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ビールの原料などに!世界の大麦 生産量ランキング

大麦はビールの原料などに利用される

「大麦」は「小麦」より低温や乾燥に強い麦で「ライ麦」と共に小麦の生産が困難な土地で栽培する事が可能です。パンなどの「主食」として加工される他にビールの原料として利用されます。

「Barley(大麦)」「Wheat(小麦)」「Rye(ライ麦)」はパンを形成した際に味が大きく異なり、小麦を利用して生産したパンは柔らかく、大麦・ライ麦で生産したパンは「グルテン」が少なく固さがあります。

世界ではどの国がどのくらい大麦を生産しているのでしょうか?

オオムギ
生産量 ランキング

世界の大麦生産量
世界一位 ロシア
世界二位 オーストラリア
世界三位 フランス

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世界の大麦生産量ランキング
Barley
Production (Tonnes/year)

各国の大麦
情報

大麦のエネルギー
大麦のエネルギーは100g約340カロリーになります。

なぜ寒冷地で大麦が栽培されるか?
日本は温暖な気候を有しており大麦が越冬できるため、種まきが11月頃におこなわれます。大麦はしっかりと根をはる植物であり、冬の間に「麦踏み」をおこない、耐寒性を高めます。海外では大麦が冬の間の雨風による土地の浸食を守る「Erosion control(砂防)」として利用され、土地の「窒素」を増やす働きがあります。

越冬できない場合
マイナス8度を下回る気温では「冬枯れ」します。越冬できない場合は3月~8月に種まきをおこないます。

食用とされる大麦は「2%」
世界で生産される約65%が「家畜の飼料」として利用され、約33%が麦芽として酒の生産や「バイオ燃料」として利用、残りの2%が食料として利用されます。

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ロシア
大麦 情報

ロシアの大麦
ロシア語で大麦は「Ячмень(ヤーチミェン)」です。

大麦のカーシャ
ロシアは大麦を加工した「押し麦」に、牛乳・ジャムを加えた大麦の粥「カーシャ」を食べます。カーシャは「粥」全般を指す言葉であり、米や麦などの雑穀が粥上になっている場合はカーシャになります。ロシアでは朝食のメニューとして人気があります。

大麦には「食物繊維」が多く含まれており、健康食品の一つとして注目を集めています。

ロシアの大麦生産
ロシアは「小麦」次いで大麦の生産量があり、国内で生産させる主要な穀物の一つです。近年、「バイオエタノール」「家畜の飼料」として利用する事が可能な「トウモロコシ」に生産がシフトされており、大麦の生産量は減少傾向です。

主な生産地は西部の沿ヴォルガ連邦管区・中央連邦管区になります。

主な用途は飼料
ロシアで生産された大麦は主に「家畜の飼料」「加工品」として利用される事が多くなります。世界で生産される穀物の1/3が家畜の飼料になり、家畜の飼料には「低コスト」が求められます。

オーストラリア
大麦 情報

オーストラリアの大麦生産地
主に東部のクイーンズランド州・ニューサウスウェールズ州・西部の西オーストラリア州で大麦生産がおこなわれています。

日本はオーストラリアから穀物を輸入
日本は穀物をアメリカ・カナダ・オーストラリアなどから輸入しており、穀物の生産量が限られている日本にとってオーストラリアは非常に重要なポジションに位置しています。

なぜヨーロッパから輸入しないの?
輸送に時間とコストを要するため、ヨーロッパからの輸入は限定的であり、輸入品の多くは「空輸」されます。

加工品として利用
日本で生産される「味噌」「酒」などはオーストラリア産の大麦が利用される事が多くなります。

フランス
大麦 情報

フランスの大麦
フランス語で大麦は「Orge(オールジェ)」です。

フランスの大麦生産地
主に北東地域で大麦生産がおこなわれています。

フランスの大麦(昔)
18世紀に小麦をから生産される「白いパン」は高級品であり、主に大麦を粗く挽いたものを「オートミール」として食べていました。

フランスの大麦(今)
現在は大麦を主に「家畜の飼料」「ビールの醸造用」の穀物として生産しています。天候不順により大麦の生産が減少すると、ビールの価格が上昇する傾向があります。

穀物大国フランス
フランスは穀物に生産に適した温暖な気候を有しており、国内で非常に多くの穀物が生産されています。生産される大麦は非常に質が良く、日本もフランスで生産される麦芽などを利用しています。

ドイツ
大麦 情報

ドイツの大麦
ドイツ語で大麦は「Gerste(ギャスター)」です。

ドイツの大麦生産地
南部のバイエルン州・バーデン=ヴュルテンベルク州・北西部のニーダーザクセン州・南西部のラインラント=プファルツ州・中部のテューリンゲン州・中西部のヘッセン州の順に大麦が多く生産されています。

ドイツのパン文化
ドイツはフランス・イタリアと比べると日照時間が少なく、国内で良く育つ「大麦」「ライ麦」が多く栽培され、「黒パン」が好まれる傾向があります。黒パンは旧東ドイツを境に旧共産圏での消費が多く、小麦が良く育つ「南ドイツ」では白パンが好まれる傾向があります。

2015年にドイツのパン文化は「ユネスコ無形文化遺産」に登録されています。

ドイツビール
ドイツは1500年代からビールを生産する上で厳守する必要がある「ドイツビール純粋令」が存在しています。ドイツビール純粋令は「大麦・ホップ・水のみを原料とする」と定義されており、純粋令を厳守した最大品質のビールが毎年国内で生産されています。

