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ウクライナの生産量が減少 世界の菜種 生産量ランキング

植物油の王様!菜種は世界中で生産される

菜種は主に「菜種油」の原料として生産されています。最近ではバイオ燃料の原料としても注目が集まっており、生産量が増加しています。

世界ではどの国がどれくらい菜種を生産しているのでしょうか?

世界の菜種・菜種油
生産量ランキング

世界の菜種 生産量
世界一位 カナダ
世界二位 中国
世界三位 インド

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世界の菜種 生産量ランキング
Rapeseed or canola oil, crude
Production (tonnes/year)

各国の菜種・菜種油
情報

菜種・菜種油のエネルギー
菜種のエネルギーは100gあたり約35Kcalです。

菜種油は100gあたり900~920Kcalで、その他の油と同じぐらいのエネルギーになります。遺伝子組み換え品なども多く、気になる方は注意が必要です。

世界一利用される油は「パーム油」
世界で一番利用される油は「パーム油」です。次いで菜種油やオリーブ油が利用され、菜種が撮れる地域では菜種油、オリーブが採れる地域ではオリーブオイルが利用される傾向があります。

カナダ
菜種 情報

カナダの菜種
菜種は英語で「Rapeseed(レイプシード)」です。

カナダのキャノーラ油(菜種)
キャノーラ油は菜種を圧縮して絞り出す油で、エルシン酸とグルコシノレートを含まない「キャノーラ種」という菜種から採油された植物油です。キャノーラ油はカナダが開発した植物油で、カナダ国内で非常に多く生産されています。

家畜の飼料として利用可能
菜種は家畜の飼料として利用する事が可能です。グルコシノレートが含まれる菜種を大量に家畜に与えると、「甲状腺肥大化」を引き起こすとされています。

エルシン酸
エルシン酸が多く含まれる菜種油は「うっ血性心不全」のリスクを高めるとされています。カナダではこのエルシン酸が少ない品種の菜種を栽培するようになったのが「キャノーラ油」の始まりで、名前の由来は「Canadian oil low in acid」を短くした 「Canola(キャノーラ)」です。

カナダの菜種生産地
カナダでは主に中西部のサスカチュワン州・西部のアルバータ州菜種が生産されています。

主な輸出先は中国だった
カナダの菜種の輸出先のほどんどが中国でしたが、2019年に中国はカナダに対する輸出許可を取り消しています。輸出先を失ったカナダの菜種農家は非常に大きな被害を受けており、背景にはアメリカと中国の電気通信機器会社「ファーウェイ」のトラブルがあるとされています。

中国への菜種の輸出量は500万トンと大部分が中国を占めていて、輸出額は4200億円になります。

中国
菜種 情報

中国の菜種
菜種は中国語で「油菜籽(ヨウツァイツィー)」です。

中国の菜種生産地
菜種は主に東部の上海市・浙江省・江蘇省・安徽省・中東部の湖北省・江西省・中南部の湖南省・南西部の四川省・南部の雲南、中部の重慶市などで生産されています。

効率の良い菜種生産
中国の菜種生産は日々進化しており、効率良く大量に菜種油の生産が可能な方法などが開発されています。カナダなどからの輸入量が減少しており、今後中国の菜種生産は大きく増加すると思われます。

湖南省羅平県に広がる美しい菜種畑
「湖南省羅平県」には非常に美しい菜種畑が一面に広がっており、毎年2月~3月にかけて菜種の海が広がります。

インド
菜種 情報

インドの菜種
菜種はインドで利用されているヒンディー語で「रेपसीड(ラップシード)」です。

インドの菜種生産地
インドでは主に北西部のラージャスターン州・中部のマディヤプラデーシュ州・西部のグジャラート州・東部の西ベンガル州・北部のパンジャーブ州・西部のアッサム州で菜種が生産されています。

温暖な気候を利用した菜種栽培
インドは温暖な気候で菜種の生産に適しています。地域によっては三毛作が可能で、非常に多くの菜種が生産されています。

マスタードの生産量も多い
マスタードは「カラシナ」というアブラナ科の植物で、油を採る事が可能です。マスタードも非常に多く栽培されています。

ドイツ
菜種 情報

ドイツの菜種
菜種はドイツ語で「Raps(カップス)」です。

ドイツの菜種生産地
ドイツでは全土で菜種が栽培されていますが、主に北東部のメクレンブルク=フォアポンメルン州・東部のザクセン州・中部のザクセン=アンハルト州などで生産量が多く、東側(旧東ドイツ側ではありません)の生産量が西側より多くなっています。

ドイツの菜種油の利用
ドイツで生産された3/4がバイオ燃料として利用されています。ドイツでは持続可能な植物の生産に注目が集まっており、菜種の栽培も注目されています。

