日本でも昆虫食は限定的に存在するが・・・
「コオロギ」は「タンパク質」「食物繊維」が多く含まれています。日本では「イナゴ」が長野県・新潟県・福島県などで「つくだ煮」などに加工され消費されますが限定的です。近年、「コオロギ食」に注目が集まっていますが、これらを消費する必要はあるのでしょうか?
コオロギを食品として扱う国
「ベトナム」「カンボジア」「タイ」などで消費されます。
「コオロギ食」は必要なのか?
なぜ「コオロギ食」が必要なの?
コオロギには「タンパク質」が多く含まれています。現在、世界の人口は「爆発的」に増加しており、将来的に「水不足」「食料不足」に陥る可能性があります。「牛」などの家畜に比べてコオロギは「飼料」「水」にかかるコストを抑える事が可能で、「CO2」などの「温室効果ガス」の排出量が低下します。
水不足と「コオロギ食」は関係あるの?
関係があります。近年、「気候変動の影響」「無計画な地下水の利用」により、多くの国で「水不足」が発生しています。水不足による農作物の生産量が減少し、家畜の飼料となる「穀物」などに影響を与えています。
飼育に水の利用が少なくてすむ「コオロギ」は生産コストを下げるだけでは無く「環境」にも優しい「食品」として注目が集まっています。
どのくらい水を使うの?
「家畜」「作物」の生産には非常に多くの「水」が利用されます。生産に利用された水は生産国が使用しますが、実際は「消費者」が利用した事になり、先進国などの消費が多くなります。このような水を「バーチャルウォーター」と言い、日本人も無意識に非常に多くの水を利用しています。
牛肉1㎏に必要な水の量はだいたい風呂100~130杯分の水が必要になります。
バーチャルウォーターの算出方法
バーチャルウォーターは各国で基準値を発表しており、日本では「環境省」になります。「牛肉」のバーチャルウォーターの基準値は20,600㎥/tです。
バーチャルウォーター基準値(㎥/t)× 消費量(t)×1,000(L/㎥)=バーチャルウォーターの量(L)
1kgの牛肉の場合は?
20,600㎥/t × 0.001t(1㎏) × 1,000L/㎥ = 20,600L
「1kgの牛肉」を生産するのに20,600リットルの水を必要とします。「豚肉」の場合は5,900リットル、「鶏肉」の場合は4,500リットルのバーチャルウォーターが必要になります。
コオロギの場合は?
「1㎏のコオロギ」を生産するのに400~450リットルの水のバーチャルウオーターが必要とされます。牛肉1㎏を生産するのに必要な水の約1/50とされ、飼育に必要な飼料も1/10以下になります。
世界の人口は爆発的に増加しており、「水」の利用量も増加しています。
単純に効率が良く、食料難を乗り越えるスーパーフードになる可能性があります
世界人口の移り変わり
世界の人口の移り変わり
現在、世界人口は80億人を超えています。2080年に104億人まで増加し、その後は100億人を保持しますが、緩やかに減少します。
世界人口(2050年、2100年)
国 | 人口 2050年 | 人口 2100年 |
合計 | 97億人 | 103億人 |
インド (India) | 16.70億人 | 15.29億人 |
中国 (China) | 13.12億人 | 7.66億人 |
ナイジェリア (Nigeria) | 3.77億人 | 54.60億人 |
アメリカ (America) | 3.75億人 | 3.94億人 |
パキスタン (Pakistan) | 3.67億人 | 4.87億人 |
インドネシア (Indonesia) | 3.17億人 | 2.96億人 |
ブラジル (Brazil) | 2.30億人 | 1.84億人 |
コンゴ民主共和国 (Democratic Republic of the Congo) | 2.17億人 | 4.32億人 |
エチオピア (Ethiopia) | 2.14億人 | 3.23億人 |
バングラデシュ (Bangladesh) | 2.03億人 | 1.76億人 |
エジプト (Egypt) | 1.60億人 | 2.05億人 |
フィリピン (Philippines) | 1.57億人 | 1.80億人 |
メキシコ (Mexico) | 1.43億人 | 1.15億人 |
ロシア (Russia) | 1.33億人 | 1.12億人 |
タンザニア (Tanzania) | 1.29億人 | 2.44億人 |
ベトナム (Vietnam) | 1.07億人 | 0.91億人 |
日本 (Japan) | 1.03億人 | 0.73億人 |
イラン (Iran) | 0.99億人 | 0.79億人 |
テュルキエ (Turkiye) | 0.95億人 | 0.82億人 |
ウガンダ (Uganda) | 0.87億人 | 1.32億人 |
ケニア (Kenya) | 0.85億人 | 1.12億人 |
人口増加問題
人間は「ゴリラ」「牛」などの多くの草食動物のように「タンパク質」を体内で作り出す事ができません。「肉」にはタンパク質が多く含まれており、肉を消費する事により多くの栄養を得ています。
人間が増加する事により必要になる「肉」「野菜」「穀物」の量が爆発的に増加します。地球上で利用できる資源は限られており、現在も「地下水」の減少などは深刻な問題になっています。
世界中で「灌漑農業:人工的に水を引き込む農業」がおこなわれており、地下水の減少は生産量の減少に繋がります。
「水」を制限する可能性
地下水が減少する「インド」などは既に「水」の使用が政府によって管理されています。
世界で生産される「穀物」の1/3は「家畜の飼料」であり、「肉」を生産するために「麦」「トウモロコシ」などの穀物が生産され、その穀物の栽培に多くの「水」が使用されます。地下水の減少問題は世界中で進行しており、生産段階で「飼料」「水」などが少なくてすむ「コオロギ食」などに注目が集まっています。
「コオロギ食」は「今」必要なの?
