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銀より高い!?世界のバニラ 生産量ランキング

植物の宝石「バニラ」

「バニラ」は生産量が非常に少ない貴重な植物であり、世界中で高級品として扱われています。世界で利用される95%以上のバニラが「合成香料」であり、日本でも一般的に合成香料が利用されています。

世界ではどの国がどのくらいバニラを生産しているのでしょうか?

世界のばにら
生産量 ランキング

世界のバニラの生産量
世界一位 マダガスカル
世界二位 インドネシア
世界三位 メキシコ

世界のバニラ 生産量ランキング
Vanilla
Production (tonnes/year)

生産量
(t)
2022年
世界 7,704.03
マダガスカル 3,033.72
インドネシア 1,965.00
メキシコ 710.27
パプアニューギニア 491.48
トゥルキエ 383.80
コモロ 240.33
トンガ 193.26
ウガンダ 187.13
フランス領ポリネシア 22.34
マラウイ 20.00
ケニア 15.09
ジンバブエ 9.91
クック諸島 0.03
フィジー -
セーシェル -

各国のバニラ
情報

日本で利用されるバニラの多くが人工物
バニラは非常に高価な植物であり、一般的に「人工バニラ」が香料として利用されています。人口バニラの成分は「バニリン」といわれる製紙のパルプなどから採れる「リグニン」という物質から生産します。その他にもバニラ香料として様々な物が利用されています。

日本では成分表に「香料」「合成香料」の表記がある場合はバニラを利用していません。バニラが利用されている場合は「バニラ香料」と表記されています。

バニラの価格
バニラの1本の重さは約2g~2.5gであり、日本の市場価格は1キロ10万円を超えるバニラが多く販売されています。銀の価格が1キロ約9万円~10万円であり、ほぼ同等の価値になります。(2021年8月)

バニラの価格高騰
世界で生産されるバニラの40%以上がマダガスカルで生産されており、生産量の減少がバニラ価格を高騰させます。近年、気候変動の影響と思われる「ハリーケーン」などが多発しており、国内のバニラ生産に影響を与えています。


バニラ栽培は日本でもできる?
可能です。商業的にバニラを栽培している施設なども存在し、園芸品としても人気がある植物です。

バニラはなんで黒いの?
「発酵」「乾燥」の段階で黒く変色します。この発酵や乾燥のプロセスも非常に難しく、バニラ生産が少ない要因の一つです。

バニラの原産地はどこ?
中南米・カリブ諸国などが原産地であり、栽培を開始したのは「メキシコ」のアステカ人とされます。その後「スペイン」に支配され、ヨーロッパにバニラが伝わりました。

チョコレートと共に
アステカ文明ではカカオに水を加えた「ショコラトル」という飲物を飲む習慣があり、バニラはショコラトルにも加えられました。ショコラトルは現在の「チョコレート」の祖と考えられています。

マダガスカル
バニラ 情報

マダガスカルのバニラ
バニラはマダガスカルで利用されるフランス語で「Vanille(バニーレ)」です。

マダガスカルのバニラ生産地
北東部のアンツィラナナ州「Sava Region(サヴァ県)」で非常に多くのバニラ栽培がおこなわれています。

マダガスカルは大きい
マダガスカルは日本の約1.6倍の面積を持つ非常に大きな島国です。人口も2700万人を超えており、現在も人口が増加してます。ハリケーンのの被害が増加しており、国内の農産物の生産量が低下するなど甚大な被害が出ています。

ハリケーンによるバニラの被害
世界で生産されるバニラの40%以上がマダガスカルで生産されおり、国内のバニラ生産量の減少は世界のバニラ価格を上昇させる要因になります。2017年・2018年に大きなハリケーンの被害を受け、国内のバニラ農家に影響を与えています。

高騰するバニラの価格
2014年に1㎏20ドル前後で取引されていたバニラの価格は2018年には1㎏600ドルに高騰し、日本でもバニラが高値で取引されています。

近年バニラの価格は減少傾向にありますが、マダガスカルは悪天候によりバニラ生産の被害を受けやすい国です。世界ではバニラ輸入の多角化が行われており、アフリカ諸国などのバニラ生産量が伸びる可能性があります。

