https://pixabay.com

Food

世界のマーガリン 生産量ランキング

「マーガリン」は「パーム油」「ラード」などの植物性・動物性の油脂を原料として「バター」に似せて作られた食品で、主にバターの代用品として利用されています。原料が高価なバターに比べ価格を抑える事が可能な食品で、世界中で利用されています。

マーガリンは世界でどのくらい生産されているのでしょうか?

世界のマーガリン
生産量ランキング


世界のマーガリン生産量
世界一位 ウクライナ
世界二位 ロシア
世界三位 アルゼンチン


世界のマーガリン生産量ランキング
Production - Margarine (Tones/year)

生産量
(トン)
(t)
2019年
世界合計15,284,103
1アメリカ
(America)
4,331,174
2パキスタン
(Pakistan)
1,800,000
3インド
(India)
862,300
4ブラジル
(Brazil)
821,555
5テュルキエ
(Turkiye)
782,218
6メキシコ
(Mexico)
637,918
7ロシア
(Russia)
450,895
8ベルギー
(Belgium)
414,716
9インドネシア
(Indonesia)
407,406
10ドイツ
(Germany)
394,445
11日本
(Japan)
390,627
12ケニア
(Kenya)
322,808
13イギリス
(U.K)
250,000
14ウクライナ
(Ukraine)
246,445
15マレーシア
(Malaysia)
216,458
16チュニジア
(Tunisia)
124,865
17オーストラリア
(Australia)
115,639
18ペルー
(Peru)
113,309
19カナダ
(Canada)
106,518
20ベネズエラ
(Venezuela)
70,379
21カザフスタン
(Kazakhstan)
62,380
22ノルウェー
(Norway)
56,000
23ウズベキスタン
(Uzbekistan)
51,330
24アゼルバイジャン
(Azerbaijan)
47,269
25ギリシャ
(Greece)
39,300
26ポルトガル
(Portugal)
37,400
27タイ
(Thailand)
31,795
28セルビア
(Serbia)
29,826
29イラン
(Iran)
29,181
30ジンバブエ
(Zimbabwe)
27,950
31コロンビア
(Colombia)
27,407
32エジプト
(Egypt)
26,784
33イスラエル
(Israel)
25,299
34南アフリカ共和国
(South Africa)
22,000
35スイス
(Switzerland)
21,900
36エクアドル
(Ecuador)
20,970
37ボリビア
(Bolivia)
19,744
38アルゼンチン
(Argentina)
18,076
39アイルランド
(Ireland)
14,800
40グアテマラ
(Guatemala)
12,971
41コートジボワール
(Ivory Coast)
12,641
42ベラルーシ
(Belarus)
12,586
43ホンジュラス
(Honduras)
12,586
44パナマ
(Panama)
10,247
45エルサルバドル
(El Salvador)
9,710
46イラク
(Iraq)
9,446
47ジャマイカ
(Jamaica)
9,361
48ガーナ
(Ghana)
9,270
49オマーン
(Oman)
8,280
50スリランカ
(Sri Lanka)
8,105
51シンガポール
(Singapore)
8,000
52ネパール
(Nepal)
7,480
53スロベニア
(Slovenia)
7,100
出典: United Nations Food and Agricultural Organization (FAO) 2019年から作成
https://www.fao.org/faostat/en/#data/
©FAO


各国のマーガリン
生産量


マーガリンとバターの違い

マーガリン -「パーム油」「ラード」などの植物性・動物性の油脂を80%以上、40%以下の乳成分で構成されています。

バター - 乳製品が80%以上で構成され、「牛乳」から分離されたクリームなどが原料になります。

マーガリンにも商品によっては「牛乳」などの乳成分が加えられているものも多く、個々に構成される成分が違います。


マーガリンは体に悪いの?

マーガリンやバターには「トランス脂肪酸」という体に悪影響を与える「コレステロール」が含まれています。大量に摂取を続けた場合、体重の増加や心臓疾患になるリスクが上昇する恐れがあり注意が必要になります。

現在販売されているマーガリンはトランス脂肪酸の含有量が非常に低く、バターに含まれる含有量を下回るものが多く存在します。


マーガリンは植物性の油が利用されているの?

日本で販売されているマーガリンのほとんどが「植物性油脂」が利用されています。植物性油脂は「パーム油」「大豆油」「ヒマワリ油」などの「油」になります。

また、マーガリンには「食用性加工油脂」が含まれています。食用性加工油脂は原料の油にニッケル・銅触媒を加え高温で加熱し、「水素」を添加する事により「固形」になり、同時に「酸化」しにくくなります。固体状になった植物性加工油脂に植物性油脂を加え、マーガリンの「なめらかさ」を出します。「トランス脂肪酸」はこの過程でできる副産物であり、多くの企業がトランス脂肪酸を減らす努力をしています。

植物加工油脂の精製は上記のように水素を加える方法以外にも溶剤を加え遠心力で分離させる「分別」・原料の油にナトリウムメキシドや水酸化ナトリウムなどの塩に「酸素」を加える「エステル交換」などが存在します。


動物性の油は利用されない?

