ソルガムは「モロコシ」「タカキビ」「コーリャン」などと呼ばれ、世界で「小麦」「米」「トウモロコシ」「大麦」に次いで生産されています。乾燥した土地でも栽培が可能な植物であり、アフリカ大陸で多く栽培される傾向があります。
ソルガムは「ミレット(アワ・ヒエ・キビ)」とは違う種類の植物であり、ミレットはイネ科・ソルガムはモロコシ科になります。
ソルガムはどの国がどのくらい生産しているのでしょうか?
世界のソルガム
生産量ランキング
世界のソルガム生産量
世界一位 アメリカ
世界二位 ナイジェリア
世界三位 インド
世界のソルガム 生産量ランキング
Sorghum - Production (tonnes/year)
国 | 生産量 (トン) (t) 2021年 | |
世界合計 | 61,364,997 | |
1 | アメリカ (America) ![]() | 11,374,900 |
2 | ナイジェリア (Nigeria) ![]() | 6,725,000 |
3 | インド (India) ![]() | 4,810,000 |
4 | エチオピア (Ethiopia) ![]() | 4,450,000 |
5 | メキシコ (Mexico) ![]() | 4,370,064 |
6 | スーダン (Sudan) ![]() | 3,530,000 |
7 | アルゼンチン (Argentina) ![]() ![]() | 3,319,341 |
8 | 中国 (China) ![]() | 3,002,146 |
9 | ブラジル (Brazil) ![]() | 2,506,772 |
10 | オーストラリア (Australia) ![]() | 1,638,962 |
11 | ブルキナファソ (Burkina Faso) ![]() | 1,617,000 |
12 | ボリビア (Bolivia) ![]() | 1,481,332 |
13 | マリ (Mali) ![]() | 1,239,656 |
14 | カメルーン (Cameroon) ![]() | 1,233,370 |
15 | ナイジェリア (Nigeria) ![]() | 1,207,237 |
16 | タンザニア (Tanzania) ![]() | 1,077,000 |
17 | チャド (Chad) ![]() | 895,778 |
18 | エジプト (Egypt) ![]() | 764,880.1 |
19 | スーダン (Sudan) ![]() | 591,004 |
20 | フランス (France) ![]() | 386,040 |
21 | セネガル (Senegal) ![]() | 352,474.3 |
22 | ガーナ (Ghana) ![]() | 345,000 |
23 | トーゴ (Togo) ![]() | 277,000 |
24 | ミャンマー (Myanmar) ![]() | 250,000 |
25 | 南アフリカ共和国 (South Africa) ![]() | 215,000 |
26 | ウガンダ (Uganda) ![]() | 200,000 |
27 | イエメン (Yemen) ![]() | 180,000 |
28 | ルワンダ (Rwanda) ![]() | 178,370 |
29 | ウクライナ (Ukraine) ![]() | 173,160 |
30 | モザンビーク (Mozambique) ![]() | 160,000 |
31 | エリトリア (Eritrea) ![]() | 140,000 |
32 | ケニア (Kenya) ![]() | 135,000 |
33 | ベナン (Benin) ![]() | 133,093.3 |
34 | ジンバブエ (Zimbabwe) ![]() | 128,907 |
35 | サウジアラビア (Saudi Arabia) ![]() | 119,350 |
36 | マラウイ (Malawi) ![]() | 118,000 |
37 | ロシア (Russia) ![]() | 115,405.5 |
38 | ウルグアイ (Uruguay) ![]() | 110,200 |
39 | エルサルバドル (El Salvador) ![]() | 110,000 |
40 | パラグアイ (Paraguay) ![]() | 107,932 |
41 | オマーン (Oman) ![]() | 107,389 |
42 | ソマリア (Somalia) ![]() | 100,000 |
43 | ハンガリー (Hungary) ![]() | 95,020 |
44 | コートジボワール (Ivory Coast) ![]() | 70,000 |
45 | ギニア (Guinea) ![]() | 64,012 |
46 | パキスタン (Pakistan) ![]() | 63,942 |
47 | ニカラグア (Nicaragua) ![]() | 56,376 |
48 | シエラレオネ (Sierra Leone) ![]() | 53,234.39 |
49 | タイ (Thailand) ![]() | 50,000 |
50 | モーリタニア (Mauritania) ![]() | 49,000 |
51 | ボツワナ (Botswana) ![]() | 47,565.82 |
52 | ベネズエラ (Venezuela) ![]() | 46,780.34 |
53 | グアテマラ (Guatemala) ![]() | 42,000 |
https://www.fao.org/faostat/en/#data/
©FAO
各国のソルガム生産量

ソルガムのエネルギー
ソルガムのエネルギーは100gあたり約350カロリーです。
ソルガムって何?
