食品を生産する過程で温室効果ガスが発生します。生産する段階で多くの温室効果ガスを排出する食品を減らす事は、環境負担を減らす事へと繋がります。
食品はどのくらい温室効果ガスを排出しているのでしょうか?
✔記事の内容
食品別温室効果ガス排出量
食品の温室効果ガス排出量ランキング
CO2の排出量が多い食品は一位は中央牛肉、二位はチョコレート、三位はラム肉です。

食品の生産過程で発生する温室効果ガス排出量ランキング
Greenhouse gas emissions per kilogram
食品 | 温室効果ガス 排出量 (1㎏あたり) | |
1 | 牛肉 (牛肉の生産量) | 99.48 |
2 | ダークチョコレート (カカオ生産量) | 46.65 |
3 | ラム肉、マトン | 39.72 |
4 | 牛肉(乳牛) (牛乳の消費量) | 33.30 |
5 | コーヒー (コーヒーの消費量) | 28.53 |
6 | えび(養殖) | 26.87 |
7 | チーズ | 23.88 |
8 | 魚(養殖) (魚の消費量) | 13.63 |
9 | 豚肉 | 12.31 |
10 | 鶏肉 (鶏肉の生産量) | 9.87 |
11 | 卵 | 4.67 |
12 | 米 (米の生産量) | 4.45 |
13 | 落花生 (落花生の生産量) | 3.23 |
14 | さとうきび (さとうきびの生産量) | 3.20 |
15 | 豆腐 (大豆の生産量) | 3.16 |
16 | 牛乳 (牛乳の消費量) | 3.15 |
17 | 大麦(オーツ) (オーツ麦の生産量) | 2.48 |
18 | トマト (トマトの生産量) | 2.09 |
19 | ワイン (ワインの飲酒量) | 1.79 |
20 | とうもころし (とうもろこしの生産量) | 1.70 |
21 | 小麦、ライ麦 (小麦の生産量) (ライ麦の生産量) | 1.57 |
22 | ベリー、グレープ (ブルーベリーの生産量) (ラズベリーの生産量) (クランベリーの生産量) (グレープの生産量) | 1.53 |
23 | キャッサバ (キャッサバの生産量) | 1.32 |
24 | 大麦 (大麦の生産量) | 1.18 |
25 | フルーツ全般 (フルーツ消費量) | 1.05 |
26 | 豆類 (豆類の生産量) | 0.98 |
27 | 豆乳 (豆類の生産量) | 0.98 |
28 | バナナ (バナナの生産量) | 0.86 |
29 | 野菜類 (野菜の生産量) | 0.53 |
30 | アブラナ属の野菜 (アブラナの生産量) | 0.51 |
31 | たまねぎ、リーキ (ネギやリーキの生産量) | 0.50 |
32 | じゃがいも (じゃがいもの生産量) | 0.46 |
33 | 根菜 | 0.43 |
34 | ナッツ類 (カシューナッツの生産量) (ヘーゼルナッツの生産量) | 0.43 |
35 | りんご (りんごの生産量) | 0.43 |
36 | 柑橘系フルーツ (柑橘フルーツ生産量) | 0.39 |
https://science.sciencemag.org/content/360/6392/987
食品別温室効果ガス排出量
肉などの生産には様々なプロセスがあり、多くの温室効果ガスを排出します。
牛肉の温室効果ガス排出量
牛肉を生産する過程で発生する温室効果ガスは、牛肉1kgあたり約99.48kgの温室効果ガスが発生しています。
牛は草食動物で、草食動物の多くは「反芻」をおこないます。反芻は一度飲み込んだ物を再び口の中へ戻し、噛みなおしをおこなう行為です。反芻をおこなう事で、胃の中に生存している微生物により分解や消化がおこなわれます。この代謝過程でメタンなどが発生し、多くのメタンを体外へ放出します。メタンは温室効果ガスの中でも非常に強力な温室効果があり、二酸化炭素(CO2)の34倍のです。
牛の飼育には広大な土地が必要で、森林を伐採して遊牧地がつくられる事があります。遊牧地以外でも牧草などを与え育成する事が可能ですが、植物を育てるには「水」が必要になります。このように間接的に利用される水は「バーチャルウォーター」と呼ばれ、1㎏の牛肉にの生産には20,600㎥の水が必要になります。これは風呂103回分の水が1㎏の牛肉を生産するのに必要になり、将来的に水不足になると危惧されています。