動物油脂・植物油脂・又は混合油脂を「食用性加工油脂」として利用する事ができます。また、マーガリンには風味を出すために「脱脂粉乳」「発酵乳」などの乳成分が含まれているものが多く存在します。


マーガリンと鯨

19世紀になり、「石油」の利用が増加すると共にそれまで使われていた「鯨油:クジラからとれる油」の利用が減少しました。利用されなくなった鯨油は「マーガリン」の原料として使用される事が多くなっています。

アメリカ
マーガリン 生産量


2019年にアメリカは4,331,174トンのマーガリンを生産しています。

世界で生産されているマーガリンの28.33%がアメリカで生産されています。

マーガリンは英語で「margarine(マージャリン)」です。


アメリカのマーガリン

過去にアメリカでは「牛脂」からマーガリンを製造していましたが、現在は原料となる「トウモロコシ油」「大豆油」など様々なものからマーガリンが生産されています。生産されているマーガリンには「塩」が含まれていますが、塩分を控えるマーガリンなども多く生産されています。


原料は世界中に輸出されている

原料の「トウモロコシ」「大豆」などは「バイオ燃料」「家畜の飼料」などにも利用されており、世界中に輸出されています。日本ではこれらの原料の生産が限定的で、多くをアメリカから輸入しています。

パキスタン
マーガリン 生産量


2019年にパキスタンは1,800,000トンのマーガリンを生産しています。

世界で生産されているマーガリンの11.77%がパキスタンで生産されています。

マーガリンはパキスタンで利用されているウルドゥ語で「مارجرین(マージャリン)」です。


パキスタンは乳製品大国

パキスタンは「バター」の生産量が【インド】に次いで多く、非常に多くの乳製品が生産されています。


マーガリンじゃないの?

パキスタンではバターより多くのマーガリンが生産されています。パキスタンではオランダの多国籍食品会社が販売する「ブルーバンド」というマーガリンが非常に有名で人気があります。しかし、価格が高額のため国内産の安いバターなどが一般的なパキスタンの食卓に上がる傾向があります。

インド
マーガリン 生産量


2019年にインドは862,300トンのマーガリンを生産しています。

世界で生産されているマーガリンの5.64%がインドで生産されています。

マーガリンはインドで利用されているヒンディー語で「नकली मक्खन(ナキリ― マーカン)」です。


インドのバター文化

インドでは「ヒンドゥー教」の母体となる「バラモン教」時代からバターが利用されており、非常に長い歴史があります。マーガリンはインドが「イギリスの植民地時代」に伝わった食べ物で全国に普及しましたが、現在はマーガリンの生産量はバターの1/5になります。

インドを主体とするヒンドゥー教は菜食主義者が多く、乳製品を摂取しない人も多く存在します。


バターからマーガリンへ

インドのマーガリンは「トランス脂肪酸を含まない」「ビタミンA、E、Dが豊富」「低カロリー」のものが増加しており、生活習慣病が増加するインドでは「少しでもカロリーの低いもの」が好まれる傾向があり、バターからマーガリンに変える人が増加しています。

ブラジル
マーガリン 生産量


2019年にブラジルは821,555トンのマーガリンを生産しています。

世界で生産されているマーガリンの5.37%がブラジルで生産されています。

マーガリンはブラジルで利用されているポルトガル語で「Margarina(マーガリーナ)」です。


ブラジルのマーガリン人気

ブラジルではマーガリンはバターよりも多く売れています。ブラジルではマーガリンの原料となる油脂作物が多く生産されており、低価格でマーガリンを生産する事が可能になっていますが、国民の1/3以上が「バターはマーガリンより健康に良い」と考える人が多くなっています。


高カロリーの食品が避けられる

ブラジルでは生活習慣病の増加と共に消費者の健康リスクに対する意識が向上しており、バターなどの高カロリーな食品を避ける人が増加しています。

テュルキエ
マーガリン 生産量


2019年にテュルキエは782,218トンのマーガリンを生産しています。

世界で生産されているマーガリンの5.11%がテュルキエで生産されています。

マーガリンはテュルキエ語で「margarin(マーガリン)」です。


テュルキエのマーガリン

テュルキエでは1950年代にイギリスの「ユニリーバ」がトュルキエへ進出、米国から輸入される安価な「大豆油」からマーガリンを製造し成功をおさめています。


テュルキエの油事情

テュルキエでは1950年代以降に利用されていた「油」はテュルキエ南部の「シャンルウルファ」・北西部の「トラブゾン」で生産された油、羊の脂肪などから抽出される油が一般的に利用されていました。

