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世界のアンズ 生産量ランキング

日本でも非常に人気のあるアンズ。世界では「ジャム」や「ドライフルーツ」に加工される事が多く、世界中で人気があります。

世界ではどの国がどれくらいアンズを生産しているのでしょうか?

世界のアンズ
生産量 ランキング


世界のアンズの生産量
世界一位 テュルキエ(旧トルコ)
世界二位 ウズベキスタン
世界三位 イラン


世界のアンズ 生産量ランキング
Apricot - production (tonnes/year)

生産量
(トン)
(tonnes)
2021年
世界合計3,578,412
1テュルキエ
(Turkiye)
800,000
2ウズベキスタン
(Uzbekistan)
424,734
3イラン
(Iran)
323,019.1
4アルジェリア
(Algeria)
189,724
5イタリア
(Italy)
189,570
6パキスタン
(Pakistan)
145,391.6
7スペイン
(Spain)
114,720
8アフガニスタン
(Afghanistan)
113,659.7
9日本
(Japan)
104,600
10ロシア
(Russia)
79,100
11モロッコ
(Morocco)
78,449
12アルメニア
(Armenia)
77,096.21
13ギリシャ
(Greece)
76,270
14エジプト
(Egypt)
71,035.29
15中国
(China)
70,772.38
16ウクライナ
(Ukraine)
56,840
17フランス
(France)
54,590
18南アフリカ共和国
(South Africa)
39,520
19チュニジア
(Tunisia)
38,000
20アメリカ
(America)
37,870
21トルクメニスタン
(Turkmenistan)
35,015.78
22レバノン
(Lebanon)
34,496.92
23イラク
(Iraq)
34,153
24シリア
(Syria)
33,635.38
25タジキスタン
(Tajikistan)
31,840.56
26セルビア
(Serbia)
31,362
27アゼルバイジャン
(Azerbaijan)
29,366.4
28アルゼンチン
(Argentina)
27,201.15
29キルギス
(Kyrgyzstan)
27,074.07
30ルーマニア
(Romania)
26,840
31リビア
(Libya)
25,898.64
32カザフスタン
(Kazakhstan)
23,900.59
33ヨルダン
(Jordan)
23,900.59
34ブルガリア
(Bulgaria)
20,700
35台湾
(Taiwan)
17,850
36インド
(India)
14,356
37ハンガリー
(Hungary)
11,770
38モルドバ
(Moldova)
8,700
39オーストラリア
(Australia)
6,101.16
40オーストリア
(Austria)
5,690
41アルバニア
(Albania)
5,056.7
42チリ
(Chile)
4,559.6
43イスラエル
(Israel)
4,500
44ポルトガル
(Portugal)
3,450
45ポーランド
(Poland)
3,100
46ニュージーランド
(New Zealand)
2,716.37
47北マケドニア
(North Macedonia)
2,584
48スイス
(Switzerland)
2,270
49ネパール
(Nepal)
2,009
50ジョージア
(Georgia)
2,000
51チェコ
(Czech)
1,860
52イエメン
(Yemen)
1,529.58
53マダガスカル
(Madagascar)
1,462.62
54メキシコ
(Mexico)
1,088.95
出典: United Nations Food and Agricultural Organization (FAO) 2021年から作成
https://www.fao.org/faostat/en/#data/
©FAO


各国のアンズ生産量


アンズの重さ・エネルギー

あんずの重さは1個40gで、エネルギーは一個約15Kcalになります。


ドライフルーツは注意!

アンズは熟す段階で段々とオレンジ色になります。基本的に腐敗を防ぐためにアンズがまだ緑色~黄色の段階で収穫され、ドライフルーツなどに加工されます。

外国産で鮮やかなオレンジ色・非常に柔らかいアンズのドライフルーツは「二酸化硫黄」が利用されています。二酸化硫黄は防腐剤として利用され、賞味期限を延すために利用されます。

レーズン・アプリコット・プラム・プルーンにも二酸化硫黄が利用されている事が多くなっています。


どれを選べばいいの?

賞味期限が短く、暗褐色のアンズ(ドライフルーツ)を選ぶのが良いとされています。


アンズの原産地

中国が原産とされています。


アンズの種

アンズの種の中には「杏仁」と呼ばれる白い部分があり、生薬として利用されます。生薬として利用される場合「キョウニン」と呼ばれ、主に咳止めなどに利用されます。杏仁は杏仁豆腐の原料になり、中国では「杏仁茶」が有名です。


仁」には毒がある

バラ科の植物の「仁」は毒性のあるアミグダリンを含んでいます。適切に処理をする必要がありますのでご注意ください。

テュルキエ(旧トルコ)
アンズ 生産量


テュルキエのアンズ生産量

2021年にテュルキエはアンズを800,000トン生産しています。世界で生産されているアンズの22.35%がテュルキエで生産されています。

テュルキエ語でアンズは「kayısı(カユィスィ)」です。


テュルキエの気候とアンズ生産

テュルキエはアンズ生産に適した温暖で乾燥した土地を有しています。テュルキエ全域でアンズが生産がおこなわれていますが、とくに「アナトリア地方」での栽培が顕著です。

アナトリア地方に位置する中部東のマラティヤ県・東部のエルズィンジャン県・東部のウードゥル県・南部のムト市で多くのアンズが栽培されています。


テュルキエのドライフルーツ

長期保存が可能な「ドライフルーツ」に加工され「貿易品」として重宝しました。中国原産のアンズはシルクロードにより東西に広まり、テュルキエでも栽培されるようになりました。

