寒冷な土地で人気がある果実
ラズベリー
ラズベリーの収穫シーズンは6~7月であり、ヨーロッパでは「イチゴ」「サクランボ」などと共に市場などで販売される非常に人気のある果実の一つです。
世界ではどの国がラズベリーをどのくらい生産しているのでしょうか?
世界のラズベリー
生産量ランキング
世界のラズベリーの生産量
世界一位 ロシア
世界二位 メキシコ
世界三位 セルビア
世界のラズベリー生産量ランキング
Raspberries
Production (tonnes/year)
国 | 生産量 (t) 2022年 |
---|---|
世界 | 947,852.03 |
ロシア | 212,300.00 |
メキシコ | 173,741.71 |
セルビア | 116,093.00 |
ポーランド | 104,900.00 |
アメリカ合衆国 | 76,480.00 |
スペイン | 45,420.00 |
モロッコ | 45,039.48 |
ウクライナ | 33,570.00 |
ポルトガル | 29,300.00 |
イギリス | 16,342.99 |
ボスニア ヘルツェゴビナ | 12,188.00 |
アゼルバイジャン | 11,846.01 |
チリ | 11,775.33 |
カナダ | 6,909.00 |
モルドバ共和国 | 6,900.00 |
ドイツ | 6,770.00 |
フランス | 5,970.00 |
ブルガリア | 5,690.00 |
スイス | 4,533.00 |
オランダ | 3,000.00 |
イタリア | 2,604.93 |
ベルギー | 2,590.00 |
ノルウェー | 2,040.00 |
フィンランド | 1,903.00 |
リトアニア | 1,470.00 |
ジョージア | 1,240.00 |
ウズベキスタン | 1,200.00 |
オーストリア | 900.00 |
オセアニア | 700.00 |
オーストラリア | 665.62 |
ハンガリー | 646.79 |
モンテネグロ | 580.00 |
アイルランド | 500.00 |
スウェーデン | 480.00 |
デンマーク | 440.00 |
北マケドニア | 390.00 |
ラトビア | 382.00 |
クロアチア | 220.00 |
ルーマニア | 170.00 |
スロベニア | 170.00 |
エストニア | 160.00 |
ジンバブエ | 100.00 |
チェコ | 97.96 |
スロバキア | 50.00 |
ニュージーランド | 30.00 |
ベラルーシ | 18.82 |
ガーナ | - |
ギリシャ | - |
ルクセンブルク | - |
マルタ | - |
世界のラズベリー
情報

ラズベリーのエネルギー
ラズベリーは100gあたり約40カロリーです。
「野イチゴ」と「ラズベリー」は別物
日本では「野イチゴ」が多く自生しており、食べた事がある人が多いと思います。野イチゴとして自生している物は「ヘビイチゴ」が多く、「ラズベリー」とは別物になります。ラズベリーには酸味がありますが甘味が強いものも多く、ヨーロッパの市場では非常に甘いラズベリーが販売されています。
ラズベリーってどう利用するの?
夏のシーズンに生食する以外に「ジャム」に加工する事が多くなります。加糖したジャムをガラスのビンに詰め、滅菌消毒を行い冬の保存食として消費する国が多くなります。
また、生産量が多いロシアでは「薬」としても利用され、喉に違和感がある際にはラズベリージャムを食べながら「紅茶」を飲みます。風邪以外の際にも用いられ、非常に人気のある果実です。
ラズベリーって風邪に効くの?
