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世界のトウゴマ(ひまし油) 生産量ランキング

工業用に利用されるひまし油

トウゴマは「ひまし油」の原料であり、ひまし油は「潤滑油」「下剤」などに利用されます。トウゴマに含まれる成分は毒性が強く、取り扱いに注意が必要です。

世界ではどの国がどのくらいトウゴマを生産してるのでしょうか?

世界のトウゴマ
生産量 ランキング

世界のトウゴマの生産量
世界一位 インド
世界二位 モザンビーク
世界三位 ブラジル

世界のトウゴマ生産量ランキング
Castor oil seed
Production (tonnes/year)

生産量
(t)
2022年
世界1,829,521.75
インド1,618,760
モザンビーク73,477.71
ブラジル25,489
中国24,000
ミャンマー12,054.89
タイ12,000
エチオピア11,000
パラグアイ7,000
ベトナム7,000
パキスタン4,537
アンゴラ4,194.58
エクアドル3,000
ケニア3,000
タンザニア3,000
マダガスカル2,793.95
メキシコ2,633.19
ハイチ1,590.65
シリア1,554.17
インドネシア1,415.23
カンボジア1,285.17
スーダン1,000
ウガンダ1,000
ベナン641.85
バングラデシュ271.39
モロッコ160.44
トーゴ80.75
カーボベルデ71.32
ロシア71
フィリピン35.65
イラン27.33
大韓民国0.13
アルゼンチン0
ブルンジ0
台湾0
ドミニカ共和国0
エルサルバドル0
リビア0
ニカラグア0
ペルー0
南スーダン0
ウクライナ0
アメリカ合衆国0

各国のトウゴマ生産量
情報

トウゴマの利用方法
トウゴマから抽出される「ひまし油」が様々な物に利用されます。ひまし油には毒性がありますが「医療品」「化粧品」など様々な用途で利用されています。

環境に優しいオイル
油脂作物は栽培時に「二酸化炭素」を吸収する性質があります。欧米では「大豆」などから生成された「バイオディーゼル」の利用が法律で定められており、一定の量のバイオディーゼルを利用する必要があります。バイオディーゼルも一般的なガソリンや軽油と同じく燃焼時に二酸化炭素を排出しますが、原料は植物であり、栽培時に二酸化炭素を吸収します。

石油などの「化石燃料」より環境負荷が低いとされ、利用が増加しています。

日本のバイオ燃料
日本でもバイオ燃料の原料となる「大豆」などの栽培が可能ですが、価格の安い「北米」「オーストラリア」からの輸入が多く、国内の生産量は限定的です。

二酸化炭素排出権取引
二酸化炭素排出はほぼ全ての企業から排出され、減少させる事が極めて難しく、専門家や二酸化炭素減少を専門に扱う企業の力が不可欠です。

「二酸化炭素排出権取引」とは、二酸化炭素を排出してしまう企業が「二酸化炭素を減少させる努力をする企業」などに資金を提供し、二酸化炭素排出を代わりに相殺してもらう取引です。

2050年までに「カーボンニュートラル:二酸化炭素の排出量をゼロにする」を達成する目標があり、世界中で様々な取り組みがおこなわれています。現在、ほぼ全ての企業が二酸化炭素を排出しており、2050年までにカーボンニュートラルを達成する事は難しいかもしれませんが、「気候変動」と思われる気温の上昇や災害が増加しており、二酸化炭素の排出を減少させ、人間が住める環境を維持する必要があると考えられています。

一人の行動は非常に小さいと思われますが、全体の意識高め、環境を維持する取り組みを行なう必要があります。

トウゴマの名前の由来
トウゴマはラテン語で「Ricinus communis」です。意味は「犬のダニ」です。

インド
トウゴマ 情報

ヒンディー語のトウゴマ
トウゴマはインドで利用されるヒンディー語で「रिकिनस कम्युनिस(リキナスカミューニス)」です。

インドのトウゴマ生産地
主に西端の「クジャラート州」、パキスタンと国境を接する北部の「ラージャスターン州」、中南部の「テランガーナ州」、東部の「タミル・ナードゥ州」、南東部の「アーンドラ・プラデーシュ州」で多くのトウゴマが生産されています。とくに生産が多いのはクジャラート州であり、インド全体で生産されるトウゴマの80%以上のトウゴマがクジャラート州で生産されています。

