飼・油脂・バイオ燃料
大豆は様々な用途がある
大豆は「家畜の飼料」「油脂」「バイオ燃料」などに利用される事が多く、食用としての利用は限定的ですが、近年「大豆ミート」などの消費量が増加しています。
世界ではどの国がどのくらい大豆を生産しているのでしょうか?
世界のダイズ
生産量 ランキング
世界の大豆の生産量
世界一位 ブラジル
世界二位 米国
世界三位 アルゼンチン
世界の大豆 生産量ランキング
Soya beans
Production (tonnes/year)
各国の大豆
情報
大豆のエネルギー
大豆のエネルギーは100gあたり約170~180カロリーです。
北米・南米でなぜ大豆が消費されるの?
北米・南米は大豆の生産量が非常に多くなります。大豆は主に食料として利用される以外に「油」「家畜の飼料」「バイオ燃料」などに利用しており、世界中に輸出しています。「食用」としての利用は限定的ですが、大豆を利用した「大豆ミート」の生産量が近年増加しています。
「大豆ミート」は美味しいの?
大豆には独特な「青臭い風味」があり、その風味を消すの事が非常に難しくなります。最近の大豆ミートは青臭さが少なく、肉に近い味が再現されています。
「大豆ミート」はなぜ注目されているの?
主に「健康思考」の人が増加した事が要因ですが、大豆を飼料とする「家畜」の飼育には大量の「穀物」が必要になります。世界で生産される穀物の1/3が「家畜の飼料」として利用されており、
穀物 → 家畜 → 人
のスパイラルから
穀物 → 人
へシフトが可能になります。
「バイオ燃料」ってなに?
「バイオ燃料」は大豆・サトウキビなどの作物を「発酵・蒸留しエタノールへ加工」したものであり、燃料として利用されます。車や飛行機の燃料としても利用する事が可能です。
大豆から生産できるバイオ燃料はどれくらい?
アメリカには「ブッシェル」という単位が存在し、「大豆1ブッシェル=約27.21キログラム」になります。「1ブッシェルから約5.6リットル」のバイオディーゼル燃料を生産することが可能です。
1 bushel = 5.6 Litre
大豆からとれる油はどれくらい?
大豆は1キログラムから10~12%の油が抽出可能です。1リットルの油を生産するには、約7~9キログラムの大豆が必要になります。
ブラジル
大豆 情報
ブラジルの大豆
ブラジルで利用されるポルトガル語で大豆は「Soja(ソーシャ)」です。
大豆をあまり食べない
ブラジルの大豆の消費は限定的であり、国内で生産している大豆の多くが海外へ輸出しています。輸出先は「中国」が多く、国内で輸出している大豆の3/4が中国に輸出しています。中国は大豆の需要が高く、主に「油脂」「家畜の飼料」として利用されています。
ブラジルは大豆の生産国世界一ですが、自国で消費される大豆は1割にも満たず、海外輸出以外にバイオ燃料として利用されています。
ブラジルの大豆生産地
主に中部から南部にかけて大豆生産がおこなわれています。最大の生産地は南西部の「マットグロッソ州」であり、州全体が熱帯です。
生産の約10%がアマゾン地域
ブラジルで生産される大豆の約10%程度がアマゾン地域で生産されており、生産量は年々増加しています。アマゾンを新たに切り開きバイオ燃料を生産する事は環境破壊につながり、環境に良いとさえる事も利用の仕方を間違えれば逆効果になります。
米国
大豆 情報
米国の大豆消費量は少ない
アメリカは非常に多くの大豆を生産していますが、食用として利用される大豆は1割程度であり、大部分が「家畜の飼料用」「油脂」「バイオ燃料」として利用されます。
近年「ヴィーガン」など肉の消費を避ける人が増加しており、国内の大豆消費量が増加しています。
大豆の価格はバイオ燃料の需要によって決まる
アメリカの大豆の価格はバイオ燃料の需要により変動します。
日本からアメリカへ伝わった