必要ありません。しかし、「コオロギ」は食べられるという「認識」を現在から刷り込んでゆく必要はあるかもしれません。
今後人口増加の課題
「アフリカ大陸」の人口増加が著しく、これらの多くの国はインフラが整っていません。環境問題を考える余裕が無く、先進国との協力が不可欠です。
また、「中国」「ロシア」などは積極的に環境問題に取り組んでいますが、世界情勢の悪化により「孤立化」が進行する可能性があります。
コオロギの栄養素
高タンパク質
コオロギは約250g/1kgの「タンパク質」が含まれており、「肉」に含まれるたんぱく質の量と同等、またはそれ以上のエネルギーを得る事が可能です。また、「食品」として利用される場合は「粉末加工」される事が多く、含まれるタンパク質の量は増加します。
脂質が低い
コオロギに含まれる「脂質・糖質」の量は非常に低く、「スーパーフード」として注目を集めています。
ヨーロッパでは2022年から「食品」に
ヨーロッパは2022年から「コオロギ」「イナゴ」などが「Novel Food(新しい食品)」として登録されており、将来的に一般的な食料として利用される可能性があります。
「代替タンパク質」として
世界では「気候変動」などの影響と思われる大雨・干ばつが多発しており、「環境問題」に関心を持つ人が増加しています。
飼育の問題
コオロギの飼育の問題点
飼料は「牛」などの家畜と比べると非常に少なくなりますが、ある程度の「水」「飼料」が必要になります。1㎏のコオロギを飼育するには2㎏~2.5kgの飼料が必要とされています。
「飼育設備」の「電気」「暖房」を利用する事により「CO2」の排出が間接的におこなわれます。
安全性
野生の「コオロギ」には人間に害のある「寄生虫」が寄生している場合があります。飼育施設では寄生虫などを発生させない徹底的な安全管理が必要になります。
「蝗害」などの問題も
「バッタ」「イナゴ」などは農作物を食い荒らす「害虫」としてもしても扱われています。通常これらの虫は「単独」で行動しますが、個体数が増加した場合は「群れ」を形成し、「蝗害(こうがい)」を発生させる恐れがあります。コロニーを形成したバッタは凶暴になる傾向があり、蓄えた栄養により「羽の巨大化」「繁殖力の向上」など通常のバッタには見られない「変化」が発生します。
コロニーを形成したバッタは団体で長距離移動をおこない、農作物や植物を食い荒らします。
なぜ「コオロギ食」が求められるか?
「気候変動」との関係
世界中で「気候変動」と思われる災害が多発しています。地球の気温も上昇を続けており、世界中で「CO2」などの「温室効果ガス」の削減が求められています。世界中の起業は「温室効果ガスを減少させるものづくり」が求められており、「電気自動車」「太陽光」などの利用が増加しています。
温暖化って実際に止まるの?
わかりません。1.5億~2億年前の「ジュラ紀」の二酸化炭素濃度は現在から比べて20倍だったようで、北極圏の気温は15度程度だったと言われています。実際に多くの恐竜の化石が北極圏から発掘されており、二酸化炭素は「地球を温める膜」になります。
2100年頃に地球の人口増加が停止したとしても、二酸化炭素は排出され、地球を温める膜を作り続けます。地球の環境の変化により「環境に適した体」に変化しない種は絶滅します。
温暖化が止まるかどうか実際わかりませんが、「環境に優しい」という事だけを考えるのではなく、「人間は生き残れるか」という事を考える必要があるかもしれません。
まとめ
利用が増加する「コオロギ」
世界では「環境問題」に真剣に取り組む国が多く、日本でも「コオロギ」を利用した製品を生産する企業が増加しています。日本では「虫を食べる事に抵抗がある」人がほとんどだと思いますが、世界で消費される虫の数は1900種を超えており、戦前は多くの虫が食べられていました。
現在「コオロギ食」は簡単に購入する事が可能な食品になり、今後先入観にとらわえれず一般的に消費される時代が来るかもしれません。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考
PopulationPyramid.net. "List of countries ordered by their population size" (English) 2024年. © 2024 by PopulationPyramid.net. 2024年3月06日閲覧。
ライセンスに関しての情報はこちら (English) です。
サムネイル:Pixabay
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