日本では生産された食品の多くが利用されず廃棄されています。廃棄される食品は生産段階で多くのCO2(二酸化炭素)が排出され、世界中で削減が求められています。
世界ではどの国がどれくらい食品ロスによりCO2を排出しているのでしょうか?
食品ロス
CO2の排出量ランキング
世界のCO2排出量ランキング(食品ロスから)
世界一位 ウクライナ
世界二位 ロシア
世界三位 アルゼンチン
食品ロスによるCO2の排出量ランキング
CO2 emission from total waste from food systems
国 | 食品ロス CO2排出量 (ギガグラム) | |
世界合計 | 32,383.87 | |
1 | 中国 (China) ![]() | 11,151.69 |
2 | 日本 (Japan) ![]() | 3,897.85 |
3 | インドネシア (Indonesia) ![]() | 2,585.42 |
4 | アメリカ (America) ![]() | 1,946.95 |
5 | ドイツ (Germany) ![]() | 1,822.71 |
6 | フランス (France) ![]() | 982.34 |
7 | イギリス (U.K) ![]() | 932.79 |
8 | 韓国 (Korea) ![]() | 922.56 |
9 | インド (India) ![]() | 816.90 |
10 | イタリア (Italy) ![]() | 625.76 |
11 | オランダ (Netherlands) ![]() | 592.64 |
12 | 香港 (Hong Kong) ![]() | 523.60 |
13 | ドミニカ共和国 (Dominican Republic) ![]() | 505.55 |
14 | マレーシア (Malaysia) ![]() | 477.92 |
15 | ハイチ (Haiti) ![]() | 428.80 |
16 | フィリピン (Philippines) ![]() | 420.08 |
17 | ベトナム (Vietnam) ![]() | 376.37 |
18 | スイス (Switzerland) ![]() | 354.71 |
19 | スペイン (Spain) ![]() | 290.46 |
20 | ジャマイカ (Jamaica) ![]() | 191.66 |
21 | ポーランド (Poland) ![]() | 189.19 |
22 | オーストリア (Austria) ![]() | 186.01 |
23 | ギリシャ (Greece) ![]() | 173.99 |
24 | ミャンマー (Myanmar) ![]() | 141.79 |
25 | オーストラリア (Australia) ![]() | 135.46 |
26 | モンゴル (Mongolia) ![]() | 120.66 |
27 | ベルギー (Belgium) ![]() | 116.28 |
28 | ポルトガル (Portugal) ![]() | 106.97 |
29 | スウェーデン (Sweden) ![]() | 98.63 |
30 | モルドバ (Moldova) ![]() | 93.30 |
31 | サウジアラビア (Saudi Arabia) ![]() | 91.24 |
32 | シンガポール (Singapore) ![]() | 90.11 |
33 | トリニダード・トバゴ (Trinidad and Tobago) ![]() | 88.20 |
34 | パキスタン (Pakistan) ![]() | 75.51 |
35 | テュルキエ (Turkiye) ![]() | 70.55 |
36 | ベラルーシ (Belarus) ![]() | 66.21 |
37 | クロアチア (Croatia) ![]() | 65.70 |
38 | バングラデシュ (Bangladesh) ![]() | 51.24 |
39 | セルビア (Serbia) ![]() | 49.50 |
40 | プエルトリコ (Puerto Rico) ![]() | 49.41 |
41 | イラク (Iraq) ![]() | 48.63 |
42 | エストニア (Estonia) ![]() | 47.60 |
43 | アラブ首長国連邦 (AUE) ![]() | 44.91 |
44 | ハンガリー (Hungary) ![]() | 44.56 |
45 | バハマ (Bahamas) ![]() | 37.59 |
46 | イスラエル (Israel) ![]() | 37.09 |
47 | アフガニスタン (Afghanistan) ![]() | 36.79 |
48 | 南アフリカ共和国 (South Africa) ![]() | 34.86 |
49 | タイ (Thailand) ![]() | 34.52 |
50 | コロンビア (Colombia) ![]() | 33.38 |
51 | ウクライナ (Ukraine) ![]() | 32.80 |
52 | アルバニア (Albania) ![]() | 32.11 |
53 | ボスニア ヘルツェゴビナ (Bosnia and Herzegovina) ![]() | 30.87 |
https://www.fao.org/faostat/en/#data/
©FAO
各国の食品ロス
CO2の排出量ランキング
ギガグラムとは?
1ギガグラム = 1000トン
1トンは約25mプールと同じぐらいの体積になります。「木(杉)」は1年間に14キロのCO2を吸収するとされており、約71本の木に相当します。
木を植えればCO2の排出量は減らせる?
減らす事は可能です。
このランキングで排出される量はあくまでも「食品ロスから排出されるCO2」であり、CO2は「人間の呼吸」を代表するように様々な物・事柄から排出されます。
日本の食品ロスは多い
「一人あたりの食品ロスによるCO2排出量」は非常に多くなっています。多くの企業が食品ロスを減らす努力をしていますが、まだ発展途上の分野になります。
食品ロスが一番多いのは「家庭から出る廃棄物」
スーパーやコンビニなどの廃棄物が多い印象がありますが、「家庭からでるゴミ」も非常に多く、日本では40~50%の食品ロスが家庭からでるゴミになります。(イギリスは70%程度)
日本より多く食品ロスによるCO2の排出量が多い国はある?
