イチジクは聖書にも登場する果実
イチジクは非常に歴史のある果物で、古代から「聖書」にも登場する古代から食べられていた果物の一つです。
世界ではどの国がどれくらいイチジクを生産しているのでしょうか?
世界のいちじく
生産量ランキング
世界のイチジク生産量
世界一位 テュルキエ(旧トルコ)
世界二位 エジプト
世界三位 モロッコ
世界のイチジク 生産量ランキング
Figs
Production (tonnes/year)
各国のイチジク
情報
イチジクのエネルギー
いちじくは一個約85gでエネルギーは約40カロリーです。
歴史のある果実
イチジクは「ブドウ」「オリーブ」と共に他の果実よりも古くから消費されていた果実です。古くから栽培されていた形跡があり、現在は世界中で消費されています。イチジクは英語で「Fig(フィグ)」であり、由来はラテン語の「Ficus(フィクス)」です。
17世紀に中国から日本へ伝わりました。
無花果は縁起が悪い
イチジクは中国語で「无花果(ウーファーフォー)」です。中国も日本同様にイチジクを家の周りに植える事は「金運・健康運を下げる」「子供が病気にかかりやすくなる・子供が生まれなくなる」などの迷信があります。「ヤナギ」なども縁起が悪いとされ、庭に植える家庭は多くありません。
どうやって庭に植えるの?
中国では「ミカンの木」は「幸運を呼ぶ木」とされており、隣にミカンの木を植える事で風水的な問題を解決している家庭が存在します。また、「黒い犬」が家の邪気を払うとされ、イチジクを植えている家庭は黒い犬を飼っている事があります。
中国の生産量が少ない
中国はどんな果物でも生産している傾向があり、生産量は常に上位です。しかし、イチジクに関しては古い風習などが多く、現在も縁起が悪い果実として扱われる事が多くなります。国内の消費量は少なく、贈り物としても選ばれません。
イチジクは花が咲かないの?
イチジクの実の部分が「花」になり、「花嚢(かのう)」という部分になります。この花嚢を果実として消費します。
イチジクの木は「オス」「メス」に別れており、一般的に見分けるのが困難です。受粉は「イチジクコバチ」という特殊な「蜂」によっておこなわれます。
テュルキエ
イチジク 情報
テュルキエ(旧トルコ)のイチジク
テュルキエ語でイチジクは「Incir(インジル)」です。
テュルキエのイチジク生産
テュルキエは国内で非常に多くのイチジクを栽培しており、世界中で「ドライフルーツ」として販売されています。テュルキエで生産されたイチジクのドライフルーツは日本でも購入する事が可能です。
テュルキエで栽培されているイチジクの品種
イチジクは世界に1000種を超える品種が存在しますが、主に消費されるのは「サリロップ」「カリミルナ」「ミッション」の三種になります。テュルキエで最も栽培されてイチジクはサリロップで、国内で栽培されているイチジクの90%以上がサリロップになります。
テュルキエで栽培されているサリロップは非常に質が良いとされています。
その他に「Sarı Zeybek(サリゼベイベック)」「Bardacık(バルダジック)」「Akça(アクチャ)」などの種類が多く生産されています。
テュルキエのイチジク生産地
主に南西部の「アイドゥン県」でイチジクが生産されており、国内で生産されるイチジクの60%以上がアイドゥン県で生産されています。西部の「イズミル県」、北東部の「ブルサ県」の生産量も非常に多くなります。
ドライフルーツに加工される果実が非常に多くなっています。
エジプト
イチジク 情報
エジプトのイチジク
で利用されているアラビア語でイチジクは「تين(チーン)」です。
エジプトのイチジク生産地
主に北西部の「マトルーフ県」で多くのイチジクが生産がおこなわれています。エジプトは非常に多くのイチジクがエジプト生産していますが、輸出量は生産量に比べ限定的になります。
木の幹をペイント
