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世界のセメント CO2排出量ランキング(国別一人当たり)

 セメントは石灰石や粘土を含んだ「岩石」を燃やして得られる「クリンカー」が主成分になっています。クリンカーの焼成時に多くの二酸化炭素(CO2)が排出されます。

 世界ではセメントにより、国別一人当たりどのくらいの二酸化炭素(CO2)を排出しているのでしょうか?

記事の内容

世界のセメント CO2排出量ランキング(国別一人当たり)
各国のセメント CO2排出量(国別一人当たり)

世界のセメント CO2排出量ランキング
(国別一人当たり)

世界のセメントによる一人当たりのCO2排出量世界一はカタール世界二位はトリニダード・トバゴ世界三位はバーレーンです。

世界のセメント CO2排出量ランキング(国別一人当たり)
CO2 emissions from cement (per capita)

セメント
CO2排出量
(t)
(一人当たり)
2020年
1アラブ首長国連邦
(AUE)
Population: 9,770,500
0.88
2カタール
(Qatar)
Population: 2,832,100
0.80
3サウジアラビア
(Saudi Arabia)
Population: 34,268,500
0.74
4キプロス
(Cyprus)
Population: 1,198,600
0.65
5ルクセンブルク
(Luxembourg)
Population: 615,700
0.63
6中国
(China)
Population: 1,406,473,280
0.60
7ベトナム
(Vietnam)
Population: 96,462,100
0.54
8ブータン
(Bhutan)
Population: 763,100
0.46
9韓国
(Korea)
Population: 51,225,300
0.45
10トルコ
(Turkey)
Population: 83,429,600
0.42
11オマーン
(Oman)
Population: 4,975,000
0.41
12アイルランド
(Ireland)
Population: 4,882,500
0.38
13モナコ
(Monaco)
Population: 39,000
0.38
2015年
14マレーシア
(Malaysia)
Population: 31,949,800
0.37
15クウェート
(Kuwait)
Population: 4,207,100
0.37
16レバノン
(Lebanon)
Population: 6,855,700
0.36
17リビア
(Libya)
Population: 6,777,500
0.35
18ギリシャ
(Greece)
Population: 10,473,500
0.32
19バーレーン
(Bahrain)
Population: 1,641,200
0.31
20ラトビア
(Latvia)
Population: 1,906,700
0.30
21クロアチア
(Croatia)
Population: 4,130,300
0.29
22イラン
(Iran)
Population: 82,913,900
0.28
23アルバニア
(Albania)
Population: 2,880,900
0.27
24チュニジア
(Tunisia)
Population: 11,694,700
0.26
25スロバキア
(Slovakia)
Population: 5,457,000
0.26
26バルバドス
(Barbados)
Population: 287,000
0.25
27アルジェリア
(Armenia)
Population: 43,053,100
0.25
28ベルギー
(Belgium)
Population: 11,539,300
0.24
29トルクメニスタン
(Turkmenistan)
Population: 5,942,100
0.24
30ベラルーシ
(Belarus)
Population: 9,452,400
0.24
31スロベニア
(Slovenia)
Population: 2,078,700
0.23
32台湾
(Taiwan)
Population: 23,600,900
0.23
33エストニア
(Estonia)
Population: 1,325,600
0.22
34ポルトガル
(Portugal)
Population: 10,226,200
0.22
35タイ
(Thailand)
Population: 69,625,600
0.22
36リトアニア
(Lithuania)
Population: 2,759,600
0.21
37ラオス
(Laos)
Population: 7,169,500
0.21
38ガイアナ
(Guyana)
Population: 782,800
0.21
39イスラエル
(Israel)
Population: 8,519,400
0.21
世界平均0.21
40ポーランド
(Poland)
Population: 37,887,800
0.20
41カザフスタン
(Kazakhstan)
Population: 18,551,400
0.20
42日本
(Japan)
Population: 125,810,000
0.20
43ジョージア
(Georgia)
Population: 3,996,800
0.20
44スイス
(Switzerland)
Population: 8,591,400
0.20
45ルーマニア
(Romania)
Population: 19,364,600
0.20
46カンボジア
(Cambodia)
Population: 16,486,500
0.20
47タジキスタン
(Tadzhikistan)
Population: 9,321,000
0.20
48オーストリア
(Ausria)
Population: 8,955,100
0.20
49デンマーク
(Denmark)
Population: 5,771,900
0.20
50スペイン
(Spain)
Population: 46,736,800
0.19
51カナダ
(Canada)
Population: 37,411,000
0.19
52ドミニカ共和国
(Dominican Republic)
Population: 10,780,000
0.19
出典: Our World in Data based on the Global Carbon Project 2021年
https://doi.org/10.18160/gcp-2021

各国のセメント CO2排出量(国別一人当たり)


 世界のセメントによるCO2の排出量は約1,630,000,000(1.63億トン)になります。

 アジアからの排出が約1,320,000,000トン(1.32億トン)で世界の80.98%、ヨーロッパからの排出が110,110,000トン(0.11億トン)で世界の6.75%、北米からの排出が76,870,000トン(0.07億トン)で世界の4.71%、南米からの排出が43,640,000トン(0.04億トン)で世界の2.67%、アフリカからの排出が6,010,000トン(0.006億トン)で世界の0.36%、オセアニアからの排出が3,520,000トン(0.003億トン)で世界の0.21%です。

アラブ首長国連邦のセメント
CO2排出量(国別一人当たり)