大豆は日本からアメリカへ伝わりました。黒船で日本を訪れた「マシュー・ペリー」が大豆をアメリカに持ち帰り、「油の原料」「家畜の飼料」として利用されました。
アメリカの大豆生産地
アメリカは多くの地域で大豆生産をおこなっていますが、とくに生産量が多い地域は中北東部の「イリノイ州」「アイオワ州」「インディアナ州」、北東部の「ミネソタ州」、中北部の「ネブラスカ州」になります。
アルゼンチン
大豆 情報
アルゼンチンの大豆
アルゼンチンで使用されているスペイン語で大豆は「Soja(ソーハ)」といいます。
アルゼンチンの大豆生産地
主に東部の「ブエノスアイレス州」、中部の「コルドバ州」、中北東部の「サンタフェ州」、北部の「サンティアゴ・デル・エステロ州」で多くの大豆が生産されています。
大豆の生産の中心地「アメリカ」「ブラジル」「アルゼンチン」
大豆生産量の中心地は「ブラジル」「アメリカ」「アルゼンチン」などの北米・南米などであり、世界で生産される大豆の80%以上がこれらの国で生産されています。アルゼンチンで生産される大豆は「家畜の飼料用」「油脂」などに用され、食用としての利用は限定的です。
中国
大豆 情報
中国の大豆生産量
中国語で大豆は「大豆(ダートォ)」です。
中国は大豆の原産地
大豆栽培は中国で3000年~4000年前から開始されたとしています。日本でも自生している「ツルマメ」が原種とされており、日本国内では縄文時代の遺跡から発掘されています。
大豆を多く輸入している
中国は過去の「大躍進政策」による農業の失敗で、大豆などの「重要度が低い作物」の生産が軽視されました。近年、中国の大豆生産量は大きく増加していますが、現在も価格の安い輸入品の利用が多くなります。日本も大豆生産を軽視する傾向があり、輸入品が多く利用されます。
中国の大豆生産地
主に北東部の「黒竜江省(こくりゅうこうしょう)」で国内で生産される大豆の50%以上が生産されています。黒竜江省では大豆の作付け面積は拡大しており、今後も更に生産量が増加すると思われます。
インド
大豆 情報
インドの大豆
インドで利用されるヒンディー語で大豆は「सोया(ソーヤ)」です。
大豆を多く輸入している
インドは大豆生産大国ですが、国内で生産される大豆は他国と同様に「油脂」「家畜の飼料」として利用されますが国内供給では足らず、他国から輸入しています。
遺伝子組み換え品を生産していない
インドは国内で大豆の遺伝子組み換え品の生産が許可されていません。フランスなども遺伝子組み換え品の生産・輸入を禁止しています。
インドの大豆生産地
主に西部の「マハーラーシュトラ州」、中部の「マディヤ・プラデーシュ州」で多くの大豆が生産されています。マディヤ・プラデーシュ州は非常に多く大豆を生産していますが、近年、気候変動の影響と思われる天候不順などにより生産量が減少しています。
パラグアイ
大豆 情報
パラグアイの大豆
パラグアイで利用されるスペイン語で大豆は「Soja(ソーハ)」です。
パラグアイの大豆生産地
主に東部の大豆生産量が多く、東部の「アルト・パラナ県」、南東部の「イタプア県」、東部の「カニンデジュ県」、中東部の「カーグアス県」、中部の「サン・ペドロ県」などの生産量が多くなります。
海外輸出が難しい
穀物の輸出は通常、海上ルートの利用が一般的ですが、パラグアイは南米の内陸部に位置し、海がありません。他国と比べ輸出が難しくなりますが、国内の大豆生産量は非常に多く、国を支える重要な生産物の一つです。
カナダ
大豆 情報
カナダの大豆生産地
主に南東部の「オンタリオ州」、東部の「ケベック州」、南部の「マニトバ州」、南西部の「サスカチュワン州」「アルバータ州」で多く生産されています。
カナダの大豆は消費者のニーズに合わせている