現在もテュルキエ産のアプリコットは「ドライフルーツ」が非常に有名で、世界中で購入する事が可能です。


日本へ輸出

日本でもテュルキエ産のアンズの「ドライフルーツ」は非常に人気があります。ドライフルーツに加工されている場合は検疫が不要になります。

ウズベキスタン
アンズ 生産量


ウズベキスタンのアンズ生産量

2021年にウズベキスタンはアンズを424,734トン生産しています。世界で生産されているアンズの11.86%がウズベキスタンで生産されています。

ウズベキスタンで使用されているウズベク語は「O'rik(オリィク)」です。


ウズベキスタンのアンズ生産

ウズベキスタンの冬は非常に寒く、マイナス10度を下回る日も多くなりますが、中央アジアの多くの国で栽培されるアンズは主に耐熱性・耐寒性がある品種が栽培されています。

寒暖差が大きいため、ウズベキスタンのアンズは非常に糖度が高いと言われています。


タジキスタンのパミールの遺跡


タジキスタンの中北部の「パミール高原」から多くの「中世の遺物」が発掘されます。遺物にはリンゴ・モモ・アンズ・メロンなどが栽培されていた痕跡があり、古来から果物が栽培されていたと考えられています。

イラン
アンズ 生産量


イランのアンズ生産量

2021年にイランはアンズを323,019.1トン生産しています。世界で生産されているアンズの9.02%がイランで生産されています。

イランで使用されているペルシャ語でアンズは「زردآلو(ザーガルー)」です。


アンズ生産の問題点

アンズの花のは暖かくなる「春」に開花します。イランでは春でも気温が氷点下を下回る事があり、「霜」の影響により受粉が阻害される問題が発生します。

アンズは木は品種によりマイナス30度以下でも耐える事が可能な種が存在しますが、霜により受粉を阻害される事により「生産量の減少」に繋がるため対策が必要になります。


イランのアンズの歴史

イランのアンズは「シルクロード」を介して「桃」と共に紀元前1~2世紀頃にイランに伝わったとされます。

アルジェリア
アンズ 生産量


アルジェリアのアンズ生産量

2021年にアルジェリアはアンズを189,724トン生産しています。世界で生産されているアンズの5.30%がアルジェリアで生産されています。

アルジェリアで使用されているアラビア語でアンズは「المشمش(アルマシャマシャ)」です。


アルジェリアのアンズ生産

アンズは冷涼で乾燥した土地で多く栽培される事が多くなりますが、温暖な北アフリカでも非常に多くのアンズ栽培がおこなわれています。


アルジェリアへのアンズの伝播

アンズはイタリア → エジプト → アルジェリア → モロッコ → スペイン → フランス → イギリスの順に伝わったとされています。


アプリコットの増産

アルジェリアでは2008年に「The agriculture development strategy(農業発展計画)」が取り決められており、農業生産の増加・天然資源利用・水の適切な利用・食品安全などを掲げたプロジェクトが開始されています。

アルジェリアの気候を生かした適切で持続可能な農業への切り替えなどがおこなわれています。

イタリア
アンズ 生産量


イタリアのアンズ生産量

2021年にイタリアはアンズを189,570トン生産しています。世界で生産されているアンズの5.29%がイタリアで生産されています。

イタリア語でアンズは「albicocche(アルビコッカ)」です。


イタリアへの伝播

中国 → イランに伝わったアンズはアルメニア・トルコを経て約1世紀頃に地中海沿岸のギリシャに渡り、イタリアのローマに伝わったとされています。(イタリア → ギリシャの説も有ります)


ジャムが人気

ヨーロッパでは「アンズのジャム」が非常に人気があり、朝食の重要なメニューの一つになっています。とくにフランスではアンズを利用したジャムが人気で、フランス産のアンズジャムは世界中で購入する事が可能です。

パキスタン
アンズ 生産量


パキスタンのアンズ生産量

2021年にパキスタンはアンズを145,391.6トン生産しています。世界で生産されているアンズの4.06%がパキスタンで生産されています。

パキスタンで利用されているウルドゥ語でアンズは「خوبانی(ウバーニ)」です。


パキスタンのアンズ生産地

アンズ生産はパキスタン全土でおこなわれてり、主にパキスタン南西部のバローチスターン州の高地・南東部のカイバルパクトゥンクワ州・北部のスカルドゥ・ギルギット・フンザ・ナガルなどで生産されています。


