ジュースと肥満の関係
世界中で「肥満」が問題視されており、加糖された「ソフトドリンク」の消費は肥満の要因の一つです。すでに欧米の多くの国は加糖されたソフトドリンクに「ソーダ税」を設ける国が多く、今後もソーダ税を設ける国は増加すると思われます。
ソーダ税って何?
ソーダ税(ソフトドリンク税)は、砂糖を多く含む飲料に対して課される税金のことです。この税金は、糖分の摂取を減らし、肥満や糖尿病などの健康問題を抑制することを目的としています。また、政府にとっては税収を増やす手段としても利用されています。課税方法は、飲料中の砂糖含有量に基づいて課税される場合が多くなります。多くのヨーロッパの国々、中米、南米などでも導入されています。
加糖された飲み物が
肥満を引き起こすメカニズム
加糖された飲み物には、大量の砂糖が含まれており、これがカロリーの過剰摂取につながります。飲み物の糖分は血糖値を急上昇させ、その後急激に低下するため、空腹感を促進します。例えば、500mlの炭酸ジュースには40g以上の砂糖が含まれていることがあり、これだけで成人の1日推奨砂糖摂取量を超えることがあります。
加糖飲料の摂取は満腹感を感じにくいため、結果として他の食べ物の摂取量も増えることが多いです。その結果、肥満のリスクが高まります。
コーラ、エナジードリンク、ジュースには多くの砂糖が含まれています。日本人を含むアジア人はインスリンの分泌量が少ないため、ダイアベティス(旧糖尿病)になりやすいとされています。
世界ではどの国がどのくらいソフトドリンクを消費しているのでしょうか?
世界のジュース・ソフトドリンク
消費量
世界のソフトドリンク消費量
世界一位 ルワンダ
世界二位 トーゴ
世界三位 セントビンセント
世界のソフトドリンクの消費量
Sugar-sweetened beverage intakes
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ソフトドリンクの消費(国別)
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コーラ・エナジードリンクを含む
ソフトドリンクの消費量
情報
アフリカと南米の消費量が多い
「アフリカ」「南米」の多くの国々で加糖されたソフトドリンクの消費量が非常に多くなります。
なぜ「アフリカ」「南米」の消費量が多い?
アフリカの多くの国々で経済が成長しています。「ナイジェリア」の都市「ラゴス」は将来的に世界一の人口を有する都市になると言われるほど爆発的に人口が増加しており、著しく成長する経済と共に加糖されたソフトドリンクの入手が容易になり、消費量が増加しています。
水へのアクセスが難しい
発展途上国は「安全な水」へのアクセスが難しく、一般的に飲料水は購入する必要があります。水と同等の価格で販売されるソフトドリンクを購入する人が多く、日常的に水分補給を加糖されたソフトドリンクでおこなう人が多く存在します。
外国企業の参入
成長するアフリカの経済に参入する外国企業は多く、アフリカですでに多くのソフトドリンクが販売されています。今後も更に増加すると思われます。
「ダイアベティス」などの問題
世界中で「ダイアベティス(旧糖尿病)」が増加しており、アフリカや南米でも増加しています。加工されたエネルギー量が多い食品や飲み物への購入が簡単になっており、世界の肥満率が上昇しています。
アメリカで一番売れている飲み物は「水」
「アメリカ人はコーラを飲む」のは過去の話であり、アメリカで一番売れている飲み物は「水」です。
子供のエナジードリンクの飲料を禁止する国
バルド三国では子供のエナジードリンクの飲料を禁止しており、18歳未満は購入する事が出来ません。
子どもや若者への影響
ジュースや炭酸飲料は特に子どもや若者に人気があり、その消費が肥満率の増加に寄与しています。若い年齢で肥満が進行すると、その後の人生で健康リスクが増大します。例えば、アメリカでは10代の若者の肥満率が増加し、これが公衆衛生の大きな課題となっています。
ソフトドリンクの飲料と頭の良さの関係
低学歴の人間は高学歴の人間より多くのソフトドリンクを消費する傾向があります。また、都市部の人間より、農村部の人間の方がソフトドリンクを消費する傾向があります。
ルワンダ
ソフトドリンク 情報
増加する肥満率
ルワンダは比較的に肥満率の少ない国ですが、都市部の肥満率は25%を超えており、生活習慣病などにかかる人が増加してます。農村部でも肥満になる人が増加しており、高カロリーの食品にアクセスしやすい生活に変化してきています。
都市化の進展
首都キガリをはじめとする都市部では、都市化が進み、飲食店やカフェの数が増加しています。これに伴い、ソフトドリンクが手軽な選択肢として利用されています。
若年層の多い人口構成
ルワンダは人口の半分以上が30歳未満の若い国であり、若者はソフトドリンクを好む傾向があります。この世代は新しい嗜好品やトレンドに敏感で、炭酸飲料やエナジードリンクの需要が高まっています。
ソフトドリンクの消費税は39%
ルワンダはソフトドリンクに設けられている消費税は「39%」です。これは砂糖の摂取を減らす目的で設けられているわけでは無く、全ての飲料に設けられています。
ルワンダ政府は増加する肥満率に対し、「ソーダ税」などを検討していますが、ルワンダは国内で砂糖生産業に力を入れており、ソーダ税の導入は砂糖生産業の雇用などに影響を与えるとし、反対する住民が多く存在します。
気候の影響
ルワンダは比較的温暖な気候であり、特に暑い日には冷たい飲み物の需要が高まります。ソフトドリンクはそのような需要を満たす商品として人気です。
トーゴ
ソフトドリンク 情報
トーゴはどこ?