「カリブ諸国」では一人あたりの排出量が多い傾向があり、【ジャマイカ】は一人あたり約681kg・【ドミニカ共和国】は一人あたり約452kgのCO2を排出しています。
食品ロスによるCO2の排出削減は地球温暖化を防ぐ効果がある?
食品ロスから排出されるCO2も削減させる必要がありますが、「乗り物」「化石燃料の利用」などによるCO2の排出量と比べると排出量は少なくなります。
中国
食品ロスによるCO2排出量
中国の食品ロスによるCO2排出量
2019年に中国では約11,151.69ギガグラムのCO2が食品ロスから排出しています。国民一人あたりの食品ロスによるCO2排出量は約0.078トン(78kg)になります。
国民一人あたりのCO2排出量の産出方法
2019年の食品ロスから排出された排出量(トン) / 2019年の総人口 = 一人あたりのCO2排出量
一人あたりのCO2排出量は少ない
中国は巨万の人口を抱える国で、非常に多くのCO2が食品ロスにより排出されています。しかし、一人あたりのCO2排出量は日本人の1/4になり、他の多くの先進国と比べても少なくなっています。
中国のゴミ問題
中国は増え続ける人口、都市化により排出されるゴミが増加しています。大量に排出されるゴミは「埋め立て処理」がおこなわれていましたが、近年、処理方法が変化しています。
ゴミ処理の新技術
中国では排出されるゴミを「高温で燃焼」される方法に切り替えており、ゴミの燃焼により排出される「ダイオキシン」などが減少しています。これらの方法は日本でも同様におこなわれています。
日本
食品ロスによるCO2排出量
日本の食品ロスによるCO2排出量
2019年に日本は約3,897.85ギガグラムのCO2が食品ロスから排出しています。国民一人あたりの食品ロスによるCO2排出量は約0.309トン(309kg)になります。
食品ロスが非常に多い
日本は非常に食品ロスが多く、一人あたりの食品ロスによるCO2排出量は世界トップクラスになります。食品ロスを減らすには「生産量」減らす必要がありますが、日本人のニーズを満たすためには多くの食品を生産する必要があります。
食品ロスを減らすにはどうすれば良いの?
「販売店の売れ残りを減らす」「消費者は食品を無駄にしない」事が必要になります。
日本のゴミ処理
日本は国土が狭く、「埋め立て地」を増やす事が非常に難しくなっています。また、埋め立て地は処理施設から排出される有害物質の排出などにより「近隣住民の反対」が多くなり、建設が非常に難しくなります。
建設にはその土地に住む住民の理解を得る必要があります。
日本のゴミ処理は世界トップレベル
日本はゴミを「高温で燃処理」おこなう事により、「ダイオキシン」などの有害物質の排出が非常に少なくなっています。また、高温で燃焼されたゴミは道路の「アスファルト材」などに利用する事が可能で、「環境汚染が非常に少ない施設」になりつつあります。
インドネシア
食品ロスによるCO2排出量
インドネシアの食品ロスによるCO2排出量
2019年にインドネシアは約2,585.42ギガグラムのCO2が食品ロスから排出しています。国民一人あたりの食品ロスによるCO2排出量は約0.095トン(95kg)になります。
インドネシアの食品ロス
インドネシアは一人あたりの食品ロスから排出量されるCO2は日本と比べ少なくなっていますが国内の食品ロスは非常に多く、食品の管理・保存方法などに問題が多く、日本同様に「見た目が綺麗な物を選ぶ」傾向も強くなっています。
インドネシアのゴミ問題
インドネシアでは家庭から出るゴミの多くが「埋め立て処理」されています。リサイクルやコンポスト(たい肥化)されるゴミは全体の10%以下になり、更に多くのゴミが「不法投棄」されています。
インドネシアのゴミ処理の課題
「家庭から排出されるゴミの分別」「適切なゴミ処理場の建設」「ゴミの回収」など包括的なインフラを整える必要があり、簡単ではありません。多くの家庭では「不法投棄」が一般化しており、「近所の川にゴミを捨てに行く」など日本では考えられないような事が現在でもおこなわれています。
アメリカ
食品ロスによるCO2排出量
アメリカの食品ロスによるCO2排出量
2019年にアメリカは約1,946.95ギガグラムのCO2が食品ロスから排出しています。国民一人あたりの食品ロスによるCO2排出量は約0.058トン(58kg)になります。
アメリカの食品ロス
アメリカでも生産された食品の30~40%が食品廃棄物として処理されています。2030年には食品ロスを現在から半減される目標が掲げられており、政府・企業などが様々な食品ロスを減らす取り組みをおこなっています。
世界全体で生産される食品の30%以上が廃棄物
世界で生産される30%以上の食品が食品廃棄物として処理されています。
食品ロスは先進国だけの問題ではない
食品ロスは先進国だけの問題ではなく、発展途上国でも大きな食品ロス問題が存在します。発展途上国では生産された野菜・肉などの輸送などに時間がかかり、「消費者に届かないまま無駄になってしまう」「保存方法が適切ではない」などにより食品ロスが発生しています。
ドイツ
