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生産には多くの水が必要!世界の綿花 生産量ランキング

水不足でも綿花を作り続ける国が多い

綿花は主に「衣服」などの原料になる重要な生産物です。栽培には非常に多くの「水」が必要になり、綿花栽培に利用される水は「湖を枯渇」させるなどの非常に大きな問題を引き起こしています。

世界ではどの国がどのくらい綿花を生産しているのでしょうか?

世界の綿花【コットン】
生産量ランキング

世界の綿花の生産量
世界一位 インド
世界二位 中国
世界三位 米国

世界の綿花【コットン】生産量ランキング
Cotton lint, ginned
Production (tonnes/year)

生産量
(t)
2021年
世界合計 25,416,083.00
インド 5,992,160.00
中国 5,730,900.00
アメリカ合衆国 3,815,180.00
ブラジル 2,227,560.00
アフリカ 1,968,992.00
パキスタン 1,416,706.00
トゥルキエ 832,500.00
ウズベキスタン 781,058.00
オーストラリア 566,067.00
ギリシャ 526,014.00
アルゼンチン 343,039.00
マリ 300,733.00
カザフスタン 290,380.00
ブルキナファソ 279,975.00
コートジボワール 237,708.00
ベナン 234,783.00
メキシコ 231,000.00
トルクメニスタン 180,556.00
カメルーン 156,000.00
スーダン 130,000.00
タジキスタン 102,035.00
ナイジェリア 93,000.00
アゼルバイジャン 92,453.00
ミャンマー 80,000.00
エジプト 70,000.00
ジンバブエ 63,000.00
エチオピア 62,000.00
チャド 61,000.00
スペイン 58,307.00
ウガンダ 47,000.00
トーゴ 41,472.00
タンザニア 35,000.00
イラン 32,604.00
アフガニスタン 25,691.00
バングラデシュ 22,200.00
キルギス 22,077.00
シリア 21,900.00
モザンビーク 21,333.00
ギニア 15,577.00
南アフリカ 15,202.00
北朝鮮 12,000.00
コロンビア 10,417.00
ザンビア 9,798.00
パラグアイ 9,424.00
コンゴ民主共和国 8,485.00
セネガル 8,000.00
マラウイ 6,588.00
ガーナ 6,100.00
イスラエル 5,164.00
ペルー 5,000.00
マダガスカル 4,858.00
ニカラグア 2,299.00
チュニジア 2,180.00
ラオス 2,054.00
ソマリア 2,024.00
ニジェール 1,950.00
ベネズエラ 1,949.00
イエメン 1,900.00
ケニア 1,800.00
ギニアビサウ 1,500.00
エクアドル 1,401.00
アンゴラ 1,100.00
タイ 1,008.00
ホンジュラス 894.00
グアテマラ 589.00
ブルガリア 478.00
ブルンジ 461.00
エスワティニ 389.00
ハイチ 286.00
ボツワナ 255.00
コスタリカ 249.00
アルバニア 197.00
ガンビア 180.00
ベトナム 92.00
カンボジア 79.00
モロッコ 69.00
ネパール 48.00
インドネシア 40.00
アルジェリア 29.00
フィリピン 27.00
グレナダ 15.00
セントクリストファー・ネイビス 2.00
イラク 1.00

各国の綿花
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以前は「羊毛」が利用されていた
綿花の生産は「産業革命」を期に爆発的に拡大しましたが、綿花が利用される以前は「羊毛」が利用されていました。羊毛の生産は非常に時間がかかり、生産量も限定されるために価格が高く、「安価で大量生産が可能」な綿花の生産は瞬く間に生産が拡大し、アメリカ・旧ソ連圏などでも急速に拡大しました。

奴隷を利用した綿花栽培
羊毛と比べ大量生産が可能な綿花ですが、栽培には非常に手間がかかります。

とくに「綿花を紡ぐ」作業は時間がかかり、機械で綿花を紡ぐ以前は多くの「奴隷」が利用され綿花の収穫がおこなわれていました。奴隷は「その日の収穫のノルマ」などが課せられ、非常に辛い単純労働を低賃金で(場合によっては無給)おこなっていました。