アンズの輸入

パキスタンは国内で生産されているアンズだけでは国内の供給量を満たせず、海外から多くのアンズを輸入しています。主な輸入先はトルコやアフガニスタンになります。

スペイン
アンズ 生産量


スペインのアンズ生産量

2021年にスペインはアンズを114,720トン生産しています。世界で生産されているアンズの3.20%がスペインで生産されています。

スペイン語でアンズは「albaricoques(アルバリコークエス)」です。


スペインの主なアンズ生産地

スペインでは主に南東部のムルシア州のムルシア県でアンズが生産がおこなわれています。北東部のアラゴン州・東部のバレンシア州・中部のカスティーリャラ・マンチャ州でも多くのアンズが生産されており、非常に質の良いアンズが生産されています。


霜の影響により生産数が激減

アンズを多く生産するムルシア州は2021年のアンズの生産量が激減しています。ムルシア州では収穫シーズンに台風に見舞われ、60~80%のアンズが被害を受けたとされています。

アフガニスタン
アンズ 生産量


アフガニスタンのアンズ生産量

2021年にアフガニスタンはアンズを113,659.7トン生産しています。世界で生産されているアンズの3.17%がアフガニスタンで生産されています。

アフガニスタンで利用されているパシュト語でアンズは「زردالو(ザーガル)」です。


アフガニスタンの名産品

中東アフガニスタンでも非常に多くのアンズを生産しています。

アフガニスタンはブドウ・ピスタチオ・アーモンドに次いでアンズを生産しており、寒暖差を生かして栽培された果物は甘味の強い特徴があります。


アフガニスタンのアンズの生産地

東部のパルヴァーン州・中部のヴァルダク州でアンズ生産がおこなわれています。

アフガニスタンでは生産されたアンズの多くが輸出されますが、2020年からCovid-19の影響で輸出量が減少しています。

日本
アンズ 生産量


日本のアンズ生産量

2021年に日本はアンズを104,600トン生産しています。世界で生産されているアンズの2.92%が日本で生産されています。

日本は多くの果物を生産していますが、生産量が上位に食い込む果物はほどんどありません。アンズの生産量は世界的に見ても多く、日本を代表する果物の一つになります。


日本のアンズ生産

主に青森県(約6割)・長野県(約4割)でほぼ国内で生産されているアンズを生産しています。香川県でもアンズを生産していますが、少量になります。


アンズの食べ方

日本でもアンズはジャム・ドライフルーツに加工される事が多くなっています。


アンズは梅の仲間

梅もアンズと同じバラ科サクラ属の植物です。

ロシア
アンズ 生産量


ロシアのアンズ生産量

2021年にロシアはアンズを79,100トン生産しています。世界で生産されているアンズの2.21%がロシアで生産されています。

ロシアでアンズは「абрикос(アブリコース)」です。


寒冷な土地でも栽培可能

ロシアは野菜・果物の栽培は主にカフカス地方でおこなわれていますが、極寒なロシアの土地でも栽培が可能なアンズはシベリアなどでも栽培がおこなわれています。


ロシアの甘味「ヴァレニーエ」

「ヴァレニーエ」は「ジャム」に似た食べ物ですが、果物の形を残したままジャムのように加糖をおこない鍋で煮ます。ロシアでは「紅茶にジャムを入れる」は間違いで、ヴァレニーエ・ジャムを食べながら紅茶を飲みます。

モロッコ
アンズ 生産量


モロッコのアンズ生産量

2021年にモロッコはアンズを78,449トン生産しています。世界で生産されているアンズの2.19%がモロッコで生産されています。

モロッコで使用されているアラビア語でアンズは「المشمش(アルマシャマシャ)」です。


モロッコのアプリコット生産

モロッコは温暖な気候を有しており、アンズを含めた様々な果物が生産されています。アンズの収穫時期は6月~11月で、生産されたアンズは国内で生食・ジャムとして消費される他にイギリス・スイス・ロシア・フランス・ドイツなどに輸出しています。

ギリシャ
アンズ 生産量


ギリシャのアンズ生産量

2021年にギリシャはアンズを76,270トン生産しています。世界で生産されているアンズの2.13%がギリシャで生産されています。

ギリシャ語でアンズは「Βερίκοκα(ベリコカ)」です。


寒さの影響

2021年の春にギリシャは寒波の影響を受け、アンズの生産量が減少しています。寒波の影響は「スペイン」ほどではありませんが、生産量が20%減少しています。


黄金のリンゴはアンズ

ギリシャ神話に登場する「ヘスペリデス(西の果てに存在したとされる女神や妖精)」の園には「黄金のリンゴ」が生っていたとされます。ギリシャ神話最大の英雄「ヘラクレス」はこの庭から黄金のリンゴを盗み出す任務を部下に与えたとされ、この黄金のリンゴがアンズだったとされています。

まとめ


アンズの消費はアジアやヨーロッパが多い

アンズはシルクロードを介して広まった果物です。寒冷な土地を好む植物で、アジアやヨーロッパでも栽培が可能であり、シベリアなどの非常に寒い地域でも栽培がおこなわれています。


今回は以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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