農業は温室効果ガスの排出とは程遠い印象がありますが、非常に多くの温室効果ガスが農業によって排出されています。
世界ではどのくらい温室効果ガスが農業によって排出されているのでしょうか?
✔記事の内容
各国の農業による温室効果ガス排出量
世界の農業による温室効果ガス排出量
世界の農業による二酸化炭素排出量世界一は中国、世界二位はアメリカ、世界三位はインドです。

世界の農業による温室効果ガス排出量
Greenhouse gas emissions from agriculture
国 | 温室効果ガス 排出量 (t) 2014年 | |
1 | 中国 (China) ![]() Population: 1,406,473,280 | 36,019,440 |
2 | アメリカ (America) ![]() Population: 335,624,927 | 31,024,200 |
3 | インド (India) ![]() Population: 1,402,862,229 | 24,759,260 |
4 | ブラジル (Brazil) ![]() Population: 211,049,500 | 12,385,520 |
5 | ロシア (Russia) ![]() Population: 145,872,300 | 8,378,940 |
6 | アルゼンチン (Argentine) ![]() Population: 44,780,700 | 7,392,680 |
7 | インドネシア (Indonesia) ![]() Population: 274,522,988 | 5,913,640 |
8 | フランス (France) ![]() Population: 65,129,700 | 4,673,830 |
9 | ウクライナ (Ukraine) ![]() Population: 43,993,600 | 4,627,410 |
10 | バングラデシュ (Bangladesh) ![]() Population: 163,046,200 | 4,066,910 |
11 | カナダ (Canada) ![]() Population: 37,411,000 | 4,057,770 |
12 | ドイツ (Germany) ![]() Population: 83,517,000 | 3,409,680 |
13 | ベトナム (Vietnam) ![]() Population: 96,462,100 | 3,263,240 |
14 | オーストラリア (Australia) ![]() Population: 25,203,200 | 3,039,860 |
15 | タイ (Thailand) ![]() Population: 69,625,600 | 3,017,880 |
16 | パキスタン (Pakistan) ![]() Population: 216,565,300 | 3,012,960 |
17 | トルコ (Turkey) ![]() Population: 83,429,600 | 2,427,240 |
18 | ミャンマー (Myanmar) ![]() Population: 54,045,400 | 2,393,460 |
19 | メキシコ (Mexico) ![]() Population: 120,575,500 | 2,214,890 |
20 | ナイジェリア (Nigeria) ![]() Population: 200,963,600 | 2,142,840 |
21 | フィリピン (Philippines) ![]() Population: 108,116,600 | 1,832,900 |
22 | イギリス (U.K) ![]() Population: 67,530,200 | 1,775,200 |
23 | ポーランド (Poland) ![]() Population: 37,887,800 | 1,678,600 |
24 | カザフスタン (Kazakhstan) ![]() Population: 18,551,400 | 1,550,850 |
25 | エジプト (Egypt) ![]() Population:100,388,100 | 1,422,680 |
26 | スペイン (Spain) ![]() Population: 46,736,800 | 1,401,430 |
27 | ルーマニア (Rumania) ![]() Population: 19,364,600 | 1,400,960 |
28 | イラン (Iran) ![]() Population: 82,913,900 | 1,390,620 |
29 | エチオピア (Ethiopia) ![]() Population: 112,078,700 | 1,288,570 |
30 | イタリア (Italy) ![]() Population: 60,550,100 | 1,242,080 |
31 | パラグアイ (Paraguay) ![]() Population: 7,044,600 | 1,059,050 |
32 | 南アフリカ共和国 (South Africa) ![]() Population: 58,558,300 | 1,029,610 |
33 | ハンガリー (Hungary) ![]() Population: 9,684,700 | 960,900 |
34 | スーダン (Sudan) ![]() Population: 42,813,200 | 925,710 |
35 | タンザニア (Tanzania) ![]() Population: 58,005,500 | 870,600 |
36 | カンボジア (Cambodia) ![]() Population: 16,486,500 | 833,630 |
37 | 日本 (Japan) ![]() Population: 125,810,000 | 795,350 |
38 | ネパール (Nepal) ![]() Population: 28,608,700 | 749,400 |
39 | デンマーク (Denmark) ![]() Population: 5,771,900 | 676,980 |
40 | セルビア (Serbia) ![]() Population: 8,772,200 | 641,150 |
41 | ブルガリア (Bulgaria) ![]() Population: 7,000,100 | 625,770 |
42 | モロッコ (Morocco) ![]() Population: 36,471,800 | 614,970 |
43 | チェコ (Czech) ![]() Population: 10,689,200 | 601,590 |
44 | ウズベキスタン (Uzbekistan) ![]() Population: 32,981,700 | 596,990 |
45 | ベラルーシ (Belarus) ![]() Population: 9,452,400 | 577,930 |
46 | アフガニスタン (Afghanistan) ![]() Population: 38,041,800 | 554,480 |
47 | ニジェール (Niger) ![]() Population: 23,310,700 | 547,290 |
48 | マリ (Mali) ![]() Population: 19,658,000 | 530,990 |
49 | ウルグアイ (Uruguay) ![]() Population: 3,461,700 | 490,190 |
50 | イラク (Iraq) ![]() Population: 39,309,800 | 476,850 |
51 | ボリビア (Bolivia) ![]() Population: 11,513,100 | 451,870 |
52 | 北朝鮮 (North Korea) ![]() Population: 25,500,000 | 428,340 |
http://www.fao.org/faostat/en/?#data/
各国の農業による温室効果ガス排出量
世界の農業による温室効果ガスの排出量は211,806,100トンです。アジアでは96,464,220トンで45.45%、北アメリカでは61,042,230トンで28.81%、ヨーロッパでは36,321,740トンで17.14%、南アメリカでは23,168,390トンで10.93%、アフリカでは14,861,270トンで7.01%、オセアニア3,116,640で1.47%です。