ビタミンC、カリウム、葉酸、カルシウムなどが含まれています。また、「ラズベリーケトン」と言われる芳香の成分が含まれており、サプリなどに多く含まれています。脂肪を分解する働き・美白効果があると言われていますが、科学的な証拠が少なくなっています。
中国の生産量が少ない
中国は自国で非常に多くの野菜や果物を生産していますがラズベリーの生産量は限定的であり、今後生産量が増加すると思われます。
日本のラズベリー生産量
日本でもラズベリー生産がおこなわれていますが限定的になります。ジャムなどの加工品は簡単に生産する事が可能であり、付加価値を付けやすい農作物の一つとも言えます。
「世界のイチゴ生産量ランキング」の記事はこちらになります。よろしかったらご覧ください。
ロシア
ラズベリー 情報
ロシアのラズベリー
ラズベリーはロシア語で「Малина(マリーナ)」です。
ロシアのジャム文化
ロシアは「保存食」として「ジャム」を越冬の前に作る文化があり、ラズベリーを含めた多くのジャムが作られます。ジャムはロシア生活の様々な場面に登場し、「紅茶を飲みながらジャムを食べる」事などが有名です。そのため、国内で消費される紅茶は「無糖」が好まれる傾向があります。
「パンケーキ」「カーシャ(粥)」にも加えられ、ロシアの食卓を支える重要な食物です。
ロシアのラズベリー生産地
南西部の北カフカス「クラスノダール地方」が国内の農業中心地です。ロシアの台所事情を支える重要な場所であり、様々な野菜・果物が生産されています。
ラズベリーもクラスノダール地方で多く生産されており、「温室栽培」などが多くおこなわれています。ロシアはラズベリー以外に「イチゴ」「カシス」なども多く生産しています。
メキシコ
ラズベリー 情報
メキシコのラズベリー
ラズベリーメキシコで利用されるスペイン語で「Frambuesa(フラムブエサ)」です。
メキシコのラズベリー生産
メキシコのラズベリー生産量は2014年~2016年の間に約3倍に増加しています。ラズベリーの輸出に非常に力を入れており、主に米国・サウジアラビア・英国・香港・カナダに輸出しており、アラブ首長国連邦・ベリーズ・オランダ・ロシア・カタール・アイルランド・クウェート・シンガポール・カザフスタン・中国・日本・イタリアなどにも輸出を行っています。
メキシコのラズベリー生産地
主に北西部の「ハリスコ州」「バハ・カリフォルニア州」、西部の「ミチョアカン州」で国内で生産される大多数のラズベリーが生産されています。その他に西部の「コリマ州」、中部の「メキシコシティ」「イダルゴ州」、南東部の「プエブラ州」などでラズベリーが生産がおこなわれています。
セルビア
ラズベリー 情報
セルビアのラズベリー
ラズベリーはセルビア語で「Малина(マリーナ)」です。
セルビアのラズベリー生産地
主に西部の「ズラティボル郡 Arilje(アリルイェ)」「Požega(ポゼガ)」「Moravički okrug(モラヴィツァ郡)」、北西部の「コルバラ郡のValjevo(ヴァリェヴォ)」などで多くのラズベリー生産がおこなわれています。
セルビアのラズベリー生産の歴史
ラズベリー生産の歴史は浅く、19世紀にセルビアにラズベリーが持ち込まれました。本格的に商用としてラズベリー生産が開始されたのは戦後になります。
セルビアのラズベリーは収穫後すぐに冷凍され、フランス・ベルギー・ドイツなどのヨーロッパ諸国に輸出されます。
ポーランド
ラズベリー 情報
ポーランドのラズベリー
ラズベリーはポーランド語で「malina(マリーナ)」です。
ヨーロッパ最大のラズベリー生産地
ポーランドはヨーロッパ最大のラズベリー生産地です。近年天候不順などにより、生産量の増減が大きくなっています。国内で生産されるラズベリーのほどんどが輸出用に生産されており、ヨーロッパ各国でポーランドのラズベリーを購入する事が可能です。
ポーランドのラズベリー生産地
ポーランドでは主に西部のルブリン県の生産量が多く、国内で生産されるラズベリーの約70%がルブリン県で生産されています。他にも中東部のマゾフシェ県・南東部のポトカルパチェ県・シフィェンティクシシュ県などでも多くのラズベリー生産がおこなわれています。
米国
ラズベリー 情報
米国のラズベリーの歴史
ラズベリーの栽培は1500年代にイギリスで開始されました。18世紀後半に入り、北米にラズベリーが導入されましたが、「風土の違い」により栽培が難航し、本格的に商業栽培が開始されたのは19世紀からになります。
日本のラズベリーはアメリカから
明治時代にアメリカから14種類のラズベリーを輸入し国内で栽培が開始されました。
しかし、食文化の違いから日本人にあまり好まれなかったとされています。現在もラズベリーの消費は限定的であり、ジャムやデザートの材料としての利用が多くなります。
アメリカのラズベリー生産地
主に北東部の「ワシントン州」「オレゴン州」、西部の「カルフォルニア州」で多くのラズベリー栽培がおこなわれています。
スペイン
ラズベリー 情報
スペインのラズベリー
ラズベリーはスペイン語で「Frambuesa(フラムブエサ)」です。
スペインのラズベリー生産地
主に南西部の「アンダルシア州」「エストレマドゥーラ州」で生産が多くなっています。
多様化するベリー生産
スペインでは様々なベリーの人気が上昇しており、国内の生産量を増加させています。イチゴにかわり「ブラックベリー」などの生産量が増加しており、今後も生産量が増加すると思われます。
なぜイチゴの生産量が低下しているの?