トーゴは「西アフリカ」に位置する国です。すり潰した穀物やイモに水を加えた餅状の食べ物「フフ」を主食として消費する国であり、国内で提供される料理はアフリカ料理の他にヨーロッパ料理の影響も強く受けています。
若い人口構成
トーゴは若年層が多い国であり、人口の大部分を若者が占めています。この層はソフトドリンクを好む傾向が強く、日常的に消費されています。
トーゴの都市化
首都ロメなどの都市部では、都市化が進むにつれスーパーマーケットや飲食店の数が増加しています。これにより、ソフトドリンクが日常生活の一部となっています。
アフリカのソフトドリンク
国内で生産されたソフトドリンク「Bissap(ビサップ)」が人気です。ビサップは露天などで販売されるソフトドリンクであり、「Roselle(ローゼル)」という花を煮だして作ります。
低価格で手に入りやすい
ソフトドリンクは地元で生産されるものも多く、輸入品に比べて価格が手頃です。また、小規模な売店や露天商でも簡単に購入できるため、広範な層に消費されています。
宗教的・文化的要因
トーゴでは一部の宗教的理由やライフスタイルの選択により、アルコール飲料を控える人々が多くいます。これにより、ソフトドリンクが主要な選択肢として位置づけられています。
セントビンセント
ソフトドリンク 情報
セントビンセント・グレナディーンはどこ?
セントビンセント・グレナディーンはカリブ海に浮かぶ島国です。米国などからの観光客が多く、国内で多くのソフトドリンクが消費されます。
島国の肥満問題
「カリブ海の島国」「太平洋の島国」は肥満率が高い傾向があります。島国で生産できる物は限られており、多くの食べ物・飲み物が輸入品になります。また、「ココナッツ」など糖分が多い島国特有の食べ物が利用される事が多く、国内の肥満率を押し上げています。
観光業の影響
同国は観光が主要な産業であり、多くの観光客が訪れるため、ホテル、レストラン、バーなどでのソフトドリンクの提供が盛んです。観光客だけでなく、観光業に従事する地元の人々もソフトドリンクを日常的に消費しています。
観光と地元文化の融合
観光地ではカクテルやミックスドリンクにソフトドリンクが使用されることも多く、これが追加的な需要を生んでいます。また、地元の料理と一緒にソフトドリンクが楽しまれることも一般的です。
手軽な入手性
国内外のソフトドリンクメーカーが市場に商品を供給しており、小さな店舗からスーパーマーケットまで、どこでも簡単に購入できます。また、ローカルブランドも生産されており、価格帯が多様なため、幅広い層に利用されています。
アルバニア
ソフトドリンク 情報
ソフトドリンクの価格上昇
国内の物価は上昇しており、ソフトドリンクの製造コストは20%近く上昇したとされます。ソフトドリンクの価格は5~10%近く上昇しており、若者を中心にソフトドリンクの消費が減少しています。
若年層の多い人口構成
アルバニアは人口の多くが若年層で占められており、この層がソフトドリンクの主な消費者となっています。特に若者は、炭酸飲料やエナジードリンクを好む傾向があります。
気候の影響
アルバニアは地中海性気候に属しており、夏は高温で乾燥しています。このような環境では冷たい飲み物への需要が高まり、ソフトドリンクが人気を集める要因となっています。
都市化と外食文化の発展
近年の都市化に伴い、外食文化が広がっています。カフェやレストランでのソフトドリンクの提供が一般的であり、これが消費量を押し上げています。また、アルバニアではカフェ文化が根強く、ソフトドリンクがコーヒー以外の選択肢としてよく飲まれています。
アルバニアの肥満率
アルバニアは男女共に約25%程度の人が肥満です。女性は8%程度、男性は9%程度ダイアベティスを患っていると推定されており、国内ではソフトドリンクを含め加糖された飲み物が多く消費されます。
アルコール代替品としての役割
アルバニアでは、一部の層でアルコールを避ける傾向があり、ソフトドリンクが主要な代替品として消費されています。特に運転時や日中の休憩中に選ばれることが多いです。
人口の70%以上がイスラム教を進行しており、アルコールを摂取しません。
モーリシャス
ソフトドリンク 情報
モーリシャスはどこ?
