温室効果ガスの「一番の要因」とされている二酸化炭素(CO2)は、世界中で非常に多く排出されています。
二酸化炭素の排出量が多い原因は何でしょうか?
✔記事の内容
二酸化炭素(CO2)の排出の原因
世界の二酸化炭素の排出の原因
CO2排出一位は電気の利用、二位は輸送による排出、三位は製造業や建設業です。

世界の二酸化炭素(CO2)の排出の原因
CO2 emissions by sector, World
二酸化炭素(CO2) 発生源 | 排出量 (t) 2016年 | 割合 (%) | |
1 | 発電所(電気の利用) Electricity & Heat | 15,010,000,000 | 40.89 |
2 | 輸送 Transport | 7,870,000,000 | 21.44 |
3 | 製造業や建設業 Manufacturing & Construction | 6,110,000,000 | 16.64 |
4 | 建物(セメント・電力使用) Buildings | 2,720,000,000 | 7.41 |
5 | 森林破壊や土地利用変化 Land-Use Change and Forestry | 2,680,000,000 | 7.30 |
6 | 産業 Industry | 1,460,000,000 | 3.97 |
7 | その他の燃料の利用 Other fuel combustion | 613,000,000 | 1.67 |
8 | フュージティブ エミッション (ベンゼン、メタンなど) Fugitive emissions | 239,180,000 | 0.65 |
合計 | 36,702,180,000 |
https://www.climatewatchdata.org/data-explorer/historical-emissions
二酸化炭素(CO2)の排出の原因
2016年に世界で二酸化炭素(CO2)は36,702,180,000トン排出されています。温室効果ガスは世界全体で50,610,000,000トン排出されていて、72.51%が二酸化炭素によるものです。

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電気の利用による二酸化炭素(CO2)の排出
発電所(電気の利用)により二酸化炭素は15,010,000,000トン排出されていて、二酸化炭素の排出全体の40.89%が発電所により排出されています。
電力を利用しない事は命にもかかわる
電力の生産は、主に「化石燃料」が利用されています。世界中でカーボンニュートラルが叫ばれ、化石燃料の利用を減少させる必要がありますが、現在の電力生産は石炭・天然ガスが主に利用されていています。化石燃料の利用制限は、さまざまな「快適な生活」を犠牲にする必要があります。
熱帯・亜熱帯では冷房が必需品で、利用を控える事は健康を害する可能性があります。寒帯などの寒い地域では暖房が必要になり、これらを利用しなければ生きて生けません。
一番効率の良い暖房
一番効率の良い暖房は「ヒートポンプ」になります。ヒートポンプとは、気体を圧縮すると温度が上がり、膨張させると温度が下がる性質を活用した技術です。エアコンにも利用されている技術で、非常に効率良くエネルギーを利用する事が可能になります。
ヨーロッパではガスを燃焼させ温水をつくり、温水の通ったパイプを部屋中に張り巡らせて部屋を暖房します。この様なシステムは「セントラルヒーティング」と呼ばれています。セントラルヒーティングはガスを利用しているタイプが多く、将来的にガスを利用するセントラルヒーティングを「禁止」する国が多くなってきています。東欧でもガスを利用したセントラルヒーティングの販売が2026年までに停止されます。(Argue 2021年)
輸送による二酸化炭素(CO2)の排出
輸送により二酸化炭素は7,870,000,000トン排出されていて、二酸化炭素の排出全体の21.44%が輸送により排出されています。
運送による二酸化炭素(CO2)の排出原因
「物や人を高速に移動させる」事は現代に必要な技術で、車・トラック・飛行機などが必要不可欠になります。これらの人や物を高速に移動させる技術は、非常に多くの化石燃料が利用され、温室効果ガスを排出しています。
運送による二酸化炭素(CO2)排出低減方法
