砂糖やバイオエタノール
用途が多いサトウキビ
サトウキビは「砂糖」の原料となる植物ですが、ヨーロッパの気候では栽培が難しく、「甜菜(てんさい)」というダイコン・カブに似た植物から砂糖を生産します。
サトウキビはどの国がどのくらい生産しているのでしょうか?
世界のサトウキビ
生産量ランキング
世界のサトウキビの生産量
世界一位  ブラジル
世界二位  インド
世界三位  中国
世界のサトウキビ生産量ランキング
Sugar cane
Production (tonnes/year)
| 国 | 生産量 (t) 2022年  | 
|---|---|
| 世界 | 1,922,059,850.80 | 
| ブラジル | 724,428,135.00 | 
| インド | 439,424,890.00 | 
| 中国 | 103,381,300.00 | 
| タイ | 92,095,784.00 | 
| パキスタン | 87,981,135.00 | 
| メキシコ | 55,279,458.98 | 
| コロンビア | 35,040,527.96 | 
| インドネシア | 32,400,000.00 | 
| アメリカ合衆国 | 31,456,630.00 | 
| オーストラリア | 28,669,279.82 | 
| グアテマラ | 26,079,734.41 | 
| フィリピン | 23,455,403.50 | 
| 南アフリカ | 17,991,000.00 | 
| アルゼンチン | 16,583,044.75 | 
| エジプト | 15,976,835.76 | 
| ミャンマー | 11,506,923.90 | 
| ベトナム | 11,083,015.06 | 
| キューバ | 10,634,509.53 | 
| ボリビア | 9,659,111.34 | 
| ペルー | 9,583,744.10 | 
| ケニア | 8,707,800.00 | 
| イラン | 8,000,000.00 | 
| エルサルバドル | 7,747,520.87 | 
| エクアドル | 7,740,492.10 | 
| ニカラグア | 7,351,420.91 | 
| パラグアイ | 6,538,400.00 | 
| ウガンダ | 5,892,321.81 | 
| エスワティニ | 5,812,739.52 | 
| ドミニカ共和国 | 5,618,097.00 | 
| ホンジュラス | 5,474,553.49 | 
| ザンビア | 4,877,436.80 | 
| スーダン | 4,451,333.29 | 
| コスタリカ | 3,897,888.00 | 
| タンザニア | 3,535,300.64 | 
| ジンバブエ | 3,452,873.00 | 
| マダガスカル | 3,190,973.82 | 
| ネパール | 3,159,634.00 | 
| マラウイ | 3,111,616.93 | 
| バングラデシュ | 3,087,428.00 | 
| モザンビーク | 2,969,375.00 | 
| コンゴ民主共和国 | 2,347,638.77 | 
| パナマ | 2,314,265.43 | 
| モーリシャス | 2,256,806.00 | 
| コートジボワール | 2,114,005.29 | 
| ベネズエラ | 2,072,188.71 | 
| メラネシア | 1,987,884.02 | 
| ベリーズ | 1,803,634.00 | 
| フィジー | 1,639,000.00 | 
| ナイジェリア | 1,525,591.66 | 
| ラオス | 1,502,200.00 | 
| ハイチ | 1,458,363.95 | 
| 日本 | 1,308,436.97 | 
| セネガル | 1,221,912.77 | 
| カメルーン | 1,195,169.06 | 
| アンゴラ | 1,125,388.66 | 
| ガイアナ | 1,092,461.98 | 
| スリランカ | 876,660.00 | 
| カンボジア | 777,551.11 | 
| コンゴ | 721,403.09 | 
| マリ | 677,946.68 | 
| ニジェール | 650,000.00 | 
| モロッコ | 571,894.35 | 
| 台湾 | 523,895.94 | 
| ウルグアイ | 515,000.00 | 
| ブルキナファソ | 501,825.48 | 
| チャド | 481,391.97 | 
| ジャマイカ | 480,555.00 | 
| エチオピア | 392,967.79 | 
| パプアニューギニア | 348,884.02 | 
| ギニア | 321,675.84 | 
| ガボン | 291,417.33 | 
| リベリア | 277,598.57 | 
| ソマリア | 222,082.51 | 
| ブルンジ | 188,416.89 | 
| ガーナ | 155,630.52 | 
| 中央アフリカ共和国 | 129,935.13 | 
| スリナム | 99,649.69 | 
| ルワンダ | 97,814.12 | 
| バルバドス | 95,955.00 | 
| シエラレオネ | 82,100.36 | 
| ベナン | 80,906.99 | 
| バハマ | 62,197.83 | 
| アフガニスタン | 58,000.00 | 
| マレーシア | 25,032.38 | 
| カーボベルデ | 22,930.00 | 
| ギニアビサウ | 7,008.56 | 
| グレナダ | 6,276.00 | 
| ドミニカ | 4,876.14 | 
| ポリネシア | 3,582.28 | 
| フランス領ポリネシア | 3,570.33 | 
| オマーン | 1,679.48 | 
| ブータン | 242.48 | 
| ブルネイ | 81.18 | 
| ジブチ | 54.54 | 
| サモア | 11.95 | 
| アンティグア・バーブーダ | - | 
| イラク | - | 
| レバノン | - | 
| プエルトリコ | - | 
| ロシア | - | 
| セントクリストファー ネイビース  | - | 
| セントルシア | - | 
| シンガポール | - | 
| 南スーダン | - | 
| シリア | - | 
| トリニダード・トバゴ | - | 
| ウクライナ | - | 
| イエメン | - | 
各国
サトウキビ 情報

サトウキビのエネルギー
砂糖のエネルギーは100gあたり386カロリーです。
サトウキビの原産地
サトウキビは南太平洋の島々が原産とされていましたが、近年では「インド原産」といわれる事が多くなります。
どうやってサトウキビから砂糖を作るの?
