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家畜への抗生物質の投与量ランキング

病気などを防ぐために家畜に投与される抗生物質。抗生物質は細菌に対し有効ですが、ウイルスには効果がありません。多量の抗生物質は「薬剤耐性菌」を高める事になり、薬が効かなくなるなどの問題が発生します。

WHOでは抗生物質の使用を警告していて注意が必要です。

ヨーロッパではどのくらい家畜に対し抗生物質を投与しているのでしょうか?

記事の内容

家畜への抗生物質の投与量ランキング(ヨーロッパ)
各国家畜への抗生物質の投与量(ヨーロッパ)

家畜への抗生物質の投与量ランキング

家畜への抗生物質の投与量世界一の国はキプロス世界二位はスペイン世界三位はイタリアです。

家畜への抗生物質の投与量ランキング
Antibiotic use in livestock in Europe

投与量
(mg)
2015年
1キプロス
(Cyprus)
Population: 1,198,600
434.20
2スペイン
(Spain)
Population: 46,736,800
402.00
3イタリア
(Italy)
Population: 60,550,100
322.00
4ハンガリー
(Hungary)
Population: 9,684,700
211.40
5ベルギー
(Belgium)
Population: 11,539,300
150.10
6ポーランド
(Poland)
Population: 37,887,800
138.90
7ポルトガル
(Portugal)
Population: 10,226,200
134.40
8ブルガリア
(Bulgaria)
Population: 7,000,100
121.90
9クロアチア
(Croatia)
Population: 4,130,300
101.60
10ルーマニア
(Rumania)
Population: 19,364,600
100.50
11ドイツ
(Germany)
Population: 83,517,000
97.90
12フランス
(France)
Population: 65,129,700
70.20
13チェコ
(Czech)
Population: 10,689,200
68.10
14エストニア
(Estonia)
Population: 1,325,600
65.20
15オランダ
(Nederland)
Population: 17,097,100
64.40
16ギリシャ
(Greece)
Population: 10,473,500
57.20
17スロバキア
(Slovakia)
Population: 5,457,000
53.80
18アイルランド
(Ireland)
Population: 4,882,500
51.00
19オーストリア
(Ausria)
Population: 8,955,100
50.70
20スイス
(Switzerland)
Population: 8,591,400
50.60
21イギリス
(U.K)
Population: 67,530,200
45.00
22デンマーク
(Denmark)
Population: 5,771,900
42.20
23ラトビア
(Latvia)
Population: 1,906,700
37.60
24リトアニア
(Lithuania)
Population: 2,759,600
35.10
25ルクセンブルク
(Luxembourg)
Population: 615,700
34.60
26スロベニア
(Slovenia)
Population: 2,078,700
26.40
27フィンランド
(Finland)
Population: 5,532,200
20.40
28スウェーデン
(Sweden)
Population: 10,036,400
11.80
29アイスランド
(Iceland)
Population: 339,000
5.00
30ノルウェー
(Norway)
Population: 5,378,900
2.90
出典: European Medicines Agency, European Surveillance of Veterinary Antimicrobial Consumption and etc 2015年
http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/Report/2017/10/WC500236750.pdf

各国家畜への抗生物質の投与量(ヨーロッパ)



ヨーロッパでは国によって家畜への抗生物質の投与量が非常に多くなっています。

キプロスの家畜への抗生物質の投与量


キプロスでは家畜に平均約434.20㎎の抗生物質を投与しています。

農場での抗生物質の使用は主に家畜の治療などに使用されています。豚、家禽、子牛などの畜舎で育成される家畜への抗生物質の投与は多くなり、広い牧草地などで育成される牛やヤギなどの家畜は抗生物質の投与量が低くなっています。そのため、豚などの畜舎なので育成されている家畜は必然的に抗生物質の投与が多くなります。

キプロスでは豚を多く育成していて、多くの抗生物質が投与されています。デンマークもヨーロッパの中では多くの豚を育成していますが、デンマークでは抗生物質の投与量が少なく、キプロスの約10倍低くなっています。

スペインの家畜への抗生物質の投与量


スペインでは家畜に平均約402.00㎎の抗生物質を投与しています。

フルオロキノロン系抗生物質が多く家畜へ投与され、セフェム系抗生物質のセファロスポリンも投与されますが、量は少なくなっています。 2014年には環状ペプチド系抗生物質の「コリスチン」の投与がヨーロッパ全体で人に投与された量の255倍家畜へと投与されています。コリスチンは多剤耐性菌感染症治療に利用されますが、コリスチンに耐性を示す細菌の出現が注視されています。途上国では約7割の住民が腸管にコリスチン耐性大腸菌を保有している地域も存在しています。コリスチンは、大腸菌、緑膿菌などのグラム陰性桿菌への殺菌作用を持ち、複数の抗菌薬に耐性を持つ多剤耐性菌に対する限られた治療薬の一つで、WHOはコリスチンを非常に重要な抗生物質で、人間が抗える最後の手段と位置付けしています。

イタリアの家畜への抗生物質の投与量


イタリアでは家畜に平均約322.00㎎の抗生物質を投与しています。

イタリアでも家畜に対し、多くの抗生物質が利用されています。イタリアでの抗生物質の投与量は欧州29か国の平均の倍以上の量が家畜に対し投与され、抗生物質が乱用と誤用されていると思われます。

ヨーロッパでは抗生物質を家畜の育成目的の投与が2006年以降禁止されています。しかし、イタリアを含むヨーロッパ諸国では獣医の処方箋があれば抗生物質を利用する事が可能で、病気を防ぐ目的で家畜の飲料水に混ぜるなど不必要な抗生物質の投与が日常的におこなわれています。オランダや北欧では病気の予防目的の抗生物質の投与はおこなわれていません。

ハンガリーの家畜への抗生物質の投与量


ハンガリーでは家畜に平均約211.40㎎の抗生物質を投与しています。

ハンガリーでは食品の安全を監視するハンガリー食品安全庁(Hungarian Food Chain Safety Office)が食品及び家畜の飼料など健康リスクをチェックしています。 ハンガリー食品安全庁では農業、技術、環境、汚染物質、残留農薬、などに関する検査、分析をおこなっており、家畜への抗生物質の投与もチェックされています。しかし、ハンガリーの家畜への抗生物質の投与量は他のヨーロッパ諸国に比べ多く、日常的に家畜の育成目的とした抗生物質の投与がおこなわれています。

ベルギーの家畜への抗生物質の投与量


ベルギーでは家畜に平均約150.10㎎の抗生物質を投与しています。

2017年のベルギーでは家畜への抗生物質の投与量は2011年と比べ75%減少し、2019年までに総使用量が約40%減少しています。ベルギーで大規模に畜産をおこなう農家に対し、バイオマスを設置するなどの規制を設け、環境対策にも力がそそがれています。

ベルギーでは2021年までに環状ペプチド系抗生物質コリスチンの使用が停止する事が決定していて、コリスチンに対する耐性菌をもつ家畜の問題も注視されている事が理解できます。

まとめ


コリスチンを投与された家畜はコリスチンが効かない耐性菌を作り出す可能性があります。これらの家畜を食べたり、触ったり、排泄物から耐性菌が人間の体内に入り込むと抗菌薬が効かない耐性菌に感染する可能性があります。つまり、抗生物質が効かない病気にかかるという事になり、死へと繋がる可能性が高くなります。


日本では2018年にコリスチンとバージニアマイシンが家畜への使用を禁止されています。

抗生物質の安易な利用は耐性菌を生み出す可能性があり危険です。(危険ではありませんが注意が必要です)


今回は以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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