モーリシャスはアフリカの「マダガスカル島」から北東に行った所にある島国です。熱帯気候に属しており、「サトウキビ」が盛んに生産されています。
サトウキビから観光業へ
サトウキビの輸出を軸にして経済を回していましたが、現在は観光業や繊維産業に力を入れています。国内で生産できるものは限られており、輸入品が多くなります。
観光業の影響
モーリシャスは観光が主要な産業であり、多くの観光客が訪れます。リゾートやホテル、レストランではソフトドリンクが広く提供されており、観光客だけでなく、地元住民の消費も促進されています。
国内生産と低価格
モーリシャスではローカルブランドによるソフトドリンクの生産も盛んであり、輸入品に比べて低価格で提供されています。これが消費量の増加に寄与しています。
多文化的な食文化の影響
モーリシャスはインド系、アフリカ系、ヨーロッパ系、中国系の文化が混在しており、多文化的な食生活を楽しむ国です。食事中や食後にソフトドリンクを飲む習慣が広く浸透しています。
コロンビア
ソフトドリンク 情報
加糖された飲み物が多い
南米コロンビアは国内で砂糖を生産しており、国内に非常に多くの加糖されたソフトドリンクが存在します。
甘い飲み物を好む嗜好
コロンビアでは甘い飲み物やデザートが好まれる傾向があり、ソフトドリンクもその一環として広く受け入れられています。砂糖を使用した地元産の飲料が特に人気です。
食文化との結びつき
コロンビアの食事はスナックや揚げ物を含むことが多く、これに合う飲み物として炭酸飲料が選ばれることが一般的です。また、ファーストフードや軽食と一緒にソフトドリンクが提供されるケースが多いです。
多様な気候と地域特性
コロンビアは熱帯気候を持つ地域が多く、特にカリブ海沿岸部や平野地帯では暑さが厳しいため、冷たい飲み物への需要が高いです。また、高地に住む人々も、食事や休憩時にソフトドリンクを楽しむ習慣があります。
国内の飲料メーカー
「Postobon(ポストボン)」は国内最大の飲料メーカーであり、様々なソフトドリンクを国内で提供しています。一番人気があるソフトドリンクは「Colombiana(コロンビアナ)」というコーラであり、国内の量販店で販売されています。
ジブチ
ソフトドリンク 情報
気候による需要
ジブチは非常に暑い乾燥気候であり、年間を通じて高温が続きます。このような環境では、冷たく甘い飲み物が喉を潤す手軽な選択肢として好まれるため、ソフトドリンクの消費が増えます。
都市化とライフスタイルの変化
ジブチでは都市化が進む中で、生活スタイルがより西洋化しつつあります。ファーストフードやスナック菓子とともにソフトドリンクを飲む習慣が広がり、これが消費を押し上げています。
広がるマーケットと手軽な入手性
多国籍企業(例:コカ・コーラやペプシ)だけでなく、地域で流通するブランドもジブチ市場に参入しています。これにより、都市部や農村部を問わず、ソフトドリンクが広く手に入るようになっています。
甘い嗜好品の好み
ジブチの多くの人々は甘い飲み物や食べ物を好む傾向があります。砂糖を多く含むソフトドリンクはその嗜好に合致しているため、頻繁に消費されています。
肥満との関係
ソフトドリンクの高い砂糖含有量と頻繁な消費は、肥満の主要な原因の一つとされています。特に、ジブチでは以下の要因が肥満を悪化させる可能性があります。
セネガル
ソフトドリンク 情報
高温多湿の気候
セネガルは西アフリカのサヘル地域に位置し、年間を通じて気温が高く湿度が高い環境です。このような気候では、冷たく甘いソフトドリンクが喉を潤す飲み物として好まれ、消費が増えます。
都市化とライフスタイルの変化
都市部ではファーストフードや軽食とともにソフトドリンクを飲む習慣が一般的になり、都市化が進むにつれて消費が拡大しています。
身体活動の低下
都市化が進む中、身体活動が減少する一方で、高カロリーのソフトドリンクや加工食品の消費が増加しているため、エネルギーの摂取と消費のバランスが崩れています。
健康意識の欠如
砂糖やカロリーの過剰摂取が健康に及ぼす影響に関する教育や啓発が不十分であり、多くの人がソフトドリンクを健康リスクなしに楽しむ飲み物と認識しています。
東ティモール
ソフトドリンク 情報
東ティモールはどこ?