ウクライナ
大麦 情報

ウクライナの大麦
ウクライナ語で大麦は「Ячмінь(ヤチミィン)」です。

ウクライナの恵まれた大地
ウクライナは温暖な気候と肥沃な土壌に恵まれた自然環境が国内に存在します。ハーベストシーズンになるとウクライナの国旗のように「黄色の大地」「青い空」が広がり、非常に美しい光景が広がります。

ウクライナの大麦生産地
ウクライナでは全土で大麦生産がおこなわれていますが、南部から東部にかけて生産量が多くなります。一番生産量が多いのは南部の「ムィコラーイウ州」です。

ウクライナの大麦
ロシアからの輸入品を避けるヨーロッパの国々はウクライナから穀物を輸入する傾向があります。ウクライナはヨーロッパへの穀物輸出に力を注いでいますが、ロシアとウクライナの戦争が開始された事により、ウクライナで生産される穀物の輸出は不安定な状態が続いており、ロシア産の穀物は禁輸処置などがとられています。

穀物の生産はロシア・ウクライナなどが大きな世界シェアを有しており、穀物の価格を押し上げる要因となっています。

スペイン
大麦 情報

スペインの大麦
スペイン語で大麦は「Cebada(セバーバ)」です。

スペインの大麦生産地
主に北西部の「カスティーリャレオン州」、中部の「カスティーリャマンチャ州」、北東部の「アラゴン州」で大麦が生産されています。

大麦コーヒー「アクア・デ・セバタ」
「Agua de cebada(アクア・デ・セバタ)」は焙煎された麦芽を湯煎した飲み物で、コーヒーと麦茶の中間のような飲み物です。戦争によりコーヒー豆の輸入が困難な時期に「コーヒーの代用品」として飲まれるようになりました。現在も限定的に人気があります。

スペインではビールの飲酒量などが増加しており、大麦の生産量が増加しています。

大麦を利用した料理
スペインには大麦を利用した料理が多く存在しており、「大麦を利用したパエリア」「スープの具材」など利用方法は様々です。

イギリス
大麦 情報

イギリスの大麦生産地
国内で生産される大麦の25%以上が北部のスコットランドで生産されています。次いでイングランド東部での生産が多くなります。

「1インチ」は大麦から
「インチ」は「フィート:足のサイズ」の1/12のサイズをラテン語で「uncia」と呼び、これがインチの語源となっています。1300年代にイングランドの王エドワード二世が「乾いた丸い大麦を3粒横に並べたもの」と定義し、1500年代後半まで利用されました。

また、親指と同じぐらいのサイズだったことから親指を意味する「Thumb(サム)」とも呼ばれ、現在も一部の国で1インチを「サム」に近い発音で呼びます。

カナダ
大麦 情報

カナダの大麦生産
主にアルバータ州ブリティッシュコロンビア州・サスカチュワン州・マニトバ州で大麦が生産されています。国内で生産される主要作物の一つで、小麦・菜種に次いで多く生産されています。

家畜の飼料として
カナダでは大麦が家畜の飼料として古来から利用されています。日本では主に家畜の飼料が海外から輸入されており、穀物の価格の上昇が「肉」の価格に反映します。

日本では大量生産できないの?
日本では利用できる農地が限られており、大量生産が難しくなります。そのため、多くの穀物が輸入されており、食料自給率を下げる要因になっています。

テュルキエ
大麦 情報

テュルキエ(旧トルコ)の大麦
テュルキエ語で大麦は「Arpa(アールプラ)」です。

テュルキエの大麦生産地
中南部のコンヤ県・中部のアンカラ県・南東部のシャンルウルファ県の順に生産量が多くなっています。

大麦の原産地
大麦の原産地はイラク・イスラエル・エジプト・シリア、レバノン・パレスチナなどを含む「肥沃な三日月地帯」で、テュルキエにも大麦の原種と思われる野生種が自生しています。古代には多くの大麦が食料として消費されていましたが、現在テュルキエで生産される大麦の多くが飼料などに利用されています。

小麦に次いで生産量が多い作物になります。

アルゼンチン
大麦 情報

アルゼンチンの大麦
アルゼンチンで利用されているスペイン語で大麦は「Cebada(セバーバ)」です。

アルゼンチンの大麦生産地
主に東部のブエノスアイレス州で大麦が生産されており、国内で生産される大麦の90%以上が生産されており、主に「スカーレット種」が栽培されています。

国内の主な作物
トウモロコシ・小麦・米に次いで生産される作物であり、主に「家畜の飼料」として生産されています。2010年に発生したロシア・ウクライナでの大規模な干ばつ後にアルゼンチンでは大麦の生産量が大幅に増加しています。

日本
大麦 情報

日本の大麦生産
日本の大麦生産は90年代から約9倍減少しています。しかし、現在も食用となる大麦の生産は国内で100%行われおり、ビール・麦茶などにも利用されています。

日本の大麦輸入
日本では「小麦」同様にアメリカ・カナダ・オーストラリアから用途に適した大麦が輸入されています。基本的にヨーロッパからの輸入はされていません。

まとめ

生産はヨーロッパが多い
大麦の生産量は全体的にヨーロッパが多い傾向があります。日本では大麦の利用価値が高くなっていますが、国内の生産量は限定的で、多くの大麦が海外から輸入されています。

今回は以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

参考

FAO, FAOSTAT. "Crops and livestock products - Barley, Production (t)" (English) 1961-2022年. ©FAO 2024. 2023年06月29日閲覧。
FAOの利用規則はこちら (English) です。


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