イチゴは生産に手間がかかる果実であり、手間がかからなくても単価が高い他のベリー系の生産へ移行する農家が増加しています。
ウクライナ
ラズベリー 情報
ウクライナのラズベリー
ラズベリーはウクライナ語で「малина(マリーナ)」です。
ウクライナのラズベリー生産地
主に北東の「スームィ州」で非常に多くのラズベリー生産がおこなわれており、ウクライナで生産されるラズベリーの20%~25%程度がスームィ州で生産されています。その他に南東部の「ヘルソン州」、中西部の「ヴィーンヌィツャ州」、西部の「ザカルパッチャ州」、南東部の「ザポリージャ州」などでラズベリーが多く生産されています。
ロシアの進行により壊滅的なダメージ
ウクライナ東部で多くのラズベリー生産がおこなわれており、2022年からロシアの進行により農業に甚大な被害を与えています。
ポルトガル
ラズベリー 情報
ポルトガルのラズベリー生産
ラズベリーはポルトガル語で「framboesa(フラムボエーサ)」です。
ポルトガルのラズベリー生産地
主に中東部の「フンダン」、北部の「ギマランイス」、南部の「アレンテージョ地方アレンテージュ・リトラル(南西部)」、南部の「アルガルヴェ地方東部」などで多くのラズベリー生産がおこなわれています。
ポルトガルのラズベリー生産
ラズベリーはポルトガルでも割と新しい食物の一つであり、生産が本格化したのは近年です。国内で生産したラズベリーの多くがヨーロッパ諸国へ輸出されており、グラノーラやジャムなどの加工品が多くなります。
ボスニア
ヘルツェゴビナ
ラズベリー 情報
ボスニアのラズベリー
ラズベリーはボスニア語で「malina(マリーナ)」です。
ボスニア・ヘルツェゴビナのラズベリー生産地
主に西部の「ボスニア=ポドリニェ県」などでラズベリー生産がおこなわれており、全体的に国の西部でラズベリー生産がおこなわれています。
多くの人がラズベリーを生産している
ボスニア・ヘルツェゴビナに住む人の約0.5%程度(国内の人口は約330万人程度)の人がラズベリー生産に従事しており、非常に質の良いラズベリーを生産されています。
生産されたラズベリーはヨーロッパ諸国へ輸出
生産されたラズベリーはヨーロッパ諸国へ輸出しています。ボスニア・ヘルツェゴビナは2022年からウクライナのラズベリー生産量の減少と共に、国内のラズベリー生産量を増加させています。
チリ
ラズベリー 情報
チリのラズベリー
ラズベリーはチリで利用されるスペイン語で「Frambuesa(フラムブエサ)」です。
チリのラズベリー生産地
主に中部の「マウレ州」「ビオビオ州」などで多くのラズベリーが生産されています。
生産が減少するラズベリー
チリはラズベリーの消費量は増加していますが、生産量が減少しています。背景に「生産コストが非常に高い」など様々な問題があり、低コストで簡単な作物の生産へシフトする人が増加しています。
上昇する人件費
チリは物価上昇などにより人件費が高騰化しています。生産コストを低下させるために農業を「機械化」する農家が増加していますが、「設備投資」に大きなコストがかかり、導入している農家は限定的になります。
日本
ラズベリー 情報
日本のラズベリー生産量
日本のラズベリー生産は年間5トンを下回り、非常に限定的です。主な生産地は秋田県・北海道・山形県などで生産されていますが、少量です。
なぜ少ない?
高温多湿の日本ではラズベリーが気候に合わず、生産が非常に難しくなります。品種改良などをおこない、日本の気候に合わせた品種を生み出す事が可能と思われますが、日本であまりメジャーな食物ではありません。
まとめ
全体的にヨーロッパで生産されている
ラズベリーの生産は全体的にヨーロッパ地域での生産が多くなります。ラズベリーは寒冷で乾燥した土地を好む植物であり、収獲時期が梅雨と重なる日本では非常に栽培が難しく、ハウスの利用などが好ましくなります。
国内の生産数は非常に限定的ですが、家庭菜園などで栽培している家庭も多く、国内で人気が上昇する可能性がある果実の一つです。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考
FAO, FAOSTAT. "Crops and livestock products - Raspberries, Production (t)" (English) 1961-2022年. ©FAO 2024. 2023年08月04日閲覧。
FAOの利用規則はこちら (English) です。
サムネイル:Pixabay
ライセンスに関してはこちら (English) をご覧ください。