寿司ネタとしても人気のアボカド
アボカドは世界的に人気のあるフルーツであり、寿司のネタやサラダとして日常的に消費されます。近年、アボカドの消費量が増加しており、世界の温暖な地域で生産が増加しています。
世界ではどの国がどのくらいアボカドを生産しているのでしょうか?
世界のアボカド
生産量ランキング
世界のアボカドの生産量
世界一位 メキシコ
世界二位 コロンビア
世界三位 ペルー
世界のアボカド 生産量ランキング
Avocado
Pproduction (tonnes/year)
各国の世界アボカド
情報
アボカドの重さ・エネルギー
アボカドの重さは一個約170gで、エネルギーは約230Kcalです。
アボカドの種類
種類は1000種以上ありますが、輸送に適している皮が固く脂肪分が多い「Hass(ハス種)」と、皮が薄く水分量が多い「Fuerte(フエルテ種)」が有名です。
一般的にアボカド原産国ではフエルテ種が好まれる傾向があります。
メキシコ
アボカド 情報
メキシコのアボカド
メキシコで利用されているスペイン語でアボカドは「Palta(パルタ)」です。
メキシコの農業を支える重要な作物
アボカドはメキシコの経済を支える重要な作物であり、国内で非常に多くのアボカドを生産しています。生産されたアボカドは世界中に輸出されており、世界で流通している約45%のアボカドがメキシコ産と言われています。
アボカドの歴史
アボカドはメキシコの中央から中南部が原産とされ、約一万年前のアボカドの木の残骸が発見されています。メキシコ南部に存在していたマヤ文明では、アボカドは「先祖が木として復活する」と信じられており、家をアボカドや果物の木で囲むという風習が存在していました。
メキシコで生産されるアボカド
メキシコは多品種のアボカドを生産していますが、主に6種類の品種を栽培しています。日本にも非常に多くのアボカドを輸出しており、輸出している品種はハス種になります。
日本はメキシコとEPA(経済連携協定)が結ばれています。
コロンビア
アボカド 情報
コロンビアのアボカド
コロンビアで利用されているスペイン語でアボカドは「Palta(パルタ)」です。
コロンビア産のアボカド
コロンビアは2008年から日本に対してアボカド輸出の手続きを開始しており、2019年に「ハス種」のアボカドの輸入解禁が発表されました。
まだ輸入解禁されて日が浅いため、コロンビア産のアボカドを輸入は限定的になります。現在は安くて品質が良い「メキシコ産アボカド」が日本で大きなシェアを獲得しており、コロンビア産のアボカドが日本で販売数を伸ばすのは非常に難しいと思われます。
ペルー
アボカド 情報
ペルーのアボカド
ペルーで利用されているスペイン語でアボカドは「Palta(パルタ)」です。
ペルーのアボカドの歴史
アボカドの木が発見されたのは紀元前1万年前とされていますが、食用として栽培が開始されたのは紀元前500年になります。
ペルーでは紀元前750年からアボカドを食用として栽培していた形跡が発見されており、「アボカドの形を模った土器」「インカのミイラ」と共に「アボカドの種」などが出土しています。
「アボカド」の発音が出来なかった
アボカドの語源はスペイン語の「aguacate(アグアケート):アボカドの意味」で、英語の「avocado」の語源になります。これはスペイン人が「アボカドの現地語の発音」が非常に困難だったため、適当なスペイン語「aguacate(アグアケート)」を割り当てた事が要因になっています。
ナワトル語のアボカド
「ナワトル語(アステカ語)」はメキシコ中部で栄えたアステカ文明が利用していた言葉です。アボカドはナワトル語で「āhauacatl(アワァカトル)」です。
ペルーで人気のアボカド
ペルー国内では水分量の多い「Fuerte(フエルテ)」種が人気があります。国内で生産される半数が「Hass(ハス種)」で、主に海外へ発送しています。ハス種は皮が固く、長期輸送に適しています。
ペルーのアボカド生産
日本はペルーとEPA(経済連携協定)を結んでいます。日本へ向けての輸出量は少量であり、主にヨーロッパへ向けて輸出しています。
インドネシア
アボカド 情報
インドネシアのアボカド
インドネシア語でアボカドは「Alpukat(アルプカト)」です。
インドネシアのアボカド生産
インドネシアも非常に多くのアボカドを生産していますが、日本はインドネシアからアボカドを輸入していません。日本が多くアボカドを輸入している「南米」「アフリカ」と比べても距離が近く、輸入しやすい国となっていますが、インドネシアのアボカドの果実から「害虫」などが検出されており、輸入が禁止されています。
インドネシア産のアボカドは栽培方法などが改善してきており、将来的に輸入が解禁させる可能性があります。
アボカドのスムージーに注目!