 2020年にアラブ首長国連邦ではセメントの利用により、一人当たり約0.88トンの二酸化炭素(CO2)が排出されています。1976年には0.15トン排出していて、0.73トン増加しています。

ドバイのセメント CO2の排出


 アラブ首長国連邦には、「アブダビ」「ドバイ」などの都市が存在していて、非常に多くの建物が存在しています。一人当たりのセメントによるCO2排出量も高く、世界平均の4倍の排出量になります。

ドバイのセメント CO2の排出低減の取り組み


 アラブ首長国連邦では「グリーンコンクリート」の利用が盛んで、セメントの利用により排出されるCO2の排出を既に75%削減しています。アブダビの「シェイクザイード橋」は建設にグリーンコンクリートが使用され、80,000トンの炭素排出を低減しています。これは「40万本の木」の保護に相当します。

 グリーンコンクリートやその他の技術により、最大93%のCO2削減が可能とされ、温暖化の抑止力の一つになります。(出典: Informa PLC)

カタールのセメント
CO2排出量(国別一人当たり)


 2020年にカタールではセメントの利用により、一人当たり約0.80トンの二酸化炭素(CO2)が排出されています。1969年には0.25トン排出していて、0.55トン増加しています。

カタールのセメント CO2の排出


 カタールは自国で産出される豊潤な化石燃料により、砂漠の中に美しい都市を持つ国です。人口は約280万人存在していますが、カタール国籍を持つ人は1割程度だと言われています。労働者の多くが他国からの入国者で、「出稼ぎ]にきています。カタールもインフラが整っており、セメントの使用により多くのCO2が排出されています。

カタールのセメント CO2の排出低減の取り組み


 カタールの人口は増加し続けています。2022年にはカタールでワールドカップも開催され、スタジアムの建設や都市のインフラの整備がおこなわれています。急激な都市化により、セメントの不足・値段の上昇の可能性がありますが、カタールはセメントの値段に対する上限値を設定していています。カタールも「グリーンセメント」を利用しており、セメントによるCO2の削減がおこなわれています。(出典: Gulf Organisation for Research and Development 2012年)

サウジアラビアのセメント
CO2排出量(国別一人当たり)


 2020年にサウジアラビアではセメントの利用により、一人当たり約0.74トンの二酸化炭素(CO2)が排出されています。1959年には0.01トン排出していて、0.73トン増加しています。

サウジアラビアのセメント CO2の排出


 セメント産業はサウジアラビアの経済を支える重要な産業の一つで、2015年に6100万トン以上のセメントを生産しています。米国では2015年に8000万トンのセメントを生産していますが、サウジアラビアの人口は米国の約1/10です。サウジアラビア国内では急激な都市化が進み、非常に多くのCO2がセメントの生産により発生しています。(出典: United States Geological Survey 2016)

サウジアラビアのセメント CO2の排出低減の取り組み


サウジアラビアのセメント産業は非常に多く、国全体で排出されるCO2でも非常に大きな排出量になります。国内のCO2排出量の増加を低減させるためには、セメント産業に目を向ける必用があり、非常に多くの対策がおこなわれています。具体的にはエネルギー効率の高い燃焼方法や、炭素を回収する装置の設置などが行なわれています。

キプロスのセメント
CO2排出量(国別一人当たり)


 2020年にキプロスではセメントの利用により、一人当たり約0.62トンの二酸化炭素(CO2)が排出されています。1956年には0.03トン排出していて、0.85トン増加しています。

キプロスのセメント CO2の排出


 キプロスは島国で、人口は120万人ほどですが、セメント工場は13ヵ所存在しています。過去にキプロスは鉱業が盛んで、銅などの採掘がされていましたが、内戦などにより鉱山施設は分断されています。

キプロスのセメント CO2の排出低減の取り組み


 キプロスはEUの温室効果ガス総排出量の0.26%を占めていて、2005年以降、排出量を減少させていますが、EUの平均より遅いペースになります。エネルギーの産業からのCO2の排出量は、2005年から2019年間に3.7%減少しています。2021年末までに重油から天然ガスの発電にシフトするにつれて、さらなるCO2の排出削減が見込まれます。(出典: Think Tank)

ルクセンブルグのセメント
CO2排出量(国別一人当たり)


 2020年にルクセンブルグではセメントの利用により、一人当たり約0.63トンの二酸化炭素(CO2)が排出されています。1945年には0.09トン排出していて、0.54トン増加しています。

ルクセンブルグのセメント CO2の排出


 セメントの主成分は「クリンカー」(セメントの原料を釜で焼成して得られた焼塊)です。クリンカーを製造するために、石灰石やその他の材料を釜で1450°Cに加熱します。一般的な高炉セメントは、1トンのセメントあたり330kg以下のCO2が排出されます。コンクリート1立方メートルあたり120kg以下のCO2の排出になります。(出典: The Echo)

ルクセンブルグにも非常に大きなセメント工場があり、多くのCO2が排出されています。

ルクセンブルグのセメント CO2の排出低減の取り組み


 非石灰石材料などの原材料の代替を行う、窯を燃焼に利用される燃料をバイオ燃料などにする、セメント生成に利用されるクリンカ―の量を減らすなどで、CO2の排出量を減少させています。(出典: The Echo)

 コンクリートの中に二酸化炭素を閉じ込めるなどの技術なども存在しています。

まとめ


 セメントによる二酸化炭素(CO2)の排出量は技術の導入などにより、排出の低減が可能です。しかし、技術の導入にはコスト面などの問題もあり、難しくなっています。
 
 今回は以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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