アマニ油は様々な用途で利用される
亜麻は種子から「アマニ油」が採れ、「食用」「塗料」「リネン繊維」などに利用されます。日本では明治~昭和初期にかけて「北海道」で広く栽培がおこなわれていましたが、現在はほどんど生産されていません。
世界ではどの国がどのくらい亜麻を生産しているのでしょうか?
世界の亜麻仁
生産量ランキング
世界の亜麻仁生産量
世界一位 ロシア
世界二位 カザフスタン
世界三位 カナダ
世界の亜麻仁 生産量ランキング
Linseed
Production
各国の亜麻仁
情報
アマニ油のエネルギー
アマニ油は100gあたり約900Kカロリーになります。
アマニ油に含まれる「αリノレン酸」
アマニ油にはオメガ3脂肪酸の「αリノレン酸」が多く含まれていています。αリノレン酸は「血圧を下げる」「血栓の予防」などの効果があるとされます。小さじ一杯のアマニ油で1日に必要なオメガ3脂肪酸の摂取が可能であり、注目を集めている食品です。
心臓や血管の病気に効くの?
心臓や血管の病気と診断された一部の人に亜麻仁が効果があるという研究結果がでています。
アルツハイマーやうつ病に効くの?
「アルツハイマー」「うつ病」などに効果があるという研究はほとんどおこなわれていませんでした。
食用以外にも利用される
「絵具」「床材」「ワックス」「キャンドル」などに利用されています。
亜麻仁は便秘に効くの?
食物繊維が多く含まれているので、便秘を解消する可能性がありますが、詳しい研究はほどんどおこなわれていません。更年期の症状が改善されるという研究には相反するという研究結果が出ており、更年期の症状下では亜麻仁の接種を控えたほうが良いかもしれません。
バイオディーゼルとして利用
アマニ油はバイオ燃料として利用が可能です。使用済みの食用油などからもバイオ燃料を精製する事が可能であり、再生可能のエネルギーとして利用が可能です。
ロシア
亜麻仁 情報
ロシアの亜麻仁
亜麻はロシア語で「Лен(リョーン)」です。
ロシアの亜麻生産地
主な生産地はロシアに中西部の「マリ・エル共和国」、西部の「ニジニ・ノヴゴロド州」、西部の「ヤロスラヴリ州」、西部の「イヴァノヴォ州」、西部の「ブリャンスク州」などで多く生産されています。
アマニ油の生産工場
2020年に大規模なアマニ油の工場をロシア北西部の「スモレンスク州」に新設するなど亜麻仁の生産に力を入れています。新設された工場で生産される加工品は非常に質が良く、ヨーロッパなどへの輸出が期待されています。
ロシアでもアマニ油に注目が集まる
ロシアも健康志向が高く、アマニ油に含まれるオメガ3脂肪酸などに注目が集まっています。
カザフスタン
亜麻仁 情報
カザフスタンの亜麻仁
亜麻はカザフスタンで利用されているカザフ語で「зығыр(ジィギィール)」です。
カザフスタンのアマニ生産
カザフスタンは亜麻仁の栽培に非常に適した気候を有しています。
アマニ油はヨーロッパ、中国から需要が高く、2010年に小麦の値段が1トン130ドルに対し、亜麻仁は1トン500ドルで取引きされていました。
カザフスタンは亜麻を利用する文化が無い
カザフスタンは非常に多くの亜麻仁を生産していますが、カザフスタンには亜麻を利用する文化がありません。生産される全ての亜麻仁が「輸出用」であり、亜麻仁の需要が高い国へ輸出されています。
主な輸出先は「中国」「ベルギー」「ポーランド」「アフガニスタン」「ロシア」に輸出していています。
生産された亜麻仁のほどんどがヨーロッパ・中国へ輸送されていますが、輸送に時間がかかるという問題をかかえています。
カザフスタンのアマニ油の生産地
主に「北部」でアマニ油が生産されています。北部では「ヒマワリ」「マスタード」などの植物油の原料となる作物が多く栽培されています。
カナダ
亜麻仁 情報
カナダの亜麻仁
亜麻は英語で「Flax(フラックス)」です。
カナダの亜麻仁生産地
主に中央部の「サスカチュワン州」「マニトバ州」で主に亜麻を生産しています。
環境への配慮
カナダは環境保護の意識が高く、「石油を利用した塗料」から「亜麻仁を利用した治療」への切り替えなどをおこなっており、亜麻仁の需要が増加しています。ロシアでも塗料として一般的に利用されています。
増加するアマニ油の使用量
カナダは「アマニ油」を積極的に取り入れており、パン、ベーグル、お菓子など食品としてアマニ油が利用される事が多くなります。食品業界では亜麻仁の需要が3倍近く増加しており、今後も増加すると思われます。
中国
亜麻仁 情報
中国の亜麻仁
亜麻は中国語で「亚麻(ヤマ)」です。
中国の亜麻生産
中国では「漢王朝」時代から亜麻仁生産がおこなわれており、中北部の「甘粛省(かんしゅくしょう)」、「北西部」にかけて古くから生産されていた記録が残っています。
中国の亜麻生産地
亜麻仁の生産量は1990年代から減少していましたが、近年、作付け面積は増加しています。主に「甘粛省(かんしゅくしょう)」、中東部の「安徽省(あんきしょう)」、中南西部の「涼山イ族自治州(りょうざんいぞくじちく)」、中央部の「陝西省(せんせいしょう)」、北東部の「河北省(かほくしょう)」、北部の「内モンゴル自治区」、中北東部の「山西省(さんせいしょう)」、中北部の「寧夏回族自治区(ねいかかいぞくじちく)」などで増加しています。