ヨーロッパ・アフリカ・中国では虫よけやドライバーに木の存在を知らせるために「木の幹」に目立つ色にペイントする事があります。エジプトでは「熱」によるダメージから守るために一部の地域で木の幹がペイントされています。
古代エジプトでイチジクが好まれた
古代エジプトではイチジクが「生命の木」として扱われていました。紀元前3000年から栽培されていたとされ、多くの墓にイチジクが描かれています。クレオパトラの美を保つ果物だったとも言われています。
モロッコ
イチジク 情報
モロッコのイチジク
モロッコで利用されているアラビア語でイチジクは「تين(チーン)」です。
モロッコのイチジク生産
主に北部の「カサブランカ=セタット地方のOulad Frej(アウラッド・ファラジ)」などで非常に多くのイチジクが生産されています。モロッコは非常に雨が少ない地域ですが、カサブランカ=セタット地方では「天水農業(雨水を利用した農業)」がおこなわれています。
モロッコのイチジクの歴史
モロッコはイチジクを古くから栽培しており、非常に歴史のある果実の一つとして扱われています。イチジクは地中海の国々で様々な貿易をおこなっていた「フェニキア人」によってもたらされたとされ、フェニキア人によって多くの果物や野菜が地中海の国々へ渡っています。
モロッコ料理に利用
国内にイチジクを利用した料理が多く、スープや煮物・ジャムなど様々な物に利用され、豊かなモロッコ料理を生み出しています。
アルジェリア
イチジク 情報
アルジェリアのイチジク
アルジェリアで利用されているアラビア語でイチジクは「تين(チーン)」です。
アルジェリアのイチジク生産地
主に北部の山岳地帯でイチジク生産がおこなわれており、北部の「ベジャイア県」などで多く生産されています。イチジクの輸出量も多く、ア国内の名産品「ナツメヤシ」と共に生産された果実の多くを海外へ輸出しています。
ドライフルーツに加工
イチジクは夏~秋にかけて収穫され、市場で生鮮果実が販売されます。ドライフルーツに加工される事が多く、年間を通してマーケットで購入することが可能です。
イラン
イチジク 情報
イランのイチジク
イランで利用されているペルシャ語でイチジクは「انجیر(アンジール)」です。
イランのイチジク生産
イランで生産されているイチジクはテュルキエ同様に「サリロップ」種が多く生産されており、主に「ドライフルーツ」に加工されています。同種でもテュルキエ産と味が大きく異なるようで、テュルキエ産は甘く、イラン産はさっぱりした風味のイチジクが多くなります。
イラン産のイチジクは日本でドライフルーツとして購入する事が可能です。
イランのイチジク生産地
主に南西部の「ファールス州」でイチジクが生産されており、国内で生産されるイチジクの90%以上がファールス州で生産されています。北西部の「ザンジャーン州」、西部の「ロレスターン州」「イーラーム州」「ケルマーンシャー州」、北部の「マーザンダラーン州」、北西部の「ギーラーン州」、北東部の「ホラーサーン州」、南部の「ホルモズガーン州」でも生産しています。
スペイン
イチジク 情報
スペインのイチジク
スペイン語でイチジクは「higo(ヒーゴ)」です。
スペインのイチジク生産地
主に南東部の「エストレマドゥーラ州」で国内で生産される大多数のイチジクが生産されています。北東部の「ガリシア州」、南西部の「バレンシア州」、中北部の「カスティーリャ・イ・レオン州」、中南部の「カスティーリャ・ラ・マンチャ州」でも多くのイチジクが生産されています。
ヨーロッパで一番多く生産される
スペインは非常に多くのイチジクが生産さしており、「ドライフルーツ」の他に生鮮品をヨーロッパへ輸出しています。
スペインのイチジクの歴史
イチジクは地中海で貿易をおこなっていた「フェニキア人」により伝わったとされています。フェニキア人は様々な国々で貿易をおこなっており、ヨーロッパ最西端部の「ポルトガル」、アフリカ最北西部の「モロッコ」まで貿易がおこなわれています。
シリア
イチジク 情報