「Sorghum(ソルガム)」は日本語では「モロコシ・タカムギ」を意味します。
「トウモロコシ」「ミレット(アワ・ヒエ・キビ)」とは違う植物であり、トウモロコシ・ミレットは「イネ科」の植物です。茨城ではトウモロコシを「トームギ」と方言で呼ぶ事がありますが、「ムギ」ではありません。
ソルガムとミレットの違い
「ソルガム」に似た「ミレット(アワ・ヒエ・キビ)」という穀物がありますが、ソルガムは「モロコシ科」になります。ソルガムはミレットに比べ粒が大きく、味に違いがありますが、米を主食としている日本ではどちらも同じように「穀物」として扱われます。
ミレットは種類によりサイズが異なり、大きい粒の種も存在します。小さい粒のミレットは英語で「フィンガーミレット」と呼ばれ、粒の大きいミレットは「パールミレット」と呼ばれています。どちらもミレットであり、「イネ科」の植物になります。
簡単に説明して
ミレットは「イネ科」であり、日本では「粟(あわ)」「キビ」「ヒエ」。全部ミレット。
ソルガムは「モロコシ科」であり、日本では「モロコシ」。ミレットでは無い。
トウモロコシは「イネ科」であり、日本では「トウモロコシ」。
乾燥に強い地域で育つ
ソルガムは乾燥に強く、アフリカ大陸で栽培が可能です。ソルガムを「主食」にする地域も多く、重要な食料の一つです。
バイオエタノールとして使用
ソルガムは非常に利用価値の高い作物であり、食料以外に酒の原料・砂糖の原料・家畜の飼料・工業用など様々な用途で利用する事が可能です。現在も多くの国で研究が続けられており、品種改良などがおこなわれています。
日本での利用
日本では「米にまぜて炊く」など限定的に利用されます。現在、栽培されているソルガムは「家畜の飼料」として利用される事が多くなります。
アメリカ
ソルガム 生産量
アメリカのソルガム生産量
2021年にアメリカは11,374,900トンのソルガムを生産しています。世界で生産されているソルガムの18.53%がアメリカで生産されています。
ソルガムの呼び方
ソルガムは英語で「Sorghum(ソルガム)」「Great millet(グレートミレット)」「Durra(ダッラ)」「 Jowari(ジョーワリ)」「Milo(ミロ)」 など様々な呼び方があります。
アメリカのソルガム生産地
主に中西部の「コロラド州」、中部の「カンザス州」、中南部の「オクラホマ州」、中北部の「サウスダコタ州」、南部の「テキサス州」の生産量が多く、主にアメリカの中部で栽培されています。
アメリカのソルガムの利用
主にソルガムは家畜の飼料・バイオエタノールとして利用され、アメリカで生産される1/3のソルガムがバイオエタノールなどの「持続可能な再生エネルギー」に変換されます。
ソルガムは「砂糖」に加工する事が可能であり、日本でも「ソルガム糖」として利用されています。アメリカはソルガムや「大豆」からバイオエタノールとして利用する事が多く、国内で非常に多くソルガムや大豆を生産しています。食料品として利用する植物の栽培は管理が難しく、大豆などの生産に切り替える農家が増加しています。
輸出も多い
ソルガムはアメリカ国内で利用されるだけではなく、「日本」「中国」「メキシコ」などへ多く輸出しており、主に家畜の飼料として利用されています。
ナイジェリア
ソルガム 生産量
ナイジェリアのソルガム生産量
2021年にナイジェリアは6,725,000トンのソルガムを生産しています。世界で生産されているソルガムの10.95%がナイジェリアで生産されています。
ナイジェリアでは公用語として「英語」が利用されています。
ナイジェリアのソルガムの利用
アフリカ西部のナイジェリアでは非常に多くのソルガムを生産していますが、アメリカのように「家畜の飼料」「バイオエタノール」として利用する事は少なく、主に食用として利用・アルコール飲料へ加工する事が多くなります。
ナイジェリアのソルガム生産地
ソルガムは乾燥した西アフリカの土地で生産する事が可能な植物であり、多くの西アフリカ諸国がソルガムを生産しています。
主に北東部の「アダマワ州」、北西部の「ザムファラ州」、北東部の「ボルノ州」、北東部の「ヨベ州」、北東部の「ゴンベ州」、東部の「タラバ州」、北西部の「ソコト州」、北部の「カツィナ州」などで多くのソルガムが生産されています。
ナイジェリアの伝統酒
ナイジェリアでは「ソルガム」「ミレット」を糖化発酵させて「アルコール飲料」を作ります。ナイジェリアでは「Pito(ピト)」といい、「ミレットビール」の一種です。
インド
ソルガム 生産量
インドのソルガム生産量
2021年にインドは4,810,000トンのソルガムを生産しています。世界で生産されているソルガムの7.83%がインドで生産されています。
ソルガムはインドで利用されるヒンディー語で「सोरघम (ソールガム)」です。