二酸化炭素の低減には、「バイオフューエル」「電気」など、二酸化炭素の排出量が低い運送方法を選択する必要があります。電気の利用は化石燃料などが主に利用されていますが、電気を生み出す技術は太陽光などの再利用可能なエネルギーでも可能になります。再利用可能なエネルギーを最大限活用し、現代の技術を利用していく事が二酸化炭素を最も低減に繋がります。
製造業や建設業による二酸化炭素(CO2)の排出
製造業や建設業により二酸化炭素は6,110,000,000トン排出されていて、二酸化炭素の排出全体の16.64%が製造業や建設業により排出されています。
製造業や建設業による二酸化炭素(CO2)の排出原因
世界には様々な製造業や建設業が存在し、非常に多くの物を生産しています。製造業や建設業は、工場などで利用されるエネルギーの使用により、二酸化炭素が排出されています。特にプラスチック製造業などで利用される「合成樹脂」は石油が原料に利用され、多くの二酸化炭素を排出しています。プラスチックは温暖化の原因や、細かくなった「マイクロプラスチック」が海洋生物にダメージを与えるとして、大きな問題になっています。
プラスチックの盲点
ビニールバッグの代替品として、現在「エコバック」の利用が促進されています。エコバック生産には非常に多くの二酸化炭素が排出されます。
プラスチックの代用品として比較される綿・ガラス・金属などの材料は、生産により多くのCO2の排出・多くの水の使用されています。すべてのペットボトルをガラスに置き換えた場合、生産に非常に多くのエネルギーの利用・二酸化炭素が排出されます。
プラスチック包装の代替品(エコバッグを含む)が一般的になると、廃棄物とエネルギー消費量が2倍になると予想されています。プラスチックの利用を控える事は必要ですが、安易に行動を起こすのではなく、代替品になるエネルギーの使用も考慮して使用する必要があります。(出典: Waste 360)
建物(セメント・電力使用)による二酸化炭素の排出
建物(セメント・電力使用)により二酸化炭素は2,720,000,000トン排出されていて、二酸化炭素の排出全体の7.41%が建物により排出されています。
オフィスからの二酸化炭素の排出
商業ビルを含む建物による暖房・冷房・調理に化石燃料(間接的に利用されるものを含む)が使用されています。オフィスの利用を控える事は電力の削減に繋がり、二酸化炭素の排出も低減させる事が可能です。
オフィスの二酸化炭素の排出削減
「ビルの緑化・グリーンビルディング」などが非常に二酸化炭素削減に有効です。ビルと植物を共存させ、緑のカーテンなどにより日差しの低減・二酸化炭素が吸収される事により、大きな二酸化炭素の低減に繋がります。
森林破壊や土地利用変化による二酸化炭素の排出
森林破壊や土地利用変化により二酸化炭素は2,680,000,000トン排出されていて、二酸化炭素の排出全体の7.30%が森林破壊や土地利用変化により排出されています。
土地利用変化による二酸化炭素
遊休農地(利用が停止されているの農地)を耕作すると、1ヘクタールあたり1〜2トンの二酸化炭素の排出されますが、それ以外の土地を開拓・農地として利用した場合、1ヘクタールあたり12〜34トンのCO2が排出されます。(ロシア国家経済行政アカデミーRANEPA 2020年)
気候変動に不安を感じているか?
世界の気候変動に対し不安を感じている人の割合
国 | 不安度 (%) |
アメリカ | 51 |
フランス | 56 |
イギリス | 41 |
ポーランド | 19 |
ロシア | 33 |
ウクライナ | 29 |
レバノン | 67 |
トルコ | 37 |
イスラエル | 24 |
インド | 76 |
フィリピン | 72 |
ベトナム | 69 |
韓国 | 48 |
日本 | 45 |
マレーシア | 44 |
オーストラリア | 43 |
インドネシア | 41 |
中国 | 18 |
ブラジル | 86 |
メキシコ | 66 |
ナイジェリア | 61 |
世界平均 | 54 |
まとめ
二酸化炭素の排出低減は、間違った方向に進む場合も多く、更なる二酸化炭素排出に繋がる恐れがあります。とくに「現在利用されている物」を「他の物へ切り替え」は、多くの二酸化炭素の排出に繋がります。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。