資本主義の奴隷
「物」を作る作業は様々な「行程」が存在します。例えば服の生産には「綿花の栽培」「糸の生産」「布の生産」「裁縫」などの工程が存在し、これらの作業は基本的に「分断化」されています。

これらの分断化された作業に労働者は「毎日同じ作業」を繰り返しているケースが多く、全体の工程を一人で行う事が少ないのが「現代の社会の仕組み」になっています。

「単純作業」をおこなってきた労働者は、「単純作業以外の知識を持ち合わせていない」ため、転職する場合でも「単純作業」しかできない場合が多くなります。

これらの単純作業をおこなう労働者に対し、「労働に対する対価」を支払うのが「資本家」になります。資本家は「生産者」で、「労働を対価として売る労働者」とは根本的に違います。

労働者は何かを生産しているわけでは無く、「資本家」から労働者がおこなった「肉体労働」に対し、「賃金を受け取っている」だけになります。

つまり、「資本家以外は何も生産していない」事になります。世界は「資本主義」が基本で、「資本家」と「労働者」の間に大きな「格差」が存在しています。

綿花の輸入と輸出のからくり
綿花は主に米国・ブラジル・アフリカ・オーストラリア・インド・ウズベキスタンなどの国々が生産・輸出をおこなっています。輸入は主に中国・ベトナム・バングラデシュ・テュルキエ(旧トルコ)・インドネシアが軸になっています。

生産された綿花は「人件費の安い国」へ送られ、「衣服」などに加工がおこなわれます。

つまり、綿花の生産国が直接衣服に加工しているわけではなく、人件費などのコストの低い国へ輸出、生産された衣服などが先進国などで販売される事が多くなっています。

中国の綿花
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中国の綿花
綿花は中国語で「棉布(ミェンブー)」です。

中国の綿花生産地
中国は主に北西部の新疆ウイグル自治区・東部の河北省(かほくしょう)、東部山東省(さんとんしょう)、中東部の湖北省(こほくしょう)、東部の安徽省(あんきしょう)で多くの綿花が生産されています。

とくに生産が多いのは北西部の新彊ウイグル自治区で、中国で生産される綿花の80%以上が新疆ウイグル自治区で生産されています。

綿花の輸入も多い
国内で生産される綿花の半分が国内で消費されています。輸入量も非常に多く、米国・ブラジル・インドなどから輸入されています。

人権問題
新彊ウイグル自治区では「ウイグル人に対する人権問題」などが表面化しており、「国内のウイグル人が迫害されている」など世界中のメディアが報道しています。

この人権問題に対して抗議している国は非常に多く、ウイグル地区で生産された「ウイグル綿の輸入停止」をおこなっている国が増加しています。

新疆ウイグル自治区で生産される綿の量は非常に多くなっていますが、これらの綿を使用する事ができず、「ウイグル綿」以外の綿を利用して衣服を生産する必要があります。

そのため、自国で非常に多く綿花を生産しているが、海外で生産された綿花を輸入する必要がある状態が続いています。

職を失うウイグル人
新彊ウイグル自治区では海外へ綿花が輸出ができなくなったウイグル人などが失職するなどの問題が発生しています。

インドの綿花
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インドの綿花
綿花はインドで利用されているヒンディー語で「कपास(カパース)」です。

インドの綿花の生産量増加
インドは綿花の生産量を大きく増加させています。背景に「新彊ウイグル自治区の人権問題」が大きく関わっており、トラブルを避けるために「綿の輸入先をインドへ変更」する国が増加しています。

70年代から生産が本格化
インドは1970年代から綿花の栽培を本格化しています。近年は綿花の作付け面積の拡大・ハイブリッド綿(混合綿)などの導入により、生産量は更に増加しましす。

輸入もおこなっている
国内繊維産業の綿花需要の増加により、インドは綿花の国内需要を賄えていません。現在も多くの綿花を他国(主にパキスタンなど)から輸入しています。

綿花の質の向上
2000年~2010年に実施されたインド政府によるプログラム「綿花技術ミッション(TMC)」により、 生産性・品質・マーケティング・ジンニング(綿繰り)などの大規模な改善がおこなわれました。このプログラムにより「生産量の増加」「高品質の綿花の生産」が同時に成功しています。