インドのソルガム生産地
主に西部の「ハラシュトラ州」、南西部の「カルナータカ州」、中部の「マディヤ・プラデーシュ州」、南東部の「アーンドラ・プラデーシュ州」、北部の「ハリヤーナ州」、北西部の「ラージャスターン州」で多くのソルガムが生産されており、生産量が一番多いのは西部の「ハラシュトラ州」になります。
インドのソルガムの利用
インドは「ソルガム粉(ジャワ―ル)」で作られた「チャパティ(痩せたナン)」、「パラサ(インドのパンケーキ)」、「ドーサ(インドのクレープ)」などに利用される事が多く、様々な料理に利用されます。
エチオピア
ソルガム 生産量
エチオピアのソルガム生産量
2021年にエチオピアは4,450,000トンのソルガムを生産しています。世界で生産されているソルガムの7.25%がエチオピアで生産されています。
ソルガムはエチオピアで利用されるアムハラ語で「ማሽላ(マシラ)」です。
新種のソルガム
エチオピアでは非常に降水量の少ない地域でも栽培可能なソルガムの研究・開発が日々続けられています。
アフリカでは年間に5日程度しか雨が降らない地域が多く存在しており、川の水や地下水を農業に利用します。エチオピアは「ナイル川」の上流に存在する国であり、豊富な水資源を利用した農業が可能ですが、中流の「スーダン」、下流の「エジプト」はナイル川の水が生命線です。
新種も多く登場しており、新種のソルガムは非常に少ない水で栽培する事が可能です。少ない水の利用で現在栽培されているソルガムの5倍の量を生産する事が可能です。
エチオピアのソルガム生産地
主に北西部と中部の「アムハラ州」でソルガムを含めた農業が盛んにおこなわれています。これらの地域に住む80%以上の人が農業に従事しており、様々な作物を生産しています。
メキシコ
ソルガム 生産量
メキシコのソルガム生産量
2021年にメキシコは4,370,064トンのソルガムを生産しています。世界で生産されているソルガムの7.12%がメキシコで生産されています。
ソルガムはメキシコで利用されるスペイン語で「sorgo(ソロゴ)」です。
気候変動により飼料の高騰
メキシコ国内ではソルガムなど「家畜の飼料」として利用される作物の価格が高騰しています。気候変動と思われる悪天候や干ばつが続いており、メキシコの農業は甚大なダメージを受けています。ソルガムだけではありませんが、様々な作物が影響を受けており、生産量の増減が大きくなっています。
飼料の高騰は家庭にも影響
家畜の飼料の高騰は肉の値段に影響が出ます。「牛肉」の高騰化により、「鶏肉」を購入する人が増加しており、多くの国で鶏肉の消費が多い傾向があります。
メキシコのソルガム生産地
主に北部から北東部・西部・中部での生産が多く、北東部の「タマウリパス州」、北西部の「シナロア州」などで生産量が増加しています。
全体的にソルガムの生産量の減少
メキシコはソルガムの生産量が減少しており、アメリカからの輸入量が増加しています。
スーダン
ソルガム 生産量
スーダンのソルガム生産量
2021年にスーダンは3,530,000トンのソルガムを生産しています。世界で生産されているソルガムの5.75%がスーダンで生産されています。
ソルガムはスーダンで利用されるアラビア語で「الذرة الرفيعة(アルドゥラートアラフィーア)」です。
スーダンで減少するソルガム生産
スーダンでは近年、ソルガムの生産量が減少しています。天候不順や害虫により生産量が減少しており、換金率の高い「ゴマ」「落花生」へ転換する農家が増加しています。
ソルガムはスーダンの主食の一つ
スーダンではソルガムが主食の一つとして消費されており、ソルガムの生産量の減少は深刻な食糧危機に直面します。近年、国内で燃料費などが高騰化しており、農業で利用される農機具の燃料費も3倍~4倍に高騰しています。
スーダンのソルガム生産地
主に南東部の「ガダーレフ州」のソルガムの生産が多くなります。
アルゼンチン
ソルガム 生産量
アルゼンチンのソルガム生産量
2021年にアルゼンチンは3,319,341トンのソルガムを生産しています。世界で生産されているソルガムの5.40%がアルゼンチンで生産されています。
ソルガムはアルゼンチンで利用されるスペイン語で「sorgo(ソロゴ)」です。
アルゼンチンのソルガム生産地
主に北東部の「サンタフェ州」、北部の「コルドバ州」「サンティアゴ・デル・エステロ州」「チャコ州」、東部の「ブエノスアイレス州」、北東部の「コリエンテス州」「エントレ・リオス州」、中部の「ラ・パンパ州」「サン・ルイス州」、北西部の「カタマルカ州」、北部の「トゥクマン州」でソルガム生産がおこなわれています。
サンタフェ州、コルドバ州、サンティアゴ・デル・エステロ州で生産されるソルガムは国内で生産されるソルガムの過半数を超えています。
