近年、注目さえるエコ素材
ジュートは「黄麻(コウマ)」を原料として作られる繊維であり、「ビニール袋」が有料化される日本でも「エコバック」などとして利用する人が増加しています。
ジュートはどの国でどのくらい生産されているのでしょうか?
世界のジュート
生産量ランキング
世界のジュート 生産量
世界一位 インド
世界二位 バングラデシュ
世界三位 ウズベキスタン
世界のジュート生産量ランキング
Jute, raw or retted
Production (tonnes/year)
国 | 生産量 (t) 2022年 |
---|---|
世界 | 3,503,448.24 |
インド | 1,757,160 |
バングラデシュ | 1,529,947 |
カンボジア | 162,033.48 |
ウズベキスタン | 19,157.9 |
中国 | 14,600 |
ネパール | 10,217 |
南スーダン | 3,866.86 |
ジンバブエ | 2,760.41 |
エジプト | 2,279.6 |
ブータン | 343.17 |
タイ | 266.54 |
ペルー | 254.24 |
ベトナム | 240.58 |
エルサルバドル | 181.04 |
カメルーン | 95.27 |
ブラジル | 21 |
パキスタン | 14.05 |
ミャンマー | 10.09 |
台湾 | 0 |
コートジボワール | 0 |
イラン | 0 |
日本 | 0 |
各国のジュート
情報

ジュートとは?
ジュートの和名は「黄麻(コウマ)」であり、別名は「インド麻」です。日本でも生産していましたが現在生産している国は少なく、中国の生産量も減少しています。
袋として利用
ジュートは「植物」です。「ビニール袋」「プラスチック」などの化学製品の削減を求められる昨今、「エコバック」としての利用が増加しています。
製作段階で二酸化炭素が排出される
ジュート製品の製作には一般的に機械が利用されます。機械の使用により電気が利用され、間接的に「二酸化炭素」を排出します。ジュートは焼却時に有害な成分や、地中に埋めたとしても地中に存在する「バクテリア」によって分解され、化学製品で作られた物に比べ環境に良い製品です。
「環境に優しい製品」の利用が世界中で増加しており、ジュートの利用が増加しています。
ジュートを利用した様々な製品
バッグ、袋、紐、絨毯、ろうそくの芯などに利用されます。
インド
ジュート 情報
インドのジュート生産
国内ではジュートの生産技術や質が向上しており、多くのジュート製品が販売、輸出されています。
インドのジュート生産地
主にインド東部の「西ベンガル州」、南東部の「オリッサ州」、北東部の「アッサム州」、東部の「メーガーラヤ州」、東部の「トリプラ州」、南東部の「アーンドラ・プラデーシュ州」で多く生産されています。
ジュート生産に長い歴史がある
ジュート生産は150年以上の歴史があり、インド国内に70カ所を超えるジュート加工場が存在します。
肥料の使用が少ない
ジュート栽培はほとんど肥料を必要としません。害虫が付きにくく成長が速いので、比較的に簡単に栽培する事が可能です。米の栽培と比べ利益も2倍近くあり、様々な物に加工する事が可能な植物です。
ジュートの手織り製品
インドではジュート製品を「手織り」で生産する地域も多く存在します。手織りは機械と比べコストがかかりますが、「二酸化炭素」を排出しません。
バングラデシュ
ジュート 情報
バングラデシュのジュート生産
バングラデシュは多くのジュートを栽培しています。ジュートは高い引張強度・吸音・断熱・加工のしやすさなどに優れており、「グラスウール」にかわる断熱材・外装材・床材などとして「住宅用建材」に利用される製品へ加工が可能です。
衣服などのも加工が可能
衣服・ロープ・カーテン・カーペット・サンダルなど様々な物にも加工が可能です。近年では「ロウソク」なども「環境」への配慮からジュートを利用した「芯」が利用されています。
バングラデシュのジュート生産地
インドとバングラデシュはジュートの栽培に適した気候を有しており、「ガンジスデルタ地帯:ガンジス川の下流」で多く栽培されています。世界で生産されているジュートの多くがインドとバングラデシュで生産されています
化石燃料や化学薬品を利用した素材の利用は一般的ですが、世界では環境への負担を低減させるために化学製品の利用が求められています。ジュートは綿花と異なり水の利用が少なくて済む事や、害虫に対する農薬の散布が少なく済むため注目を集めています。インドやバングラデシュではジュートを利用した袋を利用するなどの法整備などが始まっています。
ウズベキスタン
ジュート 情報
ウズベキスタンのジュート生産
ウズベキスタンでは多くのジュートが生産されており、様々な物に加工され、国内での利用・海外に輸出されています。
ウズベキスタンの水問題
ウズベキスタンは「綿花」の大きな生産地であり、世界中に綿花を輸出しています。綿花の栽培には大量の水が必要であり、綿花生産で利用された水により「アラル海」の水は枯渇寸前に陥っています。
綿花に頼った単一作物生産は限界があり、水の利用が限られている国での生産は水不足に陥る可能性があります。現在でも水の利用が制限される多くの国で綿花生産をおこなっており、経済を支える重要な生産品です。
中国
ジュート 情報
現在は多く生産されていない