インドネシア
バニラ 情報

インドネシアのバニラ
バニラはインドネシアで「vanila(バニラ)」です。

インドネシアのバニラ生産地
主にジャワ島東部の「東ジャワ州」、スマトラ島南部の「ランプン州」、ジャワ島中部の「中部ジャワ州」、ジャワ島西部の「西ジャワ州」、スマトラ島北部の「北スマトラ州」、小スンダ列島の「東ヌサ・トゥンガラ州」、ジャワ島中南部の「ジョグジャカルタ特別州」、ニューギニア西部の「パプア州」、「スウェラシ島」などでバニラ栽培がおこなわれています。

アジアのバニラ生産中心地
インドネシアは「バニラ新興国」と言われていますが、インドネシアにバニラが伝わったのは1800年代初頭であり、バニラ生産量は年々増加しています。天候不順によりバニラの生産量が左右されますが、2011年にバニラを3,500トン生産しており、世界一の生産量を記録しました。

インドネシアはバニラを日本へ輸出しています。

メキシコ
バニラ 情報

メキシコのバニラ
バニラはメキシコで利用されるスペイン語で「vainilla(バイニーラ)」です。

メキシコのバニラ生産地
主に南部の「チアパス州」、中部の「イダルゴ州」、南部の「オアハカ州」、中南部の「プエブラ州」、南東部の「キンタナ・ロー州」、中部の「サン・ルイス・ポトシ州」、南東部の「ベラクルス州」などでバニラ栽培がおこなわれています。

バニラ原産地
メキシコ東部には「トトナック族」という原住民が暮らしています。トトナック族は「ダンサ・デ・ロス・ボラドーレス:回転するポールに紐結び人をぶら下げ、回転させながら地上へゆっくりと下ろしていく儀式」などの古い儀式を現在もおこなっている伝統的な民族で、バニラを「香水」「ハーブ」として利用していた民族です。

トトナック族にバニラを「香料」として利用する文化はありませんでしたが、アステカ族の侵略により、「カカオ」の香料として利用されるようになりました。

これらを提供したスペインの冒険家の間で人気が高まり、スペインの貴族達に広まったのがバニラとカカオがヨーロッパに広まるキッカケになりました。

マダガスカルの生産量減でバニラ価格の高騰
2015年以降、メキシコのバニラ需要は増加しており、国内のバニラ値段が高騰しています。マダガスカルを襲ったハリケーンにより世界中のバニラの価格が高騰しており、バニラを生産しているメキシコにも影響を与えています。

パプアニューギニア
バニラ 情報

パプアニューギニアはどこ?
オーストラリアの北に位置し、インドネシアと国境を接しています。

パプアニューギニアのバニラ生産地
主に北部の「東セピック州」でバニラ生産がおこなわれており、国内で生産されているバニラの70%以上が東セピック州で生産されています。南東部の「中央州」、中東部の「モロベ州」、北東部ニューブリテン島の「東ニューブリテン州」、北部の「マダン州」などでもバニラ生産がおこなわれています。

国の産業として
パプアニューギニアは「インドネシア」同様にバニラ生産が盛んであり、パプアニューギニアのバニラは日本で高級品として扱われていています。

バニラ以外に「カカオ」「コーヒー豆」「コプラ(ヤシ)」が多く栽培されており、パプアニューギニアの経済を支える重要な生産品となっています。

中国
バニラ 情報

中国のバニラ生産
バニラは中国語で「香草(シャンツァオ)」です。

中国のバニラ生産地
主に中国南部の「雲南省(うんなんしょう)」「広西チワン族自治区」などでバニラ栽培がおこなわれています。中国はバニラの生産地は拡大させており、今後生産量が増加すると思われます。