中国の農業による温室効果ガス排出量
中国の農業による温室効果ガスの排出量は36,019,440トンで、世界で排出される温室効果ガスの17.00%が中国によって排出されています。
中国は2030年までに温室効果ガスの排出量の上昇を止め、2060年までに温室効果ガスの排出量をゼロにするという目標を発表しています。(COP26 2021年)
中国は世界の耕作可能な土地の9%を有していて、世界の食料と繊維(綿など)の20%を提供しています。
2010年、中国の農業部門は約6億6,000万トンの温室効果ガスを排出し、そのうち45%は稲作、家畜屎尿管理、反芻家畜から発生するメタンの排出、畑の野焼きなどによる温室効果ガスの排出でした。残りの55%は、肥料の使用による亜酸化窒素の発生などが主になっています。(China Dialog 2021年)
アメリカの農業による温室効果ガス排出量
アメリカの農業による温室効果ガスの排出量は31,024,200トンで、世界で排出される温室効果ガスの14.64%がアメリカによって排出されています。
アメリカでは2019年までに移動や移送で排出により排出された温室効果ガスが29%、発電所による排出が25%、工場による排出が23%、農業による排出が10%、商業による排出が7%、住居による排出が6%になります。(EPA 2019年)

インドの農業による温室効果ガス排出量
インドの農業による温室効果ガスの排出量は24,759,260トンで、世界で排出される温室効果ガスの11.68%がアメリカによって排出されています。
インドの農業は気候変動の影響と思われる災害などが増加し、深刻なダメージを受けています。雨不足、熱波、不規則な降雨や大雨による洪水など、日本と似たような災害が増加しています。
インドは急激な人口の増加により、食料生産の強化する必要があります。農業から排出される温室ガスを削減しながら増加する需要を満たすのは非常に難しく、大きな問題になっています。(Down to Earth 2020年)
インドは農業および畜産部門からの年間温室効果ガス排出量の18%を削減できる可能性があります。肥料の効率的な使用、不耕起栽培(農地を耕さない栽培方法)、灌漑に使用される水の管理により、50%の温室効果ガスの削減できるとしています。(CIMMYT 2020年)
ブラジルの農業による温室効果ガス排出量
ブラジルの農業による温室効果ガスの排出量は12,385,520トンで、世界で排出される温室効果ガスの5.84%がブラジルによって排出されています。
農業はブラジルの主要な産業の一つです。国の農地は過去10年間増加しており、2016年のブラジルの輸出の46%が農業により生産されたものになります。ブラジルも不況が続いていますが、農業は発展している数少ない部門になっています。
ブラジルでは農業による温室効果ガスの排出が多く、国内で排出される温室効果ガスの34%が農業によって排出されています。(Carbon Brief 2018年)
2020年、ブラジルでは大規模な森林火災などが発生していています。森林破壊は1年前にくらべ55%増加しており、非常に大きな問題になっています。(REUTER 2020年) 2030年までに15mヘクタールの牧草地を回復し、2030年までに作物、家畜、森林など500万ヘクタールを回復させる事を約束しています。
ロシアの農業による温室効果ガス排出量
ロシアの農業による温室効果ガスの排出量は8,378,940トンで、世界で排出される温室効果ガスの3.95%がロシアによって排出されています。
ロシアでは農業に非常に力を入れており、過去20年間で純食品輸入国から主要な食品輸出国に移行しています。農業による温室効果ガスの排出量も増加していて、温室効果ガスの10%は農林業などから排出されています。
ロシアの持続可能な農業
農地の拡大は大きな温室効果ガスの排出につながります。新たに森林や農地では無い土地を農地へと転換する際に非常に多くの温室効果ガスが排出されます。ロシアでは、遊休農地(利用が停止されているの農地)を耕作すると1ヘクタールあたり1〜2トンのCO2が排出されますが、それ以外の土地を開拓・農地として利用した場合は1ヘクタールあたり12〜34トンのCO2が排出されます。
ロシア南西部では低炭素農業を実施していますが、肥料や農薬などの適切な利用など更なる低炭素化へ向けて考慮する必要があります。収穫量の多い地域での肥料や農薬の必要以上の利用は、土壌、河川などに害を及ぼす可能性があり、環境汚染や温室効果ガスの排出につながります。これらの問題に対処するため、地方自治体レベルでのロシアでのデータ収集をさらに強化する必要があります。(ロシア国家経済行政アカデミーRANEPA 2020年)
まとめ
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。