食品ロスによるCO2排出量
ドイツの食品ロスによるCO2排出量
2019年にドイツは約1,822.71ギガグラムのCO2が食品ロスから排出しています。国民一人あたりの食品ロスによるCO2排出量は約0.219トン(219kg)になります。
ヨーロッパも食品ロスは多い
食品ロスはヨーロッパの国々でも非常におおく、一人あたりの食品ロスによるCO2排出量は100kgを超える国が多くなっています。
2030年までに食品ロスを半減
ドイツもアメリカ同様に2030年までに食品ロスを現在から半減させる目標を掲げています。
フランス
食品ロスによるCO2排出量
フランスの食品ロスによるCO2排出量
2019年にフランスは約982.34ギガグラムのCO2が食品ロスから排出しています。国民一人あたりの食品ロスによるCO2排出量は約0.152トン(152kg)になります。
フランスでは食品ロスが禁止
フランスでは2016年に制定された「食品廃棄禁止法」により、400平方メートル(縦20m横20m程度・120坪程度)を超える事業者は売れ残った食品などを適切に処理する必要があります。これらの食品ロスは「フードバンク」へ寄付される事が多く、イタリア・フィンランドなどでも取り入れられています。
イギリス
食品ロスによるCO2排出量
イギリスの食品ロスによるCO2排出量
2019年にイギリスは約932.79ギガグラムのCO2が食品ロスから排出しています。国民一人あたりの食品ロスによるCO2排出量は約0.139トン(139kg)になります。
イギリスの食品ロス
イギリスでは500万人以上の国民が非常に貧しい生活を強いられていますが食品ロスは非常に多く、世界同様に食品全体の30%以上が廃棄されています。
イギリスから出る食品ロスの多くが「家庭ゴミ」
イギリスから出る多くの食品ロス全体の70%程度が「家庭から出るゴミ」になります。飲食店や販売店では食品ロスを減らす事が売り上げに直接影響が出るため徹底的に管理されている事が多くなり、食品ロスは少なくなっています。
韓国
食品ロスによるCO2排出量
韓国の食品ロスによるCO2排出量
2019年に韓国は約922.56ギガグラムのCO2が食品ロスから排出しています。国民一人あたりの食品ロスによるCO2排出量は約0.178トン(178kg)になります。
韓国の食品ロス
韓国では日本同様に「家庭から出るゴミ」を厳しく管理する必要があり、「生ごみ」もわける必要があります。生ごみは「コンポスト」として利用され、韓国では生ごみのリサイクル率が90%を超えています。韓国ではゴミを捨てる事が「有料」になっている事が多く、「重量」によって料金が変わるシステムを取り入れている自治体が多くなっています。
無料で提供される食品の変化
韓国では飲食店などでは「サンチュ:(巻くためのレタス)」「キムチ」などが無料で提供される事が多く、これらの食品が無駄にならないように「トングで取り分ける」「再利用可能な物は最良する」などの対策が「限定的」におこなわれています。
全体の食品ロスは多い
韓国でも一人あたりの食品から排出されるCO2の量は多くなっています。
インド
食品ロスによるCO2排出量
インドの食品ロスによるCO2排出量
2019年にインドは約816.90ギガグラムのCO2が食品ロスから排出しています。国民一人あたりの食品ロスによるCO2排出量は約0.0059トン(5kg)になります。
一人あたりの食品ロスの割合は少ない
インドは全体の食品ロスから排出されるCO2の割合は非常に多くなっていますが、国民一人あたりの食品ロスによるCO2の排出量は非常に少なくなっています。
今後は増加する可能性が高い
インドは爆発的に増加する人口と共に都市化しています。廃棄される食品の量も増加しており、今後さらに廃棄物の量が増加する可能性があります。
生産物の運搬のインフラに課題が多い
インドでも発展途上国同様に生産物の運搬に問題が多く、生鮮果実などの30%が廃棄されています。
イタリア
食品ロスによるCO2排出量
イタリアの食品ロスによるCO2排出量
2019年にイタリアは約625.76ギガグラムのCO2が食品ロスから排出しています。国民一人あたりの食品ロスによるCO2排出量は約0.104トン(104kg)になります。
イタリアの食品ロス
イタリアでは食品ロスの半数が「家庭からでるゴミ」になります。イタリアではフランス同様に小売店の食品ロスを減らす必要があり、廃棄物は「フードバンク」などに寄付がおこなわれています。
まとめ
世界のフードロス
先進国では「消費されない食品」発展途上国では「運搬中などの食品のダメージ」などが多くなっています。全世界で30%から40%の食品が廃棄されており、食品ロスから排出されるCO2は非常に多くなっています。
世界では2030年までに食品ロスを半数まで削減する目標が掲げられており、日本も食品ロスを減らす必要があります。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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