルシャ語でアスパラガスは「مارچوبه(バーチョ―)」です。
深刻な水不足
イランは「農業大国」であり、国内でさまざまな農作物が栽培されていますが、雨が少なく、水資源の乏しい国です。作物の栽培には「地下水」を利用した「灌漑農業」がおこなわれますが、深刻な水不足に陥っています。
油田から農業へ
イラン南部の「フーゼスターン州」は油田の開発に力を注いでいましたが、近年、農業にも力を入れており、アスパラガスを含む多くの野菜の加工場などが建設されました。
1979年におきた「イスラム革命」によりイランは独自路線を突き進む事になり、他国の輸入に頼らない「自給自足」の農業生産体制がとられるようになり、多くの工場は閉鎖しています。
自給自足の農業生産により作物の生産量は増加していますが、国内で利用される地下水の利用が増加し、水の枯渇が始まっています。「砂漠化」「森林破壊」なども進行しており、国内で大きな問題になっています。
まとめ
生産国は増加している
アスパラガスは日本では非常に人気のある野菜ですが、ロシア・南アジアではまだ浸透していない野菜です。ロシアでは「ブロガー」「インフルエンサー」の影響によりアスパラガスが衆知されてきており、人気が集まっています。今後、栽培・消費量が増加すると思われます。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考
FAO, FAOSTAT. "Crops and livestock products - Asparagus, Production (t)" (English) 1961-2022年. ©FAO 2024. 2023年06月27日閲覧。
FAOの利用規則はこちら (English) です。
サムネイル:Pixabay
ライセンスに関してはこちら (English) をご覧ください。