持続可能な社会の構築には、将来的に家畜の数を減らさなければなりません。大豆などを利用したソイミートなどが一般的になる将来は意外と近いかもしれません。
チョコレートの温室効果ガス排出量
チョコレートを生産する過程で発生する温室効果ガスはチョコレート1kgあたり約46.65kgの温室効果ガスが発生しています。
チョコレートも生産の過程で多くの温室効果ガスが排出される食べ物です。チョコレート1㎏あたり約200gの炭素、5㎏の二酸化炭素を排出しています。カカオの含有量が多いダークチョコレートは300gの炭素が排出され、生産の段階で非常に多くの温室効果ガスを排出しています。アフリカではカカオの栽培のために森林の伐採、農作物をカカオへ変更するなど気づかないうちに環境破壊に加担しているケースが多くなっています。
チョコレートの消費量が多い英国では、年間18,000トンのチョコレートが食べられずに廃棄されています。これは90,000トンの温室効果ガスになり、廃棄されるチョコレートによって多くの温室効果ガスが排出されています。フードロス(食べきれずに廃棄されること)を無くす事は温暖化の抑止力の一つになります。(Medical Life Sciences 2021年)
ラム肉、マトンの温室効果ガス排出量
ラム肉、マトンを生産する過程で発生する温室効果ガスはラム肉、マトン1kgあたり約39.72kgの温室効果ガスが発生しています。
子羊の肉は牛肉と比べて多くの温室効果ガスが発生します。子羊は成長した牛と同程度のメタン排出、同量の飼料を必要としますが、子羊は成長した羊に比べて食べられる量が少ないため、1㎏あたりの排出量が多くなります。アメリカで消費される肉の1%が子羊であるため、ラム肉、マトンによる米国全体の温室効果ガス排出量はそれほど多くありませんが、将来的に制限する必要があると思われます。(Meat Eater’s Guide )
反芻動物から排出されるメタンを削減させるために動物用のマスクなどが開発されています。メタンは口と鼻(約95%)からほぼ排出されるため、排出されたメタンがマスクによって検知され、二酸化炭素と水に分離します。(Zelp 2022年)
コーヒーの温室効果ガス排出量
コーヒーを生産する過程で発生する温室効果ガスはコーヒー1kgあたり約28.53kgの温室効果ガスが発生しています。
世界中で毎年95億kg以上のコーヒーが生産されています。世界のコーヒー需要は2050年までに生産量が3倍になると予想されており、コーヒーの栽培地では増産のために森林の伐採がおこなわれています。
1㎏のアラビカコーヒーの栽培、英国に輸出すると、約15.33kgの二酸化炭素に相当する温室効果ガスが排出されます。輸送には航空機などが利用され、多くの温室効果ガスなどが輸送により排出される事が大きな理由になっています。航空機の利用を停止、貨物船を利用した輸送や、栽培に利用される肥料などを減少させることにより、1kgあたり3.51kgの二酸化炭素を減らす事が可能です。
一般的なコーヒー1㎏から排出される炭素の量は約0.28kgですが、持続可能な方法で栽培されたコーヒーでは炭素の排出量を0.06kgに抑える事が可能です。更にコーヒーに入れるミルクをオーツミルクや豆乳などに変更する事も環境の保全へと繋がります。(CUL 2021年)
私もコーヒーの注文の際は豆乳を利用します。
えびの温室効果ガス排出量
えび(養殖)を生産する過程で発生する温室効果ガスはえび1kgあたり約28.53kgの温室効果ガスが発生しています。
世界の約34%のエビが東南アジアで生産されています。東南アジアの国々では、エビの養殖場をつくるためにマングローブを伐採する事が多く、これらが多くの温室効果ガスの排出につながります。マングローブは何世紀にわたり、地下に埋蔵された炭素を保持しています。マングローブの伐採により蓄積された炭素が放出し、多くの温室効果ガスを排出させます。
マングローブの伐採は過去10年間で減少しています。多くの国がマングローブの伐採による環境破壊を危惧しており、多くの地域で伐採の禁止されています。
エビの養殖場も多くのアップデートがおこなわれ、飼料の改善、蓄積物除去、プロバイオティクス(共存可能な微生物)などを使用が養殖所の使用年数を伸ばし、温室効果ガスの減少に繋がっています。(World Fish 2018年)
まとめ
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。