東ティモールはインドネシアとオーストラリアの間にある島国で、インドネシアと国境を接しています。「石油」「天然ガス」の産出国であり、独立以来、これらの資源に依存しています。しかし、国内の貧困率は40%を超えています。
インドネシアの輸入品が多い
輸入品に依存しており、とくにインドネシアからの輸入品が多くなります。国内でソフトドリンクは生産していませんが、輸入品を購入する事が可能であり、国内のスーパーマーケットなどで販売されています。
観光客の半分がインドネシア
東ティモールを訪れた外国人観光客のうち、50%以上がインドネシアからの訪問です。国内の人口は約136万人であり、観光業の発展に力を注いでいます。
コーヒーの生産が盛んにおこなわれる
農業は東ティモールの経済において重要な役割を果たしており、人口の約80%が農業に従事しています。主な作物には、コーヒー、米、カシューナッツ、トウモロコシ、サトウキビなどがあります。特にコーヒーは東ティモールの代表的な輸出品であり、品質の高いアラビカ種が栽培されています。
バルバドス
ソフトドリンク 情報
バルバドスはどこ?
バルバドスはカリブ海に浮かぶ島国であり、観光業と国内で生産される「サトウキビ」を国内の基盤にしています。人口は28万人程度であり、国内には多くの輸入品が販売されています。
バルバドスのソフトドリンク
コーラなどの商品は「バルバドス・ボトリング・カンパニー(Barbados Bottling Company)」が製造・販売をおこなっています。
肥満率が高い
バルバドスでは、成人の肥満率が高い傾向にあり、成人の肥満は約29パーセントです。
イエメン
ソフトドリンク 情報
中東で増加する肥満
中東は肥満体質の人が多く、問題視されています。高所得者は低所得者に比べ5%程度ソフトドリンクを飲む人が少なく、「水」を買う傾向があります。
中東の肥満の原因は「食べ過ぎ」
中東の肥満の原因は「食べ過ぎ」「飲み過ぎ」です。「炭水化物」「脂質」は体が必要な量からさらに30~40%摂取している人も多く、肥満の要因になっています。
パナマ
ソフトドリンク 情報
ソフトドリンクの増税
パナマでは1995年からソフトドリンクに設けられている5%の税金を7%に引き上げています。また、国産・輸入品の加糖された飲み物には5%、製造に使用される濃縮シロップなどには6%から10%に引き上げています。
パナマでは「子供の肥満」が増加しており、生活習慣病に伴う医療費も増加しています。
まとめ
世界中で増加する肥満
ジュースや炭酸ジュースなどの加糖された飲み物は、肥満や健康問題に深く関わっています。特にアフリカと南米では、経済成長や文化的要因によりこれらの飲み物の消費が増加しています。健康的な社会を実現するためには、教育、政策、地域に合った解決策が必要です。私たち一人ひとりが日常生活で健康的な選択を意識することが、より良い未来を築く第一歩となります。
アフリカや南米の経済が発展、ソフトドリンクの購入が容易になっています。コーラの印象が強い米国で一番多く購入される飲み物は「水」であり、健康に気を使う人が増加しています。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考
1. Laura Lara-Castor, Renata Micha, Frederick Cudhea, Victoria Miller, Peilin Shi, Jianyi Zhang, Julia R. Sharib, Josh Erndt-Marino, Sean B. Cash, Dariush Mozaffarian and Global Dietary Database. "Sugar-sweetened beverage intakes among adults between 1990 and 2018 in 185 countries" (English) 2023年10月03日. © 2024 Springer Nature. 2024年6月15日閲覧。
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