温室効果ガスの要因の一つとなっているメタン(CH4)の排出の要因は様々で、世界中で排出されています。
メタンの排出が多い原因は何でしょうか?
メタンの排出の原因
世界のメタンの排出の原因
メタンの排出一位は農業、二位は燃焼による排出、三位は産業です。

世界のメタンの排出の原因
Methane emissions by sector, World
メタン 発生源 | 排出量 (t) 2016年 | 割合 (%) | |
1 | 農業 Agriculture | 3,510,000,000 | 40.65 |
2 | フュージティブ エミッション Fugitive emissions | 2,640,000,000 | 30.57 |
3 | 無駄な排出(廃棄物など) Waste | 1,420,000,000 | 16.44 |
4 | その他の燃料燃焼 Other fuel combustion | 535,630,000 | 6.20 |
5 | 森林破壊や土地利用変化 Land-Use Change and Forestry | 436,960,000 | 5.06 |
6 | 産業 Industry | 9,190,0000 | 1.06 |
合計 | 8,634,490,000 |
https://www.climatewatchdata.org/data-explorer/historical-emissions
メタンの排出の原因
2016年に世界でメタン(CH4)は8,634,490,000トン排出されています。温室効果ガスは世界全体で50,610,000,000トン排出されていて、17.06%がメタンによるものです。

世界の二酸化炭素(CO2)の排出の原因の記事はこちらになります。
世界の亜酸化窒素(N2O)の排出の原因はこちらになります。
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農業によるメタンの排出
農業によるメタンは3,510,000,000トン排出されていて、メタンの排出全体の40.65%が農業により排出されています。
農業からのメタンの発生
農業からのメタンの発生は、一般的に畜産業からの排出が多く、家畜の排せつ物・ガス・げっぷなどから排出されます。これらのメタンの排出は全体の約32%になり、将来の人口増加、経済発展、都市化により肉の需要が増加し、2050年までに最大70%増加すると予想されています。
農業用メタンの排出は、動物の排出物だけではありません。水田の耕作により酸素の土壌への浸透を防ぎ、バクテリアがメタン放出する理想的な環境を作り出します。これらのメタンの放出は、約8%になります。(出典: 国連)
農業からのメタンの排出低減
牛が排出するメタンを減らすための飼料の利用・肥料の適切な管理・堆肥の生産・回収を行いバイオガスの生成などにより、メタンの排出量を減少される事が可能です。
稲作に関しては、水を利用しない「直播農業」「水田から何度か水を抜く」をおこなう事で、メタンの排出の低減化が可能です。水を何度か抜く事により、水の量も約1/3になり経済的にもなります。しかし、米の味の劣化を招く恐れがあります。(出典: 国連)
フィュージティブエミッションによるメタンの排出
フィュージティブエミッションによるメタンは2,640,000,000トン排出されていて、メタンの排出全体の30.57%がフィュージティブエミッションにより排出されています。
フィュージティブエミッションとは?
Fugitive emissions(フュージティブエミッション)とは、ガスの生産時に漏れ出したガス・意図しない放出の事で、大きな温室効果ガスの排出の要因の一つです。
世界のフュージティブエミッションによる温室効果ガスの排出の記事はこちらになります。
フュージティブエミッションからのメタン発生
「天然ガス」は主に「メタン」です。その一部は掘削・抽出・輸送の過程で大気に排出され、フュージティブエミッションになります。メタンの温室効果は二酸化炭素の25倍強力です。フュージティブエミッションは米国で0.4~4%排出されているとされ、天然ガスの産出国は、施設の老朽化などにより、多くのフュージティブエミッションが排出していると思われます。(出典: Carbon Brief 2014年)
フュージティブエミッションからのメタンの排出低減
掘削の方法を変えるなど、ある程度フュージティブエミッションの低減などが可能です。施設の定期的な点検・修理などを行い、適切な運用を行う事もフュージティブエミッションの排出を防ぐ重要な方法です。
無駄な排出(廃棄物など)によるメタンの排出
無駄な排出(廃棄物など)によるメタンの排出によるメタンは1,420,000,000トン排出されていて、メタンの排出全体の16.44%が無駄な排出(廃棄物など)による排出されています。
無駄な排出(廃棄物など)からのメタン発生
「ゴミの処理施設」などからメタンが排出されています。米国でメタンの排出の約15.1%がゴミ処理施設から排出されていて、1年間に運転された2,160万台以上の乗用車からの排出量、または1年間に約1200万世帯のエネルギー使用からの二酸化炭素排出量と同等になります。上記でも述べたように、メタンはCO2と比べ25倍の温室効果があります。(出典: EPA 2019年)
無駄な排出(廃棄物など)からのメタン発生低減
メタンも施設の改良などにより、回収が可能になります。回収・変換・再生可能エネルギー資源として利用が可能ですが、莫大な建設コストがかかり、実施は一部のみでおこなわれています。
土地の利用変化によるメタンの排出
土地の利用変化によるメタンは436,960,000トン排出されていて、メタンの排出全体の5.06%が土地の利用変化により排出されています。
土地の利用変化とは?
「土地の利用変化」とは森林を伐採し、農地として利用するなどして、その土地の環境を変える事です。農地で無い場所を農地として利用すると、非常に多くの温室効果ガスが排出されます。
土地の利用変化によるメタンの発生
農業・林業、土地の利用変化により、温室効果ガスが発生しています。排出は二酸化炭素(CO2)・メタン(CH4)・亜酸化窒素(N2O)が主に排出され、温室効果ガスの23%が土地の利用変化によるものです。(出典: 国連)
土地の利用変化によるメタンの排出低減
土地の利用変化は森を切り開き、農地へと新たに開拓など、新たな土地の利用で非常に多くの温室効果ガスが排出されます。温室効果ガスを防ぐには正しい知識・行動力・経済力が必要になります。
産業によるメタンの排出
産業によるメタンは9,190,0000トン排出されていて、メタンの排出全体の1.06%が産業により排出されています。
産業によるメタンの発生
産業によるメタン排出は、鉄鋼・化学物質の生産する過程の中で発生します。
産業によるメタンの排出低減
産業によるメタンの排出は技術を導入する事により可能ですが、現実には既存しているの技術に依存ししています。技術の導入により90%の排出削減が可能で、1トンあたり25ドル未満で達成が可能です。(Mac Kinsey Sustainability 2021年)
まとめ
メタンの排出は農業や畜産業による人為的に発生したものがほとんどです。回収技術などの導入により、メタンの排出を大きく削減する事が可能ですが、コストが大きくかかり、回収は困難です。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。