1. 収獲したサトウキビを細かくして絞る
2. 石灰乳(水に水酸化カルシウムを加え、どろどろの懸濁液にしたもの )を加え、不純物を沈殿させる
3. 上澄液(サトウキビシロップ)を集める
4. 特殊な機械を利用して結晶にする
島国に多い糖尿病患者
「南太平洋の島国」「カリブ諸国」は糖尿病の有病率が高く、問題になっています。これらの国々は砂糖を生産しており、砂糖の摂取量が多い事や近年では「米」の消費量が多い事などが糖尿病を誘発させる要因になっています。
「世界の砂糖消費量ランキング」の記事はこちらになります。よろしかったらご覧ください。
ブラジル
サトウキビ 情報
ブラジルのサトウキビ
ブラジルで利用されるポルトガル語でサトウキビは「Cana de açúcar(カーナ デ アスカー)」です。
ブラジルのサトウキビの歴史
ブラジルは16世紀から17世紀にかけて「砂糖の時代」と呼ばれ、ポルトガルの植民地としてサトウキビの生産量を拡大させていました。17世紀半ばで世界最大の砂糖生産地になり、1690年代に「金」「ダイヤモンド」の発掘にかわるまで砂糖がメイン産業になりました。
現在は「バイオエタノール」を生産するなど他方向に砂糖が利用されており、サトウキビ産業は成長を続けています。
ブラジルのサトウキビ生産地
主に南東部の「サンパウロ州」、中南東部の「ゴイアス州」、南東部の「ミナスジェライス州」、南西部の「マットグロッソ・ド・スル州」、南部の「パラナ州」などでサトウキビ生産がおこなわれています。
ブラジルのバイオエタノール
ブラジルは1973年に発生した「オイルショック」を期に、車などに利用する燃料を「バイオエタノール」とブレンドさせる法律が1977年に制定されています。バイオエタノールの混合率は年々増加し、現在は車に利用する燃料に対し、27%のバイオエタノールを混合させる必要があります。ヨーロッパは2020年に10%・イギリスは4.75%のバイオエタノールのブレンドが義務付けられています。
ブラジルのサトウキビから加工されたバイオエタノールが「世界で最も環境に良い燃料」と言われています。
バイオマスプラスチック
「バイオマスプラスチック」は植物を原料とした「プラスチック」で、サトウキビ・トウモロコシなどから生産する事が可能です。現在、日本ではビニール袋の利用削減などが求められており、バイオプラスチックは環境に負担をかけにくい製品として注目が集まっています。
インド
サトウキビ 情報
インドのサトウキビ
サトウキビはインドで利用されるヒンディー語で「गन्ना(ガンナ)」です。
インドのサトウキビ生産地
インドでは多くの地でサトウキビ栽培が行われていますが、主に北東部の「ウッタル・プラデーシュ州」「ウッタラーカンド州」「ビハール州」、北部の「パンジャブ州」「ハリヤーナー州」での生産量が多くなります。
休息に拡大するサトウキビ産業
インドのサトウキビ産業は拡大していますが、急激な生産量の増加と共に「国内の在庫増加」「サトウキビ代の支払いの延滞」などの問題が発生しています。バイオエタノールの生産も行われていますが生産量は停滞しており、主に「需要と供給のバランス」に問題を抱えています。
国内で5000万人が
サトウキビ産業に従事している
インドでは5000万人以上の人がサトウキビ産業に従事しています。国内に存在する農家の3%がサトウキビ農業であり、インドの経済を支える重要な生産物の一つです。
中国
サトウキビ 情報
中国のサトウキビ
サトウキビは中国語で「甘蔗(ガンジュウ)」です。 
中国のサトウキビ生産地
主に「広東省(かんとんしょう)南西部の湛江市」、南部の「海南省(かいなんしょう)」「広西チワン族自治区」、南東部の「福建省(ふっけんしょう)」、南西部の「雲南省(うんなんしょう)」、中南西部の「四川省(しせんしょう)」などでサトウキビ栽培がおこなわれています。
人手不足のサトウキビ産業
中国では非常に多くサトウキビを生産していますが、農村部などで「労働者不足」が深刻な問題になっています。労働力不足により「作業の機械化」が促進されていますが、サトウキビの種付け作業が機械化されている農家は3割程度にとどまり、収穫が機械化されている農家は数パーセントです。