シリアのイチジク
シリアで利用されているアラビア語でイチジクは「تين(チーン)」です。
シリアのイチジク生産地
主に北西部の「イドリブ県」がシリア最大のイチジク生産地で、大多数のイチジクを生産しています。
地中海に沿って栽培される
シリアはイチジク栽培が主に地中海に近い地域でおこなわれています。シリアは「地中海性気候(夏は乾燥し、冬に一定の降水量がある)」を有しており、様々な果物を栽培しています。
内戦の影響
シリアは内戦が多く、農業に甚大な被害が出ています。農業の他に「織物」が有名ですが、内戦により生産を停止している工場が多く、現在はあまり生産されていません。
ウズベキスタン
イチジク 情報
ウズベキスタンのイチジク
ウズベキスタンで利用されているウズベク語でイチジクは「Anjir(アンジール)」です。
ウズベキスタンのイチジク生産地
主に東部の「フェルガナ州」での生産が多く、「Buvayda tumani(ブヴァイダ地区)」で生産される「白いイチジク」が有名です。
米国
イチジク 情報
アメリカのイチジク生産地
主に東部の「カルフォルニア州」で多くのイチジクが生産されています。カルフォルニア州で生産されるイチジクはアメリカで生産されるイチジクの95%を超えており、アメリカで生産されるほぼ全てのイチジクがカルフォルニア州で生産されています。
スペインからやって来た
イチジクは1700年代にスペインの宣教師によってもたらされ、本格的に栽培が開始されたのは1800年代になります。
アメリカのイチジクの利用
日本同様に生鮮果実・ケーキ・お菓子・ジャム・シロップなどに利用されます。
アルバニア
イチジク 情報
アルバニアのイチジク
アルバニア語でイチジクは「fik(フィク)」です。
アルバニアのイチジク生産地
主に南西部の「ペルメト県」、中南部の「ベラト県」、中部の「エルバサン県」「ティラナ県」などで多くのイチジク生産がおこなわれています。
イチジクの輸出
アルバニアは北マケドニア・セルビア・コソボなどへイチジクを輸出しています。
イチジクの加工
アルバニアはイチジクの多くを加工しており、ドライフルーツ以外にジャム・マーマレードに加工されています。
日本
イチジク 情報
日本のイチジク生産地
主に和歌山県・愛知県・大阪府・兵庫県・福岡県などの生産量が多くなります。
イチジクの語源
イチジクは中国語で「无花果(無花果と同じ意味)」です。中国はイチジクを「映日果(インリィングォー)」とも呼び、日本の「イチジク」の音に変化したとされています。
中国のイチジクは「イラン」から伝わったとされ、イランでイチジクを意味する「انجیر(アンジール)」の当て字が「映日(インリ―)」になります。
ギリシャ
イチジク 情報
ギリシャのイチジク
ギリシャ語でイチジクは「Σύκο(スィーコ)」です。
ギリシャのイチジク生産地
主に南西部の「メッシニア県」「ラコニア県」「アルカディア県」など「ペロポネソス半島」で栽培が多くなっています。
長い歴史を持つギリシャのイチジク栽培
ギリシャはイチジク栽培に非常に長い歴史があり、紀元前前から栽培されていた形跡があります。
まとめ
縁起が悪い木
イチジクは日本でも多くの生産量があり、ジャムなどの加工品やお菓子などに加工される事が多くなっています。日本でも「縁起が悪い」木として、庭に植える家庭が少なく、中国の文化がそのまま日本に伝わっています。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考
FAO, FAOSTAT. "Crops and livestock products - Figs, Production (t)" (English) 1961-2022年. ©FAO 2024. 2021年07月12日閲覧。
FAOの利用規則はこちら (English) です。
サムネイル:Pixabay
ライセンスに関してはこちら (English) をご覧ください。