インドネシアではアボカドに「チョコレート」などを混ぜた「アボカドジュース」「アボカドスムージー」などが非常に人気です。アボカドが日本に輸入解禁された場合、間違いなくバズる飲み物であり、注目を集めています。
ドミニカ共和国
アボカド 情報
非常に安いドミニカ共和国のアボカド
ドミニカ共和国も非常に多くのアボカドが生産しており、国内で1個30ドミニカ・ペソ(約70円 2022年5月)程度で販売されています。
生産国の利点
生産国は「アボカドの完熟」を待つ事が可能です。「ハス種」などは主に輸出用に生産されており、基本的に熟す1ヵ月~2ヵ月以上前に収穫されます。船舶による輸送は約1ヵ月の時間を要するため、完熟したアボカドは生産国以外では非常に困難になります。
日本で流通しているアボカドのほどんどが「ハス種」であり、皮が薄く輸送でダメージを受けやすい「フエルテ種」は基本的に流通していません。
日本とEPA(経済連携協定)は結ばれていない
日本とドミニカ共和国の間でEPA(経済連携協定)は結ばれていません。ドミニカ共和国は非常に質の良いアボカドを生産していますが、日本には輸入されていません。(2022年5月現在)
ケニア
アボカド 情報
ケニアのアボカド
ケニアで利用されているスワヒリ語でアボカドは「Parachichi(パラチーチー)」です。
ビックマネー
アメリカ・ヨーロッパなどでアボカドの消費が拡大しており、多くの国がケニアからアボカドを輸入しています。
輸出量が増加するケニアではアボカドが「金のなる木」として扱われており、国内でアボカド農家が襲撃される事件が多発しています。農家はアボカドを守るために「ガードマン」などを雇い、24時間監視をしながら栽培する農家などが増加しています。
アボカドは1本の木に200~300個の実をつける
アボカドは品種によりますが、成長に5~15年を有し、成長したアボカドの木は200~300個の実をつけます。ケニアではアボカドの木1本で600ドル程度のアボカドが生産可能で、海外と取引がある農家などは非常に裕福になります。
ブラジル
アボカド 情報
ブラジルのアボカド
ブラジルで利用されているポルトガル語でアボカドは「Abacate(アバカーチェ)」です。
ブラジルのアボカドは国内消費が多い
ブラジルでは国内のアボカド消費量が非常に多く、ブラジルで生産されるアボカドの90%以上が国内で消費されています。
ブラジルで人気がある「アボカドスムージー」
ブラジルでも「アボカドの飲み物」が人気です。アボカドをミキサーにかけ加糖し、「ライム」など柑橘フルーツを加えて飲みます。
ブラジルのアボカド生産地
ブラジルの主なアボカド生産地はブラジル南東部のサンパウロ州・南東部のミナスジェライス州・南部のパラナ州で、国内で生産されるアボカドの90%が生産されています。
日本はブラジルとEPA(経済連携協定)を結んでいません。日本とブラジルはメイコスールEPA(南米中心の経済連携協定)について話し合いがおこなわれています。
ハイチ
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ハイチはどこ?