雲南省南部の「シーサンパンナ・タイ族自治州」が国内最大のバニラ生産地であり、「無農薬バニラ」の生産に力を注いでいます。

富裕層の増加
中国は富裕層が増加しており、国内で天然のバニラの需要が増加しています。

国内で生産されるバニラの質は非常に良いですが、生産できる場所がかなり限定的であり、管理にも大きなコストがかかります。バニラ需要は増加していますが、生産量を増加させるには時間がかかると思われます。

テュルキエ
バニラ 情報

テュルキエのバニラ生産
バニラはテュルキエ語で「vanilya(バニリャ)」です。

テュルキエのバニラ生産
テュルキエは「温室」を利用してバニラを栽培しています。トルコは温暖で乾燥した気候を有しており、国内で様々な果物や野菜が生産されていますが、バニラ生産は基本的に温室を利用して栽培しています。

トンガ
バニラ 情報

トンガはどこ?
トンガは太平洋の「ポリネシア」に位置する多くの島を有する国であり、ニュージーランドから北東に行った場所にあります。「コプラ(ヤシ)」「バナナ」などと共にバニラ生産をおこなっており、生産量も非常に多くなります。

バニラ栽培では女性が活躍
トンガではバニラの受粉作業が手作業でおこなわれています。多くの女性が作業に従事しており、トンガのバニラ生産を支えています。この作業は重労働であり、男性はこの作業を「めんどくさい」と避ける傾向があります。

ウガンダ
バニラ 情報

ウガンダのバニラ
バニラはウガンダで利用されるスワヒリ語で「vanila(バニラ)」です。

ウガンダのバニラ生産地
主に中南部の「カユンガ県」、南部の「ムコノ県」、南西部の「ムピジ県」、南部の「ジンジャ県」、中南部の「カムリ県」、中央地域の「ブイクウェ県」、西部の「ブンディブギョ県」、中南部の「ルウェロ県」、西部の「カセセ県」などでバニラが栽培がおこなわれています。

ウガンダは国の南部からタンザニア北西部の「カゲラ州」にかけてもバニラ生産がおこなわれています。カゲラ州には「カゲラ川」の水を利用した「灌漑農業」がおこなわれており、「バナナ」の栽培などもおこなわれています。

盗まれるバニラ
ウガンダではバニラが盗まれる事件が頻繁に発生しています。収穫期は農作物が盗まれる事件が多発し、大きな農園や換金率が高い農作物を栽培する農家は警備が必要になります。

フランス領ポリネシア
バニラ 情報

フランス領ポリネシアのバニラ
バニラはフランス領ポリネシアで利用されるフランス語で「Vanille(バニーレ)」です。

フランス領ポリネシアのバニラ生産地
主に島の一部である「ソシエテ諸島」で多くのバニラ栽培がおこなわれています。ソシエテ諸島の中の「タハア島」がフランス領ポリネシアで生産されるバニラの80%以上を生産しており、「バニラアイランド」と呼ばれています。タハア島には約5200人の人が暮らしています。

コモロ
バニラ 情報

コモロのバニラ
バニラはコモロで利用されるフランス語で「Vanille(バニーレ)」です。

コモロはどこ?
インド洋にある島国であり、マダガスカルの北西にある小さな島国です。マダガスカルと気候がほぼ同じで、バニラの栽培が可能です。

コモロで生産されるバーボンバニラ
コモロはバーボンの香りと元となる「バーボンバニラ」を多く生産しています。主な輸出先はフランス・インド・オランダ・テュルキエなどであり、バーボンで有名なアメリカには輸出されていせん。

まとめ

天然のバニラは超貴重品
世界中で利用されるバニラのほとんどが合成香料であり、天然のバニラは貴重品です。バニラの生産が可能な国々は生産量を増加させていますが、気候変動の影響と思われる悪天候が増加しており、「生産量が減少」と共に世界のバニラ価格を更に上昇させています。

今回は以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

参考

FAO, FAOSTAT. "Crops and livestock products - Vanilla, raw, Production (t)" (English) 1961-2022年. ©FAO 2024. 2021年08月17日閲覧。
FAOの利用規則はこちら (English) です。


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