日本も過去にサトウキビ農家の労働力不足に見舞われ、機械化が促進されました。現在では70~80%を超えるサトウキビ農家が機械を利用しています。中国のサトウキビ産業は拡大しており、今後は急激な機械化が行われると思われます。
パキスタン
サトウキビ 情報
パキスタンのサトウキビ
サトウキビはパキスタンで利用されるウルドゥー語で「گنا(ゴーナ)」です。 
パキスタンのサトウキビ生産地
主に東部の「パンジャーブ州」、南部の「シンド州」、北部の「カイバル・パクトゥンクワ州」でサトウキビ栽培がおこなわれています。南西部の「バローチスターン州」でもサトウキビ栽培がおこなわれていますが限定的です。
綿花栽培からサトウキビ栽培へシフト
パキスタンは気候変動の影響と思われる環境の変化問題を踏まえ、綿花栽培(国内のメイン産業)からサトウキビ栽培へ切り替えがおこなわれています。強制的にサトウキビ栽培を求められた農民は不満を漏らしてり、大きな問題になっています。
綿花栽培の危険性
「綿花栽培」は過去にソビエト連邦などで積極的に取り入れられた農業ですが大量の「水」を必要とする作物であり、水源として利用された「アラル海」は現在、枯渇の危機に陥っています。雨量が限定的な国では地下水を利用した「灌漑農業:人工的に水を引き込む農業」がおこなわれていますが、地下水の減少など大きな問題に繋がります。
タイ
サトウキビ 情報
タイのサトウキビ
サトウキビはタイ語で「อ้อย(ナムオーイ)」です。 
タイのサトウキビ生産地
主に「中部」「北部」「東北部」でサトウキビ生産がおこなわれており、東北部で生産されているサトウキビは国内で生産されているサトウキビの4割を占めています。
大規模な焼き畑
国内で非常に多くのサトウキビを生産していますが、7割のサトウキビが手作業で収穫されています。農業の効率を上げるために「焼き畑」が行われており、大気汚染の原因になっています。
日本への輸出も多い
日本はタイから多くの砂糖を輸入しています。
メキシコ
サトウキビ 情報
メキシコのサトウキビ
サトウキビはメキシコで利用されるスペイン語で「Caña de azúcar(カーニャデアズーカ))」です。 
メキシコのサトウキビ生産地
主に南東部の「ベラクレス州」、西部の「ハリスコ州」、中北東部の「サン・ルイス・ポトシ州」でサトウキビ栽培がおこなわれています。
サトウキビの生産により
50万人以上の雇用につながっている
メキシコでもサトウキビがバイオエタノールや家畜の飼料として利用されており、サトウキビに関連する様々な産業で50万人以上の人が仕事に従事しています。サトウキビ産業は今後も大きく拡大すると思われ、メキシコでサトウキビに関連する職業に従事する人は増加すると思われます。
国内で減少する砂糖の消費量
国内で砂糖の消費量が減少しています。メキシコ政府は国をあげて肥満率を低下させる取り組みをおこなっており、「砂糖使用量の制限」掲げるキャンペーンなどが行われています。近年では健康に気を使う人が増加しており、砂糖消費量が減少しています。
インドネシア
サトウキビ 情報
インドネシアのトウキビ
サトウキビはインドネシア語で「tebu(テブ)」です。 
インドネシアのサトウキビ生産地
主にジャワ島東部の「東ジャワ州」、スマトラ島南部の「ランプン州」、ジャワ島中部の「中部ジャワ州」、スマトラ島南部の「南スマトラ州」、スウェラシ島南部の「南スラウェシ州」でサトウキビ栽培されています。栽培が多いのは東ジャワ州とランプン州が多くなります。
インドネシアのサトウキビ栽培の歴史
インドネシアはオランダの植民地時代だった1830年からサトウキビ栽培が開始されています。オランダはサトウキビ以外に「コーヒー」栽培などもおこない、海外市場で莫大な利益を得ています。現在も多くのサトウキビが生産され、インドネシアの経済を支える重要な生産品の一つです。
オーストラリア
サトウキビ 情報
オーストラリアのサトウキビ生産地
主に北東部の「クイーンズランド州」でサトウキビ生産がおこなわれており、国内で生産される95%以上のサトウキビがクイーンズランド州で生産されています。残りは南東の「ニューサウスウェールズ州」で生産されています。