綿花への研究は続けられており、今後さらに質の良い綿花がインドで生産されると思われます。

インドの綿花生産地
インドでは幅広い地域で綿花栽培がおこなわれていますが、主に北西部のグジャラート州で綿花生産が多くおこなわれています。

米国の綿花
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米国の綿花栽培の歴史
アメリカの綿花は「インドで生産されていた綿花が1700年代に北東部のバージニア州に伝わった」とされています。綿花栽培は全土に広がり、主にアメリカの南部での生産が多くなります。綿花の栽培は「アフリカ系アメリカ人」の労働者が多く「奴隷」として利用され、1865年に奴隷制が終了した後も綿花はアメリカ南部の経済を支えました。

1793年にはアメリカの「イーライ・ホイットニー」が「綿繰り機」を開発し、アメリカの綿生産はさらに加速します。

綿花の手摘みは非常に重労働
「綿花の手摘み」は非常に多くの時間と労働力を要します。 手摘み作業は「子供」でも可能で、多くの子供が家庭の事情などにより綿花の手摘み作業に従事しました。

20世紀半には機械化が進行すましたが、「雇用が減少」するなどの新たな問題が発生しています。

アメリカの綿花生産地
アメリカの綿花栽培は現在もアメリカの南部で多くおこなわれています。とくに生産量が多いのは南部テキサス州で、c「アメリカの綿花栽培の中心地」です。

ブラジルの綿花
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ブラジルの綿花
綿花はブラジルで利用されているポルトガル語で「algodão(アルゴーダル)」です。

ブラジルの綿花栽培
ブラジルでは近年、綿花を栽培する農家が増加しています。ブラジルでは「トウモロコシ」「大豆」の生産量が非常に多く、これらの穀物は「連作障害:土地の栄養が少なくなり生産量が下がる」を避けるために、綿花などを「輪作:連作障害が発生しないように違う作物を栽培する」作物として利用します。

ブラジルでは大豆が消費されるの?
生産される大豆・トウモロコシは食用以外に家畜の飼料・バイオ燃料として利用される事が多くなっています。食用としての利用は限定的になります。

生産量の増加と減少
収穫の機械化・ドローンなどによる気候観察(ブラジルは気候変動の影響などにより大雨や干ばつが多い)・適切な収穫時期の判断・気候変動の研究などにより綿花などの作物の生産量が増加しています。

世界中で気候変動の影響と思われる災害が増加しており、生産量の減少も同時に発生しています。

ブラジルの綿花生産地
ブラジルでは中西部マットグロッソ州・北東部バイーア州・中部ゴイアス州・西部マトグロッソドスル州・南東部ミナスジェライス州・東北部マラニョン州・南東部ミナスジェライス州で綿花の栽培が行われています。

マットグロッソ州・バイーア州でブラジル国内で生産される綿花の85%以上が生産されています。

パキスタンの綿花
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パキスタンの綿花
綿花はパキスタンで利用されているウルドゥ語で「روئی(ローイ)」です。

パキスタンの綿花生産の歴史
パキスタンは紀元前6000年前の遺跡から綿を利用していた痕跡が発見されています。綿花栽培は「インダス文明」により広まったとされており、パキスタンの綿花栽培は非常に長い歴史があります。

パキスタンの綿花生産地
パキスタンの綿花は国内の経済を支える重要な生産品で、主に東部のパンジャーブ州・南部のシンド州で綿花が生産されています。

東部のパンジャーブ州で生産される綿花はパキスタンで生産される綿花の80%を超えており、残りがシンド州になります。

綿花の輸出により収入を得ている
綿の輸出はパキスタンの輸出収入の過半数を占めています。世界で流通している布の約14%がパキスタン製と言われており、非常に多くの綿花が栽培・輸出されています。

ウズベキスタン綿花
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ウズベキスタンの綿花
綿花はウズベキスタンで利用されているウズベク語で「Paxta(パクタ)」です。