有機栽培
インドはトウゴマの「オーガニック栽培」を促進しており、有機栽培に取り組む農家に対し「有機肥料」の提供をおこなっています。オーガニック栽培を行う農家は増加し、市場価格も増加しています。

トウゴマはインドでは多年草
トウゴマは多年草であり、温暖な気候を有するインドでは容易に栽培する事が可能です。しかし、経済的な理由などで一年草として栽培する農家が多く、7月~8月に播種され、12月から1月にかけて収穫されます。

モザンビーク
トウゴマ 情報

モザンビークのトウゴマ
トウゴマはモザンビークで利用されるポルトガル語で「Ricinus communis(リシヌスコミューニス)」です。

モザンビークはどこ?
モザンビークはアフリカ大陸の南東に位置する国であり、南アフリカ共和国の隣です。

モザンビークの農業の失敗
モザンビークは乾燥地帯が多く、一部の農家が「サトウキビ」「タバコ」「コーヒー」「柑橘系の果物」「野菜」などの栽培を試みましたが、栽培には多く水が必要であり「灌漑設備」などを設置する必要もあります。アフリカの多くの国では水の利用が少なくて済む植物の栽培が増加しており、トウゴマや「豆」などの生産量が増加してます。

モザンビークで生産されるバイオ燃料
モザンビークでは「ジャトロファ:ナンヨウアブラギリ」というトウゴマに似た植物が栽培されます。ジャトロファはトウゴマより小さな種子をつけ多くの「油」を採る事が可能です。モザンビークではこれらの植物から限定的ですがバイオ燃料を生産しています。

ジャトロファ・トウゴマは優れもの
ジャトロファとトウゴマは「ナタネ」「ヒマワリ」「大豆」より採油効率が良く、乾燥した地帯でも栽培する事が可能な植物です。90年代から注目を集めている植物であり、多くの国で増産がおこなわれています。モザンビークではトウゴマの生産量はが80年代から上昇し、今後も増加すると思われます。

加工所の建設
モザンビークはトウゴマの生産量が増加している事から、抽出プラントなどの建設が予定されています。

ブラジル
トウゴマ 情報

ブラジルのトウゴマ
トウゴマはブラジルで利用されるポルトガル語で「Ricinus communis(リシヌスコミューニス)」です。

バイオ燃料として
ブラジルは「ひまし油」からバイオ燃料へ変換するする取り組みがイスラエルと共に行われ、商業化されています。国内ではバイオ燃料の原料として利用される「大豆」の生産量が多く、大豆の連作障害を避けるためにトウゴマなどが輪作され、更なる利益を生んでいます。

ブラジルのトウゴマ生産地
「大豆」「トウゴマ」は「北東部」「中央部」などの約500万ヘクタール(1ヘクタール=100mx100m)の土地を利用して栽培されています。

トウゴマの生産量は増加傾向であり、今後も生産量が増加すると思われます。

中国
トウゴマ 情報

中国のトウゴマ
2021年に中国は21,000トンのトウゴマを生産しています。世界で生産されるトウゴマの1.12%が中国で生産されています。

トウゴマは中国語で「蓖麻(ビーマー)」です。

中国のトウゴマの歴史
トウゴマは「インド」から1400年以上前に中国に伝わったとされ、現在も利用される植物です。1980年代以前は収穫量が少なく、販売も難しかったため多くの地域で栽培が放棄されました。

90年代に入ると新種のトウゴマが開発され、収穫量が大幅に増加します。

生産量の増加傾向
更に改良された品種・大規模な栽培計画・工業化の計画があり、国内ではトウゴマの作付け面積を拡大させており、今後も生産量が増加すると思われます。

インドから大量購入
中国はひまし油を大量に「インド」から購入しています。ひまし油は毒性が強い「リシン」が含まれているため、一部のインド人はひまし油が「科学兵器」に利用されるのではないかと考えています。