日本へも輸出されている
オーストラリアで生産された砂糖は「日本」「韓国」「マレーシア」「インドネシア」をメインに輸出しています。クイーンズランドで生産された砂糖の85%以上が海外輸出されています。
米国
サトウキビ 情報
アメリカのサトウキビ生産地
主に南西部の「フロリダ州」「ルイジアナ州」「テキサス州」「プエルトリコ:アメリカの自治」などでサトウキビ生産がおこなわれています。
キューバとの関係悪化
1960年代にキューバはアメリカとの関係が悪化し、キューバ最大の産業である砂糖の輸入を停止し、国交が断行されました。キューバの経済に大きな打撃を受けましたが、社会主義の国々などと関係を強め、現在も多くの砂糖が国内で生産されています。
最大の砂糖の輸入地を失ったアメリカは気候が温暖な「フロリダ州」の砂糖生産を増加させ、現在も多くの砂糖が生産されています。
グアテマラ
サトウキビ 情報
グアテマラのトウキビ生産量
サトウキビはグアテマラで利用されるスペイン語で「Caña de azúcar(カーニャデアズーカ))」です。 
グアテマラはどこ?
グアテマラは中米に存在し、メキシコと国境を接しています。
グアテマラのサトウキビ生産地
主に南西部の「Retalhuleu(レタルハレウ県)」「Suchitepéquez(スチテペケス県)」「Escuintla(エスクィントラ県)」「Santa Rosa(サンタ・ローサ県)」でサトウキビが生産されています。
サトウキビ生産は大量の水を必要とする
サトウキビの栽培には大量の「水」が必要になります。サトウキビの年間要水量は1500ミリ程度であり、灌漑設備が必要になります。
サトウキビの生産は森林破壊に繋がる
気候変動問題などにより化石燃料の利用を制限する国が増加しており、サトウキビなどを利用して生産される「バイオエタノール」に注目が集まっています。サトウキビの生産量を増加させるために森林伐採がおこなわれ、更なる環境破壊に繋がるケースが増加しています。
日本
サトウキビ 情報
日本のサトウキビ生産地
「沖縄県」「鹿児島県」でサトウキビ生産がおこなわれています。
日本のバイオエタノール生産量
日本ではほどんど「バイオエタノール」生産がおこなわれていません。原料となる作物の生産量が少なく、バイオエタノールの生産は限定的です。
米からバイオエタノールは生産できないの?
可能です。県により1㎏20円で「バイオエタノール用の米」を買い取りをおこなっています。県により1アール(10mx10m)あたり5万~10万円の「産地確立交付金」の助成金を交付している自治体などがあります。
儲かる?
日本では昔の単位で「町(ちょう)=約100mx100m」というものがあり、約1ヘクタールに相当します。日本の農家は平均で1町の農地を有している農家が多くなっています。
「1反(31.5m×31.5m)」で収穫できる「米」の量は平均で530kgです。530kgの米から「約14万円程度の収入」を得る事ができます。
肥料・除草剤・農薬・用水路整備や灌漑などにかかる土地改良費・農機具費・賃貸料(小作人の場合)などの様々な経費として「約8万円」ほど支出しています。水田 一反当りの限界利益は6万円程度となる計算になります。(人件費は除く)
まとめ
バイオエタノールの原料として
サトウキビは環境問題の観点から注目を集めており、多くの生産国が増産させています。サトウキビを生産できる国は限られていますが、バイオエタノールは様々な植物から生産する事が可能であり、研究が続けられています。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考
FAO, FAOSTAT. "Crops and livestock products - Sugar cane, Production (t)" (English) 1961-2022年. ©FAO 2024. 2021年08月11日閲覧。
FAOの利用規則はこちら (English) です。
サムネイル:Pixabay
ライセンスに関してはこちら (English) をご覧ください。