ウズベキスタンの綿花栽培
ウズベキスタンの綿花栽培は旧ソ連時代に生産基盤を築いており、現在も多くの綿花が国内で生産されています。

深刻な水不足
綿花は「大量に水が必要な作物」で、綿花の栽培に利用されていた「アラル海」は急激に水量が減少し、現在は「ほぼ枯渇」しています。

現在残っているアラル海の水は非常に塩分濃度が高く、周辺に「塩害」などの土壌汚染などを引き起こしています。

ウズベキスタン政府は新たな作物生産に力を入れるなど、旧体制からの脱却に力を注いでいますが、ソ連時に築かれた基盤により多くの収入を得る事が可能で、現在も綿花に依存しています。

水が少ない場所ほど水の使用量が多い
【パキスタン】【ウズベキスタン】【カザフスタン】【イラン】など水が少ない国ほど水を多く利用する傾向があります。これは作物の栽培に水が必要なため、「灌漑:人工的に川や地下水を」などにより多くの水を作物に利用している事が要因になります。

水不足は刻々と深刻化しており、水の使用利用が少ない作物などに切り替えなどにおこなっている国も多く存在します。

テュルキエ綿花
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テュルキエ(旧トルコ)の綿花
綿花はテュルキエで利用されているテュルキエ語で「Pamuk(パムク)」です。

テュルキエの綿花生産
テュルキエでは主にエーゲ海に面した地域(メルシン県・アダナ県・オスマニエ県・ハタイ県)や、アンタルヤ県などトルコ南部で綿花栽培がおこなわれています。

綿花の輸入と輸出のからくり(その2)
トルコは非常に多くの綿花を生産していますが、多くの綿花を輸入している国でもあります。

これはトルコ国内で世界中から「衣服生産の外注を受けている」事が理由です。

トルコ国内で生産される衣服は「国内で生産される綿花の需要を超えている」ため、生産に対する需要を満たすために綿花を海外から輸入しています。

アルゼンチンの綿花
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アルゼンチンの綿花
綿花はアルゼンチンで利用されているスペイン語で「Algodón(アルゴドン)」です。

アルゼンチンの綿花生産地
アルゼンチンは主に北部のチャコ州・サンティアゴ・デル・エステロ州・サンタフェ州で多くの綿花栽培がおこなわれています。また、北部のフォルモサ州・サルタ州・サンルイ州・北中部のエントレ・リオス州・中部コルドバ州で「生地生産」がおこなわれ、生地生産は主に小規模の生産者により生産がおこなわれています。

綿花からは油も採取が可能
綿花からは「綿実油」という「油」を採取する事が可能です。綿実油は主に食用油・工業油として利用されており、抽出残留物は家畜の飼料などに利用されています。

ブルキナファソ綿花
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ブルキナファソの綿花
綿花はブルキナファソで利用されているフランス語で「Coton(コットン)」です。

綿花栽培はブルキナファソの経済の基盤
ブルキナファソは農業に従事している国民が80%以上で、非常に多くの人が「綿花栽培」に従事しています。また、綿花はブルキナファソを支える経済の基盤で、生産により非常に多くの収入を得ています。

ブルキナファソの農業
ブルキナファソでは農業が「乾燥農業」がメインにおこなわれています。

北部は「ステップ気候」で、栽培可能な作物が限られています。綿花の栽培は主に南部で行われていますが、「水不足」など様々な問題を抱えています。

ベナン綿花
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ベナンの綿花
綿花はベナンで利用されているフランス語で「Coton(コットン)」です。

増加を続けるベナンの綿花栽培
ベナンでは綿花の生産量が増加しています。綿花栽培は2010年~2020年に5倍に増加しており、現在も生産量が増加しています。

ベナンの綿花生産地
ベナンでは綿花の栽培が主に北部・中部により行われています。南部では綿花の栽培があまりおこなわれていません。

まとめ

日本の綿花生産は限定的
日本では綿花の栽培は「非常に限定的」になります。「シルク」の生産量も年間約160~170トンと限定的で、海外からの輸入品が多くなっています。

今回は以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

参考

FAO, FAOSTAT. "Crops and livestock products - Cotton lint, ginned, Production (t)" (English) 1961-2022年. ©FAO 2024. 2021年09月29日閲覧。
FAOの利用規則はこちら (English) です。


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