中国は過去に多くのジュートを生産していましたが、1985年にジュート対する政府の計画的な生産ガイダンスと購入の変更が行われ、1993年にはガイダンスも廃止されました。これによりジュート生産は著しく現象し、多くの農家が他の作物への切り替えをおこなっています。
穀物などの政府が買取り、生産量をコントロールしていますが、政府から購入されなくなったジュートは販売先を新たに探す必要があり、多くのジュート農家・加工場が混乱し、操業を停止しました。
現在も国内のジュート生産量は減少しており、今後も生産量が減少する可能性があります。
ジュート生産地
主に東部の「浙江省(せっこうしょう)」「広東省(カントンしょう)」などで多く生産されています。
ネパール
ジュート 情報
ジュートの加工品生産
ネパールは国内で生産されるジュートの利用以外に「インド」「バングラデシュ」からジュートを輸入しており、国内で加工をおこなっていま
ジュートの生産量減
国内のジュート生産量が減少しておりしています。インド、バングラデシュのジュートは価格が高騰科してきており、原料の高騰により、国内の加工場などが打撃を受けています。
セレブの愛用品
ジュートを利用したバックは「環境に良い」という観点から先進国の「セレブ」の利用が増加しています。ネパールで生産されるジュートバックは質が良く、高価格で取引される傾向があり、需要が増加してます。
ネパールのジュート生産地
主に東部の「Sunsar iDistrict(スリサリ県)」「Morang District(モラン県)」「Jhapa District(ジャパ県)」「Siraha District(シラハ県)」「Saptari District(サプラリ県)」「Udayapur District(ウダイプル県)」などでジュートが生産されています。
南スーダン
ジュート 情報
南スーダンはどこ?
南スーダンは「アフリカ大陸の中東部」に位置し、多くの国と国境を接しています。貧困層が多く、主に農業従事者になります。
南スーダンの農業
南スーダンは原油産出国ですが紛争などが続いており、海外では南スーダンとの取引を敬遠する傾向があり、輸出による外貨の獲得が難しくなっています。
国内では農業が盛んにおこなわれ、ジュートをはじめ様々な農作物が国内で生産されていますが非常に貧困層が多く、旅行者を狙った強盗や犯罪が多くなります。
ジンバブエ
ジュート 情報
ジンバブエはどこ?
ジンバブエは「アフリカ大陸の南」に位置しており、「南アフリカ共和国」などと国境を接しています。貧困層が多い国であり、貧困層の多くが農業従事者です。
ジュートはジンバブエで最も安価な素材
ジンバブエでジュートは「最も安価な素材」として扱われており、頻繁に利用される素材の一つです。ジュートは耐久力があり、穀物などを保存する袋として多く利用されます。
エジプト
ジュート 情報
エジプトのジュート生産地
主に中北部の「ファイユーム県」などでジュート生産がおこなわれています。ファイユーム県には古代に「モエリス湖」と呼ばれる湖が存在したとされ、モエリス湖の周りに文明が栄えていたとされています。
古代エジプトでも「黄麻」を栽培していた形跡がある
古代エジプトでもジュートの原料となる「黄麻」を栽培していた形跡があります。エジプトでは黄麻の葉を「食用」として消費しており、日本も同様に食用として栽培していました。
エジプトで栽培される「シマツナソ」はジュートの代用としても扱われる植物であり、は一般的に「モロヘイヤ」として知られています。モロヘイヤはアラビア語が語源です。
ベトナム
ジュート 情報
ベトナムのジュート生産地
主に紅河下流の「紅河デルタ地帯」で農業がおこなわれており、ジュート生産も主に紅河デルタ地帯で栽培されています。
ブータン
ジュート 情報
ゴミ問題
国内では「プラスチック」製品が多く、ブータンで排出されるゴミの多くがプラスチックです。国内では2019年から「ビニール袋禁止令」が発令されており、国内でビニール袋を購入する事ができません。
ジュート袋の利用
ビニール袋の代わりに注目を集めているのが「ジュート袋」です。国内で多くのジュートを生産しており、簡単に購入する事が可能です。
ブラジル
ジュート 情報
日本が開拓したジュート生産
1960年代から日本からブラジルに渡った移民により、ブラジルの北部の「パラー州」、北東部の「アマゾナス州」でジュート生産がおこなわれました。現在、国内のジュート生産は限定的ですが、世界中でジュート生産に注目が集まっており、今後生産量が増加する可能性があるかもしれません。
現在も多くの人がジュート生産に関わっている
ブラジル北部では現在もジュート生産をおこなう農家が多く存在します。これらの農家は伝統的にジュートを作り続けてきた農家であり、現在もジュート生産が続けられています。
ブラジルでは「コーヒー」の生産が盛んであり、ジュートはコーヒーを入れる「袋」として利用されています。
まとめ
日本のジュート生産
日本ではかつて「九州」で栽培されていましたが、現在の生産量は非常に限定的です。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考
FAO, FAOSTAT. "Crops and livestock products - Jute, raw or retted, Production (t)" (English) 1961-2022年. ©FAO 2024. 2021年10月05日閲覧。
FAOの利用規則はこちら (English) です。
サムネイル:Pixabay
ライセンスに関してはこちら (English) をご覧ください。