テュルキエの人口増加と共に「ヒマワリ油」「トウモロコシ油」など安価な油が登場しましたが、現在もバターなどが多くのテュルキエ料理に利用されています。

メキシコ
マーガリン 生産量


2019年にメキシコは637,918トンのマーガリンを生産しています。

世界で生産されているマーガリンの4.17%がメキシコで生産されています。

マーガリンはメキシコで利用されてるスペイン語で「margarina(マルガリーナ)」です。


メキシコ人はバターが大好き

メキシコのバターの輸入量は【中国】【ロシア】に次いで世界三位になります。この量は非常に多く、ヨーロッパで輸入されている全てのバターより多くのバターがメキシコに輸入されています。


メキシコのマーガリンの需要は伸びている

メキシコでは「マーガリン」「ショートニング」の需要が伸びています。近年「植物性」の原料が利用される事が多く、天然素材を好むメキシコの新しいニーズに受け入れられています。


マーガリンは「健康に悪い」はもう古い

メキシコの消費者はマーガリンに「新しさ」を求む傾向があり、近年では「ココナッツ」「アーモンド」「オリーブ」などから抽出される油からマーガリンが生産されています。


新しい売り方

マーガリンは販売の仕方に工夫が必要ですが、原料に幅がある食品です。生産者の努力により質の高さ・生産プロセスの透明化・顧客のニーズに合わせた商品などが増加しており、今後も更に増加すると思われます。

ロシア
マーガリン 生産量


2019年にロシアは450,895トンのマーガリンを生産しています。

世界で生産されているマーガリンの2.95%がロシアで生産されています。

マーガリンはロシア語で「маргарин(マーガリン)」です。


ロシアのマーガリン事情

ロシアでもマーガリンは人気のある商品ですが、一般的に「健康に悪い」という印象があります。ロシア国内ではマーガリンに含まれる「トランス脂肪酸」の含量は2%以下に設定されており、それ以上のマーガリンは販売する事ができません。


ロシアの油事情

ロシアでは多くの家庭で「ヒマワリ油」「菜種油」が利用されます。これらはロシア国内で非常に多く生産されており、マーガリンの原料としても利用されています。


ロシアは油の摂取量が多い?

多いです。ロシアの主食は「ジャガイモ」「パン」「カーシャ(そばの実など)」多くなっていますが、これらは基本的に「バター」と共に消費されます。ロシア人は「スイーツ」も大好きで、これらの原料に様々な油が含まれています。

ベルギー
マーガリン 生産量


2019年にベルギーは414,716トンのマーガリンを生産しています。

世界で生産されているマーガリンの2.71%がベルギーで生産されています。

マーガリンはベルギーで利用されているフランス語で「margarine(マーハガリン)」です。


ベルギーのマーガリン生産

ベルギーではマーガリンの原料となる油の輸入が多く、国内で加工・販売されています。国内では菓子やパンなどに利用される「ショートニング」も多く生産されており、様々な物に利用されています。


「ショートニング」ってなに?

「ショートニング」は動植物油を原料としたクリーム状の「食用油脂」で、「マーガリン」から水分や添加物を除いたものになります。パンやお菓子などに加え「サクサクとした触感」を出します。

インドネシア
マーガリン 生産量


2019年にインドネシアは407,406トンのマーガリンを生産しています。

世界で生産されているマーガリンの2.66%がインドネシアで生産されています。

マーガリンはインドネシア語で「margarin(マールガリン)」です。


パーム油の生産地

インドネシアは「パーム油」を非常に多く生産しており、多くのマーガリンに加工されています。インドネシアは「マーガリンの輸出量世界一」で、主な輸出先は【中国】【ナイジェリア】【イタリア】【アルジェリア】【ロシア】などに多く輸出されています。

また、日本から多くマーガリンが輸入されており、日本製のマーガリンを好む人も多く存在します。


インドネシアで人気のあるマーガリン

【パキスタン】と同様に「ブルーバンド」のマーガリンが人気があります。

ドイツ
マーガリン 生産量


2019年にドイツは394,445トンのマーガリンを生産しています。

世界で生産されているマーガリンの2.58%がドイツで生産されています。

マーガリンはドイツ語で「Margarine(マーガリーナ)」です。


ドイツのマーガリン

ドイツも多くのマーガリンを生産しており、生産したマーガリンを海外へ輸出しています。主に【オランダ】【ポーランド】【フランス】【イギリス】【オーストリア】などのヨーロッパ圏を中心に輸出しています。

まとめ


日本でも「マーガリン」に対し悪い印象を持つ人が多いと思いますが、「原材料にこだわった質の高いマーガリン」が多く登場しています。


今回は以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


サムネイル: 「Pixabay」から商用利用可能な写真を加工・利用しています。

-Food