利用価値の高い油
アマニ油の食品としての価値が向上しており、今後生産量が増加すると思われます。
インド
亜麻仁 情報
インドの亜麻仁生
亜麻仁はインドで利用されるヒンディー語で「зसन(サン)」です。
インドの亜麻仁生産地
主に中部の「マディヤ・プラデーシュ州」、北東部の「ウッタル・プラデーシュ州」、中西部の「マハーラーシュトラ州」、北東部の「ビハール州」、北西部の「ラージャスターン州」、南東部の「オリッサ州」などで多く生産されています。
とくにマディヤ・プラデーシュ州とウッタル・プラデーシュ州の生産が多く、インド国内で生産される亜麻仁の60%以上が生産されています。
インドのアマニ生産
主にアマニ油が工業用として利用されており、「塗料」「薬」「石鹸」など様々な物に加工されます。食用としても利用され、「家畜の飼料」としても多く利用されています。
エチオピア
亜麻仁 情報
エチオピアの亜麻仁
亜麻はエチオピアで利用されるアムハラ語で「ተልባ(テェリバ)」です。
エチオピアの亜麻仁生産地
主に中北部の「アムハラ州」で亜麻仁が多く生産されています。
生産性は低い
エチオピアは多くの亜麻仁栽培がおこなわれていますが、適切な栽培がおこなわれていないため、生産量が低くなります。国内では植物油が不足しており、油脂作物を増産させています。
フランス
亜麻仁 情報
フランスの亜麻仁生
亜麻はフランス語で「lin(リン)」です。
フランスの亜麻仁生産地
主に北部の「セーヌ=マリティーム県」「ウール県」などで多く生産されており、フランスで生産される亜麻仁の過半数以上がフランス北部で生産されています。
生産量の増加
フランスでは亜麻仁の需要が増加しており、生産量が大きく増加しています。
リネン繊維の原料
亜麻は「麻」の原料の一つであり、亜麻の茎から「リネン繊維」を生産する事が出来ます。生産には非常に手間がかかり、麻製品は高級製品として扱われていますが、近年「科学繊維」の使用を避ける人・生産者が増加しており、麻などの繊維が注目を浴びています。
イギリス
亜麻仁 情報
イギリスの亜麻仁
2021年にイギリスは亜麻仁を71,000トン生産しています。世界で生産される亜麻仁の2.12%がイギリスで生産されています。
イギリスの亜麻仁生産
イギリスは亜麻生産が古代から行なわれていた形跡があり、非常に長い歴史があります。イギリス全土で生産が可能であり、近年は「麻」の生産に興味を持つ若者などが増加しています。生産が多いのは「北アイルランド」などになります。
イギリスとその他の英語圏は呼び名が違う
イギリスでは亜麻仁を「linseed(リンシード)」と呼びます。他の英語圏では「Flax seed(フレックスシード)」と呼ばれており、日本ではベッドシーツ・枕などの布を「リネン:リンネルの事で、フランス語で麻」と呼ばれます。
米国
亜麻仁 情報
米国の亜麻仁生産地
主に北部の「ノースダコタ州」「ミネソタ州」で多くの亜麻仁が生産されています。
生産量の減少
アメリカでは1800年代から亜麻仁の栽培が盛んにおこなわれていましたが、戦後に「トウモロコシ」「大豆」などの穀物への転換が進み、亜麻仁の生産は減少しました。
1990年代に減少していた生産量も食用としてのアマニ油などの関心が高まり増加しています。
ウクライナ
亜麻仁 情報
ウクライナの亜麻仁
亜麻はウクライナ語で「льон(リョーン)」です。
ウクライナの亜麻仁生産地
主に北部の「ジトーミル州」「スームィ州」「チェルニーヒウ州」で多くの亜麻仁が生産されています。生産された多くの亜麻繊維はヨーロッパを含めた多くの国へ輸出しています。
アフガニスタン
亜麻仁 情報
アフガニスタンの亜麻仁
亜麻はアフガニスタンで利用されるパシュート語で「زنگ(ザンギ)」です。
生産量の減少
アフガニスタンでは「ゴマ油」「アマニ油」などが多く生産されていましたが、近年安い外国産などの輸入が多くなり、国内の生産量が減少しています。
アフガニスタンの亜麻仁生産地
主に北部の「バルフ州」「ジョウズジャーン州」で多くの亜麻仁が生産されています。
まとめ
生産量の増加
環境問題がピックアップされる事が多くなり、「亜麻」などの植物に注目が集まっています。日本では北海道などで生産がおこなわれていますが、限定的になります。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考
FAO, FAOSTAT. "Crops and livestock products - Linseed, Production (t)" (English) 1961-2021年. ©FAO 2024. 2021年09月15日閲覧。
FAOの利用規則はこちら (English) です。
サムネイル:Pixabay
ライセンスに関してはこちら (English) をご覧ください。