中国
ソルガム 生産量
中国のソルガム生産量
2021年に中国は3,002,146トンのソルガムを生産しています。世界で生産されているソルガムの4.89%が中国で生産されています。
ソルガムは中国語で「高粱(コーリャン)」です。
中国のソルガム生産
中国は穀物の生産を重視しており、「トウモロコシ」「小麦」「米」「大麦」に次いで生産量が多い作物になります。中国でもソルガムは食料以外に「家畜の飼料」「酒の原料」など様々な物に利用されます。
中国のソルガム生産量
主に北東部の「遼寧省(りょうねいしょう)」「吉林省(きつりんしょう)」「黒龍江省(こくりゅうこうしょう:ハルビン)」、中北東部の「山西省(さんせいしょう)」、北部の「内モンゴル自治区」、中東部の「河南省(かなんしょう)」などで多くのソルガムが生産されています。
ブラジル
ソルガム 生産量
ブラジルのソルガム生産量
2021年にブラジルは2,506,772トンのソルガムを生産しています。世界で生産されているソルガムの4.89%がブラジルで生産されています。
ソルガムはブラジルで利用されるポルトガル語で「Sorgo(ソログ)」です。
ブラジルのソルガム生産地
主に中西部でソルガムが生産されており、東部の「バイーア州」、南部の「リオグランデ・ド・スル州」などでも多く生産されています。
トウモロコシに替わる優れた作物
ブラジルは「大豆」「トウモロコシ」などの生産量が多く、主に「家畜の飼料」「バイオ燃料」として利用されています。ソルガムは水の少ない地域でも栽培する事が可能な作物であり、トウモロコシの栽培からソルガムへ変更する農家などが増加しています。
ブラジルでも気候変動の影響と思われる天候不順が続いており、大雨や干ばつが発生しています。世界的に気候変動などに強い作物にシフトされる傾向があります。
オーストラリア
ソルガム 生産量
オーストラリアのソルガム生産量
2021年にオーストラリアは1,638,962トンのソルガムを生産しています。世界で生産されているソルガムの2.70%がオーストラリアで生産されています。
オーストラリアのソルガム生産地
主に東部の「ニューサウスウェールズ州」北東部の「クイーンズランド州」でソルガムが生産されています。ニューサウスウェールズ州とクイーンズランド州は国内で生産される多くの穀物を生産しており、ソルガムの生産量は減少傾向です。
ブルキナファソ
ソルガム 生産量
ブルキナファソのソルガム生産量
2021年にスーダンは61,364,997トンのソルガムを生産しています。世界で生産されるソルガムの2.63%がスーダンで生産されています。
ソルガムはスーダンで利用されるフランス語で「Sorgham(ソッガム)」です。
雨量が少ないサハラ地帯
ブルキナファソは雨量が少ないサヘル地帯に属しており、国内に農業が非常に難しい土地が多く存在します。雨量が少ない地域では「キビ」「ソルガム」「ササゲ」などが栽培されており、利用可能な水を最大限利用した農業がおこなわれています。
人口の90%以上が農業従事者
ブルキナファソは人口の90%以上が農業に従事しています。農業従事者は貧困層が多い傾向があり、アフリカの農業従事者の多くが貧困層です。
ニジェール
ソルガム 生産量
ニジェールのソルガム生産量
2020年にニジェールは2,132,295トンのソルガムを生産しています。世界で生産されているソルガムの3.63%がニジェールで生産されています。
ソルガムはニジェールで利用されるフランス語で「Sorgham(ソッガム)」です。
ニジェールのソルガム生産地
主に北西部の「ナイジャ州」で多くのソルガムが生産されており、国内で生産される大多数のソルガムがナイジャ州で生産されています。ニジェールは「米」も主食として多く消費されており、「ニジェール川」の下流には田園風景が広がっています。
ニジェールも雨が少ない
国土の75%以上が「サヘル地帯」に属しており、年間降水量が600mm~800mmを超える地域は国土の1%しか存在しません。日本の平均降水量は1,700mmを超えており、世界の平均は年間800mmの降水量があります。
サヘル地帯では年間降水量が150mm以下と非常に少なく、水の利用が限りなく制限されている地域が多くなります。
まとめ
日本のソルガム生産は限定的
日本のソルガム生産は非常に限定的ですが「長野県」などで生産されています。バイオ燃料などへ転換が可能なため、研究が続けられており、今後生産量が増加する可能性もあります。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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