カナダで生産される大豆の2/3が加工されず輸出されています。大豆の加工は輸出先の国々で可能なため、消費国のニーズに合う大豆を輸出しています。国内では非常に質の高い大豆が生産されており、日本を含め多くの国々へ輸出しています。
ロシア
大豆 情報
ロシアの大豆生産量
ロシア語で大豆は「Соя(ソーヤ)」です。
ロシアの大豆生産地
主にモスクワ・サンクトペテルブルクが位置する西部の「中央連邦管区」、ウラジオストク・ハバロフスクが位置する「極東連邦管区」、国内の野菜・果物の生産拠点となる北カフカスの「南部連邦管区」などで大豆生産がおこなわれています。
ロシアの大豆生産は戦略的
ロシアの大豆需要は増加しています。食の意識が高いロシア人は大豆ミートなど大豆を利用した食品の関心が高く、国内の大豆消費量が増加しています。環境問題も積極的に取り組んでおり、バイオ燃料の利用が増加しています。国内の大豆生産量は今後増加すると思われます。
ウクライナ
大豆 情報
ウクライナの大豆生産量
ウクライナ語で大豆は「сої(ソーイィ)」です。
ウクライナの大豆生産
ウクライナは「遺伝子組み換え品」を含め、多くの大豆が国内で生産されています。「大豆」「エンドウ豆」などのマメ科の植物はウクライナの主要作物の「連作障害:同じ土地で作物を栽培し続けると土地の栄養が減り、生産量が下がる減少」を避けるためにも栽培され、「輪作:連作障害を避けるために土地の栄養を回復させる作物を定期的に栽培」が一般的におこなわれています。
ウクライナの大豆生産地
主に中西部の「フメリニツキー州」、北部の「キーウ州」、中西部の「ジトーミル州」、中東部の「ポルタヴァ州」などで多くの大豆が生産されています。国内の大豆生産は主に中部~西部で生産される傾向があり、近年、生産量が増加しています。
ボリビア
大豆 情報
ボリビアの大豆生産量
ボリビアで利用されるスペイン語で大豆は「Soja(ソーハ)」です。
ボリビアはどこ?
ボリビアは南米の中心に位置する国であり、パラグアイ同様に海がありません。「コーヒー」「サトウキビ」「カカオ」「バナナ」を中心とした農業が盛んにおこなわれており、生産品は海外へ輸出しています。
ボリビアの大豆生産地
主に東部のアマゾン地域に属する「サンタ・クルス県」で国内で生産される大豆の大多数が生産されています。サンタ・クルス県には戦前に開拓のため移住した日本人が多く、現在は日系2世、3世などが多く暮らしています。
日本
大豆 生産
日本の大豆の利用
日本で生産される大豆は3割以上が食用に利用され、他国と異なる高い水準になります。それ以外の大豆は他国同様に「家畜の飼料」「油脂」として利用されます。
日本の大豆生産地
主に「佐賀県」「福岡県」「秋田県」などの生産量が多く、主に輪作・転作作物として栽培されています。
大豆は醤油や味噌など伝統的な食事に欠かせない食品であり、国内でも大豆が生産されています。しかし、生産量は限定的であり、バイオ燃料へ加工・利用はほとんど行われていません。
日本は油種作物の生産量が少なく、国内の食料自給量を下げる大きな要因になっています。
まとめ
南米の生産量が多い
大豆の生産量は北米・南米が多く、「家畜の飼料」「油脂」「バイオ燃料」などに利用されます。近年、バイオ燃料の利用などが増加しており、日本でも航空会社などを含めた多くの会社の利用が増加しています。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考
FAO, FAOSTAT. "Crops and livestock products - Soya beans, Production (t)" (English) 1961-2022年. ©FAO 2024. 2023年08月09日閲覧。
FAOの利用規則はこちら (English) です。
サムネイル:Pixabay
ライセンスに関してはこちら (English) をご覧ください。