タイ
トウゴマ 情報

タイのトウゴマ
トウゴマはタイで「ริซินัสคอมมูนิส(リシヌスコミューニス)」です。

タイのトウゴマ生産地
主に「北部」「北東部」「中央部」などで多くのトウゴマが栽培されています。

タイのヒマシ油の利用
タイでは抽出されたヒマシ油に熱を加え「無毒化」をおこない、医療品などに利用されています。ヒマシ油は様々な物に加工する事が可能であり、「ニス」「作動油などの油」「化粧品」「プラスチック」「洗剤」「ナイロン」「ウレタン」などに利用されます。

ミャンマー
トウゴマ 情報

ミャンマーのトウゴマ
2021年にミャンマーは11,696.5トンのトウゴマを生産しています。世界で生産されるトウゴマの0.62%がミャンマーで生産されています。

トウゴマはミャンマーで利用されるビルマ語で「Ricinus ကွန်မြူနစ်(リシナークムニース)」です。

軍事政権化で増加したトウゴマ生産
ミャンマーは過去の軍事政権時にバイオ燃料を軍事目的に利用するため、中部の「シャン州ムセ」や他の都市の農地を押収し、農民にトウゴマの栽培を強制しました。

現在も軍事政権下にあるため、トウゴマの生産を強制される可能性があります。

エチオピア
トウゴマ 情報

エチオピアのトウゴマ
トウゴマはエチオピアで利用されるアムハラ語で「Ricinus communis(リシヌスコミューニス)」です。

トウゴマの非常に高い毒性
トウゴマには非常に高い毒性があります。致死量は成人男性でも5粒~10粒であり、利用には注意が必要です。残留物などが家畜の飼料として利用されますが、「完全に無毒化」をおこなった状態で飼料として利用します。

トウゴマの原産地
トウゴマの原産地は「エチオピア」周辺とされており、熱帯および亜熱帯地域などに自生しています。

ベトナム
トウゴマ 情報

ベトナムのトウゴマ
トウゴマはベトナムで「thầu dầu communis(タウザウコミュニー)」です。

ベトナムのトウゴマ生産地
中部の「ザライ省」、中南部の「ダクラク省」、南東部の「ダクノン省」などで多くのトウゴマが生産されています。

殺虫剤として利用される
ベトナムは熱帯でモンスーン気候を有しています。温暖な気候のため虫が多く、農作物を食い荒らす「害虫」なども多く存在します。ヒマシ油から抽出された毒性の強い「リシン」を人体に無害な程度に薄め、農薬として利用する地域などが存在します。

南アフリカ共和国
トウゴマ 情報

南アフリカのトウゴマ
トウゴマは南アフリカで利用される英語で「Ricinus communis(リシヌスコミューニス)」です。

南アフリカのトウゴマ栽培
主に北東部の「リンポポ州」などでトウゴマのハイブリット種の栽培がおこなわれています。

商業的目的に栽培
主に「バイオ燃料」「油を原料」として利用される事が多く、商業的に栽培されています。

パラグアイ
トウゴマ 情報

パラグアイのトウゴマ
トウゴマはパラグアイで利用されるスペインで「Ricinus communis(リシヌスコミューニス)」です。

パラグアイのトウゴマ生産地
北東部の「コンセプシオン県」東部の「アマンバイ県」、東部の「カニンデジュ県」などで多くのトウゴマが生産されています。とくに生産量が多いのはカニンデジュ県であり、国内で生産される多くのトウゴマがカニンデジュ県で生産されています。

様々な物に加工
トウゴマから生産されたヒマシ油が様々な物に利用されています。

ココナッツからも多くの油を生産できる
トウゴマは「大豆」「ヒマワリ」より採油効率が良くなりますが、最もオイルの搾油効率が高い植物は「ココナッツ」です。パラグアイはココナッツの栽培もおこなっており、多くの油の生産がこれらの植物から可能です。

まとめ

日本の栽培は限定的
日本でもトウゴマを生産していますが限定的です。

今回は以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

参考

FAO, FAOSTAT. "Crops and livestock products - Castor oil seeds, Production (t)" (English) 1961-2022年. ©FAO 2024. 2021年10月03日閲覧。
FAOの利用規則はこちら (English) です。


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