ハイチはカリブ海に浮かぶ島国です。カリブ海に存在する「イスパニョーラ島」の半分で、右半分が「ドミニカ共和国」になります。ドミニカ共和国の面積は北海道の半分程度の面積を有しており、英語で「Dominica」と訳されている場合はドミニカ共和国を指す事が殆どです。
アボカドの密輸入
ドミニカ共和国と国境を接するハイチではアボカドの違法取引が行われています。ドミニカ共和国はハイチで購入したアボカドを関税を通さずドミニカ共和国に輸入し、再販している業者が多く存在します。これらのアボカドはハイチで生産される20%程度と非常に多く、大きな問題になっています。
ベトナム
アボカド 情報
ベトナムのアボカド
ベトナム語でアボカドは「trái bơ(チャイボー)」です。
アボカドは「バター」
ベトナムで「 bơ(ボー)」ば「バター」を意味し、「果物のバター」として扱われています。ベトナムでも「スムージー」の人気が高く、屋台などで販売されています。
アボカドの生産地
中部のダクラク省・ダクノン省・ラムドン省などで多く生産されています。「ハス種」の生産が多く、世界中に輸出されています。
チリ
アボカド 情報
チリのアボカド
チリで利用されているスペイン語でアボカドは「Palta(パルタ)」です。
アボカドの「水」問題
アボカドは栽培に非常に多くの「水」が必要になる果物です。チリは「気候変動」などの影響により「干ばつ」などが多発しており、アボカドを含む果物の生産に大きな影響を与えています。
多くの果物を輸出するチリ
チリは非常に多くの野菜や果物を生産しており、アメリカ・中国を軸に世界中に生産された農産物が輸出されています。
日本はチリとEPA(経済連携協定)を結んでいます。
エチオピア
アボカド 情報
エチオピアのアボカド
エチオピアで利用されているアムハラ語でアボカドは「አቮካዶ(アボカド)」といいます。
エチオピアはどこ?
エチオピアはアフリカ西部に位置します。アフリカの農業の要となる「ナイル川」の源流「タナ湖」が存在し、ナイル川の下流に位置するエジプトなどはナイル川の水を利用した「灌漑農業」がおこなわれています。
アボカドの育成に適した土地
エチオピアはアボカドの栽培に適した気候と土地を有しています。アフリカの多くの国々は「水」の利用が限られていますがエチオピアには豊富な水が存在しており、国内で多くのアボカドが生産しています。
インフラの整備
エチオピアは内陸に位置する国で、「海上ルート」でアボカドを輸出するには隣国の「ジブチ」に運ぶ必要があります。2016年に「アディスアベバ」から「ジブチ」をつなぐ鉄道が完成しており、スムーズな輸出が可能になっています。
エチオピアの「アディスアベバ」は「アフリカの政治の中心都市」とされており、人口増加が続いています。
米国
アボカド 情報
米国のアボカド生産地
アメリカでは比較的な温かい・西部カルフォルニア州・東部フロリダ州・ハワイ州でアボカドの生産がおこなわれており、主な生産地は「カルフォルニア州」になります。
アメリカのアボカド消費を
支えるのは「メキシコ」
アメリカは非常に多くのアボカドを「メキシコ」から輸入しています。メキシコ産のアボカドはアメリカの全土へ供給が可能になっており、メキシコがアメリカのアボカド需要を支えています。
増加する消費量
アボカドは非常に栄養価が高く、健康意識の高い米国人はアボカドを様々な料理に利用します。アボカドはヨーロッパでもメジャーな食品として利用されており、生産が難しい北欧などで非常に人気がある食品になっています。
日本
アボカド 情報
日本のアボカド生産
日本の気候では非常に栽培が難しい果物で、栽培には「ハウス」を利用します。生産コストが非常に高く、生産量は限定的ですが国内でも生産量が増加しています。
まとめ
世界で需要増
世界でアボカドの需要が上昇しており、多くの生産国で増産がおこなわれています。しかし、大量生産可能な国は限られており、「気候変動」などの影響により生産量が減少する地域なども増加しています。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考
FAO, FAOSTAT. "Crops and livestock products - Avocados, Production (t)" (English) 1961-2022年. ©FAO 2024. 2023年06月24日閲覧。
FAOの利用規則はこちら (English) です。
サムネイル:Pixabay
ライセンスに関してはこちら (English) をご覧ください。