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世界の漏えいした温室効果ガス排出量

 世界ではFugitive emissions(フュージティブエミッション)と呼ばれる、ガスの生産時に漏れ出したガスや、意図しない放出が大きな温室効果ガスの排出につながっています。

 世界ではどのくらいフュージティブエミッションが排出されているのでしょうか?

記事の内容

世界の漏えいした温室効果ガスランキング
各国の漏えいした温室効果ガス

世界の漏えいした温室効果ガス

漏えいした温室効果ガス排出量世界一ロシア世界二位は中国世界三位はアメリカです。

世界の漏えいした温室効果ガス排出量
Greenhouse gas emissions by Fugitive emissions

温室効果ガス
排出量
(t)
2016年
1ロシア
(Russia)
Population: 145,872,300
713,040,000
2中国
(China)
Population: 1,406,473,280
693,380,000
3アメリカ
(America)
Population: 335,624,927
291,970,000
4イラン
(Iran)
Population: 82,913,900
121,100,000
5ウズベキスタン
(Uzbekistan)
Population: 32,981,700
78,750,000
6ベネズエラ
(Venezuela)
Population: 28,515,800
65,520,000
7ナイジェリア
(Nigeria)
Population: 200,963,600
59,390,000
8インド
(India)
Population: 1,402,862,229
54,950,000
9カナダ
(Canada)
Population: 37,411,000
46,560,000
10トルクメニスタン
(Turkmenistan)
Population: 5,942,100
43,620,000
11アルジェリア
(Armenia)
Population: 43,053,100
38,200,000
12ウクライナ
(Ukraine)
Population: 43,993,600
38,200,000
13アゼルバイジャン
(Azerbaijan)
Population: 10,047,700
38,130,000
14オーストラリア
(Australia)
Population: 25,203,200
36,360,000
15リビア
(Libya)
Population: 6,777,500
34,560,000
16メキシコ
(Mexico)
Population: 120,575,500
33,310,000
17インドネシア
(Indonesia)
Population: 274,522,988
33,250,000
18アラブ首長国連邦
(AUE)
Population: 9,770,500
32,360,000
19アンゴラ
(Angola)
Population: 31,825,300
30,110,000
20イラク
(Iraq)
Population: 39,309,800
25,020,000
21カザフスタン
(Kazakhstan)
Population: 18,551,400
23,210,000
22マレーシア
(Malaysia)
Population: 31,949,800
21,180,000
23ベトナム
(Vietnam)
Population: 96,462,100
20,110,000
24ポーランド
(Poland)
Population: 37,887,800
19,560,000
25コロンビア
(Colombia)
Population: 50,339,400
17,200,000
26エジプト
(Egypt)
Population:100,388,100
14,930,000
27赤道ギニア
(Equatorial Guinea)
Population: 1,356,000
14,250,000
28パキスタン
(Pakistan)
Population: 216,565,300
13,700,000
29サウジアラビア
(Saudi Arabia)
Population: 34,268,500
13,150,000
30タイ
(Thailand)
Population: 69,625,600
13,000,000
31北朝鮮
(North Korea)
Population: 25,500,000
12,360,000
32アルゼンチン
(Argentine)
Population: 44,780,700
11,950,000
33ルーマニア
(Romania)
Population: 19,364,600
9,720,000
34ブルネイ
(Brunei)
Population: 433,300
9,340,000
35ドイツ
(Germany)
Population: 83,517,000
8,990,000
36ブラジル
(Brazil)
Population: 211,049,500
8,860,000
37トルコ
(Turkey)
Population: 83,429,600
8,140,000
38イギリス
(U.K)
Population: 67,530,200
7,420,000
39オマーン
(Oman)
Population: 4,975,000
5,950,000
40チャド
(Chad)
Population: 15,946,900
5,720,000
41ガーナ
(Ghana)
Population: 30,417,900
5,480,000
42パプアニューギニア
(Papua New Guinea)
Population: 8,776,100
5,410,000
43韓国
(Korea)
Population: 51,225,300
5,200,000
44イタリア
(Italy)
Population: 60,550,100
4,790,000
45カタール
(Qatar)
Population: 2,832,100
4,220,000
46クウェート
(Kuwait)
Population: 4,207,100
3,880,000
47チェコ
(Czech)
Population: 10,689,200
3,870,000
48イスラエル
(Israel)
Population: 8,519,400
3,340,000
49シリア
(Syria)
Population: 17,070,100
3,320,000
50ボリビア
(Bolivia)
Population: 11,513,100
3,300,000
51モロッコ
(Morocco)
Population: 36,471,800
3,060,000
52ペルー
(Peru)
Population: 32,510,500
3,010,000
日本
(Japan)
Population: 125,810,000
2,300,000
出典: CAIT Climate Data Explorer via. Climate Watch 2016年
https://www.climatewatchdata.org/data-explorer/historical-emissions

各国の漏えいした温室効果ガス

 
 2016年、温室効果ガスは世界全体で50,610,000,000トン排出されています。漏えいなどにより、温室効果ガスの排出量は2,880,000,000トンで、全体の5.69%が漏えいなどにより温室効果ガスが発生しています。

 「温室効果ガス」の排出原因の記事はこちらになります。よろしかったら一緒にご覧ください。


ロシアの漏えいした温室効果ガス

 
 ロシアでは発電により713,040,000トンの温室効果ガスが発生していて、世界で発電により発生した温室効果ガスの24.75%がロシアから発生しています。

ロシアの天然ガス


 ロシア政府は何十年も期間、フュージティブエミッションなどの排出量の測定を体系的に禁止してきました。総ガス排出量の5〜7%のメタンが排出されているという予測がされています。「時代遅れの規制されていないシステム」の運用により、ガスの漏えいなどが発生している事をを示唆しています。(出典: The Hill)

天然ガスってクリーンなの?