フランス
菜種 情報

フランスの菜種
菜種はフランス語で「Colza(コルザ)」です。

フランスは遺伝子組み換え品を禁止している
フランスは遺伝子組み換え品の販売が禁止されています。カナダで生産されているキャノーラ油は遺伝子組み換え品の物が多く、フランスでは販売されていません。

フランスの菜種生産地
フランスでは主に北部で生産されており、北部のブルゴーニュ地方・シャンパーニュ=アルデンヌ地域圏・ロレーヌ地域で菜種が栽培されています。

フランスの美しい菜の花畑
フランスでは4月~5月にかけて菜の花畑が美しく広がります。

ポーランド
菜種 情報

ポーランドの菜種
菜種はポーランド語で「rzepak(ゼーパク)」です。

ポーランドの菜種生産地
ポーランドでは主に中北部のクヤヴィ=ポモージェ県・中西部のヴィエルコポルスカ県で菜種が生産されています。

バイオ燃料としての利用
ポーランドでも菜種を食料や油としてだけではなく、バイオ燃料としての利用も多くなっています。油が搾取された後の菜種は家畜の飼料(グルコシノレートを含まないもの)として利用され、廃棄を出さない持続可能な農業体勢がとられています。

ロシア
菜種 情報

ロシアの菜種
菜種はロシア語で「рапс(ラープス)」です。

ロシアの菜種生産地
ロシアでは多くの地で菜種が栽培されていますが、とくに収穫量が多いのは中央のシベリア連邦管区・西部の中央連邦管区・沿ヴォルガ連邦管区などになります。

ヨーロッパより収穫量が多い
ヨーロッパの菜種の生産量は最大で1ヘクタール(100mx100m)あたり 3,570kgの収穫量がありますが、ロシアでは1ヘクタールあたり場所によっては4,700kgの菜種を収穫する事が可能になっています。小麦の生産量も1ヘクタール当たりの生産量が多くなっており、菜種や小麦の栽培に適した土地を有しています。

ウクライナ
菜種 情報

ウクライナの菜種
菜種はウクライナ語で「Ріпаку(リパク)」です。

ウクライナの主な作物
ウクライナでは小麦・ヒマワリ・トウモロコシ・大麦・菜種・ジャガイモ・エンドウ豆・甜菜・オーツ・蕎麦・スイカ・米の順に生産面積が多くなっています。菜種も非常に多く生産されており、菜種油などに加工され国内で消費・海外へ輸出されています。

菜種は土壌を栄養を吸い上げ枯渇させる
菜種は連作障害を起こす植物です。連作障害により菌核病・根こぶ病等の病害が多く発生するするため、他の作物と輪作するのが基本です。ウクライナでも小麦・大豆・トウモロコシなどの作物と輪作がおこなわれています。

ウクライナの菜種生産地
ウクライナでは全土で菜種が栽培されています。主に栽培が多いのは西部で、ヴィーンヌィツャ州・オデッサ州・フメリニツキー州・テルノーピリ州・リヴィウ州などで多くの菜種が生産されています。

生産量の減少
ウクライナでは菜種の生産量が減少しています。ロシアの軍事侵攻により、農業を続ける事が難しい地域も多く、全土で生産される菜種生産に多きなダメージを受けています。

ウクライナの国旗
美しく広がる黄色い菜の花畑と水色の空を表しています。

オーストラリア
菜種 情報

オーストラリアの菜種生産地
オーストラリアでは主に西オーストラリア州の南部・ニューサウスウェールズ州・ ビクトリア州の西部・南オーストラリア州の東部で菜種が栽培されています。

オーストラリアで生産される大部分が菜種
オーストラリアではヒマワリや大豆など油糧種子が栽培されていますが、国内で生産される油糧種子の5%以下になります。主に生産されるのは菜種の綿実で、油糧種子の90%以上になります。ベニバナ・亜麻仁なども生産されていますが非常に限定的になります。

米国
菜種 情報

米国の菜種生産地
アメリカでは主に北部ミネソタ州・ノースダコタ州でアメリカで生産される85%以上の菜種が栽培されています。南部でも菜種が栽培されていますが気候条件により生産量の増減が大きく、菜種以外の多くの作物が天候不順などにより生産量の増減が非常に大きくなっています。

大豆との二毛作
中部・南部では暖かい気候を利用した大豆と菜種の二毛作がおこなわれています。バイオ燃料への転換も多く、今後生産数は増加すると思われます。

日本
菜種 情報

日本の菜種生産地
日本では主に北海道・青森・秋田県で菜種が生産されています。

まとめ

春に広がる美しい菜の花畑
日本も菜種を生産していますが大多数が北海道に生産されています。ヨーロッパは春になると菜の花畑が広がり、非常に美しい風景を見る事ができます。

今回は以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

参考

FAO, FAOSTAT. "Crops and livestock products - Rapeseed or canola oil, crude, Production (t)" (English) 1961-2022年. ©FAO 2024. 2021年08月02日閲覧。
FAOの利用規則はこちら (English) です。


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