 天然ガスは石炭の使用と比べ、温室効果ガスの排出量が少ないとされています。しかし、生産・輸送中に3.5%程度の漏えいする天然ガスは、石炭と比べても劣っているとされています。米国の2019年の調査によると、ロシアの天然ガスは、石炭から排出される温室効果ガスに比べ、22%多い事がわかっています。EUに供給される米国の液化天然ガス(LNG)は、EUの石炭よりも温室効果ガスの総排出量が最大56%少ないと報告されています。(出典: The Hill)

ロシアと米国との関係


 ロシアの天然ガスの輸出は2010年から2020年の間、更に増加しています。外交的に天然ガスを利用するロシアと、ロシアの天然ガスの利用の拡大を抑えたいアメリカは、争うポイントが非常に多くなっています。自国のLNG(液化天然ガス)を売りたいアメリカはロシアに対し、嫌がらせをおこなうかもしれません。

中国の漏えいした温室効果ガス


 中国では発電により693,380,000トンの温室効果ガスが発生していて、世界で発電により発生した温室効果ガスの24.07%が中国から発生しています。

中国でおこなわれるフィュージティブエミッション会議


 2023年、3月28日から29日にかけて、ガスの漏えいなどの大規模な「フィュージティブエミッションサミット」が中国の上海でおこなわれます。サミットは化学工場・石油化学/製油所・配管・LNG・発電所・パルプ&紙などの企業の代表者に向けて参加が呼びかけられていています。(出典: Fugitive Emissions Summit China 2022年)

どのような事が議論されるのか?


 フュージティブエミッションサミットでは、世界の専門家を招き、フュージティブエミッションの抑制と実践に関する知識・経験・イノベーション技術などを共有することを目的としています。政府関係者・研究機関・エンジニアリング会社などにより、中国でフィュージティブエミッションの減少に成功した事例・課題・新しい法律などの情報の共有などがおこなわれます。(出典: Fugitive Emissions Summit China 2022年)

アメリカの漏えいした温室効果ガス


 アメリカでは発電により291,970,000トンの温室効果ガスが発生していて、世界で発電により発生した温室効果ガスの10.13%がアメリカから発生しています。

アメリカのフィュージティブエミッションの点検


 アメリカのフィュージティブエミッションの排出量は1990年から2009年の間に1.9倍減少しています。米国の環境保護庁(EPA)によって推進されている光イオン化検出器(PID)や水素炎イオン化検出器(FID) などで点検がおこなわれます。(出典: EPA)

アメリカのガスの問題点


 米国の天然ガスシステムは、約100万の生産油井(油田において原油を採掘するために使う井戸)とガス井、130万マイル(209万キロ)の大口径高圧送電線、数百万マイルの中圧および低圧配水管・数千万の接続ポイントで構成されています。

 米国のガスシステムの大部分は老朽化しています。1850年代後半の米国の石油・ガス産業の開始以来、約300万ヵ所の石油・ガス井が放棄されており、時代遅れまたは非標準の技術によって封印されています。ボストンやワシントンDCなどの一部の都市には、100年前の鋳鉄製のガスパイプなどによって構成された大規模なネットワークがあり、ガス漏れなどが多くなっています。(National Academy of Engineering 2015年)

イランの漏えいした温室効果ガス


 イランでは発電により121,100,000トンの温室効果ガスが発生していて、世界で発電により発生した温室効果ガスの4.21%がイランから発生しています。

イランのガス事情


 イランはカタールと共有する「サウスパーズ/ノースドームフィールド」という、ペルシャ湾に位置する世界最大の天然ガス田の所有しています。開発以来、イランの天然ガス産業は急速度で成長し、多くの国へ輸出されています。代表的な輸出先はパイプラインにより、トルコ・アルメニア・アゼルバイジャン・イラクなどです。(出典: carbon brief 2020年)

イランのフィュージティブエミッション


 2016年、イランの「ガスフレア」(油田・ガス田から発生する遊離天然ガスを焼却処分する際に発生する炎⦅出典: Wikipedia⦆砂漠などで、長いパイプの先からガスを放出して燃焼させているもの)による温室効果ガス排出量の全体の10%です。フィュージティブエミッションの排出量は全体の19%です。(出典: carbon brief 2020年)

ウズベキスタンの漏えいした温室効果ガス


 ウズベキスタンでは発電により78,750,000トンの温室効果ガスが発生していて、世界で発電により発生した温室効果ガスの2.73%がウズベキスタンから発生しています。

ウズベキスタンの気候変動


 ウズベキスタンの平均気温上昇率は2倍です。現在の地球温暖化率よりも高く、ウズベキスタン国内では水不足・土地の砂漠化と劣化の増加・干ばつ・その他の異常気象により、農業などが脅かされています。(出典: IEA 2021年)

ウズベキスタンの温暖化対策

 
 ウズベキスタンの気候変動対策は、2030年までに温室効果ガスの10%低減が掲げられています。2030年は、気候変動による重要なターニングポイントになり、2050年がどのような未来になるかを決める重要な年になります。ウズベキスタンでは温室効果ガスを減らす取り組みの強化し、フィュージティブエミッション対策なども更なる強化が必要になると思われます。

まとめ


 ガス漏れなどは日常的に発生します。部品の劣化などにより発生し、こまめな点検により発見されます。フィュージティブエミッションによる温室効果ガスの排出量は他の排出原因と比べて低いですが、確実に温暖化の原因の一つになります。

 今回は以上です。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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